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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
早速今回のテーマですが、「検索数の多い話題を追ってコンテンツを作る」というトラディショナルなSEOにおける戦術。コンテンツSEOのためのキーワード調査。それは意義のあるものではありますが、今も時代、それだけでは、お客さんが本当に知りたいことに応えきれなくなっていると感じます。
お客さんが何に困っていて、自分たちはどんな経験や知見を提供できるのか。そこをきちんと発信する重要性が、これからますます高まるのではないか、そしてGoogleが新しく始めたUGCの制度がそれを裏付けていると感じました。
「お客さんの声に応えましょう」という話自体は、私もよくします。ただ、そう言われても何をすればいいのか分からない、費用対効果を社内で説明しにくい、という難しさがありますよね。
というわけで、今回は、
Googleの新しい取り組みを手がかりに、中小企業が顧客理解と情報発信をどう進めるか
を考えていきます。ぜひ最後までお聞きください。
Googleは2026年10月8日、UGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)の最新データを扱う「UGC Fresh Data Program」を検索セントラルで案内しました。
掲示板やSNS(Social Networking Service)など、大量のユーザー投稿を扱うプラットフォームから、投稿とその反応を専用の経路で受け取る仕組みです。
参照:Google検索セントラル「ドキュメントの更新」/「UGC最新データプログラム」
ちなみに、一般的な企業サイトが「うちにも投稿が少しあるから使おう」と、すぐに利用できるものではありません。
対象は一定の規模と要件を満たすUGCプラットフォームで、申請と審査があります。通常のクロールやIndexing API(Application Programming Interface)とは別の経路であり、一般企業向けの新しい登録手段が増えた、という話ではない点は注意です。とりあえず登録しておくか!というものではないです。
参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」対象と要件
私が注目したのは、新しい投稿を送る速さと、投稿直後の反応の変化を送ることをGoogleが条件としている点です。それふくめ、主な要件を整理すると、次のようになります。
参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」データの鮮度・技術要件・申請
投稿の内容だけでなく、初動の反応も継続して知らせてほしい、ということです。
ちなみに「いいねや返信が多ければ検索で有利になる」とは書かれていません。あくまで、データをスムーズにやり取りするための仕組みとして案内されています。
参照:Google検索セントラル「UGC最新データプログラム」
では、なぜこの話を取り上げるのか。Podcastを聴いている方の多くは、大規模な掲示板やSNSを運営しているわけではないと思います。私が考えたいのは、Googleがわざわざ投稿直後の情報と短期的な反応を受け取る仕組みを作った理由です。
一つは、今話題になっていることや、これから話題になりそうなことを、できるだけ早く把握したいのではないかということ。
今、人が知りたいことに対して、情報の入り口を早く用意する。Googleには、そういうニーズがあるのだろうと私は見ています。
もう一つは、私の憶測ですが、人間が何に反応し、そのあと何を知りたくなるのかを、もっと詳しく理解したいのではないかということです。新しい情報を増やすだけなら、継続的に投稿データを集めればよさそうです。それに加えて、投稿から72時間以内の反応を求めている点が気になります。
もちろん、この要件だけでGoogleの内部の狙いまで断定はできません。ただ、こうした動きから、企業がこれから力を入れるべきことも見えてくるのではないでしょうか。私が重要だと考えるのは、目の前のお客さんがどう考え、次に何を知りたがるのかを理解することです。
どの業界でも、最初の疑問が解消されたあとに出てくる質問には、ある程度の共通点がありますよね。その流れを知り、内容やページのつながりを作っていく。顧客理解を深めることは、Googleが進もうとしている方向とも合うのではないかと思います。
ちなみに今回、Googleが突然こうした方向へ進み始めたわけでもありません。情報の新しさ、いわゆるフレッシュネスについては、2011年の公式記事でも説明されています。その時点で、話題によっては1週間や1か月前ではなく、数分前の情報が求められるとされていました。
参照:Google公式ブログ「Giving you fresher, more recent search results」
Redditとの関係も以前からあります。Googleは2024年、RedditのデータAPIを通じて、リアルタイムの構造化されたコンテンツを取得する提携の拡大を発表しています。ユーザーの投稿を、より新しい状態で把握する取り組みはすでに続いていたわけです。
参照:Google「An expanded partnership with Reddit」
AI(Artificial Intelligence:人工知能)検索のクエリファンアウトも、関連する複数の検索を行って回答を組み立てる仕組みです。私はこの動きを、人間が一つの情報から、関連するいくつものことを考える流れに対応しようとしているのではないか、と捉えています。
参照:Google検索セントラル「AI機能とウェブサイト」クエリファンアウトの説明
E-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)でも、実体験や深い知識が重視されています。その人が実際に経験したからこそ分かることには、まとめ記事だけでは伝わらない情報があります。
参照:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
2025年のGoogle公式ブログでも、利用者がフォーラム、動画、音声配信、個人の投稿などを通じて、一次情報や当事者の視点を探していると説明されています。詳細なレビューや独自の考察などを持つサイトには、トラフィックが増える傾向がある、というGoogleの説明です。利用者が当事者の経験を求めている、という見方は以前から示されていました。
参照:Google Japan Blog「検索におけるAI:クエリ数が増加しクリックの質が向上」
こうした流れを合わせると、私には「今知りたいこと」「次に考えること」「当事者にしか語れないこと」への関心が深まっているように見えます。Googleが内部でどう利用するかまでは分かりませんが、企業の情報発信を考えるうえでも押さえておきたい動きです。
中小企業が何をするかは、事業と使える人手によって変わります。余力があるなら、今話題になっているテーマのうち、自社に関係するものへ情報を出す体制を考えたいですね。話題を見つけ、記事や投稿を作り、社内で確認して公開する。そこまで進められるか、という話です。
例えば、豪雨や水害の話題です。被害を受けている方は本当に大変だと思います。住宅、不動産、保険の仕事なら、専門家として役立つ情報を出せる場面があります。
AI検索の話題も、技術系の会社だけが触れられるものではありません。住宅の仕事なら、住まいについてAIに相談するときに、どんな前提や写真、確認事項を伝えるとよいのかを説明できます。同じ話題でも、自社の仕事ならではの切り口があるんですね。
今回の72時間という短さを見ると、情報を拾ってもらうまでの時間も考えて、例えば半分の36時間ほどで発信できる体制があれば、と私は考えました。
※これは私の運用上のイメージで、Googleが企業の投稿に設けた期限ではありません。早く出すことにはリスクもあるので、一概に全社でやりましょうとは言えませんが、可能なら検討したいところです。
もう一つ、長い目で進めたいのが顧客理解です。目の前のお客さんの反応や、話の流れ、次に知りたいことを、自社のデータとして貯めていく。それを情報の出し方に生かしていくことが大切だと思います。
こうした知見は営業や担当者の頭の中には結構あるんですよね。でも、データになっていないので、Webサイトへ生かそうとすると、またみんなに聞いて回る必要があります。「暇なときに集めましょう」では、1年たっても終わらないか、企画自体が止まってしまう。だから、中期的な仕事として進めたいんです。
お客さんが次に知りたがることが分かれば、関連するページへ内部リンクを付けることにも使えます。チャットボットで答えるための知見にもなるでしょう。担当者一人の頭の中にあるものを、みんなで共有して育てられる状態にすることが大事です。
データを貯めると言うと重く聞こえるかもしれません。私としては、Googleフォームに日々の出来事を入れていくくらいでいいと思っています。スプレッドシートと連携させ、いくつか選んだら、あとは自由に書いてもらう。面倒だと、全然進まないですからね。
専用システムへ入って、たくさんの選択肢にチェックして、ようやく記録できるような仕組みだと重くなります。自由記入欄も今ならAIを使って整理や分析をしやすくなりました。何を書いてほしいかのひな型を用意して、簡単に残せるようにするのがよいと思います。
例えば、1日10件が365日集まれば3,650件です。実際には営業日数によって変わりますが、毎日の小さな記録でも、続ければまとまった数の顧客の声になる。それだけ集まれば、何か気づけることがあるはずだ、というのが私の感覚です。
商談や接客の中では、問い合わせに至るまでに、何を調べ、何を見て決めたのかを自然に聞けるといいですね。
これからは「AIに聞いたら、この会社だと答えたので電話しました」という方も増えてくると思います。それでも、最後に行動するのは人間で、そこには何かしらの判断があるはずです。何をもとに判断したのかを詳しく聞くことには意味があります。
他社で集めたデータをもとに商談率を改善する、といったサービスの話を聞くこともあります。ただ、客層や地域が少し変わるだけで、お客さんが考えることは変わります。やっぱり、自分たちのお客さんの情報は自分たちで貯めた方がいいと思うんです。
どれだけ費用を削っても、売上が上がらなければどうしようもありません。営業やマーケティングに関わる大事な部分だからこそ、自分たちで顧客を理解し、その情報を使う手綱を握っておきたいですね。
ただし、顧客理解は短期的な成果を期待して進めるものではありません。単独の企画にすると、周りから「それ、本当に意味があるの?」と言われがちです。現場の進め方としては、ほかの仕事と組み合わせながら、中期的に続けるのがよいのではないでしょうか。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第609回:GoogleUGC新制度から見える「今Googleが欲しいもの」とは? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
Google Discoverという名前は知っていても、普段は使っていない方もいると思います。私も、実はほとんど使っていません。ところが、Google Discoverに関する求人情報を見ていくと、GoogleのAIを検索画面だけで考えていては、見落とすことが増えそうだと感じました。
今回は、Google Discoverがどう変わりそうなのかを手掛かりに、Googleを通じてお客さんとどうつながっていくかを追いかけていきます。
もちろん、求人に書かれた構想と、すでに使える機能は分けて見ていく必要があります。確定した仕様の紹介ではありません。ただ、今のうちに何へ目を向けておくかを考える材料になります。Googleがどこに行こうとしているのかを早く知ることは重要です。
Discoverは、Googleアプリなどで、興味に合いそうな記事や情報が並ぶ場所です。自分から検索語を入れなくても情報を受け取れます。名前を知らないまま、普段から使っている方もいるかもしれません。情報を届け、記事を読んでもらいたい媒体にとっては、大きな接点になっています。
参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」
これまでのDiscoverは、ネット上のさまざまな記事から、その人に合いそうなものを推薦する場所という印象でした。普段から旅行に関心があれば旅行の記事が多めに出る、といった形です。
興味に合う情報を並べるところから、さらに先へ進もうとしているのではないか。そう考えるきっかけになったのが、今回の求人です。
海外のSEO系ニュースサイト、Search Engine Journalが2026年10月11日に紹介した記事で、Googleの求人を知りました。対象は、DiscoverのUX(User Experience:ユーザー体験)を担当する「Principal, UX, Search Discover」という求人です。これからDiscoverをどう変えていきたいかが、職務の説明に表れています。
参照:Search Engine JournalのDiscover求人紹介記事/Google Careers「Principal, UX, Search Discover」
求人には「proactive, hyper-personalized concierge」という表現がありました。ざっくり言えば、先回りして、一人ひとりに合わせて案内する体験です。
さらに「from inspiration to action」と、関心を持つところから行動へ進める方向も書かれています。ただ記事を薦めるだけでなく、その人が目標に向かって進む手助けをする、ということですね。
参照:Google Careers「Principal, UX, Search Discover」の職務内容
こうしたサービスを横断してつなぐなら、ニュースを読むだけで終わる話ではなさそうです。何かを買う、予約する、動画を見るといった行動へ、Discoverからつないでいく。ほかのGoogleのサービスも使いながら、行動を案内する方向なのではないかというのが、私の見方です。
ただ、今あるのは求人情報です。何を、いつ、どんな形で提供するかまでは書かれていません。この方向性は読み取れても、具体的な機能や提供時期まで決まったとは言えません。そこを飛び越えて、「Discoverはこうなる」と断定することはできないんですね。
ここまで聞くと、「でも、Discoverってそんなに使っていないよね」と思う方もいるでしょう。私も最初は、小さな変更の一つなのかなと思いました。そこで利用状況を調べたところ、Googleの別の求人には、Discoverには1日あたり5億人を超えるアクティブユーザーがいると書かれていました。求人上でのGoogleの説明ですが、かなり大きな規模です。
参照:Google Careers「Senior Product Data Scientist, Discover Experience」
Reuters Instituteの「Digital News Report 2025」は、48市場、約10万人を対象にしたニュース利用調査です。Discoverを使った人の割合は、市場全体で27%と報告されています。これは調査の回答者についての数字で、Google利用者全員の27%という意味ではありません。ニュース流入全体の27%をDiscoverが占める、という数字でもありません。
参照:Reuters Institute「Digital News Report 2025」の主要結果
同じ報告では、Android端末の割合が高い中南米やアフリカでDiscoverの利用が多いとしています。ただ、端末に組み込まれているため、調査で正確に把握しにくいという留保もあります。利用する地域や端末の違いを含めて読む必要がありますね。
私がDiscoverをあまり見ないのは、普段iPhoneとMacを使っていることも関係していると思います。検索したいものをブラウザーのアドレスバーに入れるので、Googleのホーム画面を経由することがあまりありません。同じGoogle検索を使っていても、どこから入り、何を見るかは違うんですね。
Googleアプリから情報を見ている方なら、iPhoneでもDiscoverが目に入ることはあります。Androidでは、機種や設定によって、ホーム画面を横にスワイプして開く使い方もあります。自分の端末で見かけないことを、お客さんも使っていない根拠にはできません。
参照:Google検索ヘルプ「Discoverをカスタマイズする」
