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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は「『己の仕事=何』と考えるか?が、AI導入への姿勢を変える」という話をします。AI(Artificial Intelligence)を前にして不安が強くなるか、逆に自分の価値を高める方向に切り替えられるか。その分かれ目は、意外とシンプルです。
仕事を「作業」として捉えるほどAIは脅威になり、仕事を「価値」として捉えるほどAIは自己拡張になりやすい。
AI導入が進むとき、「自分の仕事が奪われるのでは」という不安が出る会社もあれば、積極的に取り入れて成果につなげる会社もあります。もちろん職種や業務内容によって危機感の持ち方は変わります。ただ、そことは別の観点として、自分の仕事を何だと思っているかが、受け止め方を大きく左右します。
ここでのポイントは、仕事を作業レベルで捉えているか、作業を通じて実現する価値レベルで捉えているか、です。
自分の存在意義を「この作業をしているから価値がある」と置いてしまうと、AIはその作業を置き換えうる存在に見えます。すると、どうしても不安や拒否感につながりやすくなります。
一方で、「自分はこの作業を通じて、こういう価値を実現している」と捉えられると、AIは「仕事を奪うもの」ではなく、価値提供を拡張するための道具として見えやすくなります。
ここは「気持ちの持ちよう」で片付くほど単純ではありません。ただ、視座を一段上げるだけで、見え方が変わるのは確かだと思っています。
マネジメント層にとって重要なのは、AI導入を「ツール導入」で終わらせず、仕事の意味づけとセットで扱うことです。
「この仕事をやっているから価値がある」と作業で語るのではなく、「この仕事は、こういう価値を生み出すからお願いしたい」と伝える。ここが土台になります。
作業は変わります。だからこそ、作業の背後にある価値が共有されていると、AIが入っても「自分は何を実現する人か」を失いにくくなります。
AI導入は、やり方次第で不安を増幅させます。だからこそ、導入前後で以下を丁寧に扱う必要があります。
部署によって「使う・使わない」が分かれたまま放置すると、分断や対立の火種にもなりえます。会社としての方針を出すこと自体が、導入を円滑にします。
ここからは、私が触れた調査の話です。細部の解釈よりも、共通する示唆を押さえるのが重要だと思っています。
IT(Information Technology)分野のインタビュー調査では、AIを「人間の代替」ではなく「補完」と捉える人ほど、仕事の尊厳や意味づけ(meaningfulness)を維持・向上させやすい、という示唆が出ています。
参照: The Impact of AI on Perceived Job Decency and Meaningfulness: A Case Study(arXiv)
この示唆は、私が先ほど話した「作業ではなく価値で捉える」こととつながります。AIをパワーアップだと見られるほど、満足感や前向きさが保ちやすいという話です。
HR(Human Resources)領域での整理でも、AI導入が従業員の満足度やメンタル面に与える影響は、透明性やコミュニケーション、そして関与の設計に左右される、という方向性が示されています。
参照: Employee Well-being in the Age of AI: Perceptions, Concerns, Behaviors, and Outcomes(arXiv)
「会社として何がしたいのか」を共有し、現場の不安を拾い、参加の形をつくる。結局は、導入の技術論だけではなく、納得感と意味づけのプロセスが鍵になります。
ロボットと共に働く現場では、身体的負担が軽くなる一方で、目的感や自立性が失われがちだ、という話も報じられています。便利さを享受するだけだと、「自分はなぜこの仕事をしているのか」が揺れてしまうことがある、ということです。
参照: Working with robots often carries mental strain, studies find(Financial Times)
私はこの話を、知的作業でも同じ構造が起きうる、と捉えています。だからこそ、事前のケアや、仕事の意味づけの共有が重要になります。
私自身も、作業に囲まれることは多いです。戦略立案やファシリテーションのような領域はまだ代替が進みにくいと感じつつも、「自分の価値って何なんだろう」と思うことは何度もあります。
ただ、そこで絶望するのではなく、「この前提で、どうしたら支払っていただいている金額以上の価値を出せるか」「どうすれば3倍4倍の生産性や付加価値を出せるか」を考えるようにしています。そう考えると、AIは敵ではなく、「使い倒してやろう」と思える対象に変わります。
今のAIの状況は、1990年代末から2000年代頭の、インターネット黎明期に似ている、と例える人がいます。私もその感覚はあります。
当時は「ネットで物なんて売れない」「わざわざパソコンで検索しない」「文字や写真では人のぬくもりが伝わらないから長続きしない」といった否定的な話を、本当によく聞きました。私がネットを触り始めたのも、その頃です。
その中で私は、ある種の生きる術としてデジタル経営で創業しました。既得権益的なプレイヤーも多く、簡単には稼げないと感じたからです。飛び込み営業をする中でも、「それ意味あるの?」「価値あるの?」「お客さん呼べるの?」と言われることは多かったです。
でも今振り返ると、ウェブでいろいろするのが当たり前になりました。AIが今後どう転ぶかは、マクロ要因もミクロ要因もあって断言できません。けれど、少なくとも私は、ポジティブに捉え、「自分にとって何が役に立つか」を考えながら活用していくのが良いと思っています。
AIの流れ自体は変えられません。だからこそ、作業そのものを積み上げてきた価値を否定せずに、それを一段上の概念に引き上げて、「自分は何を実現する人か」と捉え直す。ここが、心を楽にし、次の一手を出す助けになります。
ぜひ、自分を手段の代替存在として捉えるのではなく、それによって生み出しているものをコアバリューとして考えてみてください。
今回の内容は以上です。最近AIの話題が増えていますが、今の時期はどうしても触れざるを得ないと感じています。私は現場で泥臭いことばかりやっています。その現場感から、大事だと思うことを話していますので、よろしければ引き続きお付き合いください。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第568回:「己の仕事イコール何と考えるか?」がAI導入への姿勢を変える? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
今回は、2025年版の中小企業白書・小規模企業白書を改めて見直して、「人材をどうするか」をウェブ活用・デジタル活用の観点で整理します。
白書の数字と、現場での相談の実感を重ねると、次の結論になります。
参照元:2025年版「中小企業白書」全文 / 2025年版「小規模企業白書」全文
私自身、現場に出ていて「人材」の相談を本当によく受けます。
結果として、やりたいことがあっても進められない。これは体感としてかなり多いですし、白書を見て「同じ悩みが広く起きている」と改めて感じました。
論点は大きく2つです。
内製(人材育成)をするべきか、あるいは社外人材の活用(外部パートナー)に頼るべきか。どちらが現実的かを、白書の数字も手がかりに見ていきます。
白書のアンケート調査では、5年前と比べて全体の半分以上の会社が人材育成を強化していると回答しています。
ここは考え方・方向性が難しいところで、人材育成は本来「常にやるべき」と考えるなら、まだ半分以上は強化できていないとも言えます。
また、従業員の人数が少ない会社ほど、人材育成を行っていない(あるいは行えていない)という傾向も出ています。
小さい会社ほど、育成そのものが難しい。あるいは、育成に乗せる前段の採用がそもそも難しい。ここは、簡単に覆せない前提として置いたほうがいいと思います。
白書では、人材育成に取り組んでいる会社のほうが、売上高や付加価値率の変化率が高い、というデータが示されています。
売上高の変化率で言うと、人材育成を増やした企業は中央値として約10.7%増、人材育成を行わなかった企業は約2.3%増、という数字。
参照元:2025年版「中小企業白書」全文
ただ、私の肌感覚としては「人材育成に投資できる余裕がある会社が、もともと伸びやすい」という母集団の「かたより」(バイアス)も混ざっていると思っています。
人材育成って、言うのは簡単ですが、そんなにうまくいかないことも多いですよね。現時点で人材育成が回せていない状態から無理に始めると、コストをかけた割に付加価値が出ない、ということにもなりやすい印象があります。
中途採用市場も取り合いですし、いわゆるカンディデート(候補者)が十分にいる状況ではない、という話も聞きます。
