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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回のテーマは「競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか? データに振り回されないWeb解析」です。
競合調査ツールの全体的な使い方については、過去の第515回「ウェブサイト競合調査ツールの現状と、それを踏まえた上での使い方とは」でまとめていますので、全体像を整理したい場合はそちらも参考にしてください。今回は、その上に少し細かい話を乗せるような位置づけです。
競合調査ツールは、とても魅力的に見えます。
ビジネスの視点で言えば、競合の動きが見えたら助かりますし、知りたくなりますよね。
ただ、そのときに「出ている数字の根拠」を押さえていないと、現実とズレた判断をしやすくなります。
数字の作り方を知らないまま眺めていると、競合の「実体」が見えた気になりながら、じつは違う景色を見てしまう危険があるのです。
先にざっくりとした結論を言うと、競合調査ツールについては、次のような切り分けで考えると扱いやすくなります。
つまり「数字はほどほど、数字以外は普通に参考にする」くらいの距離感が、現実的だと考えています。
SNSなどを見ていると、よくこんな話が出てきます。
こういう話をしている人は、おそらくですが、ツールのヘルプをほとんど読んでいないのではないかなと感じています。
たとえば、最近よく名前が出るのがAhrefs(エイチレフス)です。
Semrushもそうですが、日本のSEO会社さんが代理店になっていて、日本語でのヘルプや解説が用意されています。
少し具体的に、Ahrefsを例にお話しします。
Ahrefsは決して安いツールではありませんが、世界的に見ると「信頼性が高いツール」として支持されています。
DRについて、Ahrefsの説明では「そのサイトのバックリンクプロファイル(どんなサイトからリンクされているか)の全体的な強さを表す」と明確に書かれています。
つまりDRは「外部からのリンク」に関する評価であって、サイト内のコンテンツや、ユーザーの行動といった内部要因は含んでいません。
ここで大事なのは、DRで比較したときに「自社はDRが低いから負けている」「DRが高いから勝っている」と単純に考えないことです。
Googleはコンテンツやユーザー行動など、いろいろなシグナルを総合して評価しています。
ヘルプを読むと、ツール側も「これはあくまでバックリンクに関する指標です」というニュアンスをわりとはっきり書いています。
競合調査ツールには、推定のオーガニックトラフィックの数字が出るものが多いですよね。
ただ、この数字もあくまで推定値です。
このあたりはAhrefsの用語集やブログにも書かれていますが、「あくまで見積もりであって、実際のアクセス数そのものではない」と自ら説明しています。
ツールが把握している検索クエリは、Googleが持っているデータと比べると、どうしても網羅性が低くなります。
特に、皆さんが関わっている業界がニッチであればあるほど、ツールが持っているデータが薄くなり、推定の誤差が大きくなります。
うちでも昔、競合調査の数字を、別のツールですが毎月PDFにまとめてお渡ししていた時期がありました。
競合の実際の数字を直接見られるわけではないので「精度が悪くなった」とまで言い切ることはできませんが、少なくとも提案資料にそのまま載せるには苦しい変動の仕方になってきた、という印象です。
なので、オーガニックトラフィックの推定値も、「全体の傾向を見る材料」くらいにとどめておくほうが、安全だと思います。
CPC、つまりクリック単価についても、ツール側は「正確性は低い」といったニュアンスで注意書きを出しています。
今の広告運用は、「特定キーワードにいくらで入札する」という固定的なやり方だけではなく、
そのため、あるキーワードに対しての実際のクリック単価は、短いスパンでどんどん変わります。
こういう前提がある中で、ツール側が出しているCPCの数字は、もともと無理のある指標です。
「この業界は全体的に単価が高そうだ」「このあたりのキーワードは低めだな」といった傾向を見るには使えますが、
実際にやってみると、こういったやり方はまずうまくいきません。
Ahrefsのサイトを見ても、CPCについては「参考値として見てください」というニュアンスの注釈が書かれています。
ここまで、
といった数字について、「どこに限界があるか」という話をしてきました。
もし、今のところこういった数値を当たり前のように参考にしているのであれば、一度立ち止まって、「自分たちの判断に本当に意味があるのか」を振り返ってみるのがおすすめです。
では、「このツールの数字がダメなら、何で調べればいいのか」という疑問が出てくると思います。
たとえばクリック単価であれば、自分で実験的に広告を出せば、ある程度の感覚はつかめます。
強いて言えば、キーワード関連で分かる範囲については、Googleの純正のキーワードツールなどの数字をきちんと見る、というくらいです。
こういう前提を置いた上で、競合調査ツールの使い方を改めて考えると、次のような方向性が見えてきます。
