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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を会社へ入れるときに、「仕事を取られる」と受け止められる職場と、うまく一緒に働ける職場の違いについてお話しします。あくまで、私が中小企業の現場で感じていることです。普遍的な原則というより、自社で考えるきっかけとして読んでいただければと思います。
うちのお客さんは中小企業がほとんどで、Web担当者も兼務という方が多いんですね。私は、むしろ兼務の方がよいと考えています。現場を知り、実務が分かるからです。お客さんに価値を届ける現場に近い方が、Webを仕事に生かしやすいと思っています。
AIと人間では、仕事の領域が重なります。これまで人がしていた仕事の一部をAIに任せるのですから、完全に別々の領域へ分けることはできません。
そこで、「人員削減をするのでは」「もう人を採らず、自分たちがAIを使って何倍も働くことになるのでは」という不安が出てきます。働く時間が何倍にならなくても、新しい道具を覚え、生産性を高めなければならない。自分たちに、さらに負荷をかけるための導入だと受け取られてしまうんですね。
そうなると、本当はAIに興味があっても、なんとなく使いづらい。すでに使っている人への風当たりが、なぜか強くなる。便利かどうか以前に、社内で使いにくい雰囲気ができてしまうことがあると感じています。
私はまず、「ここは人がやると、お客さんが喜ぶ」「対応やサービスの質が上がる」という仕事を見つけておくとよいと思っています。その仕事に集中してもらうために、それ以外をAIで省力化する。人に力を注いでほしい仕事から、AIを使う理由を考えるわけです。
もちろん、これですべて解決するとは思っていません。同じ仕事をコツコツ続けること自体がうれしい人もいます。ホラー映画やジェットコースターが好きな人も苦手な人もいるように、仕事の何に喜びを感じるかは、人によって違います。自分の好きな仕事を、AIが速くこなしてしまうのはつらいという方もいるでしょう。
その気持ちを簡単に解決できると言いたいわけではありません。今回は、組織としてどう話を進めるかに絞ります。経営側は人員削減やコスト削減からAIを語りがちですが、「人がここを丁寧に担うことで、会社の魅力を伸ばしたい」ところを先に確かめる方がよいのではないでしょうか。
理想論だけで決めず、現場に聞いて、「ここへ力を入れよう」と共有する。そのうえで、ほかの作業が減れば、ここでもっとできることがあるよね、と話すんです。現場が大切にしたい仕事と、会社が目指すことをつないでから、AIの話をすることです。
中小企業は、新しく人を雇おうとしても、なかなか採れません。人を減らしたいというより、減らしたくないのに辞めてしまった。補充しようにも応募が来ない。賃金を上げても来ない。そうして仕事が回らなくなる。人員の不安定さに困っている会社が多いと感じます。
編集注:「2025年度の人手不足倒産、確か4,500件」という説明は、確認した一次資料の件数とは一致しません。負債1,000万円以上の倒産を対象とした2025年度の調査では、帝国データバンクが441件、東京商工リサーチが442件と公表しています。調査ごとの集計値として区別し、4,500件を確定値にはしていません。
参照:帝国データバンク:人手不足倒産の動向調査(2025年度)、東京商工リサーチ:2025年度の「人手不足」倒産
人を増やすのが難しいなら、AIに任せられる仕事を任せることで、その不安定さを減らす。経営者にとっても、安定して任せられる部分が増えれば安心でしょう。今いる人が、会社として大切にしたい仕事を続けるために使うという説明になります。
「会社としてもっとやりたいことがあるので、ここにAIを使いたい。最初は慣れないし、気持ち悪く感じるかもしれない。でも、お客さんから気持ちよく感謝してもらえる仕事へ、みんなで集中したい」。同じ導入でも、伝え方によって受け止められ方はかなり変わると感じています。
特に最初の導入時の説明は、印象に残ります。そこで「人間の仕事は、みんなAIに奪われる」といった過激な話を持ち込めば、不安になりますよ。自分が生きていくための糧がなくなるかもしれないわけですから。その不安を理解したうえで、AIも含めて協力する雰囲気を作りたいですね。
経営者は先を見ているので、先々の結果だけを話しがちです。現場からすると、「いきなり何の話をしているんだ」「自分たちはもういらないのか」となってしまう。なぜその仕事を大切にしたいのか、なぜほかの作業をAIへ任せるのか。結論へ至るまでの考えも、きちんと伝える必要があります。
現場には、その人のおかげで会社が回っている、という強い人がいます。最初から「コストダウンします」「これ以上人は採りません」と持っていくと、なかなか浸透しません。現場の人が担っている役割を認め、一緒に働きやすい会社を作る話にすることが大切だと思います。
人が担当すると喜ばれる仕事は、会社やお客さんの年齢層によって違います。初回相談をフォームだけにせず、人が受けた方がよい場合もあるでしょう。定型的な確認はAIへ任せても、「ここはもう少し踏み込んで聞こう」という判断は人の方がよいこともあります。自社のお客さんとの接し方から、役割を考える必要があります。
AIは、やりすぎることもあるんですよ。レポートがどっさり出てきたり、できるだけのことを全部やったりする。一方、人なら「ここまででよい」と判断できます。どこまで考え、どこで止めるかを適切に決められる人が担った方がよい仕事もあるわけです。
情報整理はAIができても、提案そのものは、お客さんの雰囲気やこれまでの経緯を知る担当者の方が、まだ適切に判断できる場合が多いと思います。例えば、声色から「ここに不安があるのかな」と感じ取ることです。お客さんとの間で積み重ねた理解が、提案の質につながることがあります。
いずれは、グループウェアなどが過去のやり取りや会議の音声、動画から、その雰囲気まで読み取れるようになるとは思います。大企業なら蓄積したデータも多いでしょう。ただ、現状ではその精度はまだ微妙だと私は感じています。将来できそうなことと、今、人へ任せた方がよいことは分けて考えたいですね。
AIで時間が空くなら、一人ひとりが新しいことを考える時間にもできます。ただ、DeNAの南場さんのお話では、個人の作業が速くなっても、業務の進め方や組織が変わらず、新しいことへ移れなかったという問題がありました。時間を作るだけで、新しい仕事へ自然に移るわけではないので、難しい部分もあります。
参照:DeNA:南場智子「先に動かし、事業を広げる」講演書き起こし
それでも、余裕ができて、そこから何かできるのはよいことです。人が担当すると喜ばれる仕事を出し、ほかは「AI君にやってもらおうか」と考える。自分たちが大切な仕事をするために使うなら、堂々とAIを使いやすいのではないかと思います。
こうした考え方を共有するだけでなく、評価制度も関わります。AIに任せたことで、その人の評価が下がるのでは困りますよね。何を本人の貢献として評価するのかも、導入と一緒に考える必要があります。
また、AIを入れれば、今度はAIを管理する仕事が増えます。その仕事をする人や時間は確保しなければなりません。自分たちで考えるのが難しければ、導入を支援する会社へ相談した方がよい場合もあるでしょう。AIに任せた後の管理まで、誰かの仕事として決めておくことです。
具体的には、次のようなことを考えます。他社の例をそのまま使うのではなく、自社の現場に合わせたルールが必要だと感じています。
データの持ち方も会社によって違います。「こうすればよい」と言われても、そのまま合わないことがある。何かの例をたたき台にして、自分たちのルールを作る仕事は残ります。現場に合う形へ調整することまで、導入の一部だと考えてください。
AIのおかげで、会社にとって価値のあることへ集中できる。「ありがとう、AI君」と思えるような雰囲気を作れるかどうかは、組織を管理する方にとって大きな仕事です。人と人の距離が近い中小企業では、特に影響すると思います。ただ、全部を一気に変えようとすると、多分失敗します。まず2、3個の小さな仕事から始めるのがよいのではないでしょうか。
大前提として、経営者や執行役員など、上の方にもAIを理解していただきたいと思います。スマートフォンでChatGPTを少し使う、Geminiで翻訳や要約だけをする、というところから一歩進む。仕事を任せる道具として、早めに自分で触ってみることです。
例えばCodexやClaude Codeのようなものですね。触ってみるだけでも肌感覚が変わり、現場からの提案への返答も変わると思います。残念ながら、上の方が使ったことがなく、「言っても伝わらない」と現場が感じて、進まないケースも聞きます。現場の提案を理解するためにも、経営者自身の経験が必要なんです。
Webサイトでも、昔はそうでした。「本当に意味があるの」「これでお客さんが来るの」「そこにお金は使えない」と反対され、進まなかった例がたくさんあります。今では当たり前の存在で、むしろ強化しなければならない。同じようなことが、今のAIでも起きていると私は思います。触ったことがないまま、価値を判断しないでほしいですね。
従業員の方が「実は使っています」というケースも多いと感じます。ただ、人生相談、要約、議事録など、用途ごとに使うだけで終わっている場合もある。もう少し、会社の仕事全体をどう変えられるかと考える人が増えれば、中小企業にも活用できる余地はたくさんあります。
大企業向けには、会社全体の情報を使って意思決定を助けるようなAIの使い方があります。Microsoft Copilotなどで行われる方向ですね。中小企業でそこまで持っていくのは、現状では難しいと思います。私も、規模を小さくして使えるものを構想していますが、まだ難しい部分があります。できあがった仕組みがある、という話ではありません。
まずは、人とAIが一緒に仕事をしやすい会社になるきっかけにしていただければと思います。うちはAI専門の会社ではありませんが、Webコンサルティングの中で、AIを使ったツールを作ったり、使い方を一緒に考えたりしています。現場の仕事と合わせて、AIの活用をお手伝いしています。
自社の業務も、できるだけAIで効率化していますし、家の家計も、ほぼAIへ任せるような使い方をしています。WebだけでなくAIも使ってみたいという方は、ご相談いただければと思います。人手不足の中で、人が力を注ぐ仕事を考え直す。そのためのAI活用として、進めていただきたいですね。
こちらのフォームへどうぞ。 https://forms.gle/Lvy4nVauyJ2SRhJM7
