水仙の幻想
著者:薄田 泣菫 読み手:能島 昭子 時間:5分30秒
すべての草木が冬枯れはてた後園の片隅に、水仙が五つ六つ花をつけてゐる。
そのあるものは、肥り肉の球根がむつちりとした白い肌もあらはに、寒々と乾いた土の上に寝転んだまま、牙彫りの彫物のやうな円みと厚ぽつたさとをもつて、曲りなりに高々と花茎と葉とを持ち上げてゐる。
白みを帯びた緑の、女の指のやうにしなやかに躍つてゐる葉のむらがりと、爪さきで軽く弾いたら、冴え切つた金属性の響でも立てさうな、金と銀との花の盞。
その葉の面に、盞の底に、寒さに顫へる真冬の日かげと粉雪のかすかな溜息とが、溜つては消え、溜つては消えしてゐる。
水仙は低く息づいてゐる・・・
【青空朗読】とは
青空朗読はインターネット上の図書館「青空文庫」の作品を朗読するプロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートしました。近年は、朗読を学ぶ一般の方々からも作品を提供していただいています。2016年5月に一般社団法人となりました。
https://aozoraroudoku.jp
【青空朗読ご支援のお願い】
★企業および団体の皆様へ
青空朗読は、「青空文庫」の蔵書を朗読で味わうことができる公共空間を目指しています。
CSR等企業の社会貢献活動の一環として、運営費のご支援をお願いしております。 詳しくは、青空朗読までお問い合わせください。
★個人の皆様へ
ご寄付のお願い
継続して活動を続けていくために、青空朗読の活動趣旨にご賛同いただける方からのご寄付をお待ちしています。
★振込先
三井住友銀行 赤坂支店 普通 9263872
口座名義:一般社団法人 青空朗読
こちらからもご寄付いただけます。
https://syncable.biz/associate/aozoraroudoku