第3回は、「コンサルティングとコーチングは何が違うのか」を入り口に、経営者がコーチングを受ける意味と、そこで起こる変化を掘り下げます。
経営上の課題を解決する方法として、コンサルティングとコーチングは混同されることがあります。
コンサルティングでは、専門的な知識や経験を持つコンサルタントが、企業の課題を分析し、具体的な解決策やアドバイスを提示します。人事制度を整える、マーケティングの仕組みをつくる、売上を伸ばす戦略を考えるといった、目に見える問題を扱うことが中心です。
一方、コーチングでは、コーチが答えを出すわけではありません。
課題を解決するのは、あくまでも経営者本人です。コーチは、問いと対話を通して、経営者が自ら考え、自分の中にある答えに気づき、行動できるように支援します。
結果だけでなく、答えにたどり着くまでのプロセスや、経営者自身の成長を重視すること。
それが、コーチングの大きな特徴です。
番組では、目に見える「技術的な問題」と、その人自身の考え方や周囲との関わり方を変えなければ解決できない「適応課題」の違いについても紹介します。
例えば、「社員に主体性がない」という悩み。
その原因を社員の能力や意識だけに求めてしまいがちですが、実際には、社長がすべてを決め、社員が意見を言いづらい環境をつくっている可能性もあります。
社長の指示に従っていればよいという空気が、結果として、自分で考えない組織をつくっているかもしれない。
コーチングでは、社員をどう変えるかではなく、まず経営者自身がどのような関わり方をしているのかに目を向けます。
自分の弱さや至らなさと向き合うことは、決して簡単ではありません。しかし、会社を成長させたい、社員を幸せにしたいと願うのであれば、経営者自身が変わり続ける必要があります。
自分を知り、自分の関わり方を変えることで、社員との関係が変わり、組織の空気が変わり、会社の成長へとつながっていきます。
また、経営者がコーチングの場に持ち込む悩みは、事業戦略や組織づくりだけではありません。
社内政治に巻き込まれた雇われ社長、先代から突然会社を引き継いだ後継者、古くから働く社員との距離感に悩む二代目・三代目経営者。業績不振や健康問題、家族や人間関係など、相談内容は多岐にわたります。
経営者は、社内では常に強い存在であることを求められます。
社員には不安を見せられない。家族にも心配をかけられない。取引先にも弱音を吐けない。
だからこそ、利害関係のない第三者であり、守秘義務を守るプロのコーチだから話せることがあります。
前向きに目標へ進めるときもあれば、何も考えられないほど落ち込むときもある。状態が悪いときには、無理に答えを出そうとせず、まずは話を聴き、抱えている感情を受け止める。本人が本来の状態を取り戻してから、未来へ向けた対話を始めていく。
コーチングとは、決められた質問を順番に投げかけるだけの技術ではありません。その人の状態に合わせて関わり方を変え、安心して本音を話せる場をつくる仕事でもあります。
さらに番組では、コーチを選ぶ際のポイントについても解説します。
どこでコーチングを学んだのか。どのような資格や経験を持っているのか。これまで、どのような人を支援してきたのか。そして何より、自分が安心して本音を話せる相手なのか。
経歴や資格を確認したうえで、実際にセッションを受け、相性を確かめることが大切です。
コーチは、自分の考えを押しつける存在ではありません。
対話の中で見えたことや感じたことを、鏡のように相手へ返す。必要な情報がある場合にも、まず本人の了承を得たうえで、選択肢の一つとして提示する。最終的に何を選び、どう行動するかを決めるのは、経営者本人です。
人から与えられた答えではなく、自分の中から生まれた答えだからこそ、納得して決断でき、実行にもつながる。
社長が変われば、社員との関係が変わる。組織が変わり、会社の未来も変わっていく。
答えを教えないコーチングが、なぜ経営者の成長を支えられるのか。
経営者が弱音を話せる場所の必要性と、自ら答えを見つけることの価値に迫る第3回です。
【出演】
五十嵐 久|エグゼクティブコーチ/ICFマスターコーチ(MCC)
小林海貴|株式会社ウェブリカ
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