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第600回:会社にAIを浸透させるには?人が力を注ぐ仕事から、任せる役割を考える は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回は、中小企業が次のサイト更新でもWordPressを選ぶべきか、その判断材料をお伝えします。いま使っている方にも、これから自分たちで更新できるサイトを作りたい方にも、一度考えていただきたい話です。
WordPressを悪く言いたいわけではありません。私自身、かなり古いバージョンから使っています。あくまで、皆さんが安全に運用し、事故に遭わないためにはどう考えたらいいかという観点です。
昔はMovable Typeが先行していた時期もありました。私の記憶では、途中でライセンスが有料になったこともあって、無料で使えるWordPressへ移る流れがありました。プラグインもどんどん充実して、いまでは自分たちでインストールするCMS(Content Management System、コンテンツ管理システム)として、事実上WordPressがまず候補になる状況だと感じています。
WordPressは、Web制作の仕事を本当に変えたツールです。手作業でページやプログラムを作っていたところから、オンラインの管理画面で更新し、プラグインで機能を増やせるようになりました。自社でWebサイトを運用する敷居を、ものすごく下げてくれた。これからも素晴らしいツールであり続けると思います。
ただ、すでにWordPressで作っていると、リニューアルでも「次もWordPressでやりましょう」となりがちです。データを移しやすいですし、制作会社にとっても基本的な作り方になっています。そこで一度、うちの管理体制で、これからも使い続けて大丈夫なのかと立ち止まってほしいんですね。
システムの管理をサービス側へ任せるSaaS(Software as a Service)型もあります。WordPressにもそうしたサービスがありますし、WixやStudioなども候補です。私たちも最近は、保守を外部へ任せる費用や社内の体制を考えると、サービス側がメンテナンスするものをベースにした方がいいのではと提案するケースが増えています。
参照:WordPress.com:WordPress.comとWordPress.orgの違い、AWS:SaaSとは
2026年8月6日にWordPress 7.0.3、6日後の8月12日に7.0.4が公開されました。どちらもセキュリティ修正を含む更新です。こうした短い間隔での更新を見ると、作った後も管理を続ける必要があると、改めて感じます。
参照:WordPress.org:7.0.3リリース、WordPress.org:7.0.4リリース
編集注:7.0.4で修正されたのは、ImagickとGhostscriptを使用するサイトで、認証済みの投稿者以上の権限から悪意あるファイルをアップロードすると、遠隔でコードを実行され得る脆弱性です。「権限があまりないところでも」という説明には、この条件が付きます。また、公式発表では自動バックグラウンド更新に対応したサイトが順次更新されると案内されており、すべてのサイトへの強制更新を意味しません。
参照:WordPress.org:7.0.4の修正内容と自動更新の案内
WordPressはPHP(PHP: Hypertext Preprocessor)を使って作られていて、きちんと更新しないと危険だという話は昔からあります。そこへAI(Artificial Intelligence、人工知能)を使う攻撃が加わり、攻撃の準備や実行を進めやすくなっています。従来の管理負担と同じつもりでいていいのかというのが、今回考えていただきたいところです。
参照:Google Threat Intelligence Group:AIを利用した脆弱性攻撃などの調査
これまでは、WordPressのメリットが大きいので、管理が必要だというデメリットをきちんとカバーできればおすすめですよ、と私たちもお伝えしてきました。ところが私は、そのデメリットの部分が、かなり大きくなってきていると感じています。WordPress側も修正や更新の案内をしています。それでも私は、対応が現実的に追いついていないと感じています。
管理体制と合わせて見てほしいのが、サイトの中にある個人情報です。問い合わせフォームは、メールで通知するだけのものもあれば、問い合わせ内容をデータベースへ保存するものもあります。Contact Form 7と組み合わせて使うFlamingoなどが、その例です。
参照:Contact Form 7:Flamingoによる送信メッセージの保存
会員など、一般の利用者がログインして使うサービスがあれば、ユーザー情報自体も個人情報になります。表に見えるページだけではないんです。WordPressは、放っておくと本当に危険の塊になってしまうという意識は持っていただきたいと思います。
私も去年だけで、うちのお客様以外を含めると、3、4件ぐらい緊急の復旧相談を受けました。悪意あるものを仕込まれてしまったケースなどです。もっと多くのサイトを制作している会社なら、さらに相談を受けているのではないでしょうか。これは本当に身近な危険なんです。
プラグインの充実は、WordPressを使う大きな理由です。以前なら開発を頼む必要があった機能を、ほぼ無料で分かりやすく追加できる。管理画面に広告が出ることはあっても、低い費用でいろいろな機能を実装できるのは、大きな魅力です。
ただ、メンテナンスが止まっていたり、脆弱性を十分に確認していなかったりするものもあります。管理画面で検索して見つけた海外のプラグインが、実はもうあまり更新されていなかった、ということもある。本体だけでなく、入れたプラグインも管理しなければなりません。
参照:WordPress.org:セキュリティと継続的な更新
自動更新はしてくれますが、更新によって表示や機能が崩れるケースもあります。中小企業で専任担当者を置くのは、なかなか現実的ではありませんよね。すぐ対応してくれる保守会社が付いているならいいのですが、その体制には費用がかかります。
保守する側も責任を負います。私の感覚では、きちんとやるなら安くても月3万円ぐらい。うちでも、コンサルティングに加えて保守までとなると、最低限で月3万〜5万円ぐらいはかかります。安く引き受ければ済む作業ではないんです。
その費用と手間に対して、自社ではWordPressの機能をどれぐらい使っているでしょうか。お知らせを更新するためだけで、重要な固定ページは結局、外部の制作会社と一緒に直している。そういう場合は、それならWordPressでなくてもいいですよねという話になります。
年に数回のお知らせやキャンペーン情報、件数、人数、残り枠など、一部だけを変えたいのであれば、必要な箇所だけ更新できるように作る方法もあります。更新したい箇所に合ったものを作った方が、管理しやすく、使いやすくなる場合もあります。WordPress以外という選択肢も考えていいと思います。
編集注:ここで比べているのは、自社が継続して保守する範囲と、その負担です。別のツールへ移れば危険がなくなる、という意味ではありません。WordPressの公式セキュリティ案内も、どのシステムでも安全の維持には継続的な作業が必要だと説明しています。
参照:WordPress.org:システムの安全を維持するための考え方
WordPressのよさは、外部との連携や独自機能を組み込みやすいところです。SaaS型には「ここまでしかできません」という限界がありますが、WordPressはやろうと思えば本当にいろいろできます。うちでもかなりカスタマイズして納品しています。自由度が必要なら、WordPressはやはり有力です。
大量のデータを入れたい、データベースのように使いたい、自分たちで機能を追加していきたい。そういう用途では、SaaS型だと難しい場合があります。ただし、重要なプラグインは、できれば有料版を含めて、きちんとメンテナンスされるものを選んだ方がいいと思います。素性や保守状況の分からないものを安易に入れないことです。
データを外部のSaaSへ預けるのが、自社の規約上難しい場合もあります。その場合は、国内のサーバーでWordPressを動かす形が選択肢になります。必要な拡張性があり、社内の担当者や制作会社が継続して保守できるなら、これからもWordPressをベースに考えるのがいいと思います。
編集注:国内サーバーなら自動的に規約上問題がなくなる、ということではありません。実際に自社の規約や契約に合うかどうかは、個別に確認する必要があります。ここでは、データの置き場所を自分たちで選ぶという選択肢を示しています。
更新するのはニュースやお知らせぐらいで、固定ページも頻繁には変えない。社内に担当者がおらず、外部へ保守を依頼する費用もいまは難しい。しばらく放置する期間もある。こういう会社には、サービス側が管理するSaaS型が向いているのではないかと思います。
私がいま候補に挙げるなら、Wixかなという気はしています。サポートがあり、機能も多く、管理画面には少し癖がありますが、費用も抑えやすい。多くの中小企業は、実はこちらに当てはまるのではないでしょうか。リニューアルの相談で、うちから候補に出すこともあります。
これは広告でも、特定の会社との提携を理由にした紹介でもありません。そのときにいいものがあれば、別のサービスをご紹介すると思います。WordPressの保守費用と、サービスへ月額を払う方法を比べて、後者の方がいいじゃないかとなるケースがある、ということです。
ネットでは、AstroやCloudflareのEmDashについて、「すごくいい」「WordPressからあっという間に乗り換えた」という話を見かけます。でも、エクスポートしてインポートすれば終わり、というほど簡単ではありません。仕組みにも癖があります。
これは私の見方ですが、発信する側が開発会社だったり、仕事上その技術を勧める立場だったりすることもあります。また、サイトからの売上を厳しく見ているわけではない人の感想もあると思います。自社と同じ条件で使った話なのかは、分けて受け取った方がいいです。
開発をある程度理解していて、新しいものを使いたい会社なら選択肢になります。私もCloudflareのサービスはたくさん使っていますし、優れていると思います。ただ、一般の中小企業が次の主力サイトに選ぶには、まだ早いと私は考えています。少なくとも、もう少し分かりやすくならないと難しいです。
表示はとても速いですし、情報の構成をプログラムで作れる。AIとの相性もいい。そうした点に関心がある開発会社などは、メインサイトではなく、小さな別サイトで試すところから始めるのはいいと思います。いきなり乗り換えるのは大変です。
「これで作りませんか」と提案された場合も、自分たちでは基本的な管理ができないかもしれません。そのことを分かったうえでの選択になります。一般の中小企業がいま比べるなら、まずはWordPressか、SaaS型かというところでしょうね。
