【『幕が上がる』感想】(文責:鈴木)
『幕が上がる』を観終えて私が思ったのは「青春は素晴らしい」という、ただ一つの事だけだ。
私は世間で多勢を占めるサラリーマンという人種であり、学生時代というのもおそらく平均的なそれを踏んできた、いわゆるステレオタイプな人間だ。
そんな人間にとって「青春」とはどういったものであるべきか。そんなことをこの『幕が上がる』を通して考えさせられたように思う。
結論から述べると「青春」は”理想”ではなく、”未熟”なものであって欲しい。
あくまで私の個人的な意見としてだが、世に言う「青春」なるものは一種のユートピアとして一般に語られているように思っている。
「私も”あんな風”に過ごしたかった」。
それが世間における「青春」のあり方であり、役割でもあるように思う。
しかし今回の『幕が上がる』を観て、「私もこんな青春を送りたかった」と思った人は存外に少ないのではないか。
弱小チームが困難を乗り越えて次第に成長していく様は、たしかにステレオタイプな日本人の涙腺には強力だ。
しかし同時に「こうありたかった」とは思えない人が多勢ではないか。
それは何故だろうか。
おそらくその理由は彼女たちが”未熟”だからだ。
この映画は少女たちの成長を描いてはいるが、その成長を描き切ってはいない。
その代わりに”未熟”であることを、熟練のスタッフが描き切った作品と言えるのではないか。
「青春」という枠組みの中にはゴールとしての”理想”はない。「青春」に憧れているうちには、それ以上進むことはない。
しかし”未熟”であることを認め、「青春」を超えた先にこそ”理想”がある。
そんなことを、本作は私たちに考えさせてくれ、また反省を促してくれたように思う。
とはいえ、やっぱり「青春は素晴らしい」。
そんなことを思ってしまう自分という人間は、まだまだ未熟さを認められていないということなのかもしれない。
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