一般の従業員については、採用は不確実性が高い前提で体制を組み、運良く取れたらめっけもの、くらいで考えたほうがいい。
もちろん、経営者の後継者の話は別軸で、ちゃんと考えなければいけません。ただ、ウェブ活用やデジタル活用の担い手を「採用だけで増やす」ことに過度な期待を置くと、計画が崩れやすいと思います。
副業・兼業なども含めた社外人材の活用は、データ上は全体の2割ぐらいで、まだ「気軽に使える空気感」になり切っていない印象があります。
これは、プラットフォームが全くないというよりも、使う側に「社内説得の材料」や「こう使えばうまくいく」というイメージが足りていない、という側面が大きいのだろうなと見ています。
調査(24,588件)では、活用状況が次のように示されています。
「どう使えばいいか分からない」というハードルが、ここに表れていると私は感じます。
白書でも、副業・兼業人材の活用はまだ道半ば、という趣旨があります。
ただ、副業をやっている方・副業をやりたい方(追加就業希望者数)は、10年間でかなり増加している、という状況もあるようです。
IT(情報技術)業界周辺だと、一人で会社を立てて複数社を支援する方も普通にいます。そういう働き方自体が無理のあるものではない以上、あとは「受け入れ体制」の問題になってくるのだと思います。
参照元:副業・兼業|厚生労働省
このポッドキャストではウェブマーケティングやデジタル活用の話を中心にしていますが、その観点で白書を見ると、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で詰まるポイントがはっきりしています。
「費用負担が大きい」ことと、「推進する人材が足りない」こと。大きくこの2つがボトルネックになっています。
現場感覚としても、これはその通りだと思います。外部に見積もりを出すと、プロジェクト単位になりやすく、体感としては数百万円、400万円くらいが普通に出てくるケースもあります。そこまでの投資を、回収の目処がないまま踏み出すのは難しいですよね。
参照元:産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)|経済産業省
一方で、社内で柔軟に進めようとすると、今度は「そもそも人材が取れない」という問題にぶつかる。ここが、デジタル領域での人材不足の苦しさだと思います。
ここまでを踏まえると、私は「うまく外を使える会社になる」ことを目指すのが、2025年以降の時代感として現実的だと思っています。
大きな会社(大手ベンダーなど)は、やることがプロジェクト単位になりやすいので、どうしても高くなりやすい。相手側も人材が潤沢なわけではないので、経営としては利益率の高いクライアントと長く付き合う動きになるのは自然です。
だから、たとえば中堅企業や、ある程度の予算を確保できていて「スピードを上げたい」「追加の施策にも即応してほしい」という会社なら、大きな会社と組むのが合うケースも多いと思います。
一方で、従業員が2桁規模(10〜99人程度)の会社だと、もっと小回りが効いて、現場の知識がある人がちゃんと来るようなパートナーと組むほうが現実的になりやすい。私はそう感じています。
フリーランスでも全然いいと思います。そのうえで、私はインボイス(適格請求書等保存方式)対応の有無も、取引のしやすさを見極める一材料になると思っています。
参照元:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
選ぶときに私が重視したいのは、次のあたりです。
ツールの使い方に詳しいだけで、現場で浸透させる・社内を説得する材料を組み立てる、といったところは自分では動けない、というケースも残念ながらあります。そこは、しっかり見ておいたほうがいいと思います。
昔だったら、育成して会社の資産として長く勤めてもらい、将来の投資にする、という考え方も成立しやすかったと思います。
でも今は、終身雇用を前提にしない人も増えましたし、AIが話題になるように、必要な知識ややり方がどんどん変化します。何をどう学ばせればいいのか、レール自体が見えにくい。
そういう変化に慣れている会社なら研修の設計もできますが、慣れていない会社だと「どうしていいか分からない」になりやすい。だったら、フォローアップできる外部と組むほうが進めやすい、という判断になります。
お金の話で言えば、給料だけでなく、保険など周辺費用の負担もあります。経営していると、この負担が大きいのは本当によく分かります。
外部パートナーなら、必要な範囲を時間単価で買える。合わなければ切り替えもしやすい。従業員とは当然同じに扱えませんが、外部はその前提で仕事をしています。
「もう不要です」と言われるのは、言い方を整えるなら「そこまで自走できる状態になった」ということでもあるので、私は基本的には嬉しいことだと思っています。結果を残せないまま終了になるのは心苦しいですが、卒業できる状態なら前向きです。
2025年版の中小企業白書・小規模企業白書を踏まえ、デジタル領域の人材不足を「内製」と「外部活用」の観点で整理しました。
白書には、原価や物価高、相変わらず進んでいない後継者不足など、他にも論点があります。デジタルに関わる部分も、また別の回で扱っていこうと思います。
詳細はPodcastをお聞き下さい。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第567回:2025年中小企業白書から読む「Web人材は育成か外注化か」コストと成果で考える最適解 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
多くの組織はデジタル技術を導入しても、文化や行動、意識を変えない限り、変革は定着しません。
AI系の取り組みや、少し前ならDXといった「デジタル化」を進めようとしても、なかなか会社に定着しないという悩みは本当に多いです。
これは日本だけの問題なのか、それともグローバルでも起きる共通課題なのか。そもそも会社の中で新しい変革をもたらすには、どこから探るべきなのか。そういう文脈で情報収集をしている中で、面白いレポートに出会ったので、今回はその内容をベースにお話しします。
今回ご紹介するのは、フランスのグローバル企業キャップジェミニ(Capgemini)が出している調査レポートです。AIそのものを扱った内容ではありませんが、「デジタル変革が定着しない理由」を文化の観点から整理していて、今のAI活用にもそのまま当てはまる話が多い。
スライドシェア(SlideShare)で公開されているので、気になる方は概要欄などから辿ってみてください。
ちなみに、レポート類は「「かたより」があるのでは」と気になる方もいると思います。もちろん営業的な意図がゼロとは言いませんが、私の感覚では極端に偏っているというより、デジタル変革の調査を継続的に出している企業として、参考にしやすい部類だと思っています。
結論をもう一度はっきり言うと、デジタル技術を導入しても、文化や行動・意識を変えない限り、変革は定着しません。
もう少し砕けて言うと、こんなすれ違いが起きやすいです。
ここで大事なのは、「いい技術が来たら勝手に動く」ではなく、会社としての行動規範や許可範囲、方針を整えることです。企業理念のような抽象度の高い話だけでなく、もっと実際の現場に落ちる形で「ここまでは自由にやっていい」「AIはこういう方針で使う」といったルールを用意してあげることが効いてきます。
レポートでは、デジタル文化を根付かせるための要素が7つ挙げられています。私はこれを「スローガン」ではなく、日々の仕事で繰り返す習慣として捉えるのが良いと思っています。
デジタル文化を根付かせるには、「自分たちがどう変わるか」よりも先に、顧客としてどうなっていたら嬉しいのかを出発点にします。そこから逆算して「じゃあ自分たちはどう変わるべきか」を考える、という順番です。
新しいことをやろうとすると、どうしてもブレーキがかかります。事情も立場もあるので簡単な話ではないのですが、それでも「変わらないとついていけない」のは現実です。
特にAIの波は、昔のウェブサイト制作の立ち上がり期のように「1〜2年遅れても取り戻せる」とは限らない。だからこそ会社として「まず試してみよう」という空気を作ることが大事だと思っています。
データドリブンというと「解析しなきゃ」「データベースに入れなきゃ」と思われがちです。ただ、現場で一番の問題になるのは、個人の中にある知識や技術が形になっていないことです。
職人系の会社さんだと特に分かりやすいのですが、「なんとなくうまくいってる」「代々やってるから」という無意識の作業がたくさんあります。誰かに聞かれて初めて「そういえば、なぜだろう」と気づくことも多い。
だからまずやるべきは、暗黙知を意識の上に引き上げて、言語化して、他の人も使える形にすることです。作業を動画で撮って「なぜこの距離なのか」「なぜこのタイミングでひと手間を入れるのか」を一緒に解きほぐしていく。そういう地道な積み重ねが、結果的にナレッジになります。
