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143 中勘助『銀の匙』70(前編49②)>
ラジオ収録20221216
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)
中国語翻訳 編集 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
お蕙ちやんは晩に家へきても富公の話ばかりして私が機嫌をとるためにもちだす絵本や草双紙なぞ見むきもしない。
<機嫌をとる→ 人の気に入るような言動をすること。見向きもしない→関心を示さない、無視する。>
阿蕙即便晚上到我家来玩,也总是跟我提起富公。我特意拿出绘本和故事书来哄她高兴,她却看也不看。
三人で遊んでるときにも富公がいい気になつてひとのことを下手つくその意気地なしのといへばいつしよになつてばかにする。
三个人一起玩的时候,富公得意地嘲笑我笨手笨脚、没出息,阿蕙竟站在他那边一起笑话我。
さかだちも筋斗がいりもできない芸なしに自分をしつけた伯母さんが今さら怨めしい。
<躾(しつ)けた→礼儀作法などについて教育した。>
我不由得埋怨起阿姨来—为什么小时候她没教过我倒立,也没教过我翻筋斗呢?
そんなで私は富公がいやでならないのをじつと虫を殺して逆らはないでたがその堪忍も終に緒がきれて、あるときあんまりなことをいふのをむつとして口返しをしたら彼はさんざ口ぎたなく罵つたあげくお蕙ちやんに耳つこすりをして意味ありげにひとをしり目にかけながら「あばよ、しばよ」といつてさつさと帰りかけた。
<虫を殺して→怒りを抑えて我慢する。堪忍の緒がきれる→我慢できなくなって怒りが爆発すること。ムッとする→それとなく他人にわかる様子で不機嫌になること。口返し→口ごたえ、逆らった返事をすること。罵(ののし)る→悪口を言い立てる。挙句(あげく)→行き着いた結果。耳こすり→耳元で小声でささやくこと、耳打ち。尻目にかける→人を見下したり、無視したりする態度。あばよ、そばよ→さいなら、また明日の方言。>
我就这样强忍着对富公的厌恶,但终究有按捺不住的时候,有一回,他对我说了很过分的话,我生气地还嘴,招来他更加难听的咒骂。之后他还凑到阿蕙耳边,意味深长地瞥了我一眼,对她说:“再见咯!” 富公说完马上就回家了。
それをお蕙ちやんまでがまねをして「あばよ、しばよ」といひいひあとについていつてしまつた。
阿蕙也学着他的样子对我说了一句“再见咯”,跟着富公走了。
自分のとこへつれてつたのにちがひない。
富公一定把阿蕙带到了他家。
それからお蕙ちやんはばつたり来なくなつた。
从那之后,阿蕙就再也没来找过我。
たまに顔をあはせてもにこりともしずに隠れてしまふ。
就算偶尔碰面,连对我笑笑都不愿意了,直接躲掉。
富公が意地をつけたのだ。さう思へば私は小さな胸に煮えかへるほどの嫉妬と憤怒をおこさずにはゐられなかつた。
<煮え返る→非常に腹が立つ。>
一定是富公故意让她这样做的—这样一想,小小的我心中那温水煮青蛙般缓慢升温的嫉妒和愤怒,终于一发不可收拾。
学校でも彼はみんなをけしかけて私ひとりをちくちくといぢめる。
<けしかける→唆(そそのか)す。ちくちくと→繰り返し刺すように>
在学校,富公还联合其他同学,为了鸡毛蒜皮的小事欺负我。
私はさうした口前はもとより腕力に於ても確に彼に一目おかねばならぬ。
<一目(いちもく)置く→敬意を払う。囲碁に語源あり。>
我当然要佩服他的口才,折服于他的力气。
で、今は纔に自分が首席であるといふことだけがせめてもの慰めであつた。とはいへそれもお蕙ちやんなくしては畢竟ただの空位にすぎないではないか。
<纔(わずか)に→かろうじて。首席→学業成績が一番であること。畢竟(ひっきょう)→結局。空位(くうい)→空しい地位にすぎない。>
如今,唯一能安慰我的,只剩下我优秀的成绩了。可既然失去了阿蕙,所谓的全班第一对我来说,到头来也不过是个空名。
143 中勘助『銀の匙』70(前編49②)>
ラジオ収録20221216
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)
中国語翻訳 編集 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
お蕙ちやんは晩に家へきても富公の話ばかりして私が機嫌をとるためにもちだす絵本や草双紙なぞ見むきもしない。
<機嫌をとる→ 人の気に入るような言動をすること。見向きもしない→関心を示さない、無視する。>
阿蕙即便晚上到我家来玩,也总是跟我提起富公。我特意拿出绘本和故事书来哄她高兴,她却看也不看。
三人で遊んでるときにも富公がいい気になつてひとのことを下手つくその意気地なしのといへばいつしよになつてばかにする。
三个人一起玩的时候,富公得意地嘲笑我笨手笨脚、没出息,阿蕙竟站在他那边一起笑话我。
さかだちも筋斗がいりもできない芸なしに自分をしつけた伯母さんが今さら怨めしい。
<躾(しつ)けた→礼儀作法などについて教育した。>
我不由得埋怨起阿姨来—为什么小时候她没教过我倒立,也没教过我翻筋斗呢?
