【洋楽】ておまさお劇場 The Teomasao Hour【Spotify Music ＋ Talk】

男性の育児休暇取得は、もはや珍しいことではない。「聞いた？　部長、育児休暇取るらしいわよ」「どういうことなの？　部長が育児休暇なんて！」「いいじゃない。お給料は減っちゃうかもしれないけれど、奥さんは助かるんだもの」「アタシのときは休んでくれなかったのよ！　奥さんだけなんてひどいわ」

久しぶりに母親から電話がきた。

「おめでとう！　映画のヒロイン役が決まったんですってね」「ありがとう、お母さん」「髪型はそのままでいいの？　エステにも行かなくちゃね！　どうしても必要だったら、ちょっとくらい整形してもいいのよ」「ていうか、アニメなんだけど」

遠い未来。人気芸人が取調べを受けていた。ある時期から、殺人的なスケジュールを物ともせず、以前よりも面白くなったと評判だったのだ。「アイツなら、とっくにこの世にはいないぜ。オレだけじゃない。あの売れっ子女優だって、辛口評論家だって、みんなロボットだからな」

夏祭りに来ていた少年は、夜店のくじ引きがなかなか当たらず焦っていた。「このくじ引き全然当たらないよ！」「いい加減にしないと、お小遣い無くなっちゃうぞ」「また外れだ。パパもやってみてよ」「遠慮しておくよ。パパは何をやっても当たらないからね。二浪しても三流大学卒、ブラック企業で万年平社員、傲慢な妻に、出来の悪い息子......」

恋人が、東京オリンピックに出場している友人は、有頂天だった。毎晩、選手村から電話が来るという。「遅れちゃってごめん。昨日も彼と長電話してて」「仕方ないわ。でも彼氏、残念だったわね......」「彼ったら、メダルは獲れなかったけれど、オレにとっては、キミが金メダルだよって言ってくれたの」「アンタが金メダル？　それって、確実に銀メダルと銅メダルもいるってことよね」

少女は溢れる涙を止めることができなかった。強豪校である母校の野球部が、まさかの１回戦敗退を喫したのだ。「残念だったわね。彼氏」少女の恋人は、野球部のエースで四番だ。「勘違いしないで。悔しくて泣いてるんじゃないの。これで夏休みもずっと彼と過ごすことができるんですもの」

遠い未来。オリンピックは、過去のスーパースターを模したロボットによって、連日熱戦が繰り広げられていた。全盛期のウサイン・ボルトとカール・ルイスによる夢の対決。ところが、観衆の熱狂は長くは続かなかった。怪我も加齢もないロボットらによる試合は、マンネリ化が大きな課題だったのだ。

遠い未来。通信網の著しい発達によって、時を超えて連絡を取り合うことが可能となっていた。叶わぬ恋。もはや遠距離恋愛とは、過去と未来で離れ離れに暮らす恋愛関係のことをいう。「このまま逢えないのなら、アナタの曾祖父さんと結婚するわ！」そして、悲恋は繰り返される。

名門クラブは、かつてない規模でスター選手らの売却を敢行していた。「どうだ。これで、覇権奪回は確実だな」「そうでしょうか？　社長、これはワタシの実家の状況に似ています」「キミの実家は商店だと聞いている。何か問題でもあるのか」「店主である父です......。売り上げにばかり固執しており、需要と供給のバランスが全くなっていないのです」

大相撲名古屋場所に、反社会的勢力の男たちが観戦に訪れていた。「おお、ここはいい席だな。土俵が目と鼻の先だ」「この席、なかなか手に入らないんですよ。そういえば、アニキは相撲が初めてでしたね」「貴景勝ってのは、どいつだ？」「あそこにいる太ったヤツですよ」