攻撃のニュースでは大企業が目立ちますが、中小企業だから攻撃されない、ということはありません。私も最近はAIクローラー関係でログを見ることが多いのですが、AIクローラーを装って、明らかに認証情報を狙っていると感じるアクセスが本当にたくさんあります。
ちゃんと管理されていないWordPressは怖いです。ボロボロにされることも、見えないところで別の攻撃の踏み台にされることもあります。サイトが止まっている間の、社内外への影響も大きいんです。次のリニューアルを待たず、何か起きる前に乗り換えておくか、と考えてもいいと思います。
ただ、乗り換えるなら、先に社内の利用状況を確認してください。意外な部署が、意外な機能を使っていることがあります。リニューアルした後で分かると、トラブルになるんですね。うちでもサーバーのログを見て、「ここ、使っているんじゃないですか」と確認してから進めることがあります。
それから、AIツールでWordPressをいじって事故になる方もいます。仕組みが分からない方は、テーマやシステムの部分は触らない方がいいと思います。自分たちで更新できることと、システムを安全に変更できることは、分けて考えてください。
「保守を頼んでいるけれど、本当にメンテナンスされているのか」という相談もあります。実際に、契約はあっても作業されていなかったケースがあるんです。うちはどうしようかと迷っている方は、保守の実態も含めてご相談いただければと思います。無料相談でも受け付けています。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第599回:次もWordPressでいいのか?中小企業が保守体制と更新内容から考える選び方 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。GoogleのAI(Artificial Intelligence、人工知能)検索機能から、自社サイトを除外できる設定について、ご質問をいただいています。今回は、一般的な中小企業が、この設定をどう考えたらいいかをお伝えします。
先に私の考えをお伝えすると、一部の特別な事情がある会社を除いて、AIオーバービューやAIモードから自社サイトを外すのは、デメリットしかないのではないかと思っています。何を止められる設定なのかを、まず分けて考えてください。
Googleは2026年8月31日、Search Consoleの「Search generative AI」という設定を、全世界のWebサイトへ提供したと案内しました。対象はAIオーバービュー、AIモード、Discover内の生成AI機能です。自社サイトのリンクや内容を、これらの機能に含めるかどうかを選ぶ設定です。
参照:Google Search Consoleヘルプ:Search generative AI control
除外を選ぶと、自社サイトへのリンクが出なくなり、自社コンテンツも回答の根拠として使われなくなります。通常の検索結果からサイトを消すnoindexとは別です。Googleは、この設定を、ほかの検索機能への掲載や順位を決める要因には使わないと説明しています。
参照:Google Search Consoleヘルプ:除外した場合の扱い
編集注:設定は単純なオン・オフだけではなく、自社のリンクと内容を含める、除外する、親プロパティの設定を引き継ぐ、という選択肢があります。基本の設定は「含める」ですが、親プロパティがある場合はその設定の継承が初期値です。反映は通常数日かかり、設定が有効になってから1〜2日で除外されるものの、キャッシュなどで長くかかる場合もあると案内されています。
参照:Google Search Consoleヘルプ:設定の選択肢・継承・反映時間
「検索経由はそれほど重視していないし、情報を持っていかれるのも嫌だから除外しよう」と思うかもしれません。でも、ここで表示しなくなることと、AIの学習に使われなくなることは別です。学習に使わせたくないなら、別の指定を考える必要があります。この設定だけで、学習まで止めたことにはなりません。
参照:Google Search Consoleヘルプ:AI学習とは別の設定
編集注:Googleは、対象モデルの学習を制限する方法としてGoogle-Extendedを案内しています。これは独立して巡回する学習用ボットの名前ではなく、robots.txtで利用を管理するための指定です。通常のGoogleのクローラーが取得した内容の扱いを制御します。
参照:Google公式:Google-Extended
会員限定の情報や、そもそも外から見られたくない情報を守るために、この除外設定を使うものでもありません。公開範囲の管理と、AI検索への掲載をどうするかは、別に考える話です。
編集注:robots.txtはクロールへの指示であり、会員限定情報を隠す仕組みにはなりません。Googleも、非公開情報を守るにはパスワード保護など別の方法を使うよう説明しています。
参照:Google Search Central:robots.txtの限界
では、どういう会社が使うのか。正直、あまり多くは思いつかないのですが、自分たちは正しい情報を公開しているのに、要約の誤りが繰り返される場合は考えられます。公式サイトだけでなく、求人サイトなどへ掲載した情報も直している。それでも、間違った説明をされてしまうケースです。
医療関係など、少しの言い間違いが大きな問題になる分野もあります。AIオーバービューやAIモードから集客できることより、誤解による不利益の方が大きい。そういう事情があるなら、除外を検討するのは分かります。
また、検索上で新しく知ってもらう必要がなく、決まったお客様との関係で成り立っている業界もあります。ほかの販路を十分に持つ大きな会社もそうかもしれません。露出を失う影響まで考えたうえで、それでも出したくない会社が使う設定だと思います。
AIオーバービューで名前を見て、その場ではクリックしなくても、「ああ、あんな会社があったな」「よくこの名前を見るな」と覚えてもらう。その後、社名を検索し、問い合わせや成約へ向かう。私は、今はこの認知から指名検索へ進む流れが中心になっていると見ています。直接の流入だけでなく、認知の入口として考える必要があります。
「勝手に要約されたくない。公式サイトを見てほしい」という気持ちは分かります。ただ、皆さんの会社の情報は、思っている以上にいろいろな場所へ載っています。求人サイト、企業情報を集めたデータベース、第三者のブログや、昔の情報が転記されたページなどです。自社サイトを除外しても、そうした周辺情報まで消えるわけではありません。
参照:Google Search Consoleヘルプ:ほかのサイトの内容は引き続き利用される
例えば、自社では料金を改定したのに、比較サイトや過去のお客様のサイトには古い料金が残っているとします。その状態で公式サイトを回答の根拠から外したら、古い料金の方が使われやすくなってしまうのではないでしょうか。これは、公式情報を外すことの不利益を考えるための例です。
ブランドや会社の評判を守るなら、自社のサイトできちんと正しい情報をメンテナンスして、発信し続ける方が有効だと私は考えています。公式の情報を出さなくなると、間違った周辺情報を訂正する機会まで減らしてしまう。そこまで考えると、除外する理由は何だろう、と思うんですね。
Googleは、AIオーバービューやAIモードをこれからも広げていくでしょう。2026年6月の公式資料では、AIオーバービューの月間利用者は25億人超、AIモードも10億人超とされています。AIモードは選んで使うひと手間があるのに、この規模なんですよね。クリックを一つ増やすのは、簡単なことではありません。
参照:Google:2026年6月のAlphabet投資家向け説明
Googleは2026年5月の発表でも、AIモードへの質問数が、提供開始後、四半期ごとに2倍を超えて増えたと説明しています。今後の情報収集の経路として、GoogleがAIを推していく方向は見えていると思います。
参照:Google:AIモードで検索の使い方がどう変わったか
しかも、Googleのこの設定を変えたからといって、ChatGPTやClaude、Perplexityなどでの扱いまで一緒に変わるわけではありません。Googleという大きな発見経路から、自分たちを外す判断になるということです。
「AIが嫌いだから、とりあえず拒否してみよう」と変えても、すぐに売上が変わるとは限りません。すでに検討しているお客様は会社名を知っていますし、検討の途中にいます。新しいお客様が入ってこなくなった影響は、後から出てくることがあるんです。
特に法人間の取引や、個人向けでも金額の大きな商品は、知ってから買うまでが長くなりがちです。早いところなら1か月、2、3か月たった後に、パタンと反応がなくなるようなことがある。1週間試して変化がないから大丈夫、と決めるのは怖いです。すべての会社に同じ期間で起きるという話ではなく、お客様が検討する時間を含めて見てほしいということです。
ですから、一般的な中小企業は、基本的には安易に除外しない方がいいと考えています。露出や問い合わせへの影響を含めても除外したい、という理由のある会社だけが選ぶ。そのぐらいの考え方でいいのではないでしょうか。
この設定には、私の主観ですが、「選べる機能は付けたからね。表示されるのは、あなたが除外していないからですよね」というような、Google側の言い分を感じてしまいます。選択肢があるからといって、企業が気軽に選べるわけではないんですよね。
Googleは経済的な動機を使って、企業にいろいろな対応を促してきました。構造化データも、自分たちの検索結果を充実させるために、サイト側に実装してもらう。検索で見つけてもらえることが利益になるから、こちらも対応するわけです。私は、そういうやり方にジャイアニズムを感じることがあります。
それでも、Googleからの露出を失うと、Web上での集客には大きな打撃になります。納得しにくいところがあるのと、自社がそこから消えるのとでは話が違います。一般的な中小企業は、会社やサービスを知ってもらうことが大事です。記事の閲覧そのもので収益を得るメディアとは、サイトの役割が違いますからね。
内容がおかしいなら、自社サイトをきちんとメンテナンスする。ほかの会社のサイトに間違いがあれば、修正をお願いする。本来やるべきなのは、正しいサービスの情報を、分かりやすく周知することだと思います。「面倒なAIオーバービューには、もう出さない」と決めるのは、ちょっと違うのではないでしょうか。
自社サイトの中でも、ページによって営業時間などが微妙に違うことがあります。AIを使っている方なら、定期的にサイトをクロールして、情報に食い違いがないか調べさせる方法があります。古い情報や不一致を探す仕事を、AIアシスタントに手伝わせればいいんです。
クロールには、SiteOne Crawlerのように無料で使えるツールもあります。自社サイトなら、システム担当者に話を通したうえで取得し、集めた情報から「ここが古いですよ」と見つけてもらう。そういうメンテナンスの方向へ、手間を使ってほしいと思います。