ここまで集められれば、録音して文字起こししてAIに整理させるだけでも、十分に共有できる形にしていけます。
意見を言った瞬間に否定される会社と、とりあえず受け止めて考える会社では、差が出ます。これは意識変革なので簡単に変わらないし、上の人の雰囲気で決まってしまう部分もあります。
だから順番としては、上の側からオープンマインドを作っていくのが大事です。年齢や経験に限らず、フラットに「そういう考え方・方向性もあるのか」と扱えるかどうかは、デジタルに限らず組織の強さに直結します。
それから、よくあるのが「意見を言うと、言った人が責任を持たされる」パターンです。これがあると、分かっていても言わなくなります。ここは文化として明言して、避ける必要があります。
営業、製造、サービス、カスタマーサポートなど、顧客接点のフェーズごとに持っている情報は違います。本来はそれを持ち寄った方が強いのに、部門ごとのKPIや目標設定が邪魔をすることがよくあります。
例えば会社としては「取るとトータルでマイナスになる顧客は取らない方がいい」ケースがあるのに、営業が件数だけで評価されていると、そういう案件を取ってきてしまう。これは個人の問題ではなく、制度設計の問題です。
私自身も気をつけているのですが、2回3回やる作業は「一回目は面倒でも、仕組み化すれば二回目以降が楽になる」ことが多いです。それなのに、人は「今まで通り手を動かせば終わる」方を選びがちです。
AIでプログラムを書く話も似ています。SNSを見ていると、複雑なものが簡単にできているように見えますが、実際はできる人ができているだけです。業務を理解し、必要なものを具体的にイメージし、詳細に指示を出さないと、仕組み化は進みません。
だからこそ、「一回目で挫折しやすい」ことを前提に、少しずつ仕組み化を進められる文化を持っておくのが大事です。いきなり全部やると業務が止まりやすいので、段階的に進めるのが現実的です。
この項目は少しアバウトに聞こえるかもしれませんが、変化に合わせて柔軟に動けるかどうか、という話です。焦って一気に変えると反動が来やすいし、一回失敗すると「もう二度とやらない」になりがちです。だから、きちんと進める設計が必要です。
話を聞いていると「結局、評価制度なのかな」となりがちです。私は、そこはかなり本質を突いていると思います。分かりやすいし、効くからです。
私の感覚では、特に次の要素が重要です(いずれもレポートの趣旨と、現場感を重ねたものです)。
特にプロセス評価は重要です。結果だけを求めると、人は萎縮します。新しいことは失敗がつきものなので、チャレンジそのものを評価に入れないと、動けなくなります。
人が取れない、忙しい、大変。そういう状況だからこそ、文化の整備と仕組み化に取り組める余地があります。規模が小さい方が、変えやすい部分もあります。
「うちは無理だ」と思う方もいるかもしれません。でも、うまくいっている会社もスタート地点はゼロです。早く始められたか、偶然そういう人材がいたか、運の要素も正直あります。
だからこそ、他社が先に行っているかもしれないと考えつつ、できることから、ゆっくりでも進めていくのが良いと思っています。
最後に、すぐ着手しやすいものを挙げます。焦って一発で変えようとせず、段階的に進める前提でどうぞ。
「このツールがあったらうちもできるのに」と言っているうちは、変わりません。デジタルは技術を入れれば終わりではなく、会社の中の文化、行動、意識をどう変えるかが重要です。
今回の7つのポイント(顧客志向、イノベーション、データ駆動、オープンさ、共同、デジタル思考、機敏性)を意識しつつ、できるところから進めていく。これが、結果的にデジタル活用やAI活用を自然に広げていく近道になると思います。
また、私のクライアントさんでも、こういう入り口から始めて、気がついたら自然にツールが使えるようになったり、「いい情報があったら試してみよう」と思えるようになったりするケースはたくさんあります。もし、Webサイトや広告だけの話ではなく、会社の土台(考え方や進め方)から整えていきたい場合は、お気軽にご相談ください。
この番組はバックナンバーも多く、質問フォームも用意しています。よければ他の回も聴いてみてください。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第566回:AI・デジタル活用を 浸透させる7つのポイントとは?『The Digital Culture Challenge』レポート紹介 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
結論から言うと、「AI対策だけで一気に逆転する」という考え方は、効果の面で現実的ではありません。AI OverviewsやAI Modeでの露出は、結局のところ元のサイト品質やコンテンツ評価がベースにあって、その上で“見せ方”として乗ってくるものです。
AI検索を見据えてどうすればいいのかは、皆さん気になるところだと思います。一方で「これをやればいい」と明確に言い切れる状況でもありません。
なぜなら、Google自体が細かいパラメータをいじって単純に順位を決める、という分かりやすい構造ではないからです。
Googleの中の人が「こうすればいい」と断言できる状況ではないので、表に出るメッセージも抽象的になりやすい、という前提があります。
この状況で「これさえやれば絶対に上がる」と言い切る人は、私は基本的に信頼しない方がいいと思っています。
もちろん、テクニック自体に意味がないと言いたいわけではありません。
ただ、過度に“必勝法”のように語るのは危険です。AIという新しい話題が出たときほど、冷静に足元から見直す必要があります。
最近は営業的にも増えてきた印象ですが、AI対策として次のような提案を見かけます。
たとえば冒頭で「何が得られるのか」「誰に向けた内容なのか」が分かるのは、読む側として嬉しいですよね。
タイトルを見て「たぶんこれが知れるはず」と読み始めたのに、結局よく分からないまま終わる記事は、読み手にとって一番つらいです。
問題は、今までコンテンツや内部構造、ユーザー体験をあまり追求してこなかったのに、ここでAI対策だけやれば一気に逆転できる、と極端に考えてしまうケースです。
これは営業する側の資料にもそう書かれていることがありますし、私自身がお客さまの提案資料経由で目にすることも多いです。
後発の立場だと「今までの努力が無に帰してくれた方が嬉しい」と感じる気持ち自体は分かります。
ですが、ここで言いたいのは倫理の話ではなく、実際の効果として薄いという点です。
今回のコアアルゴリズムアップデート(2025年6月末に始まり、約2〜3週間で完了した想定の期間)で、ひとつ見えた動きがあります。
外部のデータを集めている会社の発表ベースではありますが、検索結果で順位が下がったサイトは、AI Overviewsでの露出も下がる傾向が観測された、という話です。
ここは重要なので補足しますが、Googleが公式にそう言ったわけではありません。海外のデータや分析に基づく「傾向」の話です。それでも、私はこの動きは納得感があります。
私の考え方として、AI OverviewsやAI Modeは、Googleにおける“表現形態の一つ”です。つまり、AIという表示枠が特別な別ルールで動いているというより、Google全体での評価がベースにあって、その上でAIの見せ方で出ている、という捉え方です。
そのため、そもそものサイトの価値や品質が高くない状態で、AI対策だけを積み上げても結果が出にくい。露出も上がりにくいし、引用もされにくい、というのがポイントです。
とは言えSEO側がAIも含めて自分たちの業務領域とするのもおかしいです。
AIでの問題解決は増えていきますし、AI時代のGoogleと従来のGoogleは仕組みも思想も大きく違うので、もはや「Search Engine」ではないという意味でSEOという言葉は実態と合っていない空虚な物でもあります。
強いて言えばSEOではなく、Google Optimizationを自称するべきです。
AI対策が無意味だと言いたいわけではありません。土台が整っているサイトが、AIの枠でより引用されやすくする、という意味では効果が出る場面があります。
ただし、土台ができていない企業が、AI対策だけで状況を変えるのは難しい。
まずはGoogle的な品質、ユーザーのニーズに合ったコンテンツ、使いやすさ、といった基本が先です。
今の段階で、AIのことだけをひたすら考えて将来に投資する、という考え方自体を否定するつもりはありません。ただ結局、やることは大きく変わらないんですよね。
ROIで考えるなら、まず従来のSEOをきちんとやって、結果としてAIでも出るようになりました、という順番の方が現実的だと思います。
「コンテンツ作れません」「なかなか出せません」という相談は多いです。原因が「ネタがない」よりも、会社の中で外向きに発信する情報が、うまく吸い上がってこない仕組みの問題に帰結するケースが多いと感じています。