そんなで私は富公がいやでならないのをじつと虫を殺して逆らはないでたがその堪忍も終に緒がきれて、あるときあんまりなことをいふのをむつとして口返しをしたら彼はさんざ口ぎたなく罵つたあげくお蕙ちやんに耳つこすりをして意味ありげにひとをしり目にかけながら「あばよ、しばよ」といつてさつさと帰りかけた。
<虫を殺して→怒りを抑えて我慢する。堪忍の緒がきれる→我慢できなくなって怒りが爆発すること。ムッとする→それとなく他人にわかる様子で不機嫌になること。口返し→口ごたえ、逆らった返事をすること。罵(ののし)る→悪口を言い立てる。挙句(あげく)→行き着いた結果。耳こすり→耳元で小声でささやくこと、耳打ち。尻目にかける→人を見下したり、無視したりする態度。あばよ、そばよ→さいなら、また明日の方言。>
我就这样强忍着对富公的厌恶,但终究有按捺不住的时候,有一回,他对我说了很过分的话,我生气地还嘴,招来他更加难听的咒骂。之后他还凑到阿蕙耳边,意味深长地瞥了我一眼,对她说:“再见咯!” 富公说完马上就回家了。
それをお蕙ちやんまでがまねをして「あばよ、しばよ」といひいひあとについていつてしまつた。
阿蕙也学着他的样子对我说了一句“再见咯”,跟着富公走了。
自分のとこへつれてつたのにちがひない。
富公一定把阿蕙带到了他家。
それからお蕙ちやんはばつたり来なくなつた。
从那之后,阿蕙就再也没来找过我。
たまに顔をあはせてもにこりともしずに隠れてしまふ。
就算偶尔碰面,连对我笑笑都不愿意了,直接躲掉。
富公が意地をつけたのだ。さう思へば私は小さな胸に煮えかへるほどの嫉妬と憤怒をおこさずにはゐられなかつた。
<煮え返る→非常に腹が立つ。>
一定是富公故意让她这样做的—这样一想,小小的我心中那温水煮青蛙般缓慢升温的嫉妒和愤怒,终于一发不可收拾。
学校でも彼はみんなをけしかけて私ひとりをちくちくといぢめる。
<けしかける→唆(そそのか)す。ちくちくと→繰り返し刺すように>
在学校,富公还联合其他同学,为了鸡毛蒜皮的小事欺负我。
私はさうした口前はもとより腕力に於ても確に彼に一目おかねばならぬ。
<一目(いちもく)置く→敬意を払う。囲碁に語源あり。>
我当然要佩服他的口才,折服于他的力气。
で、今は纔に自分が首席であるといふことだけがせめてもの慰めであつた。とはいへそれもお蕙ちやんなくしては畢竟ただの空位にすぎないではないか。
<纔(わずか)に→かろうじて。首席→学業成績が一番であること。畢竟(ひっきょう)→結局。空位(くうい)→空しい地位にすぎない。>
如今,唯一能安慰我的,只剩下我优秀的成绩了。可既然失去了阿蕙,所谓的全班第一对我来说,到头来也不过是个空名。
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