参照:SiteOne Crawler公式:概要と用途
うちのサイトにも、「AIクローラーのアクセスチェッカー」を無料で公開しています。主要なAI検索用、学習用のボットに対して、robots.txtで許可・拒否がどう指定されているかを確認するツールです。検索で使われることと、学習に使われることを分けて確認したいときに使ってみてください。
参照:ラウンドナップ:AIクローラーのアクセス診断・チェックツール
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投稿 第598回:GoogleのAI検索から自社サイトを除外する?中小企業に安易な変更を勧めない理由 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、中小企業がAIの投資対効果、いわゆるROIをどう判断すべきかを取り上げます。
AIにかかる費用は、月額料金やAPIの利用料だけではありません。AIを使って何かを作る前の準備から、作った後の確認や承認まで含めて、会社全体の仕事が本当に改善したのかを見る必要があるんですね。
今回の話題のきっかけは、OpenAIが2026年7月14日に公開した、エージェント型AI時代の投資管理に関する記事です。
エージェント型 AI 時代の AI 投資管理方法 | OpenAI
そこでは、
という5つの観点が示されていました。
ただし、ここから先では、その記事をそのまま解説するわけではありません。まだAI活用が十分に進んでいない中小企業が、現場で何を基準に考えればよいのかを、私の経験をもとに整理します。
まず押さえたいのは、AIを多く使った人が、それに比例して多くの価値を生んだとは限らないということです。トークン量や利用回数は、AIを動かした量を示します。しかし、それだけでは業務が改善したのか、意思決定が速くなったのか、成果物の品質が上がったのかは分かりません。
AIでアプリを作ったとしても、1週間後、1か月後に使っていなければ、継続的な業務改善にはつながっていません。同じ作業を毎回AIに依頼し、再利用できる形にしていない場合も同様です。表面的な利用量が増えていても、根本的な効率化は進んでいない可能性があります。
私自身、何かを作るときは「これは1か月後も使い続けているだろうか」と考えます。継続利用が怪しければ、そこまでにかけた時間を惜しまず、一時利用のツールとして割り切ります。見栄えを整えたり、不要な機能を足したりする前に、繰り返し価値を生むものかを確認する方が重要です。
AI活用を社内で報告するときも、「レポートを作った」「アプリを作った」で終わらせないことが大切です。その結果、どの仕事の負担がどれくらい減ったのか、会社や業務全体にどのような価値が生まれたのかまで伝えましょう。
最初から厳密な数値を求める必要はありません。完了できた仕事、短縮できた時間、判断しやすくなった場面など、分かる範囲から成果を記録します。AIを使った量ではなく、AIによって業務がどのように変わったのかを共有する習慣が、投資判断の土台になります。
AIは、文章やレポートを作る工程を大幅に速くできます。一方で、後工程を担う人の確認作業が増えれば、会社全体の効率化につながったとはいえません。作成工程だけを切り取ると、AIを使った本人は楽になっていても、周囲に負担が移っていることがあります。
例えば、半日かかっていた記事の作成が15分になったとします。それだけなら大きな改善です。しかし、実際には、情報収集、構成の確認、事実確認、既存のトーンとの調整、表現や法務上の確認、承認、公開後の確認といった工程があります。AIの出力に不要な情報や新しい提案が増えれば、誰かがそれらを精査しなければなりません。
作成者の時間だけでなく、レビューする人、承認する人、実行する人の時間と負担も合わせて見ましょう。その結果、記事の閲覧数や次の行動へ進む人が増え、業務時間も減ったのであれば、投資効果があったと判断できます。反対に、確認を含めた総工数が増え、成果も測っていなければ、AIの活用方法を見直す必要があります。
AIで作った詳細なレポートの内容を、発表する本人が十分に把握していないケースもあります。質問されたときにその場で答えられず、回答をすべて持ち帰ることになれば、意思決定は止まります。後からAIで調べ直した長い回答が届いても、論点がずれていれば、確認の往復がさらに増えてしまいます。
必要以上に複雑な情報を出すことが、品質の高さにつながるとは限りません。判断に不要な情報を削り、作成者自身が説明できる状態に整えるところまでが仕事です。AIの出力をそのまま渡すのではなく、周囲が使える形にする工程もROIの評価に含める必要があります。
AI活用が進んでいる企業の考え方を自社にそのまま当てはめ、現時点でAIを使いこなせていない人を早くから選別するのは危険です。中小企業では、誰がどのような成果を上げるかも、その成果を評価する基準も、まだ固まっていないことが多いからです。
まずは人ではなく、タスクに焦点を当てましょう。「この人にAIの利用費用を配分するか」ではなく、「この業務ではAIの投資対効果が高いか」を見ます。業務工程を調査、作成、確認、実行などに分け、AIが向いている工程へ費用をかける方が、投資の妥当性を判断しやすくなります。
AIを使って案を作る人だけで仕事は完結しません。現場で実行する人、内容を確認する人、顧客や関係者と調整する人にも価値があります。人の優劣ではなく役割分担として捉えると、公平感を保ちやすくなります。また、AIを使う側にも、周囲の仕事まで考える姿勢が生まれます。
人材を採りにくく、外部の人とも連携しながら進める中小企業では、チーム内の協力が欠かせません。前後工程と役割を可視化し、タスク全体で評価することが、社内の軋轢を抑えながらAIを浸透させるポイントです。
AI活用を始めるとき、多くの方が成功事例を探します。しかし、公開される事例では、見栄えのよい結果や提供側に都合のよい部分が中心となり、途中の失敗、調整、社内の衝突といった重要な過程が書かれていないことがあります。
そのため、成功事例を正解としてそのまま採用するより、実際に小さく試すことが大切です。ただし、すべてを外部へ丸投げすると、自社に経験や判断基準が残りません。経験を持つ支援者からリスクや遠回りを指摘してもらいながら、自社の担当者が試行錯誤し、調整する進め方が理想です。
AIは使った方がよいという前提に立ちつつ、利用量だけを競うのは避けましょう。業務全体の価値を見て、効果を確認できたタスクへ次の投資をします。この繰り返しによって、自社に合ったAI活用の知見が蓄積されます。
中小企業がAIの投資対効果を考えるときは、トークン量や利用回数だけを評価基準にしないでください。AIを使っている時間だけを成果とせず、確認、修正、再実行、承認まで含めて、業務全体がどう変わったかを見ます。
また、投資先を人で決めるのではなく、効果が出るタスクを基準に考えましょう。AIで作る人、確認する人、実行する人の役割を合わせて評価すれば、組織内の不公平感や軋轢を減らせます。さらに、1か月後も使われているか、同じ価値を繰り返し生み出せるかを確認し、効果を実証できたタスクへ費用を増やしていきます。
AIの利用料金は、今後も無視できないコストです。一方で、AIの活用によって、費用以上の価値が生まれる可能性があります。費用を抑えることだけを目的にせず、会社全体の仕事を良くする投資として、一緒に試しながら判断基準を育てていきましょう。
以下は、背景を理解するための公式情報です。上記の実務的な提案はPodcastの内容をもとに構成しており、外部資料の情報を本文へ追加したものではありません。
A. AIの利用量ではなく、完了した仕事、短縮できた時間、判断のしやすさ、成果物の品質など、業務全体で生まれた価値を見ます。確認や承認に要した時間と負担も含めて判断します。
A. 利用量だけで評価するのはおすすめできません。AIを多く使っても、継続利用されない成果物や、周囲の確認作業を増やす出力では価値につながらないためです。何を改善したのかまで確認しましょう。
A. 作成時間だけでは判断できません。情報収集、事実確認、修正、関係者との調整、承認、公開後の確認まで含め、業務全体にかかる時間と負担が減ったかを確認しましょう。
A. 現段階では、社員を早くから選別するより、AIの効果が出るタスクを特定する方が安全です。作る人だけでなく、確認する人や実行する人の役割も合わせて評価しましょう。
A. 1か月後も使い続けるか、繰り返し価値を生むか、前後工程を含めて負担が減るかを確認します。一時利用で十分なら、見栄えや機能を過剰に整えないことも大切です。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第597回:中小企業のAI投資は「人」より「タスク」でROI(投資対効果)を見る は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、画像生成AIなどを使って広告やWebサイトのコンテンツを作ってよいのか、という話です。
このテーマは、まだ扱いづらいと感じる方が多いと思います。SNSではAIを忌避する声が目立ちますし、著作権への不安もあります。社外的には使えそうでも、社内に懸念を示す人がいて動かしづらい、という話も実際によく聞きます。
先に結論をお伝えすると、一般的な領域では、広告やコンテンツ制作への生成AI活用を検討できる段階に入ったと私は考えています。
ただし、「活用できる」という結論だけを受け取ると、間違った判断をする可能性があります。
著作権などの基本的なルールを守ることは当然です。加えて、AIを使った事実や制作過程を説明できる状態にしておかなければなりません。
つまり、いま問われているのはAIを使うか使わないかではありません。
透明性を確保し、受け手からの信頼を守りながら使えるかどうかです。
AIに関するネガティブな意見は、SNS上で目立ちやすいものです。ただし、SNSが世の中全体をそのまま反映しているとは限りません。SNSで目にした意見だけを基準に、広告やコンテンツへのAI利用を止めてしまうのは避けた方がよいと考えています。
生成AIを使った広告は、看板、駅、電車内など、さまざまな場所ですでに見かけるようになりました。私自身もAIを使った広告を出稿していますが、少なくとも私が把握している範囲では、AIを使ったことによって問題が起きた経験はありません。
もちろん、AIに対して特にセンシティブな反応が起きやすい業界では、個別に考える必要があります。
しかし、一般的な商材やサービスまで、SNS上の一部の声だけで一律に判断する必要はありません。実際の顧客や対象市場がどう受け止めるのかを見て、判断することが重要です。
私が新しい手法を「使うべきか、まだ待つべきか」と判断するときは、大手企業がどのような姿勢を取っているかを一つの基準にしています。