結局、SEOは組織論に着地することが多いです。会社全体の理解があるか、現場とマーケ側の関係性がどうか、そこが大きいです。
世の中の情報を見ると「コンテンツ出しましょう」「FAQ作りましょう」と簡単に書かれています。でも、そんな簡単に作れたら苦労しない、というのが本音だと思います。
担当者の方は特に分かっているはずです。時間を取ってもらえない、協力が得られない、フィードバックが返ってこない。頑張って月に1〜2ページ作っても、それだけでは効果が出にくい、という壁に当たります。
私の仕事でも、みんなで集まってミーティングをして、状況を整理して、なんとか動ける形を作る、という場面が増えました。外から来た人間が“悪者”になった方が早いケースもありますし、間に入って理解を深めることで、営業さんなどがメリットを提示して協力が進むケースもあります。
ウェットな人間関係の調整が必要になることも多いです。ただ、ここがうまく走り始めると、会社として自走できるようになっていく感覚があります。
AIを使えば記事は作れます。ですが、それだけだと評価されない、というのが私の感覚です。E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)で言うと、特にExperience(経験)にあたる、現場から上がってきた声や言葉遣いをベースにしたコンテンツは、お客さんに響きやすいです。
響きやすいのであれば、結果としてそういったものを評価する方向にアルゴリズムも寄っていくはずです。だからこそ、独自の経験や実際の現場の中身を、きちんとコンテンツに“浄化”していける会社が強い、という話になります。
少し話を広げると、ChatGPT-5に変わったことで、モデルの傾向が変わったと私は感じています。いわゆるLLM(大規模言語モデル)は「大量の知識を中に持って引き出す」方向が強かったわけですが、GPT-5は外部ツールを使って情報を取りに行き、理屈を組み立てる“頭脳”を強化した、という説明がされています。
実際に使っていると、検索機能で外部に情報を取りに行く動きが増えた印象があります。どこに取りに行っているかは分かりませんが、おそらくGoogleでしょう、というのが概ねの推測ではあります(※恐らくここは今後変わっていくでしょう)。
ここまでの話をつなげると、Google上で評価が高いものが、結果的にChatGPT側でも引用される可能性が高い。つまり、ChatGPT対策といっても、今のところは「Googleでの評価を上げること」が間接的に効いてくる、というふうに考えてもいいかなと思っています。
また、プランによってコンテキストの長さが違うなど、使い方によって体感も変わります。私はProプランを使っていますが、そこでの感覚が前提になっている点は正直あります。
「ChatGPT対策しませんか」という営業は来ますが、私の現場感としては、Web上のトラフィックのうちChatGPTなどAI経由のトラフィックは、出やすそうな商売でも1%もないケースがほとんどです。
もちろん購買意欲が高いお客さんが来ることもあって、無視はできませんが商材によりけりです。
今のところその1%に全力を投じるより、まずやるべきことが多い企業さんが大半。
AI対策は、やることがなくなった人がやるならいいですが、優先順位として最初に手を出す領域ではない、というのが私の体感です。
新しいものが出てくると、「これで一気に追い抜けるかも」と思いたくなるのは分かります。ただ、AI対策だけやってもどうしようもない、というのが私の結論です。
まずは従来のSEO、つまりユーザーに役立つコンテンツ提供と使いやすいサイトづくりを進める。そのうえで、必要に応じてAI対策のエッセンスを足していく。これが、いま一番コストパフォーマンスが高い進め方だと思います。
もし、いま自分たちがやっていることが正しいのか不安だったり、会社の中の仕組みづくりから整理したい、ということがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせが多く、少しお待ちいただく場合もありますが、先にいただいたものから順にお返事しています。最後までお聞き(お読み)いただき、ありがとうございました。
私は難しいと考えています。AI OverviewsやAI Modeは“特別な別ルール”というより、Google全体でのサイト評価が土台にあって、その上で見せ方として乗ってくるものだ、という見立てだからです。
外部データの観測として、順位下落とAI Overviews露出低下がセットで起きる傾向が示された、という話があります。Google公式の断言ではありませんが、AIの露出もGoogle全体の評価の影響を受ける、という考え方は押さえておくと良いと思います。
私の整理では「特別な一発逆転策」より、まず従来のSEOの土台です。役立つコンテンツ、使いやすいサイト、内部リンクで情報をつなぐ、といった基本を整えた上で、必要ならAI向けのエッセンスを足す、という順番になります。
現場感としてAI経由の流入はまだ小さく、1%未満のケースも多いです。購買意欲の高い流入はあり得るので無視はしませんが、優先順位としては、まず従来のSEOやコンテンツ体制の整備が先だと考えています。
ネタ不足というより、社内で情報を吸い上げて形にする流れができていない、という“仕組み(と人間関係)”の問題に落ちることが多いです。現場とマーケ側の連携を作り、継続的に出せる状態にすることが、結局いちばん効きます。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
AI検索対策の関連ガイド
SEOを土台に、LLMO・GEO・AIOへどう対応するかは、SEOを土台にしたAI検索対策で体系的にまとめています。
投稿 第565回:AI-SEOだけ行っていませんか?AI検索対策で重要なのは今まで通りの土台強化 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、SEO(検索エンジン最適化)業界の「何で儲けているのか」、売上の作り方がどう変わってきているのかを、現場の肌感覚ベースで整理します。
結論から言うと、SEO業界は「ストレートなSEO施策を回すだけ」で食べている会社が、体感として相当少なくなっていると思っています。コンテンツ制作やローカルSEO(MEO)、AI対応など“今響きそうなもの”を売りつつ、人材や教育(ツール/研修)など複数の柱を持って利益構造を分散させている会社が増えています。
なお、ここで話す内容は、上場している会社が多い世界でもなく、外部にBSなどの情報が十分に出ている領域でもありません。あくまで私のネットワーク内での情報や、お客さんに出されてくる提案資料を見ての「現場からの肌感覚」として捉えてください。
「SEO業界は何で売上を立てているのか」と聞くと、多くの方は「SEOのお手伝いをして成果を上げる部分」だと考えると思います。昔はそれで効果が出ましたし、テクニカルな施策で成果が出せた時期も長くありました。
一方で、2014年前後に「コンテンツマーケティング」という言葉が日本でも広まり、インバウンドマーケティングのような“待ち受けて育てていく”考え方が普及していきます。その流れの中で、コンテンツに「SEO」という言葉がくっついて「コンテンツSEO」という形で売られるようになり、テクニカルが通用しにくくなってきた分を、コンテンツ制作が補う構図が長く続きました。
ただ、私の感覚だと、今は「テクニカル+コンテンツ」だけでは、正直もう食えない状態に近いです。ここが今回の話の核心です。
テクニカルの仕事がゼロになったわけではありません。サイト全体の診断(オーディット)や、大規模サイトのメンテナンスのような業務は、四半期に1回、あるいは年1回といったスパンでも需要があり、単価もそれなりにつきます。
ただし「毎月、テクニカルにチューニングして順位を上げ続ける」形の継続業務は、成立しにくくなっています。やることが限られてきますし、提案しても現場が動かないことがボトルネックになりがちです。
さらに、オーディットのような作業もAI(人工知能)で楽になってきた実感があり、単価はもっと下げてもいい、敷居を下げてもいいと感じる場面も増えました。こうなると、テクニカルだけで継続売上を作るのは難しくなっていきます。
コンテンツ制作は、成果物(記事など)ができるので売りやすい領域です。だからこそ長くSEO施策の中心にありました。ただ、昔ながらの「サジェスト網羅で量産する」ような作り方は、今は本当に効果が出にくいと感じています。
Search Console(サーチコンソール)で見ても流入がない、というケースは多いですし、サイト全体のトピッククラスターの観点でも評価(Googleからの評価)が押し上がっているかというと、変わっていないように見えることもあります。ここにお金を払っている側も気づき始めていて、「月10万、20万払っているけど意味がない」と感じる流れが出てきています。
その結果、提案でコンテンツを持ってくる会社のページ単価が下がり続けています。高い値段では売れなくなってきた、ということだと思います。
