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1981年、田名網は病院のベッドの上にいました。
多忙すぎる生活で肺に水が溜まり、胸が苦しく、生死の境をさまよう日々。
高熱にうなされるなか、窓の外に見える松の木がグニャグニャに歪み、サルバドール・ダリの絵や、幼い頃の記憶のイメージが現れては消える——。
これは夢か、現実か。
4カ月に及ぶ入院生活の中で田名網は、目の前に浮かぶビジョンをノートに描きはじめます。
『虚像未来図鑑』——田名網敬一が1969年に出版したビジュアルブックのタイトルです。
広告や新聞など、世の中にあふれる虚像のイメージを組み合わせ、印刷メディアを用いてメッセージを発信する。
デザインとアート、分野にとらわれない田名網の社会に対する姿勢がここに表れています。
色彩と躍動感にあふれたグラフィックの数々。その原点にあるのは、幼少期の戦争体験と、戦後受容した少年漫画やアメリカB級映画といった大衆娯楽文化でした。
アーティスト・田名網敬一誕生の背景に迫ります。
From the publisher's feed
類いまれな想像力と表現で近年急速に再評価が進む日本人アーティスト、田名網敬一(1936~)。
1960年代よりデザイナーとして培った方法論、技術を駆使し、現在に至るまで様々なジャンルを越境しながら制作を続け、美術史の文脈に重要な爪痕を残してきました。
そんな田名網敬一の60年以上にわたる創作活動を一望する大回顧展が、六本木・国立新美術館で絶賛開催中!
<…ナビゲーター:セレイナ・アン
「田名網敬一 記憶の冒険」
会期:2024.8.7(水)~11.11(月)
会場:国立新美術館
※本オーディオガイドは本展会期中、何度でもご利用いただけます。