単に様子を見ているのか。それとも、利用ガイドラインや具体的な機能を用意しているのか。この違いは大きいものです。
しかし、実際大手企業がAIを使うための仕組みを実際に提供しているなら、少なくとも市場は「AIの利用そのものを避ける段階」から先へ進んでいると捉えてよいでしょう。
今回のPodcastで取り上げたGoogleの動きも、その一例です。
Googleは、広告が生成AIで作成・編集されたかを確認できる「How this ad was made」という仕組みを発表しました。Google自身の生成AI機能だけでなく、外部のツールで作った広告についても、広告主がAI利用の有無を示せる方向へ進んでいます。
これは、AI広告を排除するためだけの仕組みというより、開示したうえで使える状態を整える動きだと私は見ています。
その上で、注意すべきは「使っているか使っていないか」の管理が大事だということ。トレーサビリティと呼んでも良いでしょう。
AI広告で起こり得る事故の中で、特に注意が必要なのは、「外部へ依頼した制作物が、実はAIを使って作られていた」というケース。
問題は、生成AIを使ったこと自体ではありません。
使っているのに使っていないことになっている、あるいは、誰も制作過程を説明できない状態になっていること。
そのため、これからは完成したクリエイティブを見るだけでは足りません。次のような制作プロセスも管理する必要があります。
自社内で制作している場合でも、担当者ごとにAIの使い方が異なる可能性があります。制作会社や広告代理店など、外部パートナーへ依頼している場合は、さらに見えにくくなります。
そのため、AI利用の有無と制作過程を説明できるようにしておくことが欠かせません。発注側は、外部パートナーがAIをどう捉え、今後どのように生産性や改善速度を上げようとしているのかを確認する必要があります。
反対に、制作会社側から見ると、早い段階でこの管理体制を整えることは強みにもなります。AI利用を気にする企業に対して、制作工程をきちんと説明できれば、安心して選んでもらいやすくなるからです。
AIを一度使えば、それだけでよい広告になるわけではありません。AIで生成したものを人間が確認し、目的や顧客に合わせて最適化する共同作業が前提です。
一方で、AIを適切に使えば、制作や改善の速度を上げられます。私としては、特に多くの人を対象にマーケティングを行う場合、この流れに乗らないことが次第にリスクになると考えています。
ただし、ここでも本質は「AIだからよい」「AIだから悪い」という話ではありません。AIが登場する以前から、画像の意図的な加工や、受け手を誤解させる表現は嫌われてきました。ツールが変わっても、問われているものは同じです。
自分たちがマーケティングやセールスで伝えている内容を、買い手が信頼できるか。AIの使い方にも、その企業の信頼設計が表れます。
社内に懸念があるなら、いきなり大きく展開する必要はありません。「この形なら使えるのではないか」と仮説を立て、実際に顧客へ見せて反応を確認します。顧客に受け入れられた表現と、受け入れられなかった表現を記録し、自社のノウハウとして蓄積していけばよいのです。
AIの使い方に、最初から完成された正解があるわけではありません。正しく、前向きに使うための方法を考え続け、改善し続ける。その積み重ねによって、自社なりの使い方を見つけることが重要です。
広告やコンテンツ制作にAIを使うことは、すでに標準的な選択肢になりつつあります。議論の中心も、「使うか使わないか」から、「透明性を確保し、使った事実と制作過程を説明できるか」へ移っています。
そのために必要なのは、利用したツールや工程を記録し、外部パートナーも含めてトレーサビリティを確保することです。そして、実際の顧客の反応を見ながら、自社なりの運用を改善していくことです。
AIだけを切り離して考えると、この問題を見誤ります。情報があふれ、もっともらしいものを簡単に作れる時代だからこそ、自社をどう信じてもらうか。その信頼設計からWeb戦略やマーケティングを捉え直すことで、次に取り組むべきことが見えやすくなるはずです。
この記事はPodcastの書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第596回:画像生成AI活用はもうマスト、注意すべきは制作過程・トレーサビリティ は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、AI活用そのものの話というよりも、AIを使う前に会社の中で見直しておきたい「無駄」について。
最近はAIの話題が本当に増えました。私自身、AIには大きく二つの使い方があると感じています。
ただ、「無駄を減らしましょう」と言うのは簡単です。
難しいのは、実際に自社の業務の中から、どれが無駄なのかを見つけること。
なんとなく無駄な気はする。けれども、誰かの役に立っているような気もする。ここまでやる必要はないかもしれない。けれども、やりすぎて悪いわけではないから、そのまま続いている。こうした業務は、現場に入っていると本当に多いと感じます。
今回のきっかけは、経済産業省と中小企業庁から出された「労働供給制約社会における中堅・中小企業の稼ぐ力強化戦略」という資料です。
この資料は、強い中小企業を増やしていくために、事業再構築、生産性向上、事業再編、投資、取引適正化、賃上げなどを支援していくという内容です。
大きな方向性としては、労働生産性を高め、事業を変え、賃上げもできる会社になっていく必要がある、という話。
ここで重要なのは、人を増やせば何とかなる、という前提が置きづらくなっていることです。
リクルートワークス研究所の「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」では、働ける人口の減少や、地域によって労働供給が不足していく見通しが紹介されていますので、今回はそれの一部をご紹介します。
中小企業の現場では、すでに人が集まりづらい状況。
そこからさらに人が減っていくなら、今までのやり方をそのまま続けるのは難しくなります。そのため、まず自社の中に残っている無駄を見つける必要があります。
無駄を見つけるときに難しいのは、現場の人ほど、その作業に慣れていて気づきづらいこと。
引き継ぎや日々の処理で手いっぱいになっていると、まずはミスなく進めることが一番大事になります。
もちろん、それ自体は大切です。ただ、その状態が続くと、「そもそもこの手順は必要なのか」「紙でやる必要があるのか」「毎回この会議に全員が出る必要があるのか」といった問いが出にくくなる。
他部署の人から見れば、「なぜまだ紙でやっているのですか」とすぐ分かることでも、当事者にとっては当たり前になっている。そうすると、気づくのは難しくなるんですよね。
部門長や管理職が横断的に見直す。別部署同士でレビューする。新しく入った人の違和感を聞く。こうした仕組みがないと、現場だけではなかなか変わりません。うまく「外」を使う。
今回の中心テーマは、企業の無駄をどう分類するか。
リクルートワークス研究所の資料にある27項目をきっかけに、私なりに大きく5つへ整理しました。
一つ目は、やり方や仕組みが古いことによる無駄です。
こうしたものは、比較的見つけやすく、仕組み化によって改善しやすい領域です。ただし、当事者だけでは気づきにくいものです。そのため、定期的に棚卸しする仕組みが必要です。
二つ目は、目的や成果が曖昧なまま続いている無駄です。
他社のやり方を真似ること自体は悪くありません。最初は型を真似て、そこから自社に合わせて崩していく。いわゆる守破離のような流れは大切です。ただ、その後の最適化が抜けると、形だけが残ってしまいます。
新しく入った人が「これは一般的なのでしょうか」と疑問を持つことがあります。そうした違和感は、大事にしたいものです。業務に慣れてもらうだけでなく、今の仕事を見直す機会にもなるからです。
三つ目は、会議、調整、関係者対応の無駄です。
会議は、始まる前に大枠が決まっているべきことも多いです。管理職同士が事前に詰めておけばよい話を、その場で始めてしまうと、周りの人の時間を奪います。
その会議は意思決定の場なのか。提案づくりの場なのか。情報共有の場なのか。どこまで決めてよいのか。この違いを曖昧にしたまま始めると、会議はすぐに無駄になります。
四つ目は、品質や対応が過剰になっている無駄です。
もちろん品質は大事です。ただ、すべての仕事で同じ粒度の品質を求める必要はありません。この仕事ではどこまで合わせれば十分なのか。何が成果に影響して、何が好みの問題なのか。そこを分けないと、作業時間は際限なく増えていきます。
五つ目は、評価、空気、個人都合で生まれる無駄です。
この領域は、かなり根深いです。
本人だけに責任を負わせても、うまくいきません。
仕組みで6割から7割は減らせるかもしれませんが、残りは個別対応が必要になる。
そのため、最初からここを真正面から扱うよりも、まずは仕組みで改善しやすい領域から手をつける方が現実的です。
今回の5分類の中でも、やり方や仕組みが古い無駄、目的が曖昧な無駄、会議や調整の無駄、過剰品質の無駄は、比較的仕組みで扱いやすい領域です。
もちろん、一つひとつの業務には事情があります。外から見れば無駄に見えても、実は必要な理由があるかもしれません。そのため、単純に「無駄ですからやめましょう」と言えば済むわけではありません。
それでも、問いを立てることはできます。
こうした問いを、個人攻撃ではなく業務改善として扱うことが大切です。
ここで注意したいのが、「AIに聞けば全部分かるのではないか」という考え方です。
AIは便利です。業務改善にも使えます。
ただ、AIへそのまま投げれば良い答えが返ってくる、というものではありません。
AIは、ゴールや前提を設計しないと、実行に移しやすいアウトプットを返しにくいからです。
たとえば、「このチェックリストに当てはまる業務を探して」とAIに聞いても、自社の具体的な業務文脈がなければ、よくある回答で終わってしまいます。
MicrosoftのWork IQのように業務のコンテキストを読み込める仕組みが整っていれば別ですが、多くの会社ではまだそこまで整っていない。
そのため、順番を逆に考える必要があります。
まず自分たちで、「なぜこの作業が残っているのか」「どこなら手元で楽にできるのか」を考える。
そのうえで、AIやデジタルで部分的に実装できる作業単位へ切り出す。そこまで整理してからAIに相談する。
この方が、現実的に成果につながりやすいと考えています。
AI推進や業務効率化が難しい理由は、技術だけではありません。文化や受け入れる気持ちの部分も大きいです。
そうした違和感を、前向きに扱える空気があるかどうかが大事です。
業務改善というと、どうしても「誰が悪いのか」という話になりがちです。
しかし、今回扱っているのは、労働供給制約社会という文脈です。働いてくれる人がどんどん少なくなる中で、今いる人の時間をどう大切に使うかという話です。