ここからは「こうしましょう」というより、状況の共有です。特定の企業を名指しするつもりもありませんし、下品なことはしたくないのでしません。
ローカルSEO(MEO)は、造語的に使われることも多いですし、悪い話が多い領域でもあり、実際に悪い業者もすごく多いと思っています。ただ、それに混じりながらも「サイト上のSEOが通じにくいなら、Googleマップでどうするか」を売る営業は増えている印象です。
一方で私は、ローカルSEO(MEO)を「お金を取って単体でバンバンやるもの」としては、あまり成立しにくいと見ています。結局、サイトの改善になってきますし、情報を100%にしたところで伸びるとは限りません。そうすると、嫌でも「口コミを集めよう」に寄っていきがちですが、本当はサービスの改善や商品の改良の話に戻ってきます。
つまり、もはやSEOだけの話じゃないよね、というところに着地しやすい。ここは、依頼する側が構造として知っておくと損がないポイントだと思います。
AI対応を謳って「こういうものにしましょう」「既存のサイトを回収(改修)しましょう」という提案も増えているように感じます。日本にも導入されていないものを含め、海外でもGoogleが試行錯誤している段階で、先が見えにくい部分はあります。
ただ、今からやっておいて損はない、という意味では需要が生まれやすい領域でもあります。だからこそ、提案する側も応じる側も増えているのだと思います。
もう一つ大きいのが人材系です。人材マッチングや、間に入って担当者を送り込む、フリーランスと企業を結びつけて手数料を取るモデルは、ウェブマーケティング系の会社全般で、前から種まきをしてきた会社が多いです。
品質はサービスと担当者次第で一概に良し悪しは言えませんが、売上としてインパクトがある会社が増えているのは事実だと思います。ニーズがあるから商売として成立している、という考え方・方向性です。
さらに増えているのが教育系です。SEO会社だけでなく、制作会社やSEOが分からない代理店、地域の元請けのような立場に対して、SEO系ツールやコンテンツ系ツールを売る、いわば“ツルハシを売る”モデルです。
海外のツールだと特に、トレーニングコースの案内や、最初にどう始めるかのミーティング設定がセットで入ってくることが多いです。うまくやっているところほど、そのツールを使う前提でのSEOの考え方や学習コンテンツが充実しています。
そして、ここにAIを絡めると作りやすくなるので、今後ここをやろうとする会社は増えると思います。加えて、対人の営業や個別サポートが苦手な会社はどうしても多いので、ツール販売や教育はハマりやすい構造だと感じています。
SEO業界は、皆さんが思っているような「SEO施策を回して成果を出すだけ」で食っている会社が、相当少なくなっていると思います。いろいろな形で売りながら柱を作り、利益構造を分散している会社が増えている状況です。
だからこそ、お願いするときは「自分が頼みたい分野に関して、その会社が今どれくらい上手なのか」を必ず確認した方がいいです。正直、会社の看板と、実際に強い領域がズレていることは起きます。
特に規模感のある会社だと、人材系とツール/教育で整形を立てているところも多いので、もし自分が「いわゆるSEO」を頼みたいなら、その領域の体制や実績、誰がどこまでやるのかはちゃんと聞いた方がいいと思います。
人材系は、うまくハマれば儲かる構造です。手数料は会社によってかなり違いますし、あまりに高いところはどうかなと思うこともあります。
ただ、マッチングは手数が多いですし、保険も含めて“ほどまり良く”しなければいけない事情もあるので、分かる部分もあります。少なくとも「何に対していくら払うのか」は曖昧にせず、納得できる形にした方がいいです。
また、「某動画教材サイト」みたいに、手数料が高い構造が当たり前になっている世界もありますよね。恐ろしいのはその高さであって、仕組みとしては成立しているからこそ、余計に判断が鈍りやすいという話です。
ここからは余談のさらに余談です。AIモードがいつ来るのか、どんな見せ方が主流になるのかでドキドキしている人は多いと思いますが、一番ドキドキしているのはこの業界の人々だと思います。
すでにAIモードが入ってきて、それ以外にもいろんな見せ方がテストされている中で、怒っているウェブマスターやSEO会社の人も多い。争いが絶えない状況になってきている、というのは体感としてあります。
日本ほど雑な戦いは、リベートに慣れた国はやらない、という考え方・方向性もありますが、なかなかこのあたりは燃えそうというか、PVが稼げそうなネタに乗っかっちゃっているような状況もある。ある意味、コンテンツマーケティングの敗北と言えるのかもしれません。
ゼロクリックサーチが増えて、広告に関してはGoogle側がいろいろ調整をかけてくれるし、売上の軸でもあります。速攻性があるからテストもできるし、実際どうなるかのPDCA(Plan-Do-Check-Act)も高速に回せるので、短期でプラスが出やすい面はあると思います。
SEOに関して言うと、単体で考えちゃダメだと思っています。SEOは手段でしかない、という前提に立ってください。
会社として、どうやったら自分たちのターゲットエリアの人たちに存在を築いてもらって、ブランドを作っていくのか。そこはSEOでやることではなく、もっとオフラインも含めて会社全体としてやっていって、デジタル/Webの分野でうまくやっていく。その中の手段の1つとしてSEOがあります。
この主従関係を間違えると結構大事故になるので、ここは気をつけましょう、という話です。
最後に、うちの立ち位置も補足します。うちはSEOの専門会社ではありません。
端的に言えば、中小企業さん・小規模企業さんで「Webをなかなか活用できない」「やろうと思ったけど失敗してしまって次は失敗したくない」「どこから直したらいいか分からない」というところに寄り添いながら、伴走して右腕になって、計画を立て、戦略を立て、作戦を立てて一緒にやっていく。ノウハウを貯めながら、はみ出るところはワンストップで作業代行する、という仕事をしています。
とはいえ、広告はまだペイする状況にないことも多いので、まずは検索エンジンからアクセスを集められるようにしながら、Webサイト(Webサイト)を良くしていく、という流れが多い。結果としてSEOのノウハウや話題が増えてしまう、という状況はあります。個人的に好き、というのもあります。
お客さんの興味関心も「どうやったら検索順位を上げられますか」「どうやったらアクセスを集められますか」より、「どうやったら反応を取れますか」という、もっと重要な部分にフォーカスしてきている感覚があります。情報の非対称性をうまく利用して案件を取ろうとするやり方もあるので、事業目線で臆せず立ち向かえる状態を作っていけるといいですよね。
ということで今回は、SEO業界は「思っているような商品構成ではなくなっていますよ」という話でした。人材面でも流出があって、事業会社側に流れちゃっているケースも多い、という感覚もあります。
SEO会社の提供価値が変化する中で、支援範囲をどこまでと考えるべきか。中小企業のSEO対策と守備範囲では、SEOをWebマーケティングの一部として捉え、社内に残す判断と外部の専門家へ任せる作業を扱っています。
昔はテクニカル施策やコンテンツ制作が中心でしたが、今はそれだけでは継続売上が作りにくいと感じています。ローカルSEO(MEO)やAI対応を売りつつ、人材(マッチング/派遣)や教育(ツール/研修)を柱にして、利益構造を分散させている会社が増えている印象です。
オーディットのようなスポットの需要は残りますが、毎月やるべき“チューニング”は限られてきます。さらに、提案しても現場が動かないことがボトルネックになりやすく、施策を回してPDCAを回す形が継続業務として成立しにくい、という感覚があります。
Search Consoleで見ても流入がないケースが多く、サイト全体の評価(Googleからの評価)を押し上げているかというと、変わっていないように見えることがあります。その結果、費用対効果に疑問を持つ側が増え、記事単価も下がりやすくなっている、という話です。
ローカル領域は悪い業者も多い印象がありますし、単体の小手先で伸びる話になりにくいと考えています。依頼するなら、その会社がローカルをどれくらい得意としているか、何をどう改善し、何が成果物で、どこまでが運用範囲かを具体的に確認しておくのが安全です。
会社として、どう認知を作り、どう信頼を積み上げ、どう反応を取るかが先にあって、SEOはそのための手段の1つに過ぎません。主従関係を取り違えて、SEOを目的にしてしまうと大事故になりやすいので気をつけたい、という話です。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第564回:SEO業界の「提供価値」と「収益の柱」はどんどん変わっている…? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、お客様からよく聞かれる「SEOのニュースは、どれぐらいチェックしたらいいのか」という話です。
