前回から「志とリーダーシップ」というテーマでお話しています。まず「志」と言うととても大きなことのように思いがちですが、そうではなく、自分のあるべき姿を決めることだというお話でした。自分がこうありたいという姿をまず設定し、次に自分の現状を把握するという作業に移るわけですが、今日はこの続きのお話しです。
「現状を理解する」というのは非常に難しいと思っています。何故なら、例えば人はどうしても自分のことを中の上ぐらいに抽象的にとらえがちだと思います。ざっくりと、自分はまあまあできると、過大評価していると言えるかもしれません。人は、他人から「あなたはまだ出来ていません」ということを指摘されると、どうしても感情的になってしまいます。自分でも薄々分かっているからこそ人から言われたくないという面もあるかもしれません。
大事なことは、「自分で(出来なさに)気づく」ということです。
社会人の能力開発の大事なポイントは、他人に言われると感情的になって受け入れられないため、自分自身で差分に気づくということ、そして、これを仲間と一緒に行うということです。自分一人で能力開発をしようと思っても、なかなかそのことを自分で気づけません。
例えば、自分の現状を見る物差しとしての視座、視点、視野があります。視座というのは見る高さですからより高い視座で物事を見るということです。例えば、経営的な視座で言うと、新入社員の視座もあれば課長の視座、部長の視座、役員の、経営者の視座もあります。経営的に高い視座になっていくことによって、より多くのことが見えてきます。同年代のビジネスパーソンでも明らかに視座が高い方がいらっしゃいます。そうすると、「あぁ、自分は全然視座が低いな」ということに気づきます。
他にも、視点で言えば、マーケティングの視点もあればお金の視点もあるでしょうし、ラジオ1つとってもリスナーの視点もあればプロデューサーの視点、経営者の視点と色んな視点があります。物事を多面的に見れるかどうかというのも1つの力です。最後に視野で考えてみると、視野とは広さです。自分の部署のことだけなど視野狭窄にならずに、物事を広く捉えられるかどうかを仲間との語らいと共に学ぶことによって、ビシビシ自分の至らなさに自分で気付くことができます。これは仲間と共に学ぶことの効能です。
まず、自分で具体的にありたい姿を定めた後は、自分の現状を正確に理解する仲間と語らい、共に学ぶことでしっかり定めていきましょう。
「過大評価」の例を挙げてお話しましたが、当然「過小評価」の方もいらっしゃいます。向上心が強い方に限って過小評価する方も少なくありません。と言うのは、向上心が高いがゆえに自分が出来ていないことに気づいてしまい、自分を責め始めるわけです。今回の話の大テーマは、どうやってギャップを作って能力開発の源にして自分を高めていくかという話です。このギャップというのは、自分でしっかり設定して現状とのギャップを作るというのが要ですが、過小評価をしてしまう時というのは、往々にして過去の自分と今の自分のギャップに目が行きがちです。過去の自分はその時それが精一杯だったわけですが、今の自分が当時の自分より少し成長してギャップが出来ているものだから、そのギャップを責めて「自分は駄目だった」、「出来なかった」とまた感情が入ってくるため、どんどん自信を無くしがちです。しかし、過去のギャップは埋めようがありません。
能力開発をしていてとても向上心が強い方や繊細な方、人間性豊で優しい方に限って自分を責めることにエネルギーを使ってしまい、自分でありたい姿を設定する方に持っていけないことがあります。これはバッドサイクルになります。
他にも、自分を責めて責めて湖の底に自分を貶めていき、落ちた時の反動で頑張るという方がいます。自分を責めて責めて責めて、もう駄目だとなって最後グッと上がることを繰り返す人ですが、これではエネルギー使って本当に大変です。そのやり方では具体的な行動を見出しにくいです。まずしっかりと意識的にあるべき姿を設定して、現状を理解し、ギャップを作っていくということに繋げてください。
どうしても人間は自分の考えやすいことや考えたいことに引っ張られていくため、時々しっかりと時間を作って、そもそも自分は何をやりたいかという"want"を考えてください。先ほどから、「ありたい」とか「なりたい」と申し上げていますけれども、逆に「あるべき」という、"Should"でも良いです。
"want"や"Should"は人によって違います。そのため、どうしてもこうありたいということが描けない方は"Should"、つまり、自分はどうあるべきかと考えると、自分の目標を設定しやすくなるかもしれません。
一方で付け加えておきたいことは、"Should"も大事ですけれども、やはり心の奥底にある本当はこれがしたいという"want"に目を閉じたままずっと"Should"をやっていくのはキツイものもあるため、自分の"want"を理解するということは大事です。
では、今日のまとめです。
前回は、まず「ありたい姿を決める」というお話をしましたが、今日はその次のステップである「現状をしっかり理解する」ことについてお話ししました。過大評価でも過小評価でもなく、しっかり正面から自分の現実をしっかり理解しましょう。