そのため、まずは仕組みで減らせる無駄を減らす。そのうえで、残る根深い問題に向き合う。この順番が大切だと思います。
今回お伝えしたかったのは、AIを使う前に、まず自社の業務の中にある無駄を言語化しましょう、ということです。
人手が増えづらくなる中で、今まで通りのやり方を続けるのは難しくなります。そのため、古い仕組み、目的不明の作業、会議や調整、過剰対応、評価や空気から生まれる仕事を、一度分けて見ていく必要があります。
AIは、その後に使うものです。何でも丸投げするのではなく、ゴールと前提を作り、解決したい作業単位を切り出してから使う。そうすることで、AI活用も業務改善も、より現実的なものになります。
業務の無駄を見直したい、外部の視点も入れて改善したいという方は、ラウンドナップWebコンサルティングまでお気軽にご相談ください。
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投稿 第595回:労働供給制約社会に備えて…どこを業務効率化すればいい?「未来予測2040」からムダの代表例を押さえる は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
AI検索が広がることで、企業から失われているのはどのプロセスか、という内容です。主としてコンテンツマーケティングの観点です。
「サイトへの流入が減る」「検索キーワードが見えにくくなる」「Google側のツールが対応しておらずブラックボックス状態」といった話。もちろんそれらもAI検索による影響として重要であり事実です。ただ、私が現場で「最も大きい」と感じているのは、そこではなく。
結論から言えば、AI検索が大きく変えているのは、ユーザーが「情報を探しながら、自分なりの判断基準を作っていく」プロセスです。
売り手側から見れば、見込み客育成・リードナーチャリングのためのファネルの入り口〜中盤の部分です。TOFUとかMOFUの部分。
ここをAIがごっそり持っていき始めている。
セールス・マーケティングの観点では、ここがかなり大きい変化だと考えています。
AI検索の話になると、長文で検索できるようになるとか、パーソナライズされやすくなる、などそういう話題が出ます。
たしかにそれもあります。ただ、長い文章で検索する人は以前からいましたし、Googleでも以前から長い検索自体はできました(インターフェイス的にやりやすいかどうかはともかく)。
※仕様上は、2013年のハミングバード導入から、会話調や文章での検索に初期対応していた。10年以上前です。
パーソナライズについても、それに繋がるような情報を交えて検索する人はいないわけではないですが少ない。要するに、AIだからという理由でまとめられるほどのものではない(と感じます)。
AIだけではなくチャットボットのログなどを見ていても、長文を入れる人ってホントに一部です。
なので、私はそこが本質だとは思っていません。
では何が変わったのか。昔の検索行動を思い出してみると分かりやすいです。
何かを調べるとき、人は最初から答えだけを探していたわけではありません。
情報そのものにたどり着く前に、
を探していました。
そして、調べながら理解を深めていく。検索しているうちに問いが変わっていく。
少しずつ情報を拾いながら、自分が本当に欲しいものへ近づいていく。そういう探索的な検索の流れがありました。
そしてAI検索は、この「どう調べればいいか」「何を基準に判断すればいいか」という探索的な検索の部分を代わりにやってくれます。
便利ではあります。体感で楽に感じるのは、ここじゃないでしょうか?考え方をアウトソーシングできる。
そういう意味ではインフルエンサーを信じる方向に近い便利さを提供していると言えます。AIは。
しかしそれは、企業側から見ると、ユーザーが自社サイトに来る前に、判断の土台が自社にとってアンコントローラブルな場所(AI)で作られてしまうということでもあります。
昔から「何とか 比較」「何とか おすすめ」「何とか 選び方」という検索は多かったと思います。
月間検索数でも実際多いですし、それ故トピッククラスターモデルで計画を立てると、まず最初に埋めるべき対象になりがちです。そして、実際に需要はあったし、閲覧されることも多かったですね(それ故競争も激しかったですが)
従来の検索結果では、複数の記事が並びます。
それらを見ていると、ユーザーは無意識に気づきます。
「世の中にはいろいろな切り口がある。1つの基準で考えればいいわけではない」
「まず、どの基準で選ぶのかを自分で選ばなければいけない。」
このプロセスは面倒です。でも、情報探索においては非常に大事です。
複数の考え方に触れて、どれが自分たちに合うのかを拾っていく。その過程で、判断基準が自分の中に作られていきます。
AI検索になると、ユーザーからの景色が変わります。
Googleであろうと、ChatGPTであろうと、Claudeであろうと、検索する人から見ると全部
「AIが答えている」「AIがおすすめしている」という形
になります。
もちろん、AIの裏側にはさまざまな情報があり、AIそのものの意見ではないという説明はできます。
しかし、ユーザーから見た姿としては、詳しいAIさんが一つの回答としてまとめてくれているように見える。
AIに対して人格を感じるのは、人生相談などにAIを使うユーザーが非常に多いことからも明らかです。
ここが大きい、と思いませんか?
今までは複数の人や企業の考え方が並んでいて、その中から自分たちが選ぶ必要がありました。
AI検索では、それが丸められて見えやすい。
いろいろな切り口があるはずなのに、最初から「こう考えるとよい」という形で提示される。
行動科学の観点で言えば、アンカリングに近いことが毎回起きます。
何を基準に判断すればいいのかを、先にAIが杭を打つように決めてしまう。
特に、その分野に慣れていない人や、これからAIネイティブに情報探索を始める人にとっては、それが考え方の基準になりやすい。
マーケティング側から見たときに、ここで奪われるものは何か。それが「判断基準を作る場」です。
これまでは、企業サイトには「自社の強み」「選び方」「初めての方向け」「比較のポイント」といったコンテンツがありました。
ユーザーに考え方を知ってもらい、その考え方に納得してもらい、そのうえで自社のサービスのよさへつなげる。いわゆるナーチャリング、見込み客育成の王道の流れです。
ところが今、アクセス解析を見ていると、そうしたフロントエンド系のコンテンツが本当に読まれにくくなっていると感じます。過去に関わってきたサイトや診断してきたデータからの印象として、サービス詳細、会社概要、事例といった確認系のページへのアクセスに偏っている。
そういうケースが増えています。
なので、力を入れているコンテンツが、自社サイトにあるだけだと機能しないことがあると。いくらサイト内で誘導を増やしたり、バナー訴求しても反応しない。
これまでであれば、自社サイトに判断基準を書いておけば、少なくとも読まれる可能性がありました。検索順位で上に出る必要はありますが、それでも自分たちでコントロールできる範囲にありました。
しかし、今はAIにそれが持って行かれている。そして、AI側にその判断基準を反映させようとすると、難易度は一気に上がります。事実上非常に難しいでしょう。
AIの内部知識に影響させるには長い時間がかかるでしょうし、グラウンディングや検索連携の仕様も変わり続けています。GEOやLLMOのような言葉も出ていますが、現時点で「こうすれば確実」と言えるものはありません。
Googleだけでなく、ChatGPTやClaudeなど、サービスごとに出方も変わります。
今までのように、サイトに来てもらって、そこで強みを知ってもらい、判断基準を納得してもらうという流れだけに頼ると、かなり反応が取りづらくなります。見た目の数字に大きく変化がなくても、新規のお客さんが減っている場合には、この前提を疑った方がよいと感じています。
もう一つ大事なのは、AI検索によって判断基準はむしろ均質化しやすいのでは、という点。
AI検索というと、ユーザーごとにパーソナライズされ、より細かく個別化された商品やサービスが求められる、という話になりがちです。
ただ、判断基準そのものを見ると、多くのAI検索のおすすめの仕方はそこまで大きく変わらないと感じています。
いろいろな論点がある世界だったものが、「だいたいこういう感じでしょう」とまとめられていく。最大公約数というより、いろいろなものを盛り込んだ最小公倍数のような形に収まりやすい。
そうすると、ニッチな考え方や独自の切り口は、AI検索経由では扱いづらくなります。
ユーザーがわざわざ「他にはない独特な考え方を教えて」と聞くこともあるかもしれませんが、それがどれだけ多いかは…微妙かなと。
では、独自性を捨てればよいのかというと、そうではありません。
ただし、最初から独自性だけを前面に出しても、AI検索の中では届きにくい。
まずは、AIがその業界について提示しやすい一般的な判断基準を把握する。その判断基準に沿ったうえで、比較対象として残る。その後で、自社の独自性や違いを伝える。いったん流れに沿っていく。
実はオリジナリティのあるサービスであっても、まずは特定の概念に自分たちを結びつけ、知ってもらい、その先で違いを知ってもらう。この順番でないと、そもそも相手に届かない可能性が高いと考えています。
AIの判断基準が受け入れられやすくなる背景には、性能だけではなく、人間側の事情もあります。
一つは、自動化バイアスです。コンピューターやシステムが出した提案を、人は正しい前提として扱いやすい。
もう一つは、情報量が多すぎることによる認知的負荷です。
人は面倒な判断を外に出したくなる。認知的オフロード、つまり考える負荷を外部に預ける動きが起きやすい。
さらに、私は最近の現場感として、失敗や判断責任をなるべく背負いたくないという傾向も強くなっていると感じています。
何かを選んで失敗したときに、「なぜそんな選択をしたのか」と責められる。
あるいは、自分自身で「あの選択をした自分が悪かった」と責めてしまう。今は、行動と人格がすぐに結びつけられやすい空気もあります。本来、何かを選んだことと、その人の人格はそこまで直結するものではないはずですが、現実にはそう見られる場面がある。
そのとき、AIは判断を外に出す手段として非常に便利です。
「AIがそう言っていた」「Geminiに聞いたのに駄目だった」「GPTに聞いたけれど結局うまくいかなかった」という形で、AIには、判断責任を負わせやすい。
これはサービス品質への不満にも見えますが、私には、担いたくない失敗や責任をAIに託しているようにも見えます。これは印象論です。ただ、AIの精度が多少いまいちであっても、人があえてAIによって選択する流れは増えていくのではないかと考えています。