日本ではiPhoneを使う人も多いですよね。MMD研究所の2026年8月の調査では、主に使うスマートフォンの種類を把握している34,838人のうち、Androidが54.1%、iPhoneが45.6%でした。調査全体は18~79歳の男女4万人が対象です。調査全体の人数と、機種の割合を計算した対象人数は分けて読む必要があります。
参照:MMD研究所「2026年8月スマートフォンOSシェア調査」
iPhoneを使う人が多いことも、日本でDiscoverの話題をあまり見かけない理由の一つかもしれない、というのが私の見方です。ただ、機種の割合はDiscoverの利用率ではありません。自分の利用環境と、お客さんが情報に接する環境を分けて考えたいですね。
今回、Discoverの規模だけを見ているわけではありません。ほかの動きと合わせると、Googleがどこへ進もうとしているかが見えてきます。検索からAI検索への変化だけで、Google全体のAIの動きを捉えないことが、今回お伝えしたい点です。
AI Modeへいつ切り替わるか、AI Overviewsに自社が引用されるか。それを気にすることも必要です。ただ、Googleは検索画面だけをAIの接点にしようとしているわけではないと、私は考えています。Googleのさまざまなサービスの中に、自然にAIを入れていく。Discoverの構想も、その流れの一つとして見ると分かりやすいんですね。
検索では自社が出ているけれど、お客さんが使う別のGoogleのサービスでは全然出ていない。そういうことが起こりそうです。自分たちのお客さんが使うサービスで、必要なところに情報が出ているかまで、視野を広げていく必要があると思っています。
例えばGoogleマップには、Ask Mapsという、AIへ質問する機能があります。利用できる機能には、地域や言語などの条件があります。「この近くに静かなカフェはないか」「一人でも入りやすいレストランはないか」といった聞き方です。店名やキーワードを入れて探す使い方から、条件を伝えて相談する使い方もできるようになっています。
参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」/Google公式ブログ「Ask Mapsの提供地域拡大などの更新」(2026年8月6日)
Googleは、Ask Mapsが3億以上の場所の情報や、5億人以上の投稿者による口コミなどを使うと説明しています。店舗やサービスについての情報が、AIの提案にも関わってくるわけです。Googleマップの中でも、AIがお客さんとの間に入ってくるんですね。
参照:Google公式ブログ「Ask Maps and Immersive Navigation」
使ってみると、体験としてはすごく面白いです。これまでは「ランチ」と入れるか、「ラーメン」と入れるかを考え、営業中などの条件を付けていました。それが、相談する形で候補を出してもらえます。ただ、私が使った範囲では、回答の品質はまだまだだと感じることもあります。微妙な候補が出たり、普通に検索したときと並び方が違って、どちらを信じようかと迷ったりします。
私が使っているChromeでも、Geminiに相談する表示やサイドバーが目に入るようになっています。いかにも「これからAIを使います」と切り替えるというより、普段のサービスの中へ、自然にGeminiが入ってくる感覚です。こういう提供の仕方も、Googleの動きとして見ておきたいところです。
そのとき、どこへどんな情報を置くかが気になってきます。Googleビジネスプロフィールは、特にサービスの欄が適当だったり、まったく設定されていなかったりするケースもよくあります。自社が提供しているサービスを、利用者が分かる形で載せているか。検索画面の順位だけを見ていては、こうした情報の不足を見落とします。
参照:Googleビジネスプロフィールヘルプ「ビジネスプロフィールに表示されるサービスを管理する」
口コミにも、ガイドラインを踏まえた対応が必要です。例えば「何がどうだったか」を具体的に聞くことで、実際の体験が分かる内容になる場合があります。良かったことも、そうでなかったことも含めて、実際に使った人が何を感じたか分かる情報があるかを考えたいですね。
参照:Googleマップ「禁止または制限されているコンテンツ」
お客さんが情報に接する状況は、大きく二つあると思っています。検索語を入れて、意識して探しているとき。それから、一度考えたけれど後回しになり、いったん意識から外れているときです。お客さんが常に、何かを熱心に探しているとは限りません。
後回しにしたままでも、情報を受け取ったときに「そうだ、この件があった」「これはよさそうだ、ここにしよう」と動くことがあります。いわゆるパルス消費の話ですね。自分から探しているモードを前提にするだけでは、捉えきれない行動があると思っています。
→ 第513回:その常識もう通用しない?AIによるマーケティングファネルの変化
今は情報も多く、決めなければいけないことも多いので、いろいろな用事が水面下で残っている。何かいいものがあれば、と待っているような状態です。その人が思い出すタイミングで、自分たちの情報が出てくるか。Googleが用意するさまざまな接点を、広く見ていく意味はそこにもあると感じます。
AIで引用されることを目指すGEO(Generative Engine Optimization)やLLMO(Large Language Model Optimization)という言葉もあります。
ただ、AIの回答で引用されるかだけに視野を絞ると、ほかの接点を見落とすかもしれません。Google以外にも、ChatGPTやClaude、SNS(Social Networking Service)など、お客さんが使う場所はいろいろあります。
私たちはつい、「お客さんは自分の利益になるなら、喜んで情報を探し、比較検討してくれる」と考えがちです。こんなにちゃんと情報を載せたのに、なぜ読んでくれないのか。
欲しそうな情報をバナーに置いたのに、なぜ見てくれないのか。お客さんにとって、比較したり調べたりすること自体が楽しいとは限らないんですよね。
満足して、後悔せずに選べるなら、それが一番いい。わざわざ調べるのは、誰かに「ちゃんと調べたの?」と言われるから、という場合もあります。「こういうふうに調べました」と説明したい。
あるいは自分に対して「調べた結果だから仕方ない」と言えるようにしたい。調べる行動の裏には、納得したい、説明できるようにしたいという事情もあります。
企業間の取引でも、社内で話を通すことや、担当者の評価が関わってきます。「ベストなもの」より「これで通せるもの」を求められることもあります。私も、「それは分かるけれど、通しづらいからこういう流れにしないか」と言われることがあります。人は、商品の良さだけでなく、いろいろな事情の中で選んでいるんですね。このあたりの感覚は、まだAIが難しいところだとも思っています。
こういう話をすると、「では、もうSEOはいらないのか」となるかもしれません。それはSEOをどう定義するかにもよるので、簡単には言い切れません。ただ、いい商品やサービスを作っていれば、AIが自然に見つけてくれる、と考えるのは違います。
どんなに良いものでも、気付かれなければ伝わりません。ゴッホではありませんが、良いものを作ることと、その価値を知ってもらうことは別です。Googleを通じて、自分たちの価値をどう伝えるかは考え続ける必要があります。SEOという名前を付けるかどうかより、マーケティングや販売戦略として扱う話だと思っています。
AIが進んだから広報や情報発信が不要になる、というより、ちゃんと伝える必要は変わりません。その時代に、お客さんとの接点を持っている媒体やサービスへ出していく。商品やサービスの価値が伝わるように、その時代に合う伝え方を続けることが必要なんですね。
Googleは検索だけを提供している会社ではありません。マップ、ブラウザー、YouTube、ショッピングなどを通じて、人と情報、企業とお客さんをつないでいます。AI OverviewsやAI Modeの話だけに、Googleの動きを小さくまとめないようにしたいですね。
自分の会社には関係がなさそうなニュースでも、Google全体の方向と合わせると意味が変わってきます。Discoverの求人も、その一つです。自社のお客さんがどのサービスを使っているかを考えながら、Google全体の変化を見ていくことをお勧めします。
すべての場所へ、完璧に情報を出している会社など、そう多くはありません。一部の潤沢な企業を除けば、中小企業でできていないところがあるのは当たり前です。お客さんとの接点を広く見た上で、できることを一つずつ行っていく、という考え方でよいと思っています。
実務では、まだ固まったKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)がなく、手探りの部分もあります。「これはやっておいた方がいいと思うけれど、効果のほどは保証できません」とお伝えするものが増えてきました。どうお客さんに報告するか、私も悩みながら取り組んでいます。数字で説明しやすかったインターネットの世界が、また難しくなってきた感覚がありますね。
それでも、大前提は変わりません。お客さんの方を向いた商品やサービスがあり、その価値を表現する一次情報のコンテンツがある。そして、お客さんと接点を持っている媒体へ出していく。お客さんに価値を届けるという仕事は同じで、その間の方法が変わっていく。そこを、私たちも頑張っているところです。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第608回:Google Discoverの変化とGoogleのAI検索”以外”まで視野を広げることの必要性 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
AI対策(LLMOやGEOと呼ばれる)とSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)の話、どっちの優先度が高いのか、さらに言えばやる意義があるのかについては、SNSなどでも熱量の高い議論にもなりがちです。
これについては様々な観点もありますし、データで分からないことも多いため、簡単に決められることではないと考えています。
ただ、時々見る「どちらからサイトへ来る人が多いか」という観点での比較、具体的には
といったような、トラフィックベースで考えるのは、いろいろな麺で適切ではないと思っています。(そもそもアプリ経由が多いAIサイトのトラフィックを見てどうするんだというのもありますが)
本当に、Googleからの流入の方がずっと多い。それならSEOの勝ちで、AIはまだ気にしなくていいのでしょうか。私は、トラフィック量の大小だけで、購入や問い合わせへの貢献の優劣は決められないと考えています。
例えば分かりやすいところでは「AIで候補を絞ってから、Googleで検索してサイトへ来る人」もいます。と言うか今回のデータでもあげていますがかなり多い。
このアクセスは検索経由として記録されます。CVを生んだトラフィックは検索になります。
しかし、候補を選ぶ過程にはAIが関わっています。いわゆるマルチチャネルトラフィックです。
サイトへ来た経路と、来るまでに何が判断に影響したかは、分けて考える必要があるんですね。
実際これはWeb解析をしていれば常に考えることなのですが、AIが関わってくるとここが妙に捻じ曲げられて、いがち、と思います。悪く言えば「AIの価値を押し下げようとする」「”Googleを見ていればいい”というメッセージング」があると。
私自身はAIはChatGPT中心にずっとPROを使っていて、そして合わせて仕事としても個人としてもGoogleはAI Premiumプランを使いつつ、ということで、一応両方使っているつもりです。両方とも違う方向から、世の中の課題解決をするツールだと思っています。必要。
さておき、このあたりについてこんかいまとめたいなと。
ということで今回は、流入データと購入前の行動を見ながら、量だけの比較では何が抜け落ちるのかな?というところを考えてきます。
最初はAhrefsの「AI vs Search Traffic Analysis」です。Ahrefsは私も昔から使っているSEO系のツールで、日本法人ができる前からお世話になっています。2026年9月のデータでは、サイトへの流入量は、依然としてGoogleがChatGPTを大きく上回っています。
GoogleとChatGPTを比べると約70倍です。検索サイト全体に占めるGoogleの割合も約9割。検索、とりわけGoogleからの流入が大きいことは確かです。ただ、流入量の差を、そのままSEOとAIの価値の差として読むことはできません。この数字が示すのは、サイトへ来たときの経路だからです。
この調査の分析対象は115,254サイトです。ただし、検索サイトなどの参照元による分類と、Directなどのチャネル分類が重なっています。掲載された分類は、合計すれば100%になる内訳ではありません。ここでは、掲載条件のそろったGoogleとChatGPTの規模感を見ています。
参照:Ahrefs「AI vs Search Traffic Analysis」
2025年6月から2026年9月までの推移も掲載されています。ただし、月次推移の対象は固定した74,752サイトで、先ほどの分析対象全体とは異なります。
ある月の全体値と、固定した対象の推移を混ぜずに読む必要があります。検索の割合が下がったとしても、その分がそのままAIへ移ったとまでは言えません。
ここで気を付けたいのが、どこまでをAI経由として数えるかです。
GA4(には、2026年5月にAI Assistantというチャネルが加わりました。一方、GoogleのAI OverviewsやAI Modeからのクリックは、GA4ではOrganic Searchに含まれます。AIが関わったアクセスのすべてが、AI Assistantに入るわけではありません。
参照:Google Analyticsの更新情報/Google Analyticsのデフォルトチャネル定義
そもそも流入データが示すのは、サイトへ来たときの経路です。
その前にどこで情報を集め、何を信じ、どこまで候補を絞ったかは、それだけでは分かりません。AIからの直接流入が少ないことと、AIが購入判断に関わっていないことは別の話なんですね。
私も買い物ではChatGPTで調べてから、Googleで比較して買うことがあります。
旅行でも、まずAIに候補を挙げてもらい、その後は使い慣れたGoogleで検索して予約サイトへ行く。AIの回答にあるリンクから直接行くこともありますが、AIで調べた後に、検索を挟むことは普通にあります。
この場合、最後のアクセスだけを見れば検索経由です。でも、候補を知ったきっかけや、候補を絞る過程ではAIが関わっています。検索で来たお客さんだから、検索だけで意思決定したとは言えません。
これはAIが登場して初めて起きた話ではありません。広告で商品を知り、名前を覚えておき、後から商品名で検索して申し込むこともありますよね。最後の検索だけに成果を結び付ければ、最初に興味を持ってもらった広告の役割を見落とします。
もちろん、アクセスの数字は必要です。ただ、サイトへ来る人が減ったとしても、来た人がよく理解して購入してくれるなら、商売としての結果は違います。流入量だけで、売上や問い合わせへの貢献までは判断できません。
アクセス解析で追える範囲には限界があります。BigQueryなどを使って分析を深めることはできても、お客さんの頭の中までは見えません。プライバシーへの配慮もあり、行動も複雑になっています。私は、数字から分かることと、分からないことを分ける必要があると感じています。
Similarwebの「The Downstream Impact of AI Visibility」は、この話を考える手掛かりになります。対象は、米国のデスクトップ利用者の行動データです。金融、旅行、美容の分野でChatGPTに質問した人を追い、AIでブランドを推薦された後、7日以内にそのサイトを訪れたかを調べています。
分析対象は2025年7月から12月の数千の利用行動です。直前4週間にそのブランドのサイトを訪れていた人や、質問の時点でブランド名を挙げていた人は除かれています。調査では、推薦されたブランドのサイトを訪れる確率が平均2.5倍高かったと報告されています。
参照:Similarweb「Being Recommended in AI Makes Users 2.5x More Likely to Visit Your Site」
旅行ではSkyscannerとKayak、金融ではAmerican ExpressとCapital One、美容ではSephoraとUltaといったブランドが扱われています。
ただ、この2.5倍を、自社の売上も2.5倍になるという意味で読むことはできません。無作為に推薦の有無を割り当てた実験ではなく、利用者の行動を比較した調査です。
