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我らの文学139 中勘助『銀の匙』66(前編48①)>
ラジオ収録20221118
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
中国語翻訳 編集 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
四十八
冬の夜の遊びはしみじみと身にしみて楽しいものである。
<しみじみと→深く心に染み入る感じ。身にしみて→深く感じる。>
冬夜里一起玩耍,清凉的空气打透全身,十分畅快。
お蕙ちやんは手をかじかませてきて部屋へはひるやいなや火鉢にかじりつく。
<手をかじかませて→悴(かじかむ)→寒さのため手足が凍えて思うように動かせないこと。かじりつく→強くしがみ付き離れまいとすること。>
阿蕙来我家的时候手指冻得发僵,一进屋就凑到火盆前头。
それは伯母さんがこの可愛いお客様のために毎晩山もりに炭をついでおくことになつてゐた。
<炭(すみ)をついでおく→炭を継ぐ→炭を供給して点火させる>
阿姨为了这位可爱的小客人,每天晚上都事先添好一堆木炭。
お蕙ちやんが寒さうに肩をすぼめて暫くは火鉢のうへにのりかかるやうにしてるのを私は待ちどほしがつておさげの髪をひつぱつたり、お稚児の輪のなかへ指をつつこんだりする。
<肩をすぼめて→肩を窄める→肩を縮めて、寒さを感じたり、恐れ入ったり、自信を無くしたりする様。待ち遠しい→待ってもなかなか来ないので、やるせない、辛抱できない気持ち。お稚児(ちご)→乳児>
阿蕙冷得缩着肩膀,坐在火盆边,整个人像要贴上去一样。我等得不耐烦,就拽她的辫子,或者把手指戳到她编好的发髻里。
と、さきも私に負けない癇癪もちなのでむきになつて泣きだしたりすることもあつた。
<癇癪(かんしゃく)もち→イライラしがちで、ふとしたときに突然、怒りを爆発させる症状→瞬間湯沸かし器。むきになる→無気になる→些細なことに腹を立て応酬する。>
她也和我一样爱因为一点儿小事生气,于是经常钻牛角尖,有时还会气哭。
さうなるとこちらは一も二もなく降参してひたあやまりにあやまつてしまふ。つつぷしてる耳もとへ口をよせて「堪忍して、堪忍して」といつても首をふつてゐてなかなかきいてくれない。
<一も二もなく→とやかく言うまでもなく、即座に。降参する→敵に負けて服従すること。ひた謝り→ひたすら謝ること。つっぷしてる→顔を伏せている様子。堪忍して→過ちを許して、勘弁して>
一到这种时候,我二话不说,立刻投降,一个劲儿地道歉。她垂着头哭,我则贴近她耳边赔罪: “别生气了,别生气了!” 她摇着头,我怎么也哄不住。
が、ひと泣き泣いてしまへば「もういいのよ」とからりと機嫌をなほして怨むやうな淋しい笑顔をみせる。
<からりと→気持ちにこだわりがなく。機嫌(きげん)→愉快か不快かの気分。怨む→不当な仕打ちに対する不快な気持ちを持ち続けること、根にもつこと。>
不过,她哭一会儿便会停下来: “没事了啦。”然后情绪一下子好起来,露出有些哀怨又无奈的笑容。
そんなとき私はそのほんのりした瞼まぶたから涙をふいてやることもあつた。
<ほんのり→微(かす)かな、薄(うっす)らとした。「ほんのり」とは関係ないですが、京都の「はんなり」は?→上品で落ち着いた華やかさ?>
有时,我还会给她擦掉单薄的眼角上挂着的泪。
我らの文学139 中勘助『銀の匙』66(前編48①)>
ラジオ収録20221118
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
中国語翻訳 編集 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
四十八
冬の夜の遊びはしみじみと身にしみて楽しいものである。
<しみじみと→深く心に染み入る感じ。身にしみて→深く感じる。>
冬夜里一起玩耍,清凉的空气打透全身,十分畅快。
お蕙ちやんは手をかじかませてきて部屋へはひるやいなや火鉢にかじりつく。
<手をかじかませて→悴(かじかむ)→寒さのため手足が凍えて思うように動かせないこと。かじりつく→強くしがみ付き離れまいとすること。>
阿蕙来我家的时候手指冻得发僵,一进屋就凑到火盆前头。
それは伯母さんがこの可愛いお客様のために毎晩山もりに炭をついでおくことになつてゐた。
<炭(すみ)をついでおく→炭を継ぐ→炭を供給して点火させる>
阿姨为了这位可爱的小客人,每天晚上都事先添好一堆木炭。
お蕙ちやんが寒さうに肩をすぼめて暫くは火鉢のうへにのりかかるやうにしてるのを私は待ちどほしがつておさげの髪をひつぱつたり、お稚児の輪のなかへ指をつつこんだりする。
<肩をすぼめて→肩を窄める→肩を縮めて、寒さを感じたり、恐れ入ったり、自信を無くしたりする様。待ち遠しい→待ってもなかなか来ないので、やるせない、辛抱できない気持ち。お稚児(ちご)→乳児>
阿蕙冷得缩着肩膀,坐在火盆边,整个人像要贴上去一样。我等得不耐烦,就拽她的辫子,或者把手指戳到她编好的发髻里。
と、さきも私に負けない癇癪もちなのでむきになつて泣きだしたりすることもあつた。
<癇癪(かんしゃく)もち→イライラしがちで、ふとしたときに突然、怒りを爆発させる症状→瞬間湯沸かし器。むきになる→無気になる→些細なことに腹を立て応酬する。>
她也和我一样爱因为一点儿小事生气,于是经常钻牛角尖,有时还会气哭。
さうなるとこちらは一も二もなく降参してひたあやまりにあやまつてしまふ。つつぷしてる耳もとへ口をよせて「堪忍して、堪忍して」といつても首をふつてゐてなかなかきいてくれない。
<一も二もなく→とやかく言うまでもなく、即座に。降参する→敵に負けて服従すること。ひた謝り→ひたすら謝ること。つっぷしてる→顔を伏せている様子。堪忍して→過ちを許して、勘弁して>
一到这种时候,我二话不说,立刻投降,一个劲儿地道歉。她垂着头哭,我则贴近她耳边赔罪: “别生气了,别生气了!” 她摇着头,我怎么也哄不住。
が、ひと泣き泣いてしまへば「もういいのよ」とからりと機嫌をなほして怨むやうな淋しい笑顔をみせる。
<からりと→気持ちにこだわりがなく。機嫌(きげん)→愉快か不快かの気分。怨む→不当な仕打ちに対する不快な気持ちを持ち続けること、根にもつこと。>
不过,她哭一会儿便会停下来: “没事了啦。”然后情绪一下子好起来,露出有些哀怨又无奈的笑容。
そんなとき私はそのほんのりした瞼まぶたから涙をふいてやることもあつた。
<ほんのり→微(かす)かな、薄(うっす)らとした。「ほんのり」とは関係ないですが、京都の「はんなり」は?→上品で落ち着いた華やかさ?>
有时,我还会给她擦掉单薄的眼角上挂着的泪。
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