今までは、道の途中にいろいろな人や企業がいました。「うちはこういう考え方です」「こういう基準で選ぶとよいです」と呼び込みをしていた。その声を聞きながら、ユーザーは自分の考え方を作っていました。
ところが今は、AIという道だけが非常に通りやすくなっている。ほかの道で呼び込みをしていても、その声が届きにくい。反響が落ちてきたときには、お客さんがもういない場所に向かって叫び続けていないかを見直す必要があります。
そのうえで、これからお客さんが通るAIという道の中で、どうやって自分たちの存在を知らせるのかを考える。そして同時に、AIに頼りきらない接点を作る必要があります。
一度接点を持ったお客さんに対して、検索以外の情報提供の場を作る。コミュニティを作る。直接のタッチポイントを作る。囲い込みという言い方はあまり好きではありませんが、自分たちと顧客が直接つながり続けられる場を持つことは、これからかなり重要になります。
ここは、中小企業の方が動きやすい部分でもあります。大企業や中堅企業に比べれば、やろうと思ったら即日で動ける。小さい企業の良さは、ピボットしやすいことです。この身軽さは、AI検索時代にはかなり大きな武器になるはずです。
Webの世界は、もともと定量的にさまざまなデータが得られることが強みでした。アナログなマーケティングやセールスに比べて、数字で見られる、改善できる、という流れが2000年代から続いてきました。
しかし、AI検索が伸びてきたことで、むしろデータが取れない昔の世界に戻っていく感覚があります。
だからこそ重要になるのは、生のお客さんの情報です。
問い合わせの内容、商談で出た違和感、失注理由、既存顧客がどこで迷っていたのか。そういった情報を会社の中にため、振り返り、知識として蓄積していくことです。
AI検索時代に物を売っていくには、きれいな計測だけでは足りません。お客さんの心理変化に注意を払い、泥臭く情報を集め、社内に知見をためる。よくも悪くも、そういう時代に戻ってきているように感じています。
AI検索で企業から奪われるものは、単なる流入ではありません。ユーザーが複数の考え方に触れ、自分なりの判断基準を作っていくプロセスが、AI側に移っていくことです。
その結果、判断基準コンテンツやナーチャリングの役割は変わります。サイトに来てから説得する、選び方を読んでもらう、強みを理解してもらう、という前提だけでは届きにくい。
これからは、AIが提示しやすい一般的な判断基準を把握し、そこに沿ったうえで自社の違いを伝える必要があります。同時に、一度接点を持ったお客さんと検索外でつながり続ける場を作ることも重要です。
AIをまだ使っていない方も多いと思いますが、商売をする以上、ユーザーと同じ目線に立つ必要があります。
自分が普段使っている有料版だけでなく、無料版や裾野の広い使われ方にも触れてみる。そこから、お客さんがどんな道を通っているのかを見直していくことが、今後のマーケティングの出発点になると考えています。
この記事はPodcast書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。
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AI検索対策の関連ガイド
見込み客育成を含むAI検索時代の集客設計は、AI検索時代の集客とコンテンツ設計で全体像を確認できます。
投稿 第594回:AI検索が奪っているのは「アクセス数」だけではない、見込み客育成の変化・デメリットとは? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、中小企業がAIをどう活用していけばよいのか、というテーマです。AIを個人では使っている。メールの下書き、要約、議事録、ちょっとした調べ物には使っている。でも、会社として経営にインパクトが出ているかというと、そこまでは行っていない。そういう相談は、実際にかなり増えています。
商工中金が公開している中小企業向けの生成AIに関する調査を見ると、まさにその現場感が出ています。
個人判断で使っている企業は多い。一方で、会社全体の業務フローを変えるところまでは、まだ進みきっていない。このギャップをどう考えるかが、今回の大きなポイントです。
私が強く感じているのは、AI活用で最初に必要なのは「AIツールの使用スキル」では”ない”ということです。
その前に、自社がどう変わりたいのか、業務がどうなれば良い状態なのか、その絵を描けるかどうかということです。
調査では、会社として導入している企業のほうが、経営へのプラス効果を感じている割合が高い、という結果が示されています。
これだけを見ると、会社主導で生成AIを入れれば成果につながる、という捉え方をしたくなります。
ただ、そこを少し疑って見たほうがよい。
会社として導入しているから成果が出ている、というより、そもそも会社として導入できるだけの土台がある企業だから成果が出ている。
AIをみんなで使おう、システムを入れよう、業務フローを見直そう、と考えられる会社には、もともと改善する文化があります。
上層部の理解があり、現場を変える力があり、小さく試して前に進める空気があります。
そういう会社は、会社契約をしても成果が出やすいし、個人利用から始まっても深い活用へ進みやすい。
逆に、会社として契約だけしても、使う目的が曖昧で、現場の業務にどう組み込むのかが見えていなければ、ほとんど動きません。アカウントを配っただけで終わる。チームプランを契約しただけで終わる。そういうことは普通。
だから、とりあえず会社としてAIを入れれば何とかなる、という考え方は危険。契約の前に、AIを使える会社になっているかどうかを考えなければいけません。
生成AIの使い道として多いのは、メール、報告書、議事録、要約といった事務作業です。これは始めやすいですし、実際に効果も出やすい領域です。私も、こうした使い方が悪いとはまったく思っていません。
ただ、そこだけで止まってしまうと、AIの力のごく一部しか使っていない状態に。
目の前の作業を少し楽にすることと、会社全体の生産性を変えることは別の話。
目の前の作業を楽にする使い方は、Excelのマクロを作るような感覚に近いもの。この文章を整えてほしい。このメールを短くしてほしい。この議事録をまとめてほしい。こうした使い方は、今ある作業の中にAIを差し込むだけなので分かりやすい。
一方で、会社全体を巻き込んで、生産性を何十%も上げる。新しい業務の進め方を作る。現場のデータを集め、加工し、使える状態にして、意思決定の流れまで変える。ここまで行こうとすると、先に「自分たちはこうなれるはずだ」という絵が必要。
その絵がないままAIを使っても、どこに使えばいいのかが決まりません。結局、分かりやすいメールや議事録に戻ってしまう。多くの企業が個別作業の効率化でつまづく理由は、AIの性能不足ではなく、向かう先が描けていないことにあると感じています。
AI活用が進まない理由として、「情報収集が追いつかない」という声もよく聞きます。もちろん、技術の変化は速いですし、毎日のように新しいツールや事例が出てきます。追いきれない感覚があるのは自然です。
ただ、もう少し分解して考えたほうがよいです。
情報がないのか。調べ方が分からないのか。それとも、そもそも何を調べたらいいのか分からないのか。この3つは違います。
私の感覚では、かなり多くのケースで問題になっているのは、最後の「何を調べたらいいか分からない」です。自社がどうなりたいかが見えていないから、必要な情報も見えていない。だから、AIのニュースを追っても、ツール紹介を見ても、自分たちの業務にどう関係するのかが分からない。
逆に、ゴールの姿があると、必要な情報は見えやすくなります。
こういうふうに、必要なステップが自然に分解されていきます。
AI活用は、単にAIに詳しくなることではありません。自社の業務をどう変えたいか。
そのために何が足りないかを見つけ、その足りない部分をAIやデータで埋めていくこと。
情報収集も、その順番で考えないと散らかってしまいます。
生成AIを導入しない理由にも、いくつかの段階があります。以下が実際の資料です。
導入以前であれば、具体的な活用場面が分からない、自社業務になじまない、経営戦略や事業戦略に反映できていない、情報収集が追いつかない、といった課題が出てきます。
これらは一見ばらばらですが、かなりの部分は「どこへ向かうのか」が描けていないことに戻ってきます。
導入を検討する段階になると、別の壁が出ます。
これも、先にある変化が見えていなければ動きにくいものです。
特に、推進する人材というのは、単にAIに詳しい人ではありません。絵を描ける人です。
こう変わると良い。こうなれば現場が楽になる。ここまで行ければ会社として意味がある。
そういう姿を示せる人がいると、周りもついてきやすくなります。
さらに導入後には、
といった課題が出ます。
ここでは、最初に描いた絵が現場にはまっていなかった可能性と、価値を証明する仕組みを用意していなかった可能性があります。
AIで業務を変えるなら、何をもって効果があったと見るのかも先に考える必要があります。
時間が減ったのか、ミスが減ったのか、判断が速くなったのか、現場の負担が減ったのか。そこを測れないと、せっかく動かしても周囲を説得できません。
調査では、5年後もAIの活用は限定的だと考える人が、業界によってはかなりいることも示されています。
情報通信業のように大きな変化を感じている業界もありますが、多くの業界では、まだそこまで変わらないだろうと見ている人が少なくありません。
これは、AI活用に取り組む側から見ると、まだ十分にチャンスがあるということ。
すでに出遅れたと感じる必要はありません。むしろ、今から自社の業務に合わせてAIとデータの使い方を考え始めるだけでも、まだアドバンテージがあります。
実際、AIを使って良くなっている会社はあります。ただし、そういう会社ほど、外にあまり言わないことも。
同業他社に気づいてほしくない、仕組みを知られたくない、ということも当然あります。
SNSで見える派手な事例だけが現実ではありません。
だからこそ、まずは事例を見ることです。抽象的に「AIで何ができますか」と調べるより、同業や近い業界で、実際に何が変わったのかを見るほうが早い。可能であれば、知り合いの経営者に、商売上差し支えない範囲で見せてもらうのが一番。
一度見ると、「こんなに楽になるのか」「自分たちもこうなれるかもしれない」という感覚。
その感覚が、改善後の姿を描く材料になります。
AI活用というと、どうしてもツール名や機能比較に目が向きます。
ChatGPTを使うのか、Claudeを使うのか、画像生成AIを使うのか、業務システムに組み込むのか。
もちろん、それらも大事です。
ただ、ツール選びから入ると、どうしても個別機能の話になり。
このツールで何ができるか。この機能は便利か。料金はいくらか。そこだけ見ていると、自社の業務がどう変わるのかという話に接続しにくい。