それでも、AIで何を薦められたかと、その後どのサイトへ行ったかの間に差があるのは、無視できないと思います。検索結果の順位やクリック率だけを見ていると、その前にAI上で候補を絞っているお客さんとの接点を見落とすかもしれません。
同じ調査では、AIが関わった後のブランドサイト訪問について、アクセス経路も集計しています。最も多かったのは検索で55.9%。AIから直接来た訪問は8.8%でした。AIが関わったとしても、訪問時の経路は検索になるケースが多いわけです。
参照:Similarweb「The Marketing Funnel Is Fragmenting」(丸めにより合計は100%と一致しません)
直接アクセスという分類だけでは、なぜその経路になったかまでは分かりません。ここで押さえたいのは、AIからの直接流入だけを数えても、その前のAIの関与を把握しきれないことです。AIで調べた人の行動と、解析ツールに付く流入元の名前は、同じものではありません。
Similarwebは、訪問後の閲覧も比較しています。AIが関わった訪問では、通常の訪問より平均ページビューと滞在時間が高いという結果でした。訪問数だけを比べたときには見えない違いがあります。
参照:Similarweb「The Marketing Funnel Is Fragmenting」
興味を持ってから来た人であれば、よく読んでくれるというのは理解できます。ただ、もともと興味の強い人がAIを使っていた可能性なども考えられます。AIを使わせれば閲覧や滞在が増える、と原因まで決め付けないことも大事です。
「海外の話でしょう」と思われるかもしれません。
日本については、サイバーエージェントのGEO(Generative Engine Optimization)Labが公表した、2026年8月期の生成AIユーザー利用実態調査があります。全国15~69歳の男女9,278人を対象に、8月7日から10日に実施したインターネット調査です。比較・検討で最初に使うサービスとして、生成AIを選ぶ割合が増えています。
参照:サイバーエージェント GEO Lab「生成AIのユーザー利用実態調査」2026年8月期(商品比較の表記は、2月が「価格や特徴」、8月が「候補商品の価格」)
また、全体の傾向として引き続き「比較・検討」の段階での生成AI利用率が高く、商品の価格や特徴の比較(9.8%)、旅行の宿泊施設の比較(8.7%)など、意思決定を伴う検索において生成AIの要約・比較能力が活用されています。
また、全体の傾向として、引き続き「比較・検討」の段階における生成AI利用率が、すべてのジャンルで「情報収集」を上回っております。候補商品の価格比較(15.5%)、旅行の宿泊施設の比較(14.8%)、物件条件の比較(14.5%)など、意思決定を伴う検索で生成AIの活用が進んでいます。
Ahrefsの参照元別データとは、対象も数え方も違います。
それでも、日本でも比較を始める場所としてAIを使う人が増えていることは、意識しておきたいですね。
同じ調査では、AIを利用する人のその後の行動も聞いています。回答中のリンクをクリックして詳しく調べた経験、推薦された商品を自分でも検索した経験、購入や利用に至った経験が調べられています。AIで候補を知った後、自分で調べる行動も続いています。
参照:サイバーエージェント GEO Lab「生成AIのユーザー利用実態調査」2026年8月期
これらは、全国の消費者全員が同じ割合で購入したという数字ではありません。AI利用者を対象にした設問の結果として読む必要があります。利用経験を尋ねた割合を、推薦1回ごとの購入率として扱わないようにしましょう。Similarwebの訪問経路の割合とも、そのまま比較はできません。
それでも、推薦されたものを購入・利用した経験がある人が6割近いのは、私はかなり多いと感じました。自分でもAIを頼りにすることはありますが、お客さんの候補選びにAIが関わる場面を、スルーするのは難しいと思います。
NTTドコモのモバイル社会研究所が2026年4月6日に公表した調査では、2月時点の生成AI利用率は51%でした。
対象は全国15~69歳で、有効回答は7,223人。対話・相談、検索・文章生成、画像などの生成を含む利用率です。仕事や商品検索だけに限った利用率ではありません。
参照:NTTドコモ モバイル社会研究所「生成AI利用率、過半数に。1年で急増」
同研究所が掲載する前年2月の値は27%です。利用の種類や設問の条件には注意が必要ですが、使う人が広がっていることは分かります。AIを使う人の増加と、その人たちの購入までの行動を、両方見ていく必要がありますね。
検索からの流入が多いから「SEOの勝ちだ」と判断すれば、AIで比較・検討しているお客さんを見落としてしまいます。
もちろん、「AIで露出が増えれば必ず売上が増える」とも言えません。トラフィック量で勝ち負けを決めても、お客さんが何を見て選んだかは分からないんですね。
この比較の問題は、実務で何を優先するかにもつながります。検索もAIも、お客さんが情報を探し、比較する過程で使われています。
私は、流入量だけで配分を決めず、自社のお客さんの行動から優先順位を考える必要がある…というかそれしかないかなと思っています。
そもそも検索から人が来ておらず、問い合わせも得られていない会社なら、選ばれるまでの流れから考える必要があります。
検索からの反響はあるけれど、だんだん減っている会社では、お客さんがAIをどう使っているかも調べたい。同じ「SEOかAIか」という相談でも、会社の現状によって取り組む順番は違います。
GEOやLLMOの営業を受けることもあるでしょう。と言うか多いですね…うちの会社にすら来ます(サービス概要を見てほしい)
一方、「従来のSEOをきちんとやればいい」という声もあります。
ただ、AI側の仕様はよく変わります。仕様や営業の話を追うたびに、毎月方針を変えていても仕方ありません。
私たちも自社でいろいろ実験しています。変更がすぐ反映されるものもあれば、1か月ほどで露出が変わるもの、半年たっても変化が見えないものもあります。
これは私たちの経験であって、保証できる期間ではありません。投資すると、いつ、どれだけ戻ってくるかを一律に約束するのは難しいですね。
ただ、定量的な結果が明確になるまで小さな実験を続けるだけでは、何も変わらないこともあります。この難しさは、きれいな答えで済ませられません。不確実さが残る中でも、会社とお客さんの状況を見ながら取り組む必要があると感じています。
実際、私もすべてのお客さまに同じことをお伝えしているわけではありません。定例の打ち合わせでも、毎回同じフォーマットで数字を報告して終わり、という形ではなくなっています。そのときの課題によって、話す内容も調べるデータも変わります。
では、自社では何から考えるのか。まだ専門家へ相談する前の段階であれば、まずお客さんに聞いてみてください。
悩んだらこの3つのことを聞いてくださいね。
それは「入り口・比較・最後の確認」です。これを聞くと、頭の中で想像していたお客さんと、実際のお客さんの違いが見えてきやすいです。
もちろんもっと聞ければもっといいですよ。
最後にもう一度調べることは、お客さんが特に気にしていた点かもしれません。業種や地域、商品によっても行動は違います。自分の頭の中にいる「脳内お客様像」だけで、優先順位を決めないようにしたいですね。
お客さんの行動に応える形で取り組むことは、社内の納得や合意を得る上でも大事です。以前は、インターネットの利点として「数字が取れるから、効果を説明しやすい」と言えた面がありました。今は、数字だけでは説明しきれない場面が増えています。何が分かり、何がまだ分からないかを共有しながら進める力も必要になっていると感じます。
AIに推薦されても、その後に訪れるWebサイトやSNS(Social Networking Service)で必要なことが分からなければ、購入や問い合わせにはつながりにくいでしょう。商品をそのまま買える場合などを除けば、推薦された後に、お客さんが安心して選べる受け皿も必要です。
結局、お客さんが知ってから買うまでの流れを見て、途中で止まっているところから改善していく。その考え方は変わりません。SEOとAIを別々に競わせる前に、顧客の行動全体で何が不足しているかを見たいですね。
分からないからといって、黙って待っていればいいとも思いません。2000年代前半を経験してきた身としては、インターネットの黎明期に試行錯誤した企業が、その後に成果を出していった実感があります。
私自身、2026年、2027年は、AIを含むWebマーケティング全体に本腰を入れる時期だと感じています。その際もアクセス数に加えて、お客さんの比較・検討や購入を妨げているものを確かめたいですね。
自社ではどこでお客さんが止まっているのか、取り組んでいるつもりでも方向がずれていないか。そうしたご相談は、ラウンドナップWebコンサルティングでも承っています。会社とお客さんのことを理解しているパートナーと一緒に考えることも、一つの選択肢です。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第607回:AIとSEOの話題でありがちな「トラフィック量」基準での比較の問題点について は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、犯罪者が足りない技術や人脈を外注できる「犯罪の分業化」と、中小企業が備えておきたいことをお伝えします。
最近、セキュリティ関係のニュースが続いていますよね。私もタイムズの情報漏えいの対象に入ってしまいまして、「当選」のメールが届いてしまいました。そのメールだけがきっかけではありませんが、最近の事件を見て、一度お話ししておきたいと思いました。
ニュースでは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)が発達したから」「AIで簡単に攻撃できるから」という紹介をよく見ます。もちろん、それも一つの要因です。ただ、AIの進化以外にも、押さえておきたいポイントがあります。裏で進むサイバー犯罪の分業化にも、目を向けておきたいんです。
→サイバー被害について情報を自動収集・更新するページを作りました、ご利用ください
最近、セキュリティ関連のニュースが多いですが、やはり大きいのはタイムズ・パーク24でしょう。私のところにも10月に入ってから、「法人会員の情報が漏れました。今後の情報はWebサイトを見てください」という通知が来ました。私が使っていたのはカーシェアではなく、タイムズビジネスサービスです。駐車場の年払いを簡単にしたり、支払いを月額で締めて払ったりするために使っていました。
タイムズでは、約660万アカウントの情報漏えいが確認されています。運転免許証画像などの本人確認書類も対象に含まれます。さまざまなサービスを展開しているので、対象が多かったのかなと思います。
参照:パーク24「当社サービスへの不正アクセスに関するお詫びとご報告」2026年9月28日
ほかにも、佐川急便や大阪公立大学、公式アプリを提供する各社などで発表が続いています。以下は2026年10月6日時点での内容です。
参照:佐川急便のお知らせ/大阪公立大学の公式発表/サミーネットワークスの続報/物語コーポレーションの発表/大起水産の発表/大和証券の発表
なぜこのタイミングで発表が重なったのかは、分かりません。「あえて重ねたのか?」などと邪推する声もありますが、なんとも言えません。
AIの進化とは別に、攻撃者同士が仕事を分担し、必要な技術や人脈を調達できる仕組みが発達しています。犯罪の分業自体は以前からありましたが、連携の速さにも変化が見られます。
私が「犯罪版のギグワーク」と呼んでいるのは、この分業の仕組みです。日本だとクラウドソーシングのようなイメージでしょうか。普通の仕事の受発注とは別に、表には出てこない犯罪の分業が進んでいます。
次のことを一つの集団だけで行うとしたら、すべて自前で担う必要があります。
全部の技術や人脈をそろえるハードルは高いわけです。AIがあっても、情報を売りさばくなど、最終的に儲けにつながるところまでできなければ、あまり意味がありません。
もちろん、私も詳細まで分かるわけではありません。ただ、開発・運営側が道具を用意し、別の実行者が攻撃する仕組みを、米国司法省はLockBitの起訴内容で説明しています。
参照:米国司法省「LockBitの開発・運営に関する起訴」の発表
「ここの個人情報が欲しい。でも手段はない」。今は、そんな場合でも攻撃に必要な技術や人脈を、自分たちだけですべてそろえる必要がありません。得意な分野を持つ別の人に依頼して、足りない部分を補えるからです。例えば、次のような役割です。
お互いに報酬を払いながらつながる。そういう意味でのギグワーク化です。全部できる組織を作るより、それぞれの分野が得意な人をつなぐ方がずっと楽ですよね。犯罪の分業化が攻撃を行いやすくしているのです。
「分業して、チームワークは大丈夫なのか?」と思われるかもしれません。しかし、データはその予想を悪い意味で裏切ります。なんと、GoogleのMandiantによると、同社が調査した事案では、最初の侵入から別の攻撃グループがその入り口を利用できるようになるまでの時間は、中央値で2022年の8時間超から、2025年には22秒へ短縮しました。中央値なので、ばらつきはあります。攻撃の全工程が22秒で終わるという意味ではありません。
参照:Google Cloud/Mandiant「M-Trends 2026」
8時間あれば、検知できる可能性は上がりますよね。しかし、20秒だったら、間に合わないケースもあるでしょう。私はセキュリティの専門家ではないので、検知できる割合は言えません。ただ、検知する前に、別の攻撃グループが活動を始める可能性を考える必要があります。
「私、やりました。次、ここをお願いします」「では、これだけお金を払います」「情報を取りました。これを売ってください」。そんなやり取りがポンポン進むようなイメージです。利益を得るところまで持っていきやすくなっている、ということですね。(あくまで推測です)
犯罪者が足りない技術や人脈を外注できるようになると、攻撃を行うハードルが下がります。中小企業の方々には、まだ危機意識が足りないと正直感じます。組織的な犯罪なら、大きな儲けを見込める大企業が狙われるので、うちはそうでもないのではと思うのも分かります。実際には、中小企業の被害も、かなり報告されています。
2026年上半期に警察へ報告されたランサムウェア被害は123件。そのうち中小企業は79件で、報告全体の約64%でした。これは警察への報告件数です。被害を受けていることに気づいていない「暗数」は、もっとあるかもしれません。
参照:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等」統計データ・図表4/6
どこまでが中堅企業で、どこまでが小規模企業なのか、細かい内訳までは確認できていません。
身近なところでも、WordPressのハッキングや、業務システムへの侵入があります。GoogleやMicrosoftなどのグループウェアも、いろいろな手段で入られることがあります。こうした相談は、私のところにも結構あります。セキュリティを専門にする会社なら、もっと多いのではないかと思います。
個人データの漏えいには、報告義務の対象になるものもあります。その制度自体を知らない中小企業もあると思いますし、そもそも被害に気づいていないケースもあるでしょう。実際の件数は、公表された数字より多いのではないかと感じます。
参照:個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人通知の義務化」
サプライチェーン全体のセキュリティを守ろうという話もありますよね。いろいろな企業が同じシステムにつながっているので、同じシステムにつながる企業で情報が漏れれば、自分たちも被害を受ける可能性があります。中小企業も、少なくとも今何が起きているかを押さえておく必要があります。
仮にAI企業が悪用を防ぐセーフガードを完璧にできたとしても、安心ではありません。AIの進化と同じくらい、「犯罪の分業が成立し、必要なスキルをすべて持っていなくても、人を集めて攻撃できる」という状況に注意が必要です。足りない技術や人脈を外注で補えるネットワークまで、なくなるわけではないからです。
調査やなりすまし、相手のシステムに合わせた道具の作成や実行。AIを使うと、もともとできる人が、こうした作業をさらに速く進められます。2026年には、攻撃用ソフトが検知されると、AIで修正や再配備をする仕組みも報告されています。道具を使う側の作業が速くなっていることも、無視できません。
参照:Anthropic「Detecting and countering misuse of AI: September 2026」
クラウドで提供されるモデルの安全対策は強くなっていくでしょう。ただ、ローカルで動くモデルでは、安全対策が外れているものもあります。AI企業の対策が進んでも、それだけで攻撃の手段がなくなるとは考えにくいんですね。