私はそもそもSEO専門会社ではないということもあり、今は競合調査ツールをそこまで使っていません。
競合のサイトを見たときに、
といったことを考える材料として、流入キーワードやページの情報を使うことはありますが、あくまで「数字以外」の部分を中心に見ています。
競合調査と言うと、ついツールの画面を思い浮かべてしまいますが、もともとリアルの商売で競合を調べるときは、数字を見る前にやることがありますよね。
こうした「ストレートなやり方」で競合を知ろうとするはずです。
最近は、AI関連の海外ツールが「今までにない魔法のようなツール」として語られることもあります。
華やかに見えるツールに夢を見すぎるのではなく、普通の商売の原点に戻って、目で見て、話を聞いて、考える。
この話は、以前からお伝えしている「アクセス解析の数字から入ってはいけない」というテーマと、根っこは同じです。
データを眺めてから「さて、何をしようか」と考えるのではなく、
という順番で考えたほうが、ブレにくくなります。
競合調査ツールについても同じで、「数字がこうだからこうする」のではなく、
競合調査ツールをどう扱うかを決めるとき、まずできるのは「自分たちのサイトの数字とどれくらい合っているか」を確認することです。
それで全然合っていないようであれば、その業界ではツールの数字があまり役に立たない、という判断もしやすくなります。
「数字としてきっちり扱えるもの」は、基本的に自分たちが直接取得している一次データだけだと考えておくと、最初は安心です。
これらは、自社サイトについての一次データです。
最後に、お金の話も少しだけ。
私の考えとしては、「競合調査ツールは必須ではない」と思っています。
結局のところ、
というモデルは、これからますます持ちこたえにくくなっていくと思います。
少なくとも、
といったことを、自社内でも会話できる状態を目指したほうが、長期的には安心です。
今回の内容について、「ここをもう少し詳しく聞きたい」「自分のところの場合はどう考えればよいか」といったご質問があれば、気軽にご連絡ください。
中小企業専門でWeb活用のサポート(コンサルティング・制作など)を行っている、ラウンドナップWebコンサルティングの中山が、可能な範囲でお返事させていただきます。
続きはPodcastをご覧下さい。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第530回:競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか?データに振り回されないWeb解析 は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。
By ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回のテーマは「競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか? データに振り回されないWeb解析」です。
競合調査ツールの全体的な使い方については、過去の第515回「ウェブサイト競合調査ツールの現状と、それを踏まえた上での使い方とは」でまとめていますので、全体像を整理したい場合はそちらも参考にしてください。今回は、その上に少し細かい話を乗せるような位置づけです。
競合調査ツールは、とても魅力的に見えます。
ビジネスの視点で言えば、競合の動きが見えたら助かりますし、知りたくなりますよね。
ただ、そのときに「出ている数字の根拠」を押さえていないと、現実とズレた判断をしやすくなります。
数字の作り方を知らないまま眺めていると、競合の「実体」が見えた気になりながら、じつは違う景色を見てしまう危険があるのです。
先にざっくりとした結論を言うと、競合調査ツールについては、次のような切り分けで考えると扱いやすくなります。
つまり「数字はほどほど、数字以外は普通に参考にする」くらいの距離感が、現実的だと考えています。
SNSなどを見ていると、よくこんな話が出てきます。
こういう話をしている人は、おそらくですが、ツールのヘルプをほとんど読んでいないのではないかなと感じています。
たとえば、最近よく名前が出るのがAhrefs(エイチレフス)です。
Semrushもそうですが、日本のSEO会社さんが代理店になっていて、日本語でのヘルプや解説が用意されています。
少し具体的に、Ahrefsを例にお話しします。
Ahrefsは決して安いツールではありませんが、世界的に見ると「信頼性が高いツール」として支持されています。
DRについて、Ahrefsの説明では「そのサイトのバックリンクプロファイル(どんなサイトからリンクされているか)の全体的な強さを表す」と明確に書かれています。
つまりDRは「外部からのリンク」に関する評価であって、サイト内のコンテンツや、ユーザーの行動といった内部要因は含んでいません。
ここで大事なのは、DRで比較したときに「自社はDRが低いから負けている」「DRが高いから勝っている」と単純に考えないことです。
Googleはコンテンツやユーザー行動など、いろいろなシグナルを総合して評価しています。
ヘルプを読むと、ツール側も「これはあくまでバックリンクに関する指標です」というニュアンスをわりとはっきり書いています。
