今回の内容について
前回は、海外のフリーランスマーケットプレイスFiverrのIPOニュースを元ネタに、企業側がフリーランスを活用できない理由などについて扱いました。
今回は逆の目線で、フリーランス側から見るマッチングしない問題点についてお伝えできればと思います。
私自身最初は顔出さないフリーランス、その後、顔出し個人事業主、法人化と進んでいきました。
また、コンサル中の企業様から、フリーランスってどうでしょうかという相談を受けることもしばしばです。
それをもとに、お伝えします。
詳しくはPodcastをお聞き下さい。
エピソード詳細
前回、フリーランスの使い方がうまくないよという点について、中小企業をコンサルティングしている立場として会社側の問題点を中心にお送りしました。
けっこうこれが普段よりも視聴数が多かったりしたので、このあたりは、興味のある方も多いのかなと思います。
今回は逆に、フリーランス側としては、一体どういうふうにやっていけばこれからうまくいくのかなというところについて、中小企業の経営者や担当者の方々と一緒にお仕事をしている立場から、現場の意見を伝えていきます。
フリーランスの活用は中小企業の視野にも入っているが・・
まず第一に、フリーの方が、中小企業の方々からどういう風に見られているか。まず、使いたいという企業さんは結構多いです。
相談されるときに、「フリーの方で、上手く柔軟性を持ってやってくれる方っていたりしないですかね」という話は結構あります。それに対して紹介することもあれば、「ちょっと難しいですよ」というようなケースもあったりします。
なので、充分、視野に入っていることは、是非押さえておいていただきたいです。
ただ、どういう選ばれ方をしているかと言うと、本来フリーの方が押し出したい、「自分の得意なところについてピンポイントにお助けできる」とか、「柔軟性を持っていろんなことができる」とか、そういうことよりもやっぱり、「安くお願いできるんじゃないか」というところが第一要因になっちゃっているっていうのが現状です。
これはお互いにとって、得ではない状態だと思っています。
このあたりをどう調整していくかなっていうところが、お互い、会社側の方としてもフリーの方としても、大きな課題です。
見ず知らずの「個人」に仕事を頼むことへの抵抗感
自分のよく知らない人に頼むっていう習慣がない
なんでそういう風に思われてしまうかについて、いろいろ考えたり、伺ったりすると、やっぱり日本として、まだまだビジネスや仕事の依頼先について、自分のよく知らない人に頼むっていう習慣がないんですね。
「日本」とくくっちゃっていいのかわかんないですけれども、少なくとも私がお付き合いしているさまざまな企業さんの頭の中を考えると、そうなります。
習慣がないというか、それに対してどうしても二の足を踏んでしまう、怖いっていうところがあるんですね。
素性がはっきりしていて、コミュニケーションがとれるのが最低ライン
少なくとも日本の企業さんの中では、それなりにきちんと素性がはっきりしていて、コミュニケーションがとれて、基本的には顔を合わせたり話したりすることがあって、この人と一緒に仕事してもいいかなぁとならないと難しい。
基本的には、机を並べて同じ場所で仕事をするっていう形態が一番いいし、そうでなくても、何かそれに近いような形であればいいよね、という大前提があるんですね。
フリーの方でお仕事を自然にもらっている方もいれば、うちから紹介するケースもあれば、私が紹介していただくケースもありますが、ほとんどが、そういう紹介経由です。
あるいはすでにパブリシティをもある程度持っているというか有名だったりして、こういう客観的条件が揃っているんだったらお願いしてもいいだろうっていうケースもあります。
こういう方々は自然にフリーランスという形でうまく仕事が入っていて、回っているっていうケースが多いです。
要件定義と検収が難しい状況だと、依頼自体が困難
あとは、前回お話しをした部分ですけども、企業として、フリーを使えないっていう最も問題な点は、受発注ができないというところなんですね。
まず自分たちが求めている要件をきちんと自分たちで定義できない。そしてそれに対して作られた納品物に対して検収ができないんです。
自分たちがほしいものが、本当に手に入っているのかというチェックができない。
プログラム系は受発注が比較的分かりやすい
例えばフリーランスでうまくいっているとよく聞くプログラム系は、この辺がわかりやすいんですよね。
発注元も、そこそこITスキルがある会社さんが多いので、要件定義書をちゃんと作ったり、それからできたものに対してのチェックもできるケースが多いです。
なので、フリーの方々にうまく仕事を回せているケースが多いんじゃないかなと思っています。
デザインなど感覚が絡むものは受発注の難易度が高い
それに対して、例えばデザインやイラストレーション、感性的な要素が強い職種、あるいはマーケターさんや、何らかの販促を手伝う、そういう感性的な部分や、ある程度長いスパンでの成果の見極めが発生するケースでは、企業側の受発注がうまくできないというところがあります。
そのため、なかなか依頼ができないんですね。
そして発注する側としても、会社さんだったらこの辺うまくやってくれるんじゃないかなとか、仕組みがあるんじゃないかなとか、ホームページ見るといろいろ書いてあるから、これだったら稟議に回せるなとか、そういうところがあって、「やっぱり会社さんを選びますかね」となります。
まだまだ「いわゆるフリーランスのイメージ」の働き方は難しい
今フリーになりたい方が求める姿、つまり自宅や好きな場所であまり自分の素性を明らかにせずに、柔軟性を持って仕事を受注して自分のスタイルを築き上げるという形は、この国ではなかなか成立しづらいというのが正直なところです。
自分の仕事をパッケージ化できる職種であり、きちんと営業活動や情報発信をして、マッチングサイトに依存せず信頼性の出るHPを担保するなどしないと、日本では難しいでしょう。大企業も同じだとは思います。私がフリーだった時代も、誰かからの紹介が多かったです。
それでは今後フリーランスはどうなっていくかというと、二極化していくと思います。
「フリーランス」で括るのは無理
そもそも「フリーランス」という言葉が害悪というか、非常にミスリーディングが起こる言葉だと思います。
個人事業主としてきちんと商売をしている方々と、いわゆるお小遣い稼ぎの延長線上でやってしまっているケースとが明確に別れているからです。
フリーランスという言葉は、この両方を含んでしまっているのが問題です。人によっては個人事業主でガチでやっている方をイメージする場合もあれば、お小遣い稼ぎ程度でそれなりのものを納品するというイメージの場合もあると思います。
このあたりの認識がズレがちなので、フリーランスという言葉自体あまり使いたくないですね。きちんとビジネスでやっているならそういう見せ方をしたほうがいいですし、あとはひとり法人を立ち上げてしまったほうが遥かに良いでしょう。
法人化・顕名化のメリット
発注元の印象が大きく変わってくる
法人に関しては、よく税金の面でいくら以上は法人化したほうが良いという観点で語られることが多いのですが、実はそれ以上に発注元の印象が大きく変わってくるというメリットが大きいです。
会社をきちんと作ってしまえばフリーランスという言葉から一気に抜けることができるので、絶対にそちらのほうが良いでしょう。
きちんと個人事業としてやろうという方は法人化して、マッチングサイトに頼らず自分の顔と名前と屋号を出してHPを作り、そこで情報をきちんと出していくべきでしょう。HPを持っているという方はいるのですが、名前を出していない、自宅だから事務所の住所を書いていないというケースが多いです。
人間関係を構築していく必要
レンタルオフィスを借りて住所をしっかりと出して、企業さんが取引先として安心できる形を整備していかなくてはいけません。どうしてもいろいろな事情で名前等を出せないという場合は、間に入ってくれる人を探してその座組に加わらせてもらうとか、要は人間関係を構築していく必要があります。あとはチームを組むサービスに入るという手もあります。