対抗して「うちもAIで防衛していく」というのも、簡単ではありません。使う人のスキルによります。攻撃のツールは世界中に広まり、進化していきます。一つの企業で、その変化についていくのは簡単ではありません。
社内システムやWebサイトを維持管理することは、中小企業にとって大きなコストになります。同時に、経営を続けるうえで大きな課題です。具体的な方法は時期によって変わるので、ここでは細かい設定より、見直す対象をお伝えします。
GoogleやMicrosoftのグループウェアなら安心だと思いがちです。でも、正規の手順をうまく踏ませて侵入する話をよく聞きます。二要素認証を入れていても、人間が誤解して押してしまうことはあります。認証を入れたことだけで、安心しないでほしいんです。
会社としては、侵入などが起きても、被害を最小限に抑えられる仕組みを考える必要があります。外注先や外部の人、退職者に対する管理も含めて、アクセス権限の管理を徹底することを進めておかなければいけません。
外部のシステムでは、やはりWordPressを最初に挙げたくなります。きちんとバージョンアップしないと、本当に危ない。「何か起きたら嫌だ」「お金がかかるから保守しない」と更新を止めるケースもあります。でも、一度の事故でも、企業の根幹に関わります。
私も何度もお伝えしているのですが、難しい部分があると感じます。その場合には、保守を引き受けてくれるサービスへの乗り換えを、最近はご案内しています。
プラグイン自体が汚染されるケースもあります。保守するのはWordPress本体だけではなく、本体、プラグイン、テーマ、サーバーまで保守する必要があります。きちんと対応しないとリスクが高まるので、難しい立ち位置に来ていると正直感じます。
参照:WordPress公式「Hosting Handbook:Security」
社内外のデータでは、ランサムウェアが本当に大変です。データをどう保存し、どう復旧できるようにするのか。手順やマニュアル、お願いする先を早めに決めておく必要があります。
出荷を手作業に戻すようなことが起きれば、流通やサプライチェーンで重要な位置を占める企業には、いろいろな損害が出る可能性があります。これからは、セキュリティにコストをかける必要があるという前提に立った方がいいと思います。以前のような牧歌的な社会ではないのだ、と。
売上を増やす、業務を効率化して経費を減らす、新しいことに挑戦する。そういうところにお金を使いたい気持ちは、すごく分かります。セキュリティに頭も心も使いたくないというのも、そうだと思います。
でも、大事故になれば社内は疲弊します。いろいろなところに「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝り続けると、働く人の心にも負担がかかり、離職や休職につながってしまう。動いてもらえる人がいなくなれば、会社は組織として機能しなくなります。対外的な問題だけではないんです。
私のタイムズのアカウントも、どうなるんでしょうか。「次のメールを待ってください」と言われていて、どうしたらいいか分からないという感じです。大事故になる前に、口を酸っぱくしてでも言っておかなければいけない内容だと思い、今回お伝えしました。
詳しく何をすべきかは、専門の会社に頼むか、相談先を見つけておくのが一番だと思います。ネット上の「これをやっておけば大丈夫」という無責任な情報を信じるのではなく、相談できる専門家と、先に関係を作っておきましょう。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第606回:なぜサイバー攻撃は強力に?AIパワーだけではない”犯罪の分業化”という背景と、中小企業がおさえるポイント は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Googleが目指しているものを踏まえて、企業は何を準備すればよいのかをお話しします。目先の検索対策も必要ですが、5年、10年という長い目で、今から積み上げるものを考えておきたいんですね。
GEO(Generative Engine Optimization:生成エンジン最適化)やLLMO(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)など、新しい対策の話が次々に出てきます。短期的に効く施策を否定するつもりはありません。ただ、今のAI(Artificial Intelligence:人工知能)オーバービューやAIモードへの対応を続ければ、そのまま将来にも対応できるのか。現在の機能への最適化と、長期的な備えを分けて考える必要があると思っています。
私も現場で、Search Consoleの表示回数が大きく増える一方、CTR(Click Through Rate:クリック率)が大きく下がっていると感じます。「AIオーバービューのせいだ」という話もよく見かけます。ただ、以前もお話ししたように、数字をどう読むかは注意が必要です。目の前の変化だけを見て、Googleの方向まで決めつけない方がよいと感じています。
従来の青いリンクが並ぶ検索結果が、Geminiと会話する画面へ置き換わる。そういうイメージを持つ方も多いと思います。確かに見た目には分かりやすい変化ですが、Googleが長年解決しようとしている問題は、それだけではないんですね。
Googleは、多くの人にサービスを使ってもらい、広告を含めて事業を成り立たせています。Google Cloudのように少し事情の違う事業もありますが、検索では使ってもらえることが大前提です。Yahoo!のディレクトリ型検索やgooを使っていた頃から振り返ると、Googleは検索を便利にし続けてきました。私は、その流れを利用者が情報を探すときの負担を減らしてきた歴史として見ています。
検索は、実は難しい作業です。まず自分が知りたいことを整理し、検索する言葉を選び、うまく出てこなければ言葉を変える。そもそも何を知りたいのか、本人もうまく言語化できないことがあります。私たちもお客さんと話していて、本人がまだ言葉にできていない困り事に気づくことがありますよね。
私がセミナーでもよくお話しするのは、「探すこと自体は、別に楽しくないですよね」ということです。買う前にいくつもの会社や商品を比較するとしても、比較作業をしたくて始めたわけではありません。必要なものを見つけるまでの手間は、できれば少ない方がいい。Googleは、そこを減らそうとしているのだと思います。
毎日のように「順位が動いた」「今日は不安定だ」というニュースが出ます。毎日そう言っているなら、それを聞いて何を判断すればいいのか、と思うこともあります。Googleはさまざまなテストをしているので、短い期間の変化に合わせて、毎回方針を変えていたら振り回されます。
参照:Google:検索のテストと評価
短期施策は必要です。それでも、新しい対策を入れたらまた元に戻った、ということを繰り返していては、お金も時間もかかります。ニュースやセミナーで紹介された施策に対して、自社がそこへお金をかける価値はあるのかを、意思決定する方には考えていただきたいですね。
AIは、OpenAIが登場したところから始まったものではありません。Googleも以前から、言葉や画像などを理解する技術に取り組んできました。今の機能を最終形だと考えるより、昔から解決しようとしてきた問題の途中にあると見ると、捉え方が変わります。
2019年にGoogleが検索への導入を発表したBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、文中の言葉を前後の文脈から理解する技術です。その説明では、検索する人が適切な言葉を知っているとは限らず、検索の仕方そのものに迷うこともある、という問題が挙げられています。知らないことを調べたいのに、調べるための言葉を知っていなければならないわけです。
参照:Google:BERTによる検索の言語理解
これは、仕事でも実感します。私が初めて関わる業界について調べるとき、お客さんに「どの本を読んだらよいですか」と聞くことがあります。言葉を知らないと、自分で検索しても調べようがないんですよ。教えてもらった本を10冊ぐらい読んでから入ることもありました。最近は初めての業界に出会う機会も少なくなりましたが、今でもあります。
Googleの発表を読み返すと、人が検索エンジンに合わせて、不自然な単語の組み合わせを入力していること自体を問題にしているんですね。2019年から2026年まで、もう約7年です。それでも、人間側の検索の仕方が一気に変わったわけではありません。技術が変わることと、人の行動が変わることには時間差があります。
2021年のMUM(Multitask Unified Model)の発表には、以前登った山とは別に、今度は富士山へ登りたいという例が出てきます。準備の違いを知るには、標高、気温、難しさ、必要な装備などを自分で分けて調べなければなりません。登山に詳しい人なら、一つ質問しただけで、その事情を踏まえて答えてくれるでしょう。人が質問を細かく分解して調べる負担を、検索側で引き受けようとしていたのだと思います。
当時のGoogleの説明では、こうした複雑な用事を済ませるために、平均8回の検索が行われていました。これを減らしたいという話です。今のAI検索に通じる問題意識が、2021年の時点ですでに示されていたんですね。
参照:Google:MUMの発表と登山の例
編集注:収録では、この時期を「AIはなかった」と表現していますが、MUM自体がAI技術です。ここでは、当時から現在のAI検索につながる課題に取り組んでいた、という話の流れを残し、この点を訂正しています。
服の形や素材を見て「こういうものが欲しい」と思っても、うまく言葉にできないことがあります。Google レンズなら画像を使えるし、画像に「この色が欲しい」といった言葉を足すマルチサーチもあります。全部を文章や単語へ変換しなくても、知りたいことを伝えられる方向です。
参照:Google:画像と文字を組み合わせるマルチサーチ
自然で直感的な方法で、身の回りのものを理解する。Googleの説明には、そういう考え方が出てきます。キーワードをうまく選べる人だけが検索を使いこなせる状態から、その人が自然に伝えたことを理解できる状態へ近づけたいのだと私は受け取っています。
AIモードの「クエリ・ファンアウト」は、一つの質問を関連するテーマへ分け、複数の検索を行って情報を集める仕組みです。人が自分で検索語を変えながら調べていた部分を、裏側で行う。利用者の意図をくみ取って、必要な調査を組み立てるという流れですね。
参照:Google:AIモードとクエリ・ファンアウト
ここは、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)そのものが持っている機能と、混ぜない方がよいと思います。モデルを使って、どう検索を分解し、調べ、まとめるかというアプリケーション側の作りがあります。AIだから自然にそうなるのではなく、その目的に合わせて仕組みを作っているわけです。
さらに、詳しく調べたレポートを作るDeep Searchや、カメラで見せながら話せるSearch Liveのような方向もあります。調べるための手間を任せたり、自分が見ているものを相手にも見てもらったりする。私は、検索が、その場で相談に乗ってくれる相手に近づいていると感じます。
チケットを探すといった作業まで手伝う、エージェント的な機能も紹介されています。情報を見つけるだけでなく、その先の用事へ進んでいくわけです。利用者が目的を達成するまでの面倒を減らすという見方をすると、これらの動きはつながります。
参照:Google:Deep Search、Search Live、チケット探しを支援する機能の発表
編集注:上の機能は、Googleが2025年5月に紹介した内容を参照しています。発表内容と、収録時点での提供範囲は同じとは限りません。チケットの例も、選択肢の提示などを支援し、購入は利用者が選んだサイトで完了する説明です。原文の「チケットまで買ってくれる」を、無条件の自動購入とは扱っていません。
ここからは、Googleが公表した計画ではなく、私自身の見方です。極端に言えば、頭の中のぼんやりしたものが、そのまま相手に伝わるような状態に近づきたいのではないでしょうか。私は「ニュータイプみたいなもの」と例えるのですが、もちろん文字どおりの話ではありません。言葉を整えなくても、知りたいことが通じる状態をイメージしています。
「あの時の、あれって何だったっけ」という言い方でも、その人の過去の情報や、その場で見聞きしているものを踏まえて分かってくれる。先回りして助けてくれることもあるかもしれません。技術だけでなく、社会がどこまで受け入れるかも関わりますから、実現する形は分かりません。今の入力欄や会話画面が、そのまま最終形だとは思わないということです。
企業向けでも、仕事の文脈を理解しようとする動きがあります。MicrosoftのWork IQのようなものですね。大企業では多くのデータを扱う仕組みや管理が必要ですが、小さな会社では、まず必要な情報を集めて共有するところからになると思います。相手の状況を理解するための情報が必要になるという点は、共通していると感じます。
参照:Microsoft:Work IQの概要
私はGoogleの内部にいるわけではありませんし、5年後の機能を知っているわけでもありません。そのうえで、企業側が備えるなら、お客さん自身よりも詳しいぐらいに、お客さんの知りたいことや気にしていることを理解する方向ではないかと思います。
AIに引用されやすくする施策や、FAQ(Frequently Asked Questions:よくある質問)を用意することも、短期的には必要でしょう。その先へ進むまで何年かかるか分かりませんから。ただ、それと並行して、お客さんのことを把握し、Googleが理解できる形で情報を出せるようにしておく。将来はWebページではなく、データベースのような形かもしれません。形が決まるのを待つより、元になる顧客理解をためておきたいんですね。
うちのような商売だと書いてあっても、「LLMOをやりませんか」という営業は来ます。サービスを売りたい側の都合や、頻繁な仕様変更だけを追っていては、どこかで行き詰まると思います。まずはGoogleの一次情報を、自分でも読んでみてください。私を含めて、誰かの説明を通せば、その人の見方が入ります。
必要なのは、顧客理解を深めようとする文化と、聞いた内容を保存して使える仕組みです。「お客さんを理解しよう」という気持ちだけあっても、後から見返せなければ使えません。理解しようとすることと、記録をためることを一緒に進める必要があります。
大企業は大量のデータを持っていますが、お客さんとの距離は、中小企業の方が近い場合があります。万単位の顧客を持つ会社なら、一部だけ聞いても偏っているかもしれず、広く調べる必要があります。一方、小さな会社なら、2桁、3桁の人数に聞くだけでも、有用な情報になる場合がある。お客さんを詳しく知るための情報を集めやすいことが、中小企業の強みです。
例えば、お客さんが月30組いらっしゃるなら、収録では大まかに「年間300組ぐらい、3年で1,000件ぐらい」とお話ししました。毎回記録していれば、後からお客さんのことや、その変化を考える材料が残ります。その場では使い道が決まっていなくても、先にためておく意味があります。
編集注:上の件数は、蓄積の規模を示した収録中の概算です。月30組が続くと、単純計算では年360組、3年で1,080組になります。
ただし、5段階評価に丸を付けるだけでは、欲しい情報が得られないかもしれません。目の前で書いてもらえば気を遣うでしょうし、落ち着いて答えられないこともあります。昔の回答を保管していない、集計できない、捨ててしまった、というケースもあります。聞く方法と、後で使える残し方の両方を考えておくことです。
「将来役立つので、これをやってください」と言われて動いてくれる企業さんは、多くありません。皆さん兼務で忙しいですし、納得できる理由もなく、面倒な作業だけ増えても困ります。これは、そういうものなんですよ。現場が動く理由まで考えて提案しなければいけないと、私も頭を悩ませています。
その点、お客さんを理解することは、今の仕事にも役立ちます。お客様の声としてコンテンツにできますし、一件ずつ読む中にも気づきがある。「やりたかったんだよね」という企業さんも多いんです。今の仕事にも役立つ顧客理解なら、将来への準備として続けやすいのではないでしょうか。
何から始めればよいかと聞かれたら、私は、顧客理解を深めることをひたすら続けるようお勧めします。ほかにもできることはありますが、コストや取り組みやすさを考えても、まずお客さんのことを詳しく知る活動を止めないことだと思っています。
