ここ数年日本のパブリッシャーやマーケターの間でニュースレターが熱いといった記事や声をたくさん聞きます。
ブログやメルマガのテキスト(文字)から、ソーシャルメディアやユーチューブなどの動画メディアが流行り、今ポッドキャストなどの音声コンテンツが注目され始めています。密かにテキストを中心とするニュースレターが根強く活用されるのはなぜなのでしょうか。
1) ニュースレターとは
そもそも日本でメルマガと呼ばれる媒体はインターネットを使ったマーケティングツール、オンラインメディアとして活用されてきました。一方ニュースレターは紙に印刷され直接郵送する古いオフラインのメディア、手紙と認識されています。
或いは、メルマガは無料で配信されるeMailであり、ニュースレターはHTMLを使用したデザイン性の高いメールを配信するものと誤解されることもよくあるようです。
実は英語圏、海外ではこれらを一つまとめてニュースレターと一般的に呼んでいます。「メルマガ」とは元々は英語ではなく日本人の作った和製英語、メールマガジンを略したものです。海外に住んでる方であれば分かると思いますが、アメリカでもイギリスやアジアでも「メルマガ」という単語を聞くことはありません。また日本ではeニュースレターという名称で表現する事も一部ありますが、一般的には物理的な紙の手紙もオンライン上のeMailを使った配信も両方含めてニュースレターと呼んでいます。
A newsletter is a printed or electronic report containing news concerning of the activities of a business or an organization that is sent to its members, customers, employees or other subscribers. Newsletters generally contain one main topic of interest to its recipients.(wikipedia:ニュースレターとは報告したいレポートを印刷物や電子メールを使って、伝えたい人や従業員、企業、顧客や従業員などに届けるためのもの)
また、日本ではWebマーケティング、オンラインマーケティング、インターネットマーケティング、SNSマーケティングと呼んでいますが海外ではこれらを総じてデジタルマーケティングと呼んでいて、その中でニュースレターを活用してマーケティングすることを「メールマーケティング」と呼んでいます。
海外ではメールチンプなどデザイン性の高いメール配信ツール(配信スタンド)を使うことが一般的なので、元々HTMLが特別という感覚もありません。
テキスト中心のメディアとはいえ、やはり文字の大きさに変化があったり色や動画、写真も入っていた方が開いた時に見やすくなります。
2) なぜ今テキストのニュースレターなのか
現代人の多くはSNSをコミュニケーションツールとして使い、また本よりも動画の方が多くの人に観られやすいとされています。歩きながらなら、Audibleやポッドキャストを聴きながらインプットしたいという忙しいビジネスパーソンも多いでしょう。
今誰もが「古いメルマガをなぜ今やらなきゃいけないんだ?」と思ってる中、ニュースレターが流行りに関係なく、これから継続的に残る理由があります。
それは、殆どの人がメールアドレスを持っていて、ビジネスパーソンであれば重要なメッセージは毎日欠かさず確認しているからです。欧米や日本だけでなく、アジアのどこの国に行っても例えPCを持っていない世代であってもほぼ全員がFacebookやYouTubeアカウントを持っています。
投稿しない人でも閲覧や評価、コメントをしています。誰でもソーシャルメディアのアカウントを持っているということは、メールアドレスも持っているということです。
3) これから10年メールはどうなるか
私が初めてメールアドレスを持ったのはLAにいた時です。まだSNSは主流ではなくスマホもありませんでした。しかし、日本に戻ると友人や知人と連絡することができなくなり、そんな時にフリーメールを作りました。日本のキンコーズへ行き、メールアカウントにログインし、海外の友達とやりとりをするのがたまらなく画期的でした。
手紙やファックスを送る必要もありません。その後アメリカではTomさんのマイスペースドットコム、日本では友人からMixiの招待が届きました。それぞれのプラットフォームではお互いのブログを呼んだり、遠くにいてもメッセージのやりとり、写真のシェアが簡単にできるようになりました。
少し私の思い出話になってしまいましたが、つまり、私は2000年代に作ったメールアドレスを、まだ利用しています。古いからといって消したりしません。そこでしかつながってない友人がいますし、SNSやウェブサービスのアカウントにログインする場合もこれからも必要だからです。
メールマーケティングやニュースレターが文字、テキストだから古いと思う方もたくさんいるかもしれませんが、これから10年あなたがメールアカウントを消して受信箱を2度とチェックしないということがないのであれば、メールが使えないメディアではないことがご理解いただけるかと思います。
4) ニュースレターを侮るべからず
ニュースレターが単なる文字を送るツールだからと言って、あなどってはいけません。現在の多くのプラットフォームは開かれていて、シェアすることが可能です。
ツイッターでもユーチューブでもグーグル検索なども誰かがキーワードなどで探し、またはフォローしてる人がシェアすることによってあなたの目に(耳に)届きます。
しかしながら、ニュースレターはあなたのインボックス(受信箱)に直接届くので、少しだけ特別感があります。しかもSNSと違い閉ざされているのでグーグル検索にも表示されず、あなたしか見れません。
「あなたに届ける」というメッセージはニュースレターでしか味わうことができない戦略なのです。思い出してみてください、私たちの先輩方も昔は文通や手紙で思いを伝えて恋愛してましたよね、非常にロマンチックです。
---
Send in a voice message: https://anchor.fm/podcastjapan/message