われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎

91 中勘助 银汤匙 18(前編30④)


Listen Later

オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨



ラジオ収録20211116

中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国の小学校教諭)

読解者・朗読   松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)

読解者      福留邦浩(国際関係学者)楠元純一郎(法学者)

中国語朗読    刘耀鸿 聴講 张晓良 ANYU 張智航


 お国さんのお父様《とうさま》は骨格の逞しい怖い人でお役のため留守がちだつたが、たまに家のときはいちんち二階に閉ぢこもつてなにか書きものをしてゐた。さうしてすこしやかましくするとぢきに叱られるのでこちらもお父様のゐる日には遊びに行かなかつたし、むかふも家に小さくなつてゐた。

<逞しい(たくましい)→身体が丈夫で強そうな様 留守がち→不在の傾向 ぢきに→直ぐに 家に小さくなっていた→家でおとなしくしていた?>

阿国的父亲是体格庞大的可怕的人,因为工作经常不在家,偶尔在家也成天把自己关在二楼写着什么。要是我们稍微吵闹了一些马上就会挨骂,所以阿国父亲在的日子里我就不去玩,她也安静地呆在家里。


どうかしてそれを知らずにいつて

「お国さん、お遊びなさいな」

とよぶとお国さんは玄関の障子を細めにあけ拇指《おやゆび》を鼻のさきへだしてさも怖さうに手をふつてみせる。

要是我不知道阿国爸爸在,说“阿国,我们一起玩吧”,阿国就会把玄关的门帘打开了一条缝,用大拇指伸在鼻尖上,露出可怕的表情,向我摆摆手。


 桃のお節句にお国さんのとこへよばれたことがあつた。日あたりのいいお座敷の正面に高く雛段をこしらへて立派なお雛様がかざつてあつた。家のは目にはひりさうな小さいのだのにお国さんのはその五つがけもある。お雛様は生きてるものとばかり思つてた私は体がすくむやうな気がしていくつもつづけざまにお辞儀をしたらみんながどつと笑つた。

<桃の節句→もものせっく→3月3日 雛壇(ひなだん) お雛様(おひなさま)

体がすくむ→恐怖のあまり、体が動かなくなること つづけざまに→連続して

お辞儀(おじぎ)→腰を折り曲げて、相手に挨拶をしたり感謝、敬意を表したりする動作>

女儿节,我被招呼去阿国家。阳面的房子正面摆着一架高高的雏段,上面装饰着非常漂亮的娃娃。我家的雏段小到一眼就能望到头,阿国家的有我的五倍那么大。我还以为那娃娃是活人,恭恭敬敬地缩着身子,向雏段连着鞠了几个躬,大家都笑了。

<その五つがけ→five shelves?参考文献 Hiroaki Sato, Translation in English, "The Silver Spoon", Stone Bridge Press, 2015, at 75.>


...more
View all episodesView all episodes
Download on the App Store

われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎By Leo_楠元纯一郎


More shows like われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎

View all
Japanese with Shun by Shunsuke Otani

Japanese with Shun

143 Listeners

岩中花述 by GIADA | JustPod

岩中花述

210 Listeners

はじめての日本語能力試験 N1 単語3000 by アスク出版

はじめての日本語能力試験 N1 単語3000

0 Listeners

安住紳一郎の日曜天国 by TBS RADIO

安住紳一郎の日曜天国

168 Listeners

となりの雑談 by TBS RADIO

となりの雑談

40 Listeners