顧客理解を進めると、具体的で個別の話が出てきます。すると、SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に取り組んできた方ほど、「検索ボリュームと合わない」「Search Consoleの流入キーワードにない」と悩みます。お客さんが話す言葉と、今の検索で使う言葉が違うんですね。
私の見方では、まだ人が検索エンジンに合わせているからです。だから今は、お客さんから聞いた言葉だけで大量にコンテンツを作ればよい、という話ではありません。検索行動が変わるまでは、従来のキーワード調査も合わせて考える必要があります。
うちでも、「この表現はあるけれど、検索ではどうなのか」「まとめると、この単語になるよね」と確認します。API(Application Programming Interface)などを使って検索数を調べることもあります。キーワード調査を、もうやらなくてよいと言っているわけではありません。
ただ、人の頭の中にある言葉のままで検索が通じるようになれば、従来のキーワード調査の重みは下がっていくのではないかと思います。今は必要でも、その先では変わるかもしれない。今の検索数を、将来まで変わらない需要の形だと扱わない方がよいでしょう。
「一人だけの問題では」「聞き方が悪いのでは」「続けても意味がないのでは」と言われることもあります。従来のSEOに取り組んできた方を否定したいのではなく、やり方の世代が違うという話です。検索ボリュームにないという理由だけで、顧客理解を止めないでほしいんですね。
検索ボリュームから始めて、後から別の情報を足していくやり方に慣れているなら、少し考え直す必要があると思います。それは、人がGoogleに合わせていた時代の情報を出発点にする方法です。私は、検索数を常に出発点にするやり方は、そのままでは今後通用しにくくなると見ています。
こう考えると、Webやデジタル、AIに関わる人に必要な力も変わってきます。パソコンをよく使うことだけではなく、お客さんと会った経験や、話を聞き出す力です。フラットな意見を聞いて、追加で質問し、意味を考えて、具体的な対応へつなげる。
聞き取りと、その内容を仕事に生かす力が必要になると思います。
営業や製造の部署にも、向いている人はいます。そういう方を巻き込んで、部署を越えたチームを作る。まとめる部分だけ外部に依頼してもよいでしょう。うちでもよくやりますが、Web担当者という肩書きだけで決める仕事ではないんですね。
管理職には後ろ盾になってもらいたいですが、私は、経営者はこの聞き取りにあまり入らず、口も出さない方がよいと思っています。
もちろん、2、3人の会社なら経営者も自然に入るでしょう。それ以外では、現場と経営者で役割や目指すものが違い、同じ場ではかみ合わないことがあります。仕事の良し悪しではなく、役割が違うから任せた方がよいという話です。
お客さんから聞き出せて、論理的に整理し、具体的な対応に結び付けられる人がいるなら、早めに確保して大事にしておいた方がよいと思います。内容をコンテンツにする作業は、外部に頼んでもいい。元になる材料を集められる人を、社内で大事にすることです。
未来のGoogleがどうなるかは分かりません。この数年でも大きく変わりましたし、5年後の形を当てることはできません。ただ、昔から利用者のどんな不便を解決しようとしてきたかは見えてきます。具体的な機能の予想より、その問題意識を追う方が役立つと思います。
その不便が解消されれば、次の目標ができるのかもしれません。そこを見ながら、必要な短期施策を行い、その先に向けて準備する。今のAIオーバービューやAIモードへの最適化を、会社の長期目標そのものにしないようにしたいですね。
OpenAIやClaude、Xなど、Google以外の動きでも状況は変わります。買い物を含むさまざまな行動の入口になろうとする動きもありますし、それぞれの事業上の事情もあるでしょう。私もそうした動きを見て、お客さんに次に押さえたいことをお伝えしています。Googleだけを見れば未来が決まる、とは考えていません。
短期的に売上や反応を改善することは大事です。そのうえで、その先も一緒に考えられるパートナーを選ぶことも必要でしょう。毎日のニュースには少し肩の力を抜いて接しながら、自分たちのお客さんを、今より詳しく理解する。これはGoogle対策に限らず、会社にとって役立つ取り組みだと思います。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第605回:Google検索の将来に、中小企業はどう備える?顧客理解を今から積み上げる理由 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Googleが公開したSAFE(Scaled Abuse Forensics Examiner)という研究を通じて、自社や外注先が、コンテンツをどう作っているか確かめておきたいという話をします。
自分たちでスパムをやっているつもりはなくても、外注先に頼んだ仕事が、実はそうなっていることがあります。新しいお客様にお話を伺うと、「費用も高くないし、効果があるという営業を受けたので、任せたままなんです。内容はよく分かっていません」と言われることがあるんですね。知らないうちに、問題のあるやり方を続けているかもしれない。今回は、その点も気にしていただきたいと思っています。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)を使えば、記事や動画を大量に作ることは本当にできてしまいます。作るだけなら簡単ですが、それが負債になり、最悪の場合、Googleからの流入を得られなくなることもあります。今やっていることや、これから受ける営業をどう判断するか。そのために、Googleが何を調べようとしているのかを見ていきます。
話のきっかけは、2026年9月25日にSearch Engine Journalが掲載した記事です。歴史のあるSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)関連の媒体ですね。Google Researchで公開されたSAFEが、Google検索のスパムアップデートにも関係しているのではないかと取り上げていました。
参照:Search Engine Journal:Google Has Deployed A New AI Spam Detector Called SAFE
ただ、論文で具体的に扱っているのは、YouTubeチャンネルを想定した動画やチャンネル群の不正調査です。この論文から、SAFEがGoogle検索で使われているとは判断できません。2026年9月30日の時点で、9月のスパムアップデートにSAFEが入ったという公式発表も、私は確認していません。ここを拡大解釈した営業もありそうなので、先に区別しておきたいところです。
参照:Google Research:SAFEの研究紹介
論文には「early deployment results」と、初期導入の結果を示す記述があります。ただし、YouTubeの本番で使われているか、使われているならどこまでかは、私には分かりません。内容を見ると、使われていてもおかしくないとは感じますが、Google検索に新しいアルゴリズムが加わったという話として受け取らないでください。
参照:GoogleのSAFE論文:Abstract(1ページ目)
私自身は、Web検索でも同じ方向に進むだろうと思っています。ただ、それは私の見方です。生成AIによって変わったスパムを、Googleがどう見つけようとしているのか。その方向を知り、今のうちに気をつけたいことを考えるための研究として読んでいただければと思います。
SAFEは、大量に作られたAIコンテンツの中から、組織的な不正をAIで調査する仕組みです。フォレンジック調査という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。証拠を集めて調べる、というイメージですね。一つひとつのコンテンツを見るだけでは分かりにくい不正も、周辺の情報と合わせて調べます。
従来のコンテンツ評価というと、まずは中身が低品質か、高品質かという話を思い浮かべますよね。パンダアップデートなど、懐かしい名前です。E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)も、コンテンツの品質を考えるときの観点です。ペンギンアップデートでは、悪質なリンクやプライベートネットワークも問題になりました。内容に加え、リンクなどの関係も見てきたわけです。
参照:Google検索セントラル:E-E-A-Tと品質評価ガイドライン/Google検索ランキングシステムのご紹介:Panda・Penguin
生成AIが普及して、スパムの作り方も変わりました。YouTubeで同じテーマの台本を作り、一定の形式で動画を大量に作る。「そのうち1本でも当たれば、それなりの収益になる」という発想ですね。内容はほぼ同じでも、文章や映像は少しずつ違う。地域ごとの別バージョンを作ることもあります。ここで言うのは、自動吹き替えとは別の話です。まったく同じもののコピーではないので、中身だけでは見つけにくいんですね。
それでも、投稿する量やタイミング、使われるアカウントまで見ると、不自然さが分かることがあります。人間なら「このアカウントと、あのアカウントは怪しいぞ」と気づけても、一つずつ大量に調べるのは大変です。そこで、人間が行う不正調査を、AIで大規模に行おうというのがSAFEの考え方です。
参照:GoogleのSAFE論文:Introduction(1ページ目)
ですから、SAFEを「この動画はAIで作られたか」と調べるだけのシステムと捉えると、少しずれます。どんな内容を、どんな関係にある投稿者が、どう配信しているかまで含めて調べる。コンテンツの中身に加えて、作り方や配信の仕方にも目を向けた仕組みだと考えてください。
AIを使うこと自体が悪いわけではありません。今の時代、AIがまったく関わらずに作る方が難しいのでは、とも思います。Googleが問題にしているのは、価値の乏しいものを大量に作り、検索順位や露出を無理に操作しようとすることです。
参照:Google検索セントラル:AI生成コンテンツに関するガイダンス
論文では、調査を大きく4つのエージェントに分けています。内容・行動・関係性を調べる3つの担当と、それをまとめる担当がいると考えると分かりやすいと思います。
Content Understanding Agentは、動画や文章の中身を調べます。既知のポリシー違反に加え、従来の検出方法をすり抜けるような微妙な違反も分析する担当です。特定の違反を見分けるよう調整した大規模言語モデルと、少数の事例から新しいパターンを判断する方法を組み合わせています。
参照:GoogleのSAFE論文:Content Understanding Agent(2ページ目)
アンチウイルスソフトに近いイメージですかね。既存のパターンも調べながら、新しいものにもできるだけ早く対応する。私には、これまでの検出を続けながら、日々改善している部分にも見えます。
Behavior Understanding Agentは、「何を投稿したか」ではなく、どう投稿しているかを調べる担当です。例えば、次のような情報を見ます。
参照:GoogleのSAFE論文:Behavior Understanding Agent(2ページ目)
論文には、複数のチャンネルで同じOS(Operating System:基本ソフト)のバージョンが使われ、同じ5秒間に投稿が集中する、という例があります。投稿のタイミングと環境を組み合わせて、不自然な活動を調べるわけです。
参照:GoogleのSAFE論文:OSと投稿時間の例(2ページ目)
意図してやっている人は、自分で分かっているのでしょう。ただ、そういうところへ気づかず外注していたり、自社でも「これから動画をやるぞ」と一気に公開したりすると、似た状態になってしまうかもしれません。相当な量の話だとは思いますが、誤検知される可能性もあるのでは、と私は気にしています。自然なやり方で進めた方がいいと思います。
Channel Cluster Understanding Agentは、一つずつのチャンネルに加えて、アカウント同士の関係を調べます。スパムネットワーク全体を把握しようとする担当です。
参照:GoogleのSAFE論文:Channel Cluster Understanding Agent(2〜3ページ目)
投稿内容やタグ付けなどを見て、「このアカウントと、あのアカウントは似ているぞ。実は同じところが動かしているのでは」と考えるわけですね。アカウント間のつながりから、全体を調べるイメージです。
これは、SEOで以前から扱ってきたプライベートネットワークなどの話にも似ています。AIで調査が強化されているのだろうな、と感じます。ただ、最近のスパムアップデートの頻度に、どのくらい影響しているかは分かりません。仮に使われていたとしても、まだ一部なのではという気はしますが、そこも私の推測です。
最後は、おまとめ役のRoot Agentです。管理職ですね。内容・行動・関係性の担当から集まった評価をもとに、組織的な不正なのか、普通の活動なのかを判断します。実質的には3種類の担当と、それをまとめる1人という構成です。
参照:GoogleのSAFE論文:Root Agent(2ページ目)
2026年9月30日時点で、私が把握しているのはここまでです。今後のことは分かりませんが、ここからさらに危機をあおって、「これは絶対に来る」と何かをさせようとする話には、少し距離を置いた方がよいかもしれません。
SAFEによって品質基準が大きく変わったという公式アナウンスも、少なくとも私は確認していません。問題のある活動を見つける方法が、今まで以上に多面的になっているという話です。攻める側がAIで大量生成するようになれば、守る側も進化する。それはそうだろうな、と思います。
SNS(Social Networking Service)を見ていると、「この方法でSearch Consoleの数字がこんなに上がった」といった過激な話も流れてきます。そういう話に安易に乗らないでください。これはGoogleからのメッセージという意味ではなく、私からお伝えしたいことです。
Googleは以前から、SpamBrainなどでポリシーに違反するコンテンツや行動に対処しています。SAFEで急に全部変わったわけではありません。人間なら分かるようなおかしな行動パターンをAIに学習させて、広い範囲を一度に調べられるようにする。そのような方向で見てもらうとよいと思います。
参照:Google検索セントラル:スパム検出システム
別の分野ですが、税務調査でもAIを使うことで、人間だけでは大量にできなかった調査ができるようになった、という話を聞きますよね。私は専門家ではないので、詳しいことまでは分かりませんが、そのWeb版のようなイメージを持っています。
こうした調査の考え方は、普通のWeb検索にも波及するだろうと私は思っています。ただ、現状でそういう情報があるわけではなく、ここからは想像です。
AIで大量に作った記事をブログへ一気に入れ、それを音声や動画にしてYouTubeへ大量に出す。さすがにやっている方はいないと信じたいのですが、もしやっているなら、多分あまり効果も出ていないでしょうし、この先も厳しいと思います。
それから、「外注先に任せきりで、何をしているか分かりません」という場合は、ちゃんと確認した方がいいですよ。「何本動画を作ります」「何本記事を作ります」と、結果よりも作る本数を押して費用を求めてくるところには、実際にどのくらいの効果が出ているかも確認したいところです。後で大きな負債になる可能性もありますから、この機会にチェックしてみてください。
少し別の問題にも関わりますが、「この画像はAIで作ったのでは」「この内容はAIで作ったのでは。そういうのはよくないですよね」と言われることがあります。中小企業でどれくらい問題になるかは分かりませんが、事実無根でも、説明を求められることはあります。
そのときに反論するには、自分たちがどの工程で、どのツールを使ったかを把握していなければいけません。AIを使うことは全然いいんです。ただ、どの段階で何を使ったか、制作の過程を記録しておくことが、これからのリスクへの備えになるのではないかと思います。
うちの場合は、外注したものも、自分たちが使っているものも、基本的には私が把握して記録しています。「この段階で、これを使った」と、後から説明できるようにしているんですね。でも、それを言えない会社さんも多いと思います。社内でも「実はこれ、AIで作ったんです」ということが分からない場合がありますよね。
その状態が、何年後かに大きな負債になる可能性もあります。どこでAIを使ったのか、問われたときに出せる記録を残しておいた方がよいと思います。今のうちから準備しておきたいですね。