SEOでは昔から、最新情報を押さえていないと間違ってしまう、流れてきたニュースを適切に解釈できないと良くない、と言われてきました。広告やSNSなど、ほかにもマーケティングの分野はいろいろあるのに、SEOは妙にスピードが速く、たくさんの情報を押さえなければいけないという風潮があったように思います。お客様にも「日々追っていかなければいけないんですかね」と危機感を持っている方が多いです。
ここでは、2025年8月4日に出た7月分の月間レポートを読みながら、その時点で私が感じていた情報収集の頻度や、時間のかけ方についてお話しします。
結論から言うと、当時の私の感覚では、1週間に1回でも多いのではないか、月に2、3回ぐらいでいいのではないかと思っていました。そこに時間をかけて情報収集をしたところで、得られるものがかなり少ないという感覚です。
私もSEOだけを専門にしているわけではなく、企業さんのWebマーケティングやデジタル関連の、よろずのコンサルティングやお手伝いをしています。ほかの分野も情報収集していますが、SEOの情報をチェックしなければ、という頻度は相当減ってきていました。減らしていても、大して影響がないと正直思っていたんですね。
10年、15年ぐらい前、ペンギンアップデートやパンダアップデートという名前が出始めた頃、あるいはその前は、Googleのアルゴリズムがまだまだ未成熟でした。Googleも細かい情報を出していましたし、特許情報など、ヒントになりそうなものからいろいろな考察をするブログもたくさんありました。
私も2003年か2004年ぐらいから、Webマーケティング全般、実質ほとんどSEOのブログをやってきたので、その頃の空気感はある程度分かっているつもりです。その時代には、きちんと追いかけることで、他社に先駆けてSEOハックのようなものを見つけ、仕掛けられることが確かにありました。あるいは「こういうことをやったらまずい」という情報を早くつかみ、対応して改善することもありました。
それが2025年のこの時点で、どれぐらい通用するかというと、私にはほとんどないように感じられました。
例外として、アルゴリズムアップデートの日程や、いつ終わったか、ざっくりどういう変動の傾向があるかは押さえておいた方がいいと思います。各社、いろいろなメディアが情報を出していますからね。
ただ、それ以外は正直、新しいネタがほとんどないと感じていました。海外の老舗サイト、Search Engine Roundtableが「Webmaster Report」という月間の振り返りを出しています。7月分を読んでも、あまりネタのない1か月だったな、と思ったんです。
情報が少ないというより、考えたり、考察したり、テクニックを出したりする余地のある情報が少なくなってきた、ということですね。昔もGoogleが「こうしたらいい」と細かく教えていたわけではありません。それでも、人間が考察する余地があったので、記事を追いかける価値がありました。
当時の私には、Googleの言うことが、極端に言えば「品質の高いコンテンツを作り、オリジナルの内容を入れ、ユーザーのニーズに合うものを、信頼性を担保しながら作りましょう」という、抽象度の高い話に見えていました。そこから細かいテクニックを考察するのは、ほとんど不可能ではないかと思ったんです。
そういう状況を受けて、SEOのメディアにも少し「うーん」と思う傾向を感じていました。ニュースのネタは少ない。でもトラフィックを集めなければいけない。その結果、少しずつワイドショー化しているように感じたんですね。
Googleの中の人がどこかで発言すると、細かく突っ込みを入れたり、本当にちょっとしたことが一つの記事になったりする。AIの出現で大きな変化が起きて、うまく乗れている人と、そうではない人の間に分断がある中で、そういう記事が出ると、うまくいっていない方からは恨み節が流れてきます。うまくやれている側や、そうしたサービスを提供する側からは歓迎する声が出て、一定盛り上がるんです。
意図しているかどうかは分かりませんが、一般のニュースでいう分断をあおるような情報が増えている気がして、それが嫌だなと思っていました。
当時の例として、Googleの公式アカウント「Search Liaison」と、ダニー・サリバン氏をめぐる話がありました。もともとメディア側にいた方で、SEO関連の情報を伝える立場だったんですが、その立場での発言をやめ、アカウントも別の広報アカウントへ統合するという話が出ていたんですね。
それに対して「Googleは我々との対話を軽視するようになったのではないか」「AIなんてひどいものだ」と、かなり強く反応しているところがありました。ただ、私には、Googleの中での体制変更の結果と考えてもおかしくないように見えました。二つのアカウントは、お互いの投稿をリツイートするなど、発信内容も大して変わらなかったので、統合してもおかしくないのではないか、と思ったんです。
Googleには、ダニー・サリバン氏やゲイリー氏、ジョン・ミューラー氏などが、Redditのような場所にまで出ていって質問に答える文化がありました。昔のマット・カッツ氏の頃から、個人が直接、比較的オープンにコミュニケーションを取ってきたわけです。
その人たちのちょっとした言動がすぐニュースになり、いろいろな推測まで加わる。昔ならトップストーリーにならなかっただろうという細かい話までニュースになっていて、正直、知っていても知らなくても大して変わらないものが多いと感じました。
おそらく、細かい考察をする余地がなくなってきたことも関係しているのだと思います。AI駆動になってきたことで、Googleの中の人でもアルゴリズムのすべてを頭で理解できるような形ではなくなり、外からも考察しづらくなっているのではないか、と私は捉えていました。考察するなら、大きなデータを取り、そのデータから論旨を組み立てるような、かなり手間のかかる情報を出すことになる。そんなものは毎日出せないですよね。
実際に、2025年8月4日に出たSearch Engine Roundtableの7月分のWebmaster Reportを読んでみました。Googleのアップデート、AI、SEOのさまざまな話題、マップやSearch Consoleなどのツール、といった内容に分かれていました。
2025年6月のコアアルゴリズムアップデートについては、「アップデートがありました」「展開が終了しました」「終わった後も変動が続いています」といった記事です。ボラティリティというのは変動のことですが、変動は常に大きいので、それをニュースにするのもなあ、という感じでした。
ほかには、ヘルプフルコンテンツアップデートで落ちたサイトの一部が戻ってきたという話や、またランキングの変動が激しくなったという話。私が見た範囲では、アップデートがあり、その後も変動が続き、一部で回復が見られた、という細かい報告が中心だったんです。
GoogleのAIに関しては、AIモードでテスト的にいろいろなものを入れたという話や、インド、イギリスへ拡大したという話が、細かくニュースになっていました。
SEOの話題では、「インデックスされていないサイトは、Googleがサイト全体を信頼していないことを意味する可能性がある」といった見出しもありました。これは私が断定しているのではなく、当時読んだニュースのタイトルです。「信頼度が低いからかもしれません」で、一つの記事になるんですね。
アメリカで州ごとに製品価格が違う場合、それをサポートしていないかもしれない、というニュースもありました。世界の情報を押さえている有名なSEOメディアでも、そういう細かい話をたくさん記事にしている。昔は同じぐらいの記事数でも、一つひとつにもっと読み応えがあったように思います。
そのぐらいの細かさなら、2週間に1回など、まとめて押さえるぐらいでも問題ないのではないか。それを毎日追う時間があるなら、AIを使って今の仕事をどう効率化するか、一人ひとりのできる仕事の幅をどう広げるかに使った方がいいと、私は思いました。
SEO関連の作業でも、どこを省力化できるか、AIがどこを得意としているか、自分が使いこなすにはどんな練習が必要か。ニュースを早く知ることより、実際の仕事に使えるようになることへ時間を割いた方がいいという判断です。
毎日追って、コアアルゴリズムアップデートにいち早く気づいたとしても、それだけで何かできるかというと、難しいんですね。順位が落ちたらどう回復するか、どうすれば伸ばせるか、という情報が出るまでには時間がかかります。分析が大変ですし、出てきた話も二転三転する。すぐ検知できたからといって、すぐ手を打てるわけではないと思うんです。
「最新情報を押さえていないとまずいですよ」「今いちばん新しい方法は」といったセールストークにも気をつけた方がいい。その瞬間には方向性として正しくても、すぐ変わってしまう可能性があります。
