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BOOK 沼 RADIO episodes

  • #68『本なら売るほど』(児島 青 著)

    今回は、オカの選書。

    漫画『本なら売るほど』を取り上げます。

    「本をテーマにした漫画」といえば、名著の素晴らしさを語り合ったり、読書の崇高さや楽しさをキラキラと描いたりするものが一般的。しかし本作は、古書店を舞台に「本を手放す人々」や、必ずしも本を読み通せない人々の姿を描き、本と人との関わりが決して綺麗な側面だけではないというリアリティを肯定してくれています。

    そこで今回は「読書への罪悪感」をキーワードに、3つのトピックを中心にお話ししました。

    まず、本を読まない「本好き」の存在について。内容よりも本の情報や流通が好きだったり、買って満足してしまう「積読派」や、読んでいて寝落ちしてしまう人など、完璧な読書家ではない人々の心情を肯定する視点について。

    次に、読書につきまとう「高尚さ」の呪縛について。本は綺麗に扱わねばならない、最後まで読まねばならないというプレッシャーと、そこから解放されて自由に(書き込みをしたり、途中でやめたり)本と付き合うことの豊かさ。

    最後に、本のある空間の居心地の良さについて。コンの祖父の書斎の原体験や、カフカが感じる書店の安心感など、読む行為そのものよりも「本に囲まれる」こと自体が持つ、癒やしの効果です。

    この回では、「積読」に引け目を感じていたオカが本作に救われたエピソードや、アスリート時代のカフカが「読めない時期」に感じた葛藤、そして図書館や書店に見える「人の生活」を愛するコンの感性を交えて議論します。

    特に、「読書はオン(頑張る時)にするものか、オフ(休む時)にするものか」という問いや、本を崇高なものとして扱いすぎない「生活に溶け込んだ読書」のあり方について語り合います。

    最終的に、私たちは「知識を得るための読書ではなく、ただその時間を味わうための読書とは何か」という、本との幸福な距離感を問う議論に立ち返ります。

    32 min
  • #67 『戦略的暇』(森下彰大著)

    今回は、カフカの選書。

    森下彰大さんの著書『戦略的暇 人生を変える新しい休み方』を取り上げます。

    スマホの登場以来、私たちは常に何かに接続し、隙間時間を埋めることに躍起になっている。

    しかし本書は、デジタルデバイスへの「依存」から「共存」へとシフトし、意識的に「暇」を作り出すことこそが、脳のパフォーマンスを高め、人生を豊かにすると説いています。

    今回は「良質な暇」をキーワードに、3つのトピックを中心に展開しました。

    第一に、「良質な暇」と「悪質な暇」の違い。単なるうさ晴らしやSNSによるドーパミン消費(悪質)ではなく、軽い運動や瞑想、創作活動など、脳のデフォルト・モード・ネットワークを整える活動(良質)の重要性について。

    第二に、現代を覆う「ナウイズム(今至上主義)」の弊害。SNSのタイムラインや即時的な成果に追われ、過去に学び未来を構想する「長い時間軸」での思考が失われている現状への警鐘。

    第三に、反射から内省への転換。情報は「反射」的に消費させるように設計されています。そこから距離を置き、五感や身体感覚(内受容感覚)に耳を澄ませる時間の必要性を話しています。

    最終的に、私たちは「空白の時間を恐れず、いかにして自分自身との対話を取り戻すか」という、デジタル社会におけるウェルビーイングの問いに立ち返ります。

    37 min
  • #66『思春期センサー 子どもの感度、大人の感度』(岩宮恵子著)

    今回は、conの選書。

    岩宮恵子さんの著書『思春期センサー 子どもの感度・大人の感度』(岩波書店)を取り上げます。

    大人にとって、かつての自分の記憶を頼りに語ってしまいがちな「思春期」。しかし本書は、時代や環境の変化に伴い、現代の思春期の子どもたちが感じている世界は、大人の想像とは大きく異なることを示唆しています。

    「思春期センサー」という独特な感性をキーワードに、現代の思春期を取り巻く環境の変化として、主に3つのトピックが挙がりました。

    ・SNSの普及により「逃げ場がない」状況が生まれていること。

    ・「いつメン(いつものメンバー)」という独特な人間関係の在り方。

    ・自分の感情や状況を説明するための「言葉」をまだ持たない子どもたちと、自身の経験則で「分かった気になってしまう」大人との間にある決定的なズレ。


    今回は、これから思春期の子どもに向き合うことになるconの実感と、自身の高校時代を振り返りながら「センサー」の働きを議論します。

    「悪いことだと分かっていないのではなく、断るための言葉を持っていないだけ」という視点や、大人が自身の過去の経験をそのまま当てはめることの危うさについて深く語り合います。

    最終的に、私たちは「大人になる過程で弱まっていく『センサー』の存在を認め、いかにして『分かった気にならず』に他者の痛みを想像するか」という、世代を超えた対話の問いに立ち返ります。

    39 min
  • #65 『人生にコンセプトを』(澤田智洋著)

    今回は、オカの選書。 澤田智洋さんの著書『人生にコンセプトを』(ちくまプリマー新書)を取り上げます。

    一般的に「コンセプト」といえば、ビジネスにおいて競合と差別化し、市場でポジションを獲得するための「戦略」を指す言葉として使われます。

    しかし本書は、そうした「勝つための戦略」ではなく、社会から「浮いてしまっている」状態を肯定し、その違和感に名前を与えることで自分を支えるための「コンセプト」の重要性を説いています。