普通にやっていれば、SAFEのような調査で問題になることはないと思っています。ただ、複数のサイトに同じような記事を一気に出したり、複数チャンネルに切り口だけ少し変えた動画を出したりするやり方は、評価されづらくなる可能性が高いと私は見ています。誤検知への備えも含め、一つひとつを個別に見ても、価値のある内容にしていきましょう。Googleがよく言う、少しふわっとした話ではありますけれどもね。
繰り返しますが、AIを使ったから問題なのではありません。価値の乏しいものを大量生産し、検索結果を操作しようとすることをGoogleは問題にしています。
参照:Google検索セントラル:スパムに関するポリシー
検索結果が役に立たなくなれば、Google自体の価値が下がり、商売が成り立たなくなります。検索広告も、検索エンジンを使ってもらうことが前提です。AIオーバービューやAIモードについて、いろいろな業界から批判されても、Googleとしては、使ってもらわないと食っていけない。だから品質を保つためにいろいろな手を打ち、私たちにも働きかけてくるのだと考えています。
ここまで考えて、ふと思ったのが、AIで量産しやすくなった今、コンテンツの監査をした方がいいのではないかということです。以前はブラックハットSEOの業者と関わって、検索キーワードや地名だけを入れ替えたドアウェイページを大量に作るケースがありました。今は、さすがにやっていないところも多いと思います。
同じようなページを作って、営業所などの部分だけ変える。ただ、やむを得ないケースもあります。全国展開するチェーン店なら、メニューはほとんど同じで、地域や一部の情報だけが違うこともありますよね。そういうページに、悪意があるわけではありません。
私が怖いと思うのは、自分の営業エリアだからという理由で、地名を差し替えたサービスページを市区町村ごとに大量に作るようなやり方です。やってはいけないと分かっている人が避けてきたことを、AIで簡単にできるようになった結果、やってしまう人がいるのではないか。ふと、そう思いました。今のところ、私が知っている範囲では、そういうケースはほぼありませんけれども。
普通に運営している会社が、SAFEの話を聞いて何か大きなことをしなければいけないとは思いません。ただ、制作の過程を記録して、全体を監査できるようにしておくことは、本当に大切です。
「自分にはよく分からないので、お任せしています」とよく言われますが、企業としてはあまりよろしくないですよね。自分たちやお客様に迷惑がかかるかもしれないのに、分からないからという理由で確認をしない。商売としても、社会に属する人間としても、やってはいけないことだと思います。分からないことは、確認しない理由にはなりません。
自分たちが何をしているのか、把握できるようにしておく。外に出すコンテンツには、ある程度の公共性があります。ですから、自社のコンテンツを監査することから逃げないと考えていただければと思います。
そのうえで、考えすぎないことも大切です。「同じサーバーだと危ないのでは」「分散させないといけないのでは」と、話を広げようと思えばいくらでも広げられます。でも、元の論文を読めば、そこまで細かな対策を求める話ではありません。情報の受け取り方には注意してください。
今回お伝えしたかったのは、Googleがどんなものをスパムとして扱おうとしているかと、自社が出すコンテンツへの責任や、監査する体制を持つことです。Googleからの流入は減ってきていますが、露出まで減れば、AIモードでもAIオーバービューでも、従来の検索結果でも大打撃です。その点は気をつけていただければと思います。
自分たちの状況を診断してほしいという場合は、ラウンドナップWebコンサルティングのホームページで、無料相談・無料診断を行っています。営業はしませんので、お気軽にご相談ください。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第604回:GoogleのSAFEをどう見るか。AIで量産する前に、自社と外注先の制作を確かめる は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、自治体が行っているAI(Artificial Intelligence、人工知能)の支援と、福岡県北九州市の訪問看護会社の事例をご紹介します。「自社でもAIを使いたいけれど、どう始めればよいか」と考えている中小企業の方へ、研修を受ける入口と、会社の中で使ってもらうまでの話をお伝えできればと思います。
うちはAI支援だけを行う会社ではありません。ただ、Webの仕事をするうえでもAIを避けて通る理由はないので、一緒にお伝えしています。その中で感じるのは、国や自治体の力の入れ方の強さです。Webサイトが増えていった2000年代前半にもセミナーはいろいろありましたが、今はそれ以上ではないかと思うくらいですね。
無料の説明会や支援、補助金など、全国のいろいろなところで取り組みがあると感じます。少し前は、議事録を取る、文章を直すといった、比較的やさしい内容が多い印象でした。ところが今は、実際に業務を自動化するところまで扱うものが出てきています。
例えば、今回見た千葉市の事業者向けセミナーです。ノートパソコンを持参し、Claude Coworkを実際に操作して、複雑な作業手順を見えるようにする。そこから業務の自動化につなげる内容です。市内事業者が対象で、参加費は無料。企業規模による制限は案内には示されていません。「生成AIとは何か」を聞くだけでは終わらない内容なんですね。
参照:千葉市:事業者向け生成AIセミナー
2026年10月27日に開催される案内で、市は「社員5人分の働きを明日から1人で実現」と、かなり強い表現を使っています。実際に参加枠がまだ空いているかは分かりませんが、千葉市の方は確認してみてはいかがでしょうか。こうした内容が出てくるくらい、風向きが変わってきたと感じます。
参照:千葉市:開催日・対象・申込先の案内
私の地元の新座市でもAI関連の取り組みは見かけますし、東京はもっと力が入っていると感じます。「どうしよう、何から始めたらいいのだろう」という方は、一度、こうした場に触れてみるとよいと思います。あるテーマを知りたければ本を2冊読むといわれるのと同じで、いくつか受けて、自分たちに響くものから試す。それでもよいのではないでしょうか。
支援する側から見ると、正直、一般的なAIの使い方を教えるだけの会社には、この先、勝ち目がないのではないかと思います。公的な支援のレベルが上がり、しかも無料ですから。行政が予算を組み、事業者への支援として進めているところへ、同じ内容で入っていくのは厳しいでしょう。
もちろん、導入するシステムを実際に組める、その業界について深い知見がある、すでにお客様との関係ができていて社内に入れる、といった条件があれば話は違います。研修で知ったことを、会社の仕事として動かす部分には、民間の役割があります。経営計画でもそうですが、計画を実行するところは、専門家派遣などを通じて民間へつながる流れがありますよね。
そこにつながっている会社には、事業の機会があるのだと思います。ただ、そうした関係もないところから、「自分たちはAIを少し使えるから、支援事業を始めよう」と考えるのは、結構危ないのではないかと感じています。支援を受ける側にも、支援を仕事にする側にも、今の状況を見ておいてほしいですね。
自社でどう使うかを考えるうえで、面白かったのが、J-Net21に掲載された北九州市の訪問看護会社、プーラビダ株式会社の事例です。単にツールを入れるのではなく、従業員に気持ちよく、質の高い仕事をしてもらうために使う。そのように目的を捉え直した話として、参考になると思いました。
参照:J-Net21:プーラビダ株式会社の取組事例
訪問看護の人手不足という背景もあったようですが、それ以上に気になったのが、会社の組織の問題です。同社では、社員が40人規模に増える中で、社長、管理職、現場という階層の間で意思疎通が難しくなっていたそうです。会社が目指しているものと、現場の人が欲しいものがずれてしまう。コロナ禍も重なり、離職率は83.3%に達したと紹介されています。算出の細かい条件までは分かりませんが、10人採用したら8人辞めるような、地獄のような状態ですよね。
参照:J-Net21:事業拡大後の組織の課題
当初は、DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)をコスト削減のために考えていた。それを、社員を守り、一人ひとりの働きがいを生むために使うと、目的を決め直したそうです。Google WorkspaceやGeminiを使った取り組みですが、私が気になったのは、どのツールを選んだか以上に、この目的の見直しです。
参照:J-Net21:人を守るためのDX
ただ、社長が「これを使って生産性を上げよう」と言っても、すぐには広がりませんでした。「今までのやり方で何が悪いのか」といった反発が起き、最初に使っていたのは2人だけだったそうです。40人規模の会社で、2人です。DXではよくある話かもしれませんが、便利だと説明すれば使ってもらえる、というものではないんですね。
参照:J-Net21:Google Workspace導入時の反発
そこから身近な用途で使ってもらい、社員にとってのメリットを伝えていく。文字にすると「それはそうだよね」と思うのですが、現場で判断し、受け入れてもらえるように伝えるところが、いちばん大変だったのではないかと思います。記事では詳しく書かれていない、その紆余曲折が気になるんです。
入口になったのは、訪問看護で毎月作る報告書でした。J-Net21の記事では、利用者一人分に1時間以上かかっていた作業が、Geminiの利用によって90%短くなったと紹介されています。会社側の資料では、報告書の作成が「1時間から5分」になったと示されています。
参照:J-Net21:報告書作成の時間短縮、プーラビダ:自社のDX実践
上の人が「会社の生産性が10%改善するぞ」と言っても、現場の人には「10%と言われてもな」となりがちです。でも、「毎月1時間かかっていた報告書が、5分でできるようになる」なら、自分の仕事として分かります。社員に伝える内容を、そうした身近な変化にしていく。小さな成功を積み重ねることは、やはり大事だと思います。
Google Workspaceを使って社内ポータルを作るなど、ほかにも取り組みがあります。ただ、まず社員自身が便利さを感じると、「こうすれば情報を簡単に得られる」「この使い方を教え合おう」という話が出てくる。ツールの利用と一緒に、社内の情報共有やコミュニケーションも変わっていったのだと思います。
参照:J-Net21:情報共有と社員同士で教え合う取り組み
報告書が1時間から5分になったら、残りの時間をどう使うか。「それだけ空いたなら、人を減らせるよね」「採用を減らせるよね」と考えるのをやめ、看護師の研修や資格取得に使う。今いる人を大事にする方へ時間を回したことが、大きいと思います。
参照:J-Net21:時間の余裕を生かした研修と資格取得
社員が技能を身につければ、会社としても、より高度なケアを担当できるようになります。社員の仕事への気持ちや役割が変わり、視野も広がるでしょう。社員にとってもうれしく、会社にとってもうれしいことに使う。この考え方への切り替えが、事例の大きなポイントだと感じました。
もっとも、経営者がそう言ったところで、最初から信じてもらえるとは、私は思いません。「資格を取っても、どうせ給料は上がらないだろう」といった反応もあったのではないでしょうか。これは記事に書かれた社員の発言ではなく、私が自分の会社へ置き換えて考えたときに、引っかかるところです。
どんな伝え方をして、最初はどんな反応があったのか。記事ではさらっと読めても、自社で真似をしたら、ここで反発が起きて進まなくなることはありそうです。成功事例では、うまくいくまでの難しい過程が短く見えがちなんですね。
もう一つ、失敗を責めないことも大事です。知らないツールやAIをいきなり使うように言われれば、最初は失敗します。それを責めると、使わなくなるか、失敗を隠すようになる。マネジメントとしては、最悪の状況ですよね。記事には失敗を許容する風土があったと書かれていますが、それも含め、会社の文化を変えようとしたのではないかと思います。
参照:J-Net21:失敗を許容し、社員同士で教え合う風土
気持ちだけ変えても、給料などが何も変わらなければ、社員には伝わりにくいですよね。会社が従業員に向き合う姿勢を変えるだけでなく、それが働く人の成果にもつながる。そこへ、使えば仕事の負担を減らせるAIがあった。「自分のための改革なんだ」「自分のためにも使えるようになった方がいい」と感じられたから、利用が広がったのではないかと思います。
紹介されている結果は、大きなものです。J-Net21では、離職率が83.3%から7.7%へ下がり、記事で述べる直近1年間の退職者はゼロ、生産性は約1.5倍、利益率は10%を超えたとされています。取り組みの前後で、会社の状態が大きく変わったことがうかがえます。
参照:J-Net21:働き方改革後の結果
会社側の資料では、営業利益も1,500万円の赤字から、1,400万円の黒字へ改善したと紹介されています。ただ、これを読んで「AIを正しく入れれば、どの会社も同じように黒字になる」とは思いません。この規模の変化であれば、いろいろな要因があるでしょう。
参照:プーラビダ:自社で実践したDXの成果
離職率が83.3%から7.7%になったことも、正直、AIだけの成果とは思えません。生産性を上げようとする社内の意欲があり、ほかの取り組みも動いていたはずです。情報共有、人間関係、教育制度、評価制度。そうしたものを変えていった結果、AIの導入もうまくいった事例ではないでしょうか。
人を減らすためではなく、今いる人に、余計な仕事を減らして、もっと気持ちよく価値の高い仕事をしてもらう。経営者や管理職だけでなく、社内で周りを動かしてくれる人も含めて進めたのだろうと思います。ツールの導入と一緒に、会社の体制や人への向き合い方も変えたところを読みたいですね。
「AIを使いたい」と言いながら、雰囲気としては何も動いていない会社もあります。そういうときは、何のために導入するのか、社員にどう伝えるのかといった部分へ本腰を入れていないか、「便利なら、そのうちみんな気づいてくれるだろう」と思っていないか。導入の目的と、働く人への伝え方を確かめてみてほしいと思います。
この事例から参考になることがない会社は、あまりないのではないでしょうか。私は、こうしたことをすべてやり切れている会社には、なかなか会いません。元の記事を社内で一緒に読み、自分たちなら、どこで引っかかるだろうかと話してみるのも面白いと思います。
自治体の研修で知った先、実際に自社で進めるところは、自分たちが必要に応じて外部の会社と一緒に取り組むことになります。この事例の考え方を取り入れて、一つでも多くの会社が、働きやすい場所になっていけばと思います。うちも、できることがあればご協力したいですね。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第603回:自治体のAI研修から、社内で使われるところまで。報告書が1時間から5分になった事例を読む は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Google Search Console(サーチコンソール)とどう向き合うかという話です。Google アナリティクスと並んで、Webサイトを運用している方なら使うことが多いツールですよね。ただ、サーチコンソールを、長い期間の成長を正確に比べられるデータ分析の基盤だと思わない方がいいと、私は考えています。
GA4(Google Analytics 4)のようにデータがたまり、昨年や一昨年と比べられる。しかも、どんな検索語句で表示され、何回クリックされたかという、Googleが持っているデータを見られる。だから、表示回数やクリック数をKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)にしている方も多いと思います。問題は、その数字が増えたことを、そのままサイトの成長と受け取ってよいのかです。
別に、Googleを悪く言いたいわけでも、サーチコンソールが壊れたと言いたいわけでもありません。以前はウェブマスターツールと呼ばれていたツールです。そこへAI(Artificial Intelligence、人工知能)を含むさまざまな検索結果の見せ方が加わり、今の画面や指標では捉えきれなくなっているのではないか、という話です。
私なら、30日や3か月くらいで「今はどんな感じかな」「どこから、どんな検索語句で来ているかな」と確認するために使います。長くても昨年との比較くらいでしょうか。もっとも、1年前との比較でも、そのまま信じるのは危ないかもしれません。昔の数字と並べれば、時系列の変化をきちんと把握できると思っていると、落とし穴にはまります。