私としては、サービスや製品を磨き、どうすれば皆さんに知ってもらえるかを考え、そのためになりそうなことをやる、という方向へ向かうしかないと感じていました。もちろん、テクニカルな部分でやるべきことはたくさんあります。ただ、それは最新ニュースを追い続けないとできないものではなく、かなり定式化していると考えています。
情報を追っていないと遅れてしまう、損をしているのではないか、と心配している方には、そこまで不安にならなくてもいいとお伝えしたいです。月に1回だと、さすがに少し間が空くかなとも思うので、私なら2週間に1回ぐらい、海外のまとめサイトの見出しをざっと見て、興味を持ったものを開くぐらいでいいのではないかと考えます。
当時はAIモードやAI Overviewsによる変化の中で、トラフィックが集まらなくなったり、その先の見込み客との関係づくりが機能しなくなったりして、直接ダメージを受けた人たちもいました。Googleの話題が出るたびに、Xで「またAIで悪い方向へ持っていっている」と反応するような状況も見られました。
そうなると、中立的な情報は集めづらい。そういう情報ほど目立たず、抽象的になりがちで、埋もれてしまうんですね。日本の会社さんが海外の情報をもとに発信するときも、どうしても目を引く話になりやすいと感じます。
だったら、細かい話を追い続けるより、大枠の方針を3か月に1回ぐらい、パートナーやお付き合いのある会社さんと相談して、「次の四半期はこういう方針でいきましょうか」とタスクを決める方がいいのではないかと思います。
軌道修正は四半期ごと、あるいは理想的には月に1回ぐらいやった方がいいとは思います。
売れるものを作り、売れるサービスを育て、それをどう知ってもらうかを考える。お客様のことを把握したうえで、どうすれば届くかを考えて積み重ねていく。漠然とした話ではありますが、そこにやっぱり裏技はないんですね。
今回お伝えしたかったのは、SEOの最新情報を追うことに、時間やコストをかけすぎない方がいい、ということです。月に1回、2回ぐらいまとめてでもいいのではないか。例外としてアルゴリズムアップデートは押さえたいですが、それも最速で知ればすぐ対策できるわけではない、というのが、この時点での私の考えでした。
業界ニュースを追う頻度と、自社への流入や検索結果の変化を見る頻度は、分けて考えたいところです。自社の状況を記録し、相談につなげる方法は、Podcast 第194回:SEOの変化を確かめ、日付付きで記録・共有するで扱っています。
情報収集を仕事の計画に結び付けるときは、Webマーケティング入門の実行計画の例もご覧ください。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第563回: SEOの最新情報は毎日追うべき?情報収集の頻度と時間の使い方 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
「ウェブサイトをリニューアルしたい」「SNSで情報発信を始めたい」「AIツールを業務に取り入れたい」。こうした新しい取り組みを始めようとしても、なかなか周囲を巻き込めず、自分が良いと思っても他の人が動いてくれない。多くの担当者の方が、そうしたストレスやモチベーションの維持に悩んだ経験があるのではないでしょうか。
変化の激しい現代において、組織としてスムーズに物事を進める力は、企業の競争力の根源とも言えます。特に中小企業では、限られたリソースの中で「いかに小さく始めて、確実に成果を積み上げていくか」が重要です。今回は、ADKARモデルという行動変容のフレームワークを使いながら、スモールスタートでウェブ活用を成功させるための考え方についてお話しします。
まず押さえておきたいのは、「周囲の人は、自分の思った通りに動いてくれるものだ」という前提を持たないことです。この前提に立つと、現実とのギャップに苦しんでしまいます。
私がよくお伝えしている視点があります。それは、「自社の人たちを、マーケティングやセールスにおける『お客様』として考えてみてはどうでしょうか」ということです。この視点を持つだけで、物事の見え方は大きく変わります。見込み客に商品を購入してもらうまでには、相手の目線に立ち、「何が不安なのか」「なぜ次のステップに進めないのか」を考えますよね。それと全く同じことを、ぜひ社内の人たちにも向けてみてください。
行動を変えてもらう、という点では、商品を売ることも、社内で協力してもらうことも、本質は同じです。相手の立場を理解し、「どうすれば気持ちよく動いてもらえるか」を考えることが、すべての出発点になります。
人の行動変容を体系的に理解するためのフレームワークとして「ADKAR(アドカー)モデル」があります。これは、人が変化を受け入れ、行動を起こすまでのプロセスを5つのステップに分けたもので、中小企業がウェブ活用をスモールスタートさせる際にも非常に有効です。
人が動いてくれない時、この5つのステップのどこでつまずいているのかを分析することで、原因が見えてきます。そして、小さく始めるための障壁を一つひとつ取り除いていくことができるのです。
特に私が現場で見ていて忘れられがちだと感じるのが、3番目の「知識(Knowledge)」と4番目の「能力(Ability)」のステップです。ここにこそ、スモールスタートが進まない本当の理由が隠れています。
例えば、最近よくある生成AIの話。「ChatGPTはこんなに便利で、時短もできる」という情報を知っていて(認識)、自分も楽になるなら「やりたい」と思っている(欲求)。ここまではスムーズです。しかし、「じゃあ、なぜ使っていないの?」と聞くと、手が止まってしまう人が少なくありません。
この「やりたいのに、やっていない」というギャップの背景には、知識と能力の壁が隠れています。知識の壁とは、「アカウント作成は?」「個人情報はどこまで入力していいの?」「書き込んだ内容は誰かに見られる?」といった具体的な使い方への不安や疑問です。能力の壁とは、「新しいことを覚える時間的・精神的な余裕がない」「会社の上の人がAIに否定的で、使っているところを見せたくない」といった、スキル以外の環境的な制約を指します。
こうした状況を理解せずに「やる気がない」と結論づけてしまうと、話は進みません。「何が不安なのか」「何が妨げになっているのか」を丁寧にヒアリングし、ペアで作業する時間を作ったり、業務の一部を一時的に引き受けたりと、具体的な障壁を取り除いてあげることが、スモールスタートを成功させる鍵となります。
ADKARモデルと相性が良いのが「ナッジ(Nudge)理論」です。これは行動経済学の考え方で、「(肘で)そっと後押しする」という意味の通り、何かを禁止したり、報酬で釣ったりするのではなく、小さなきっかけを与えることで、人の行動を良い方向に変えていこうとするアプローチです。
例えば、こんな事例があります。経費削減のために「紙を節約しろ」「無駄な印刷はするな」と言うのではなく、プリンターの初期設定を「両面印刷」にするだけで、紙の使用量が減った。「エレベーターではなく階段を使え」と呼びかけるより、階段に「この段数で〇〇カロリー消費」と表示する方が、利用者が増えた。アイデア共有会のような重い場を設けるのではなく、休憩室にホワイトボードを設置し、誰でも気軽に書き込めるようにしたことで、意見交換が活発になった。
強制するのではなく、「ちょっとやってみようかな」と思えるきっかけを作ることがポイントです。以前のポッドキャストでお話しした「毎日30秒のウェブサイト振り返り」も、このナッジ理論に近い考え方に基づいています。ADKARモデルで障壁を分析し、ナッジ理論で小さく始める。この組み合わせが、中小企業のウェブ活用におけるスモールスタートの成功率を高めます。
「日経トップリーダー」2025年8月号に掲載されていた中小企業の特集に、非常に示唆に富んだ事例がありました。ある企業が、自社で商品パッケージを作る際に生成AIを活用したのですが、その使い方が印象的でした。
多くの場合、私たちは生成AIに「一発で正解のデザイン」を求めてしまいがちです。そして、うまくいかないと「これは使えない」と諦めてしまうんですよね。しかし、その企業は違いました。彼らはAIを、「自分たちのイマジネーションを刺激し、気づきを得るためのツール」と位置づけたのです。
100個の失敗作から1つでもヒントが得られれば良い。自分たちが何を求めているかを知るきっかけになれば良い。そのくらいの「外れてOK」というスタンスでAIと対話した結果、最終的に素晴らしいパッケージデザインのたたき台が生まれ、細かい部分をデザイナーに依頼することで、見事にプロジェクトを成功させたのです。
これこそが、スモールスタートの本質ではないでしょうか。完璧を求めず、まず小さく試してみる。失敗から学び、少しずつ前進する。生成AIは、常に完璧な答えを返す魔法の箱ではありません。もっとゆるく、自分たちの思考を助けるパートナーとして付き合っていく。この距離感が、中小企業におけるウェブ活用のヒントになります。
社内の人を動かすことは、一朝一夕に実現するものではありません。ADKARモデルで相手の状況を分析し、ナッジ理論のように小さく始めながら、ボトルネックを一つひとつ解消していく地道な作業が必要です。