    著者の澤田さんは、自身の「運動音痴」という弱さを逆手に取り、誰もが楽しめる「ゆるスポーツ」を生み出した経験などを背景に、コンセプトを持つことの意義を語ります。

    本書によると、夢は「目的地」であり、コンセプトは武士道や茶道のような「道(スタンス)」。

    子育てなどを経て、ポジティブな生き方が難しいと感じているオカの個人的な葛藤と、モヤモヤから始める本書のアプローチを重ね合わせながら議論を展開します。

    特に、社会的に評価される「A面(表題曲)」のような自分だけでなく、悩みや弱さを含んだ「B面(カップリング曲)」のような自分こそが、その人のアイデンティティや深みを作るという「人生のB面」論について語り合います。

    最終的に、私たちは「解決できない悩みや弱さを否定せず、いかにして人生の味わい深さに変えていくか」という、成熟した生き方の問いに立ち返ります。

    38 min
  • #64 『物欲なき世界』(菅付雅信著)

    今回は、カフカの選書。

    2015年に初版が刊行された『物欲なき世界』を取り上げます。 かつての日本では、良い家、良い車、ブランド品といった「物」を持つことが豊かさの象徴でした。

    しかし本書は、物を持つことが幸せの条件ではない社会の構造を描き出し、若者を中心にもはや物を所有することが幸せの条件ではない社会が到来しつつあることを予言しています。

    社会構造の変化の背景として、著者の菅付さんは主に3つの理由を挙げています。

    第一に、情報が多すぎることによりブランド品のような分かりやすいステータスの価値が相対的に下がったこと。第二に、SNSやゲームなど、お金をほとんど使わずに満足できる別の快楽が増えたこと。そして第三に、物よりも物語、体験、関係性(例:推し活やオンラインコミュニティ)といった、別のものに人々が価値を見い出すようになったこと。

    これは、現代社会が「定常型社会」(脱成長に近い)にあり、成長に代わる価値や目的を見つける必要性を示唆しています。

    この回では、資本主義の中で働きながらも「それでいいのか」という問いを持つカフカの個人的な葛藤と、脱資本主義の理想像として描かれたポートランドが現実には困難な状況にあるという考察を対比させながら、「物欲なき世界」の実現が資本主義との共存という点でいかに難しいかという問題を深く議論します。

    最終的に、私たちは「時間とお金とリソースを何に投資すれば幸せになれるのか」という、極めて抽象的で普遍的な問いに立ち返ります。

    38 min
  • #63 『ケアしケアされ、生きていく』(竹端寛著)

    今回は、conの選書。

    2023年に出版された『ケアしケアされ、生きていく』(著者:竹端寛)を取り上げます。
    「ケア」と聞くと、あなたは誰かが“する側”あるいは“される側”という、一方向の関係を想像しがちかもしれません。

    たしかに、物理的なケアや心のケアというイメージがしっくりきやすい。
    しかし本書で竹端さんが深く掘り下げるのは、ケアが「する/される」の二極で完結するのではなく、むしろ互いに入り混じりながら交互に行き来する関係性である、という視点です。
    社会福祉学者であり大学教員である竹端さんは、自身の子育て経験を通じて、「仕事に全力を注ぎ続けられない状況」や「自分がケアされる側になる経験」をまざまざと感じ、その体験をもとにケアの概念を問い直します。

    この回では、「なぜ現代社会では“迷惑をかけてはいけない”という意識が強くなりがちなのか」「ケアを提供すること・受け取ることのどちらにも難しさが生まれるのはなぜか」という問題を、3人のリアルな経験や社会の構造の観点から議論します。

    41 min
  • #62 『イノセント・デイズ』(早見和真著)

    今回はゲストのいっちーさんの選書。


    ・死刑囚となった女性をその周りの人々の視点から描いたミステリー小説。

    ・イノセント、無垢すぎた主人公は他者の悪意に気づかなかった。

    ・見えてるものをそのまま信じていないか?人は見たいものしか見ない。

    ・相手の受け取り方が怖くなる。

    ・言葉に繊細か、ことばに繊細か。

    ・言わなきゃよかった、と思うか思わないか。

    ・おしゃべりマシーンはやめられない。

    ・いらんことを言ってしまう、その根源的な欲求とは?

    ・ロッキード事件を調査した結果、結局、「空気」がそうさせた。

    ・一周回ってケアが大事?

    33 min
  • #61『つながりのことば学』(齋藤陽道著)

    今回はオカの選書。


    ・先天的な難聴をもつ写真家の著者

    ・「ことば」と「言葉」の意味とは

    ・「言葉」の限界を知った

    ・行間からこぼれ落ちるもの

    ・ビジネスとしての良い言葉

    ・ダウン症の友達とのコミュニケーション

    ・ミラーニューロンとことば

    ・なぜか外国人に話しかけられる、いっちーさん

    ・ことばを大事にすれば、言葉には執着しない

    ・ことばを扱うセンス、得意・不得意

    ・「言葉」以外に「ことば」の世界がある

    31 min
  • #59 『ぼっちのままで居場所を見つける 孤独許容社会へ』(河野真太郎著)

    今回はconの選書。


    ・孤独と孤立の違いとは

    ・孤独なのにソウルメイトが必要?

    ・孤独になるのは難しい

    ・理解はできなくても“話せる”という相手=ソウルメイト?

    ・スマホ時代に繋がっているのに寂しい。でもそれは孤独ではない?

    ・経済的安定性と孤独について

    ・衛生要因と孤独。

    29 min

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「BOOK 沼 RADIO」は、オカ・コン・カフカの3人が、毎回、1冊の書籍を取り上げ、そこから生まれた問いに対して、具体と抽象を行き来しながら、答えを出そうとする。そんな対話番組です。3人で思考の沼を楽しんでいきます。