むしろ、検索に関する機能を管理したり、インデックスの状況を確認したりする、Googleとの間接的な対話の場としての役割が8割くらいだと私は捉えています。検索パフォーマンスはおまけとまでは言いませんが、「自分が出した記事は、今こういう感じなんだな」と、その時々の状況を見るくらいの距離感がよいのではないでしょうか。
検索結果の形が変われば、表示回数や掲載順位の測り方も変わっていくでしょう。それ自体は当然です。ただ、過去と今を比べている側からすると、測り方が変わった後に、以前の数字をどう読めばよいのかが分からない。ここが困るところです。
サーチコンソールでは、Google側の集計方法の変更やロギングエラーによって、グラフが急に増減することがあります。およそ1年にわたる数字の問題が、後から分かることもあるわけです。
編集注:Googleの公表で確認できる対象期間は、2025年5月13日から2026年4月27日です。表示回数と関連指標が影響を受け、クリック数は対象外でした。原文の「2025年にあったような気がする」「過去1年、全部おかしかった」という説明は、この期間・範囲に訂正しています。
参照:Google Search Console ヘルプ:データの異常
画像や商品、求人などの集計基準が変わったという案内を見たり、画面に黄色い線が入り、「ここから変わっています」と示されたりすることもあります。でも、どのくらい変わったのか、過去の数字をどう補正すればよいのかまで分かる情報は、私が把握している限り、ほぼ見たことがありません。
プライバシーのために検索語句が隠され、検索語句のフィルタをかけると見える数字が減ることもあります。画面で見られる検索パフォーマンスのデータは16か月分です。それより長く残したいなら、BigQueryや手元へのエクスポートで確保しておく必要もあります。画面に出ている数字だけで、すべてが分かるわけではないんですね。
参照:Google Search Console ヘルプ:検索パフォーマンスの確認、Google検索セントラル:検索トラフィックの減少をデバッグする
それから、順位測定のボットや、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)関連のツールが検索結果へアクセスすることも、気になります。AI関連の仕組みが加わり、外部からのアクセスも変わっていく。私は、そこに人間の検索行動がどのくらいの精度で表れているのか、疑問を持っています。Googleが対策をしても、いたちごっこになる部分はあるでしょうし、技術的にも難しいのだろうと思います。
「無料版なのだから、仕方がない」と思うかもしれません。では、仮にプロ版があり、年間100万円や200万円を払って使う分析基盤だったらどうでしょうか。Google アナリティクスにも有料版はありますから、まったく考えられない話ではないですよね。それなのに、提供されたデータをそのまま分析に使えないとなれば、大きな問題です。
Googleも一つの企業です。ほかの会社が継続してデータを提供していて、「実は品質が悪かった」となったら、問題になりますよね。Googleは扱う範囲が広く、ネット上のインフラのようになっているので、「Googleだから仕方がない」と思いがちです。でも、提供元という観点で見ると、言い方は悪いですが、「データの品質を保つやる気はあるのか」と思ってしまう状況です。
集計基準を変えたなら、例えば「この種類の検索語句では、数字が10%くらい変わります」といった補正の目安が欲しい。大変なのは分かりますが、数字を使って判断する側が困ることまで、無料だからで片付けたくはありません。それでも、今後もこうした曖昧さを含む数字として付き合っていくしかないのでは、と私は思っています。
実務でも、「表示回数がものすごく増えている」と感じる場面がありました。AI関連の検索結果が広がった時期は、本当に荒れていたんです。表示回数が急に増えたり、急に減ったり、いろいろなパターンがありました。
クリック数が変わらないまま表示回数だけ増えれば、CTR(Click Through Rate、クリック率)は下がります。すると、「タイトルやディスクリプションを大きく変えた方がいいのか」「競合が入ってきたのか」と、いろいろな仮説を立てたくなります。でも、検索結果の見せ方や数え方が変わった影響まで、施策の問題として追いかけてしまうことがあるんですね。
編集注:原文では、AI概要の掲載順位と表示回数の説明が混在していたため、次のように訂正します。Googleの説明では、AI概要は検索結果の中で一つの掲載順位を持ち、その中のリンクには同じ順位が割り当てられます。表示回数は通常のルールに従って数えます。「AI概要全体が、丸ごと1インプレッション」という意味ではありません。
参照:Google Search Console ヘルプ:表示回数、掲載順位、クリック数とは
クリックされにくい場所に出た場合でも、表示回数として数えられれば、数字の読み方は変わります。分析している側からすれば、「先に言ってくれよ」という気持ちになります。まして、1年前の数字と比較していたところへ、長い期間に問題があったと分かったら、「もう、どうしてくれるんだ」と思います。同じように感じた方は、口には出さなくても多いのではないでしょうか。
これからサーチコンソールが、もっと細かなことまで分かる分析基盤になるか。収録時点では、私はおそらくそうはならないと思っています。プライバシーへの配慮もありますし、AI検索の見せ方も変わります。私が見聞きした範囲では、測り方が変わるという話はあっても、使う側がもっと詳しく理解できるように、具体的にどう改良するのかという話は聞いていません。
だから、何年分もの表示回数やクリック数を、そのまま同じ物差しで比べるのは気をつけてください。GA4なら、こちらでフィルタを設定するなど、データを扱うときに調整できる部分があります。サーチコンソールでは、Google側の計測をこちらで変えられません。渡された数字を、こちらでコントロールできるデータと同じように鵜呑みにしないことです。
私は、パフォーマンスの数字以上に、インデックスの状況などを見ることが多いです。「なぜこのページはインデックスされていないのか」と確認する。ただ、それも毎日しょっちゅう見るわけではありません。Googleの案内にも、毎日のログインは必要なく、月1回程度確認する、という説明があります。そのくらいのモニタリングに使うものだと、私は捉えています。
編集注:この案内には、月1回程度に加えて、サイトのコンテンツを変更したときにも確認すると記載されています。
参照:Google検索セントラル:Search Consoleの使い方
もちろん、うちでもお客様の表示回数はKPIに入れています。ただ、一気に増えたからといって、「万々歳だ、SEOがうまくいった」とは捉えません。なぜ増えたのか、どのページが出ているのかを、GA4のランディングページのデータなどと突き合わせて確認します。
表示回数が多いのにクリック率が低いページがあれば、コンテンツを見直す優先順位を考える。そのように、全体の様子をつかみ、どこを改善するか見つけるためには使います。反対に、「今週はこんなに下がった。なぜだろう」と、毎回細かく追いかけることはしません。それ以上追っても、あまり有益なことが得られないと感じるからです。
Googleとしても悩ましいところはあるのだろうと思います。パフォーマンスレポートをなくすわけにもいかないでしょうし、業界からは「もっと強化してくれ」という声がある。何のためのツールなのかが、改めて問われているように感じます。
AIモードやAI概要、対話型AIが広がれば、お客様が何を検索し、どんな質問をして問題を解決したのかは、ますます見えにくくなります。Googleからの流入はまだ多くても、ビジネス上の問題解決に絞れば、こちらから見えないところで、対話型AIが解決していることも、思っている以上にあるのではないでしょうか。
20年、25年くらい前は、「インターネットなら、リアルの世界よりいろいろなことが数字で分かる」というのが強みでした。今は一巡して、オンラインでもオフラインでも、お客様をきちんと理解する。必要な相手へうまく届け、それ以外の人を不快にさせない。そうした商売の基本へ立ち返ってきているなと感じます。
もちろん、「こういうふうに使えば、もっと分析できる」という話はあるでしょう。データを丁寧にまとめ、ほかのツールと組み合わせれば、精度を上げる余地はあります。ただ、ここで主に考えているのは、中小企業でWebを兼務している担当者の方が、日常の仕事でどう向き合えばよいかです。分析の流派や流儀を突き詰めればきりがありませんから、今回はこのくらいの距離感をお伝えしたいと思います。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第602回:Search Consoleの数字をどう見るか。前年比を鵜呑みにせず、今の状況を確かめる は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)導入の成功事例や調査を、自分たちの会社でどう使えばよいかという話です。結論から言うと、成功事例は、自社で試していくための出発点だと考えていただきたいと思います。
AIの導入が進んだといっても、文字起こしなどの用途にとどまる会社もあれば、全社で使う会社もあり、温度差があります。その中で「生産性が何パーセント上がった」というニュースを見ると、同じことをすれば自分たちも成果を得られるのでは、と思いますよね。失敗を避けたいから、先に成功事例を知りたくなる。ニュースや事例ページも、そう感じる構成になっていると思います。
ただ、今回は「成功事例を疑え」という話ではありません。調査や事例を参考にしながら、うちではどうするかを考えて動く。その必要性を、研究の結果と、私が現場で見てきた違いからお話しします。
私もすべての事例を見ているわけではありませんが、多くの場合、書かれていないところで思いどおりにいかないことを乗り越えています。失敗せずに成功したのではなく、うまくいかないことを直した結果、成果が出ているんですね。
ところが、事例では「試行錯誤を経て」「フィードバックをもとに」と、さらっと書かれます。読む側には、すんなり進んだように見えてしまう。自分たちで試して、最初に失敗すると、「うまくいかないじゃないか。これは違う。別の方法を探そう」となる。その段階でやめてしまうのは、とてももったいないと思っています。
AIを受け入れる素養や状況、業種、仕事の内容は、現場ごとに違います。巷にある情報を読んだだけで、そのまま当てはまると思わない方がいい。自社に合わない部分を、現場に合わせて直す仕事が残るわけです。
きっかけになったのが、METR(Model Evaluation & Threat Research)という非営利研究機関の研究です。先端的なAIの能力やリスクを評価している機関で、2025年前半の実験が一部で話題になりました。経験豊富なオープンソース開発者に、普段の仕事を「AIを使ってよい」「使ってはいけない」という条件でランダムに割り当てると、AIを使える方が、平均で19%長くかかったという結果だったんです。
参照:METR:2025年前半の開発者の生産性研究
業務を効率化できるはずなのに、どうして時間がかかるのか、と感じますよね。もちろん、どの業務を対象にして、どこまでを測るかによって、結果の捉え方は変わります。私が仕事の現場でも気になるのは、目の前の作業が短くなっても、付随する仕事まで含めるとうまくいかないことがあるという点です。
METRが2025年後半に始めた研究では、今度は時間が短くなる方向の結果が出ました。収録では「18%ぐらい短縮」と紹介しています。単純に読めば、AIの使い方に慣れてきたのかな、と思いますよね。ところがMETR自身は、この数値を、その時点のAIによる生産性向上の実態として使うのは難しいと説明しています。
編集注:「18%短縮」は、前回から続けて参加した開発者の推定値です。新規参加者では4%短縮の推定で、いずれも信頼区間は時間が延びる場合を含みます。2026年2月24日の報告は、選択の偏りが大きく、改善幅を示す証拠としては弱いとしています。原文中の参加規模も記憶が曖昧でしたが、報告上は57人、143リポジトリです。
参照:METR:開発者の生産性を測る実験設計の見直し
人が関わる調査では、参加するかどうかの段階で偏りが生じます。普段AIを使って仕事をしている人に、「半分はAIなしでやってください」と頼んだら、参加したくない人もいるでしょう。AIの効果を強く感じている人ほど、調査から抜けてしまう可能性があるわけです。
報酬も参加するかどうかに関わります。普段ならAIですぐ済む仕事を、使わずに長い時間かけてやる。その負担に見合うと思えなければ、わざわざ参加しません。報酬や条件が変われば、参加してくる人の属性も変わります。
編集注:原文では報酬を「500ドルぐらい」「100ドルとか50ドルかな」と曖昧に挙げ、後半では日当のように比較しています。公式報告では、初回は時給150ドル、後の研究は時給50ドルです。日当との比較は成立しないため採用せず、報酬条件が参加者の選択に影響し得るという論点を残しています。
参照:METR:報酬変更と参加者の選択について
仕事の選び方にも偏りが生じます。「これがAIなしに割り当てられたら困る」という仕事を、最初から実験に出さない人もいた。AIを使わないと10倍ぐらい時間がかかるなら、出したくなくなりますよね。参加者だけでなく、測られる仕事も選ばれているんです。
参照:METR:タスクを提出しない選択について
ここをきちんと説明して、結果を広く当てはめられるとは言わないのは、誠実だと感じます。私が皆さんにお伝えしたいのも、調査を信頼するなということではありません。参考にすることと、そのとおりに進めれば失敗しないと考えることは、分けてほしいんですね。
仮に「AI導入で30%効率化しました」という事例があったとします。これはMETRの数値ではなく、私が説明のために出す例です。すると、「うちは30%までは無理でも、15%、20%ぐらいはいけるのでは」と思いがちです。でも、他社の成果を少し割り引けば、自社の成果になるわけではありません。
関わる人、権限、仕事の内容、意思決定の仕組み、トップの考え方が違います。タイミングや運もあります。使えそうな要素を取り入れるのはよいのですが、社内に根づかせ、受け入れてもらう方法は、その現場で判断するしかないんです。
同じ業種で、規模も同じぐらい。私が両方の社長さんを知っていても、浸透の仕方がまったく違うことがあります。業種や規模が似ていることだけでは、導入の進み方は分かりません。
例えば、それまで顧客管理をしておらず、新しいツールを入れることには抵抗がある。でも、皆さん普段Gmailを使っている。それならGoogle Workspaceを入れて、Google Apps Scriptで簡単な顧客管理の仕組みを作りましょうか、と提案します。3か月ぐらいで使えるようになる場合もあれば、作ったのに全然使われない場合もあるんですね。
その違いは千差万別です。私は「こうすれば必ずうまくいく」とは言えませんし、決まった方法を示されても、そのまま受け取ってよいのかは考えてほしい。ゴールへ向けて、自分たちの会社では何を変えるかを、その都度考える必要があります。
Gemini、ChatGPTやCodex、Claudeなど、どのAIを使うかもよく議論になります。「どれがいいですか」と聞かれますが、実際に使わなければ、自社に合うかは分からないと思います。
Google製品との連携が合う場合もあります。お客さんがGoogle Workspaceを使っていれば、Google Apps Scriptで組んだものを大きくするときに、Googleのクラウドへつなぐこともあります。一方、ChatGPTで使うプロンプトが社内にたまっていれば、別のベンダーを介したり、Cloudflareを使ったりすることもある。今まで使ってきたものや、社内にある知識によって選び方は変わります。
どれが一番費用対効果に優れているかを考えて、立ち止まっているなら、その時間はすごくもったいない。複数使ってみて、月に1回か2回でも、どれがよかったかを話す勉強会を開く方が、はるかにいいと思います。自社で使って、知見をためるものだと考えてください。
AIの力を、車のトルクや馬力と同じように比べると失敗します。私たちは、AIの力をすべて引き出せるわけではありません。自分たちが、その力をどれだけ引き出せるかという観点で見る必要があります。
企業では、基本的に有料版を使うべきだと私は考えています。最初から一つの正解を探しすぎず、使いやすいものを試す。ChatGPTやCodex、Google系ならGemini、Claude Codeも使ってみて合うなら使えばよいと思います。まず使い、自社で判断できる材料を増やすことです。
強いて言えば、私は収録時点では、ローカルLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)で何とかしようというのは、趣味の範囲だと考えています。高いパソコンを用意しても、各社がサービスとして提供するものとは性能が大きく違う。企業が基本的にローカルLLMを選ぶという選択肢はない、というのが現時点での私の考えです。
