われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎

87 中勘助 银汤匙 14(前編29③)


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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨



ラジオ収録20211019

中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国の小学校教諭)

読解者・朗読   松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)

読解者      福留邦浩(国際関係学者)楠元純一郎(法学者)

中国語朗読    刘耀鸿 聴講 张晓良 ANYU 張智航 劉凱戈


 不意討ちではあり多勢に無勢で逃げだしたのを追つかけてめちやめちやにぶつけたらみるみるうちに背中いちめんにくつついた。

不意打ち→予告なしに、だしぬけに、いきなり攻撃すること。奇襲

多勢(たぜい)に無勢(ぶぜい)→大人数の相手に少人数で立ち向かっても太刀打ちできず、勝ち目がないこと

めちゃめちゃに→乱暴に、粗暴に

我们突然袭击,又是人多势众,追着逃跑的阿峰使劲打,眼看着她背上就沾满了猪殃殃草。


お峰ちやんは怖い顔をして睨めておいてほーれ草をぶらさげたまま帰つてゆくのでいつけられはしまいかとこはごは見送つてたらひよいとふりかへつて憎体《にくてい》に腭《あご》をつきだしてかけていつた。

ぶらさげる 背中にくっついたほーれ草が重力で垂れ下がっているさまを他動詞で表現したもの。

いつけられる 射付けられる 

または いいつけられる? or いいつけられる?


こはごは 不安で 不安にかられて おっかなびっくり

ひょいと→突然、不意に、身軽に、手軽に

憎体に顎をつきだして 憎々しそうな顔をして

阿峰表情可怕,瞪着眼睛,挂着一身猪殃殃草回去了,正不安地看着她走,她突然咻地回过头来,讨人嫌地伸了伸下巴又回去了。


 蚕豆《そらまめ》の葉をすふと雨蛙の腹みたいにふくれるのが面白くて畑のをちぎつては叱られた。山茶花の花びらを舌にのせて息をひけば篳篥《ひちりき》ににた音がする。

すふ 吸う?

ちぎっては ちぎると

山茶花(さざんか)

篳篥(ひちりき)→松尾先生の700年ご先祖は「雅楽の守」雅楽の笛

吸一吸蚕豆的叶子,就会像雨蛙的肚子一样膨胀起来,我觉得很有趣,就在田地里摘蚕豆叶,挨了骂。把山茶花的花瓣放在舌头上吸气,就会发出像一种管乐器一样的声音。 


春になるとお儒者のやうな玄関のまへにある李《すもも》の木が雲のやうに花をつけ、その青白い花がまばゆく日に照されてすーんとした薫があたりにただよふ。

お儒者 儒学者 江戸時代の林羅山

お儒者のような李(すもも)の木

桃李満天下→李は孔子の弟子つまり儒者のことであり、その弟子が全国どこにでもいるの意味。

李下に冠を正さず→儒教の理想とする人格者が君子であり、すももを盗んでいると疑いをかけられないように万事注意しなければならないの意。

桃三李四柿八年

薫り(かおり) 香り→具体的ないい香り  薫り→抽象的比喩的な薫り→ロマンの薫り 

薫風→初夏の若葉、青葉の薫り漂うそよ風 薫陶→「松尾先生から薫陶を受ける」→人徳や品格のある人からいい影響を受け、人格が磨き上げられること。 

馨る→遠くまでいい匂いが広がる、良い結果

到了春天,长得像学问人一样的大门前种着的桃树开的花朵像云彩,青白的花朵被耀眼的太阳一照,就会散发出好闻的香气,飘散在四周。


近処の子供たちはみんなその蔭へよつてきていろんな遊びをする。彼らの声がきこえると伯母さんは私をつれていつてみんなに耳うちをして帰つてゆく。

耳打ち→相手の耳に口を寄せて囁くこと=耳擦(こす)り

附近的小孩们都在那桃树的树荫下聚拢来玩各种各样的游戏。听到他们的声音,阿姨就会带我去,对他们轻声耳语一下就兀自回去了。

彼らはみんな三つ四つ年うへだつたが子煩悩な伯母さんになついて □ちやんとこのをばさん □ちやんとこのをばさん といふやうになり、自然私をかばつてよく遊んでくれ、子供らしい世話もやいてくれた。

子煩悩→子供を非常にかわいがること

なついて→懐(なつ)く→慣れ親しむ、慕う。

他们虽然都是些比我大三四岁的孩子,却因为阿姨的疼爱而熟识,叫着“小堪家的阿姨”,“小堪家的阿姨”,自然带着我一起玩,也很疼我。

をかしなことに彼らは私よりずつと大きいくせになにをやつてもぢきに負かされてしまふ。鬼ごつこをすれば誰も私をつかまへ得ないし、独楽《こま》をまはせば誰のも不思議にあたらない。

独楽(こま)→なんらかの塊を軸で回す遊び道具

独楽、高麗、狛犬の狛 → こま

奇怪的是,明明比我年长,他们却玩什么都输给我。捉迷藏时谁都找不着我,转陀螺时谁也碰不到,真是不可思议。


そしてなにがなんだかわからずにこちらが勝つてしまふ。家へ帰つて鼻を高くして話すとみんなは「えらいえらい」といつてほめた。

鼻を高くして → 得意になって、誇(ほこ)らしげに

于是我就稀里糊涂地赢了。回到家得意的说起这件事,大家都“真棒,了不起”的直夸我。


このぼんやりが自分の味噌つかすにされてるのに気がつくのは容易なことではなかつた。

味噌(みそ)っかす→役に立たないもののたとえ

→子どもの遊び仲間にも入れてもらえないような小さい子ども。

像这样稀里糊涂地被人家让了,却并不会轻易地发现。


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