私たちコンサルティング会社としては、お客様と長く契約を結ばせていただくことが売上には繋がります。しかし、私たちが本当に目指しているのは、お客様の会社の中に変化に対応できる文化や仕組みが根付き、最終的には私たちがいなくても自走できる状態になって「笑顔で卒業」していただくことです。
AIの台頭により、既存の資産の価値が変化する中で、状況に応じて皆で動ける「足回りの良さ」こそが、これからの企業の競争力になります。ADKARモデルとスモールスタートの考え方が、中小企業のウェブ活用における第一歩となれば幸いです。
詳細はPodcastをお聞き下さい。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第562回:ADKARモデルでスモールスタートを成功させる、中小企業のウェブ活用 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、Web活用で「やらなければ」と思っていても、最初の一歩を踏み出せないときの話です。
自分が動けないこともあれば、周りを動かせないこともあります。私がご相談を受ける中で、うまく動いている会社と比べると、少し考え方が違うなと感じるところがあります。そこをお話ししたうえで、毎日30秒から始められることをご紹介します。
動き出せないときによく見かけるのは、「自社に合う、コスパのいい手法さえ分かれば動ける」という考え方です。ほかにも、「他社と同じことをしても追いつけない」「最も効率のいい方法でなければ、その差は損だ」と思っている場合があります。
最高の状態を当然の基準にして、そこから少しでも効率が落ちるならマイナスだと考える。それでは、なかなか一歩を踏み出せません。
うまくいく方法が先に全部分かってから動ける、とは限らないんですね。これは、動けない方を責めたいわけではありません。実際にやってみないと分からないことが、たくさんあるんです。
反響を得ている会社は、大金を払わないと分からない方法や、膨大なデータから見つけた特別な手法を続けている。そんなふうに思っていないでしょうか。
でも、私が実際に現場へ入ってみると、特別なことをしていない場合が多いです。違うのは、もっといい方法を探し続けるより、まず手を動かして何かを変えようとする雰囲気があるか、そういうふうに組織を動かせるか、というところです。
できることを積み上げ、その中で得た知見を使って改善してきたという会社が、本当に多いと感じます。
もちろん、資金に余裕があり、最初から専門家を入れて、自社に合いそうな方法から始められる会社もあります。ただ、多くの会社では、まずできることを行い、改善を回してきた積み重ねがあるんですね。必ずしも10年、20年ではなく、1年、2年でもそうです。
最適かどうかは分からなくても、悪くはならなさそうだから試す。うまくいかない部分があれば直す。そうして検証しながら積み上げた結果、気づけば成果につながっていた、という形です。
「他社がやっているから意味がない」とは、私は思いません。続けている取り組みなら、何か価値があるから続けられているのかもしれません。むしろ、参考にして取り組む価値があると考えています。
例えば、ある内容を自社でも書こうと思ったけれど、他社も同じテーマを扱っていた。それで「今さら書いても意味がない」とやめてしまうことがあります。でも、自社にはその説明がないのなら、あった方がいいですよね。
普通の取り組みでも、実際にやりながら覚えたことは自社の財産になります。最初は先に取り組んでいる人のやり方から学び、やがて自分たちのものにしていく。守破離という考え方にも近いと思います。
自分たちで回さなければいけない会社も多いでしょう。そのとき、思いついたことが普通だからと止めず、まずやってみてください。手を動かすことで、次に見えるものがあるんです。
自社にぴったりの方法が、ネットやSNS、営業してくる会社から自然に届くとは思わない方がいいです。私には、手法そのものより、それをどれだけ丁寧に進め、その時々に合わせて改善できるかが大きいと感じられます。
「自社の商品はこういうものです」「こういうところが喜ばれています」「だから、こういうことを伝えたい」ということが分かれば、専門会社に方法を提案してもらい、納得できるものを選ぶこともできます。
ところが、なぜ自社の商品が売れているのかを考えないまま、手段だけを探してしまうことがあります。そこへ「すごい新しい方法があります」と営業されると、乗ってしまう。でも、それだけで簡単に売れるわけではなく、お金だけがかかることにもなりかねません。
何もせず待っている間にも、取り組んでいる会社は積み上げています。後から見れば少し効率が悪かったとしても、その過程で得られるものがあります。そこも含めて考えてほしいと思います。
それでは、具体的に何から始めるか。私は、まず自社のWebサイトをどう良くできるかに目を向けることをお勧めしています。
SEOでアクセスを増やす、広告のクリック単価を下げる、SNSで話題になって人を集める。集客へ目が向きがちですが、来てもらう先のWebサイトが売れる状態でなければ、反響につながりにくいです。
逆に、Webサイトがある程度反響を得られる状態なら、少ないアクセスでも、問い合わせなどにつながる可能性があります。だから、人を呼ぶことだけでなく、来た人が見るWebサイトを確かめるところから始めてほしいんです。
皆さんは、普段、自社のWebサイトを見ていますか。チラシやDMで「お店へ来てください」と呼びかけているのに、店では誰が待ち、どんな接客をし、何時に開いているかを知らない、ということは考えにくいですよね。自社のWebサイトを思い浮かべられないのは、それと似た状態です。
まず、お客様がパソコンとスマートフォンのどちらで見ているかを確認します。分からなければ、Googleアナリティクスなどの解析ツールが入っている場合、利用状況を見てみる。半々なら両方を気にした方がいいですし、BtoBでは商品によってパソコンが多いこともあります。
最初は片方からでもいいので、毎朝30秒から1分、自社のWebサイトを見て、改善点を一つ探すことを日課にしてみてください。
「自分がお客様なら、ここがこうなっていたらいいな」「他社と比べて、ここがもう少し分かりやすいといいな」。気づいたことを、メールやメッセージで誰かへ送る方法もあります。投稿用のフォームを作り、匿名でも書けるようにして、日課にするのでもいいと思います。
そうやって意識を向けると、「他社はどうしているんだろう」「自分たちは普段、こういう言葉を使っているかな」と、自然に気づきや関心が出てきます。実際の改善につながることも多いので、すでに取り組んでいるお客様にも勧めています。
集まった気づきは、自分の中だけで終わらせず、他の人の見方と照らし合わせてみてください。責任を追及する会議ではなく、同じWebサイトを、他の人がどう見ているかを知る時間にするといいと思います。
自分には良さそうでも、別の人には違って見える。見方を変えると、気づかなかったデメリットがある。そういうことを知るだけでも意味があります。
負担にならない範囲で、月に2回、1時間ぐらいでもいいですし、毎週では重いなら、月末に1〜2時間取る形でもいいと思います。最初は1時間でも十分です。こうして共有していくと、見えてくるものが変わります。
その場だけで終わらせず、「ここを変えたい」「こうするために、これを知りたい」といったことを、簡単なチェックリストにしてためておいてください。
文字にすると、ぼんやりしていた考えがはっきりし、後から思い出せます。次の月に見返してから、また確認する。後にコンサルタントなどが入った場合も、記録があると多くのことが分かります。
毎日の小さな確認を、月ごとの共有につなげ、言葉にして残す。まずは、その流れを作ってみるといいのではないでしょうか。
何かを始めることと同時に、やったことに意味があったかを、どんな形でも確かめることは必要です。
例えば、「記事を増やした方がいいと言われたので、外注先に週1本投稿してもらっています。でも効果は分かりません」という話があります。それでは、ただ作業を続けているだけになってしまいます。
まずは社内で、意味があるのかを話すだけでもいい。理想的にはデータでも確認する。その前提は持ったうえで、何かをやってみてほしいんです。
私のお客様にも、いろいろな面で余裕が少なく、自分たちで何とかしたいという会社さんが多いです。だからこそ、最適な方法が来るまで待つのではなく、30秒の確認から始め、共有し、文字に残し、確かめる。その積み重ねには大きな価値があると思っています。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第561回: 他社の真似は無駄ではない。毎日30秒から始めるWebサイト改善 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
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