「毎月30時間かかっていた集計が、AIで30分になりました」というような話があります。本人は満足しますよね。ただ、その人の目の前の作業だけで、会社の仕事が完結しているわけではありません。一人の作業時間が減ったことと、会社全体の仕事がよくなったことは別です。
AIを入れることで、再チェックが必要になる場合もあります。AIも間違えますからね。何度も使ってテンプレート化し、ずれを減らしていくとしても、その途中で周りは「なんとなく作業が増えた」と感じるかもしれません。確認にかかる手間や、周囲のストレスまで含めて見る必要があります。
AIに慣れていない人には、「ずるをしているんじゃないか」と見えることもあります。一昔前、Excelを使う人に向けられた反応のようなものです。そうした気持ちも考えないと、AIを使う人と使わない人の間で、社内に分断が起きてしまうんですね。
平均で何パーセント改善したかも、人によります。新人に効くもの、熟練者に効くもの、現場によって合うものがある。そこを飛ばして、生産性の改善率を一律に人事評価へ反映するところまで進めると、だいたい失敗します。
DeNAの南場さんのお話も、ここにつながると思います。仕事の時間を短くしても、普段やらないことまでAIで行い、本来取り組みたかった新規事業へ人や時間が回らなければ、目的を達成したとは言えません。時短の先に、会社として何をしたかったのかを見る必要があるんですね。
参照:DeNA:南場智子「先に動かし、事業を広げる」講演書き起こし
例えば、60分かかっていた分析のためのデータ集計が、10分で終わるようになったとします。残りの50分で、その人にしかできない価値のある仕事をしているならよいでしょう。でも、空いた50分を、さらに分析を深掘りするために使ってしまうこともあります。
私もやりがちです。集計がさっと終わると、「もっと知りたかったことを調べられるじゃないか」と、データを追いたくなる。でも、やってみたらあまり関係なかったり、現場を動かす材料にならなかったりするんですよ。本人が面白い分析をしたことと、成果につながったことは同じではありません。
「AIでダッシュボードを作りました」と見せてもらい、アクセス解析を入れたら、初日に10人ぐらいが見て、その後は一度も見られていない。そういうこともありますよね。作れたかどうかだけでなく、その後に使われているかまで見たいところです。
DeNAは、約3,000人で行っている事業を半分の人員で発展させ、残りは新規事業へ、という考えを示していました。あのように外へ発信するのも、社内で多くの知見を得たからではないかと私は思います。ただ、中の方とのつながりがあまりないので、今どうなっているかは分かりません。社内の実態を知って話しているわけではないという点は付け加えておきます。
参照:DeNA:講演冒頭で振り返った人員と事業の方針
会社の大きな意思決定にも、もっとAIを使っていただきたいとは思います。ただ、世の中で言われていることをそのまま正解にして、自社へ適用すると事故になると思っています。セールスでも製造でも、現場に合わせて使い方を変える作業は、必ず必要です。
AIには、会社ごとの事情や、人間関係を含む細かな文脈が分かりません。中小企業それぞれの内部事情が、もともとの学習データに入っているわけではないですから。大きな枠組みを自分たちに合わせる仕事は、人間側に残っています。AIだけで完結する仕事はないなと、現場では感じます。
業界の情報を外部知識としてつないだり、長く関わってきた会社が持つ知見を加えたり、自分たちでも情報を入れたりして育てる。AIに自社の知識を加え、仕事の事情が分かるようにしていくことです。「AIを中心に会社が動いている」と言うなら、そこまでやっている状態だと思います。画面に仮想の会社のフロアを作り、誰かに仕事をさせる表示がある、というだけの話ではありません。
私のWebコンサルティングも、マーケティングだけをしているわけではありません。むしろ、社内の情報をどうまとめるかという仕事の方が圧倒的に多い。その中で見ると、同じ業種で地域が違うだけでも、まったく違います。合わない、使いにくいと思ったら、それが当たり前だと考えてください。
そこでやめず、自分たちのチーム、仕事、今の環境、パートナーを含めて、どうすればよいかを考える。成功事例の裏でも、「これではよくなかった。次はこうしよう」と繰り返しているはずです。PDCA(Plan・Do・Check・Act)のサイクルを回した結果が、事例になっていると捉えるとよいと思います。
自社のことを考えて提案してくれる導入ベンダーを選ぶ方法もあります。業務知識がないところでAIを導入するのは難しいですし、外部の人材を雇うのも大変です。うちのような外部の人間を入れる方法もあるので、よろしければお声がけください。半年や1年ぐらいかけて、自分たちで判断しながら仕事を効率化するイメージがよいのではないかと思います。
AIをどう使えばよいか、何から手をつければ成果につながるかと悩むのは、当然です。Webマーケティングと合わせて進めるのが効率的なので、そのあたりも含めてご相談いただければと思います。他社と同じように進まないことを、導入失敗と決めつける必要はありません。
お客さんの中には、納品したWebサイトを、自分たちでAIと一緒に改善して、「よくなった」「悪くなった」と教えてくださる会社もあります。そういう運用を前提にしたサイト作りも、もっと進めたいと思っています。自分の商売のことを、自分たちで変えられるのが一番ですからね。
外部に頼らずにできるなら、それでいいんです。難しいところはお手伝いし、最終的には自走、自立していただく。あるいは、自立を前提に、伸びる速度を上げるために私たちが入る。かけたお金に対して、その方が役立つ関わり方になると思いながら、お付き合いをしています。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第601回:中小企業のAI導入、成功事例はどう使う?改善率をそのまま自社に当てはめない理由 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を会社へ入れるときに、「仕事を取られる」と受け止められる職場と、うまく一緒に働ける職場の違いについてお話しします。あくまで、私が中小企業の現場で感じていることです。普遍的な原則というより、自社で考えるきっかけとして読んでいただければと思います。
うちのお客さんは中小企業がほとんどで、Web担当者も兼務という方が多いんですね。私は、むしろ兼務の方がよいと考えています。現場を知り、実務が分かるからです。お客さんに価値を届ける現場に近い方が、Webを仕事に生かしやすいと思っています。
AIと人間では、仕事の領域が重なります。これまで人がしていた仕事の一部をAIに任せるのですから、完全に別々の領域へ分けることはできません。
そこで、「人員削減をするのでは」「もう人を採らず、自分たちがAIを使って何倍も働くことになるのでは」という不安が出てきます。働く時間が何倍にならなくても、新しい道具を覚え、生産性を高めなければならない。自分たちに、さらに負荷をかけるための導入だと受け取られてしまうんですね。
そうなると、本当はAIに興味があっても、なんとなく使いづらい。すでに使っている人への風当たりが、なぜか強くなる。便利かどうか以前に、社内で使いにくい雰囲気ができてしまうことがあると感じています。
私はまず、「ここは人がやると、お客さんが喜ぶ」「対応やサービスの質が上がる」という仕事を見つけておくとよいと思っています。その仕事に集中してもらうために、それ以外をAIで省力化する。人に力を注いでほしい仕事から、AIを使う理由を考えるわけです。
もちろん、これですべて解決するとは思っていません。同じ仕事をコツコツ続けること自体がうれしい人もいます。ホラー映画やジェットコースターが好きな人も苦手な人もいるように、仕事の何に喜びを感じるかは、人によって違います。自分の好きな仕事を、AIが速くこなしてしまうのはつらいという方もいるでしょう。
その気持ちを簡単に解決できると言いたいわけではありません。今回は、組織としてどう話を進めるかに絞ります。経営側は人員削減やコスト削減からAIを語りがちですが、「人がここを丁寧に担うことで、会社の魅力を伸ばしたい」ところを先に確かめる方がよいのではないでしょうか。
理想論だけで決めず、現場に聞いて、「ここへ力を入れよう」と共有する。そのうえで、ほかの作業が減れば、ここでもっとできることがあるよね、と話すんです。現場が大切にしたい仕事と、会社が目指すことをつないでから、AIの話をすることです。
中小企業は、新しく人を雇おうとしても、なかなか採れません。人を減らしたいというより、減らしたくないのに辞めてしまった。補充しようにも応募が来ない。賃金を上げても来ない。そうして仕事が回らなくなる。人員の不安定さに困っている会社が多いと感じます。
編集注:「2025年度の人手不足倒産、確か4,500件」という説明は、確認した一次資料の件数とは一致しません。負債1,000万円以上の倒産を対象とした2025年度の調査では、帝国データバンクが441件、東京商工リサーチが442件と公表しています。調査ごとの集計値として区別し、4,500件を確定値にはしていません。
参照:帝国データバンク:人手不足倒産の動向調査(2025年度)、東京商工リサーチ:2025年度の「人手不足」倒産
人を増やすのが難しいなら、AIに任せられる仕事を任せることで、その不安定さを減らす。経営者にとっても、安定して任せられる部分が増えれば安心でしょう。今いる人が、会社として大切にしたい仕事を続けるために使うという説明になります。
「会社としてもっとやりたいことがあるので、ここにAIを使いたい。最初は慣れないし、気持ち悪く感じるかもしれない。でも、お客さんから気持ちよく感謝してもらえる仕事へ、みんなで集中したい」。同じ導入でも、伝え方によって受け止められ方はかなり変わると感じています。
特に最初の導入時の説明は、印象に残ります。そこで「人間の仕事は、みんなAIに奪われる」といった過激な話を持ち込めば、不安になりますよ。自分が生きていくための糧がなくなるかもしれないわけですから。その不安を理解したうえで、AIも含めて協力する雰囲気を作りたいですね。
経営者は先を見ているので、先々の結果だけを話しがちです。現場からすると、「いきなり何の話をしているんだ」「自分たちはもういらないのか」となってしまう。なぜその仕事を大切にしたいのか、なぜほかの作業をAIへ任せるのか。結論へ至るまでの考えも、きちんと伝える必要があります。
現場には、その人のおかげで会社が回っている、という強い人がいます。最初から「コストダウンします」「これ以上人は採りません」と持っていくと、なかなか浸透しません。現場の人が担っている役割を認め、一緒に働きやすい会社を作る話にすることが大切だと思います。
人が担当すると喜ばれる仕事は、会社やお客さんの年齢層によって違います。初回相談をフォームだけにせず、人が受けた方がよい場合もあるでしょう。定型的な確認はAIへ任せても、「ここはもう少し踏み込んで聞こう」という判断は人の方がよいこともあります。自社のお客さんとの接し方から、役割を考える必要があります。
AIは、やりすぎることもあるんですよ。レポートがどっさり出てきたり、できるだけのことを全部やったりする。一方、人なら「ここまででよい」と判断できます。どこまで考え、どこで止めるかを適切に決められる人が担った方がよい仕事もあるわけです。
情報整理はAIができても、提案そのものは、お客さんの雰囲気やこれまでの経緯を知る担当者の方が、まだ適切に判断できる場合が多いと思います。例えば、声色から「ここに不安があるのかな」と感じ取ることです。お客さんとの間で積み重ねた理解が、提案の質につながることがあります。
いずれは、グループウェアなどが過去のやり取りや会議の音声、動画から、その雰囲気まで読み取れるようになるとは思います。大企業なら蓄積したデータも多いでしょう。ただ、現状ではその精度はまだ微妙だと私は感じています。将来できそうなことと、今、人へ任せた方がよいことは分けて考えたいですね。
AIで時間が空くなら、一人ひとりが新しいことを考える時間にもできます。ただ、DeNAの南場さんのお話では、個人の作業が速くなっても、業務の進め方や組織が変わらず、新しいことへ移れなかったという問題がありました。時間を作るだけで、新しい仕事へ自然に移るわけではないので、難しい部分もあります。
参照:DeNA:南場智子「先に動かし、事業を広げる」講演書き起こし
それでも、余裕ができて、そこから何かできるのはよいことです。人が担当すると喜ばれる仕事を出し、ほかは「AI君にやってもらおうか」と考える。自分たちが大切な仕事をするために使うなら、堂々とAIを使いやすいのではないかと思います。
こうした考え方を共有するだけでなく、評価制度も関わります。AIに任せたことで、その人の評価が下がるのでは困りますよね。何を本人の貢献として評価するのかも、導入と一緒に考える必要があります。
また、AIを入れれば、今度はAIを管理する仕事が増えます。その仕事をする人や時間は確保しなければなりません。自分たちで考えるのが難しければ、導入を支援する会社へ相談した方がよい場合もあるでしょう。AIに任せた後の管理まで、誰かの仕事として決めておくことです。
具体的には、次のようなことを考えます。他社の例をそのまま使うのではなく、自社の現場に合わせたルールが必要だと感じています。
データの持ち方も会社によって違います。「こうすればよい」と言われても、そのまま合わないことがある。何かの例をたたき台にして、自分たちのルールを作る仕事は残ります。現場に合う形へ調整することまで、導入の一部だと考えてください。
AIのおかげで、会社にとって価値のあることへ集中できる。「ありがとう、AI君」と思えるような雰囲気を作れるかどうかは、組織を管理する方にとって大きな仕事です。人と人の距離が近い中小企業では、特に影響すると思います。ただ、全部を一気に変えようとすると、多分失敗します。まず2、3個の小さな仕事から始めるのがよいのではないでしょうか。
大前提として、経営者や執行役員など、上の方にもAIを理解していただきたいと思います。スマートフォンでChatGPTを少し使う、Geminiで翻訳や要約だけをする、というところから一歩進む。仕事を任せる道具として、早めに自分で触ってみることです。
例えばCodexやClaude Codeのようなものですね。触ってみるだけでも肌感覚が変わり、現場からの提案への返答も変わると思います。残念ながら、上の方が使ったことがなく、「言っても伝わらない」と現場が感じて、進まないケースも聞きます。現場の提案を理解するためにも、経営者自身の経験が必要なんです。
Webサイトでも、昔はそうでした。「本当に意味があるの」「これでお客さんが来るの」「そこにお金は使えない」と反対され、進まなかった例がたくさんあります。今では当たり前の存在で、むしろ強化しなければならない。同じようなことが、今のAIでも起きていると私は思います。触ったことがないまま、価値を判断しないでほしいですね。
従業員の方が「実は使っています」というケースも多いと感じます。ただ、人生相談、要約、議事録など、用途ごとに使うだけで終わっている場合もある。もう少し、会社の仕事全体をどう変えられるかと考える人が増えれば、中小企業にも活用できる余地はたくさんあります。
大企業向けには、会社全体の情報を使って意思決定を助けるようなAIの使い方があります。Microsoft Copilotなどで行われる方向ですね。中小企業でそこまで持っていくのは、現状では難しいと思います。私も、規模を小さくして使えるものを構想していますが、まだ難しい部分があります。できあがった仕組みがある、という話ではありません。
まずは、人とAIが一緒に仕事をしやすい会社になるきっかけにしていただければと思います。うちはAI専門の会社ではありませんが、Webコンサルティングの中で、AIを使ったツールを作ったり、使い方を一緒に考えたりしています。現場の仕事と合わせて、AIの活用をお手伝いしています。
自社の業務も、できるだけAIで効率化していますし、家の家計も、ほぼAIへ任せるような使い方をしています。WebだけでなくAIも使ってみたいという方は、ご相談いただければと思います。人手不足の中で、人が力を注ぐ仕事を考え直す。そのためのAI活用として、進めていただきたいですね。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第600回:会社にAIを浸透させるには?人が力を注ぐ仕事から、任せる役割を考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
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