競合調査ツールには、推定のオーガニックトラフィックの数字が出るものが多いですよね。
ただ、この数字もあくまで推定値です。
このあたりはAhrefsの用語集やブログにも書かれていますが、「あくまで見積もりであって、実際のアクセス数そのものではない」と自ら説明しています。
ツールが把握している検索クエリは、Googleが持っているデータと比べると、どうしても網羅性が低くなります。
特に、皆さんが関わっている業界がニッチであればあるほど、ツールが持っているデータが薄くなり、推定の誤差が大きくなります。
うちでも昔、競合調査の数字を、別のツールですが毎月PDFにまとめてお渡ししていた時期がありました。
競合の実際の数字を直接見られるわけではないので「精度が悪くなった」とまで言い切ることはできませんが、少なくとも提案資料にそのまま載せるには苦しい変動の仕方になってきた、という印象です。
なので、オーガニックトラフィックの推定値も、「全体の傾向を見る材料」くらいにとどめておくほうが、安全だと思います。
CPC、つまりクリック単価についても、ツール側は「正確性は低い」といったニュアンスで注意書きを出しています。
今の広告運用は、「特定キーワードにいくらで入札する」という固定的なやり方だけではなく、
そのため、あるキーワードに対しての実際のクリック単価は、短いスパンでどんどん変わります。
こういう前提がある中で、ツール側が出しているCPCの数字は、もともと無理のある指標です。
「この業界は全体的に単価が高そうだ」「このあたりのキーワードは低めだな」といった傾向を見るには使えますが、
実際にやってみると、こういったやり方はまずうまくいきません。
Ahrefsのサイトを見ても、CPCについては「参考値として見てください」というニュアンスの注釈が書かれています。
ここまで、
といった数字について、「どこに限界があるか」という話をしてきました。
もし、今のところこういった数値を当たり前のように参考にしているのであれば、一度立ち止まって、「自分たちの判断に本当に意味があるのか」を振り返ってみるのがおすすめです。
では、「このツールの数字がダメなら、何で調べればいいのか」という疑問が出てくると思います。
たとえばクリック単価であれば、自分で実験的に広告を出せば、ある程度の感覚はつかめます。
強いて言えば、キーワード関連で分かる範囲については、Googleの純正のキーワードツールなどの数字をきちんと見る、というくらいです。
こういう前提を置いた上で、競合調査ツールの使い方を改めて考えると、次のような方向性が見えてきます。
私はそもそもSEO専門会社ではないということもあり、今は競合調査ツールをそこまで使っていません。
競合のサイトを見たときに、
といったことを考える材料として、流入キーワードやページの情報を使うことはありますが、あくまで「数字以外」の部分を中心に見ています。
競合調査と言うと、ついツールの画面を思い浮かべてしまいますが、もともとリアルの商売で競合を調べるときは、数字を見る前にやることがありますよね。
こうした「ストレートなやり方」で競合を知ろうとするはずです。
最近は、AI関連の海外ツールが「今までにない魔法のようなツール」として語られることもあります。
華やかに見えるツールに夢を見すぎるのではなく、普通の商売の原点に戻って、目で見て、話を聞いて、考える。
この話は、以前からお伝えしている「アクセス解析の数字から入ってはいけない」というテーマと、根っこは同じです。
データを眺めてから「さて、何をしようか」と考えるのではなく、
という順番で考えたほうが、ブレにくくなります。
競合調査ツールについても同じで、「数字がこうだからこうする」のではなく、
競合調査ツールをどう扱うかを決めるとき、まずできるのは「自分たちのサイトの数字とどれくらい合っているか」を確認することです。
それで全然合っていないようであれば、その業界ではツールの数字があまり役に立たない、という判断もしやすくなります。
「数字としてきっちり扱えるもの」は、基本的に自分たちが直接取得している一次データだけだと考えておくと、最初は安心です。
これらは、自社サイトについての一次データです。
最後に、お金の話も少しだけ。
私の考えとしては、「競合調査ツールは必須ではない」と思っています。
結局のところ、
というモデルは、これからますます持ちこたえにくくなっていくと思います。
少なくとも、
といったことを、自社内でも会話できる状態を目指したほうが、長期的には安心です。
今回の内容について、「ここをもう少し詳しく聞きたい」「自分のところの場合はどう考えればよいか」といったご質問があれば、気軽にご連絡ください。
中小企業専門でWeb活用のサポート(コンサルティング・制作など)を行っている、ラウンドナップWebコンサルティングの中山が、可能な範囲でお返事させていただきます。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第530回:競合調査ツールの数字、信じて大丈夫ですか?データに振り回されないWeb解析 は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。

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