先に考えるべきなのは、自社の未来像です。こういう業務の流れにしたい。ここで止まっている情報をつなげたい。現場のデータを集めて判断に使いたい。担当者ごとにばらばらだった知見を共有したい。そういう姿が出てくると、自然にAIを使う場面が出てきます。
多くの場合、そこから見えてくるのは、AIを使うことと、データを整備することの2つです。
AIだけではなく、AIに渡す情報、AIが使える形にするデータ、現場が使いやすい出力先が必要。
中小企業は小回りが利きます。大企業のように大規模な調整が必要ない分、小さく試して、うまくいったらすぐ変えることができます。
だからこそ、AIによる高速反復改善は、中小企業にとって大きな武器に。
中小企業がAIを活用できるようになるために必要なのは、単にAIに詳しい人を置くことでも、会社としてアカウントを契約することでもありません。
もちろん、それらが不要という意味ではありませんが、順番としてはその前に、自社がどう変わりたいのかを描く必要があります。
メール、議事録、要約といった個別作業でAIに慣れることは良い入口です。
ただ、そこに閉じてしまうと、AIの力をほんの一部しか使えません。
業務フロー、データ、現場の意思決定、社内での共有の仕方まで含めて、どこを変えられるかを見ることが大切。
まずは事例を見て、自社の未来像を描く。その姿に向かって、必要なデータ、必要な業務のつなぎ方、AIに任せられる部分を分解する。
そこから始めれば、AI活用はツール導入ではなく、会社を変える取り組みになります。
…
今からでも遅くありません。
むしろ、まだ多くの会社が個別作業の効率化で止まっている今だからこそ、自社がどう変わるかを描ける会社には、大きな余地が残っています。
お悩みの方はご相談くださいね。
この記事はPodcast書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第593回:中小企業のAI活用の現状を商工中金のデータから読む、そして本当に必要な「要素」とは何か? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
引用元は安定しているように見えて、実際にはかなり入れ替わっています。Google AI Modeでは週ごとに半分程度、ChatGPT Searchでは4分の3程度が入れ替わるという数字を見ると、単発の露出に一喜一憂するのは危険です。
今回は、AI検索における「引用元」の話です。AI検索やAIモードで、自社の情報が引用されるかどうかは、Webマーケティング上かなり大きなテーマになっています。実際、AIOやGEOのような言葉で営業提案を受けている会社さんも増えていると思います。
ただ、ここで難しいのは「何を指標にして判断すればよいのか」です。
1回調べて自社が出ていたから良いのか。逆に、出ていなかったから駄目なのか。提案を受ける側としても、自社で調べる側としても、そこが分からないのは怖いですよね。
今回の出発点は、SISTRIXが出しているAI Citation Driftに関する調査です。AIの回答で引用されるドメインが、時間とともにどれくらい入れ替わるのか。数字を見ると、思った以上に動いています。
AI Citation Driftという言葉があります。簡単に言えば、AIの回答で使われる引用元が、時間とともにずれていく、入れ替わっていくということです。
Google検索の順位も、もちろん昔から変動してきました。今でもSEO業界はちょっとした変動まで「ニュース」として記事になるくらいです…。
ただ、AI検索系の引用元は、それよりもかなり速いスピードで入れ替わっている。検索結果の順位が少し動くというより、引用されるドメインそのものが週単位で大きく変わるイメージです。
SISTRIXの調査では、Google AI Modeでは、1つの回答にだいたい14から16程度のドメインが引用される。そして、そのうち56%が週ごとに入れ替わる。つまり、1週間でおよそ半分が変わっているということです。
従来のSEO感覚で言えば、1週間で半分が入れ替わるのは大変動です。ツールの画面が真っ赤になるような状態でしょう。しかしAI Modeでは、それがある程度当たり前の挙動として起きている。国別に見ても、ドイツ、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、フランスで大きく傾向が変わらないため、地域特有というより、プラットフォーム側の構造に近いものとして捉えた方がよさそうです。
さらに入れ替わりが大きいのがChatGPT Searchです。SISTRIXの調査では、ChatGPT Searchでは週ごとに74%、つまり4分の3ほどのドメインが新しくなるとされています。
しかも、ChatGPTはGoogle AI Modeに比べて、回答に出てくる引用ドメイン数がかなり少ない。平均で3から4個程度ということなので、そのうち74%が入れ替わるということは、1週間後に同じ引用元として残っているものは、1つあるかどうかという感覚になります。
実際に使っていても、ChatGPTは引用として表に出すドメインが少ない印象があります。途中ではもっと多くの情報を見ているのかもしれませんが、回答上に参照元として出てくるのはかなり絞られている。そこにさらに大きな入れ替わりが乗るので、単発で「出た」「出なかった」を見ても、あまり強い判断材料にはなりません。
ここで注意したいのは、自分で少し調べて「うちが出ている」と喜んで終わってしまうことです。AIツールは、文脈、メモリ、パーソナライズの影響を受けます。自分の環境で見えた結果は、あくまで参考情報でしかありません。
もちろん、まったく意味がないわけではありません。ただ、AI検索の引用元はこれだけ動くので、1回の表示結果で判断すると、かなりぬか喜びになりがちです。見るべきなのは、一定期間の中でどれくらい残り続けているかです。
では、どんなコンテンツでも同じように入れ替わるのかというと、そうではありません。残りやすいものと、流れやすいものがあります。
ニュースやメディア系の情報は、かなり残りづらい傾向があります。流動性が高い情報なので、AI側もその時点でより新しいもの、より良いものを取りに行く。ブログでトピックスを拾って記事を書くようなコンテンツは、その瞬間のインプレッションやクリックにはつながるかもしれませんが、AI検索で長く引用される資産として考えると、やや不向きです。
一方で、サービスに関わる情報、意思決定に関わる情報、商品ページや説明ページ、FAQ、技術的なドキュメントのようなものは、一度引用される側に入ると残りやすい傾向があります。ここは重要です。
AI検索時代のコンテンツ計画では、とにかくニュース性のある記事を出し続けるよりも、サービスの根幹に関わる情報をきちんと育てる方が、積み上げとしては強い可能性があります。作っても作っても走り続けないと成果が続かない形は、運用としてかなりつらい。長く残るコンテンツ形態を育てる視点が必要です。
もう1つ大事なのは、一度「残るドメイン」の側に入ると、そこに居やすい傾向があることです。もちろん、正式な意味での特権ではありません。ただ、安定して引用される中核に入った後は、それを維持していくことが施策の中心になります。
逆に言えば、最初に乗るまでが大変です。しばらくは何も起きていないように見えるかもしれません。それでも、もう一押しで安定した引用グループに入る可能性もあります。後追いで競争の激しい領域に入る企業にとっては厳しいですが、だからこそ、安定的に残りやすいページを育てることが重要です。
AI検索の引用状況は頻繁に変わります。だから、毎日見て「今日は増えた」「今日は減った」と振り回されても、あまり意味がありません。
見るなら、1週間、1ヶ月といった一定期間で、どれだけ安定して引用され続けているかです。1回入ったからOKではなく、1ヶ月後にも残っているか。前よりも安定して出るようになったか。こうした見方でKPIを設定する必要があります。
私自身も、お客様向けにAI関連のモニタリングツールを作っていますが、この調査を見て、計測の仕方はもっと工夫しなければいけないと感じました。特にChatGPTのようなチャットツールは、個人ごとの文脈やメモリ、パーソナライズの影響が大きい。企業利用で一部をオフにしているケースもありますが、それでも計測はまだ参考レベルだと見ておいた方がよいと思います。
また、AI検索での引用が増えたから売上が上がった、問い合わせが増えた、と単純に読むことも難しくなっていきます。情報過多の時代は、比較検討の流れそのものが複雑です。どこで効いたのかを一本の線で追うのは、ますます難しくなります。
昔のデジタルマーケティングには、定量的にいろいろなことが分かるからやりやすい、という感覚がありました。Google Analyticsで検索キーワードが見えていた時代を知っている方なら、なおさらそう感じるかもしれません。
しかし、AI検索やチャットツールの時代になると、また少しアナログな世界に戻っていくように感じています。細かなデータを完全に読み切るというより、お客様のことをどれだけ理解しているか。その上で、AIから有用な情報を引き出す問いを設計できるか。ここが重要になります。
「いい感じにやって」「お客さんのことを教えて」という大ざっぱなプロンプトでは、良い情報はなかなか取れません。どういう前提を置き、何を聞けば、偏りすぎない意思決定材料が得られるのか。ここには地に足のついたロジックが必要です。
結局、きちんとお客様のことが分かっている人がAIを使いこなし、その上でAIがある世界の中で自分たちをどう見せるかを考える。商売における人と人との関わり合いのような部分が、むしろ重要になっていくのではないかと思います。
AI検索で引用されることは、これからのWebマーケティングで重要なテーマです。
ただし、引用元は安定しているように見えて、実際にはかなり入れ替わっています。Google AI Modeでは週ごとに半分程度、ChatGPT Searchでは4分の3程度が入れ替わるという数字を見ると、単発の露出に一喜一憂するのは危険です。
今後のコンテンツ計画では、ニュース性のある記事を量産するより、サービス理解や意思決定に関わる安定した情報を育てることが重要になります。そして、KPIも「出たかどうか」ではなく、「一定期間でどれだけ残り続けているか」を見るべきです。
AI検索対策は、単発の施策で終わるものではありません。継続的に測り、内容を育て、ドメイン全体の信頼性を積み上げていく必要があります。そのうえで、最終的には顧客理解に戻る。AIを使うからこそ、誰に何をどう伝えるべきかを、人間側がきちんと考えることが大事になっていくと感じています。
00:00 AI検索で引用元に残るという課題
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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AI検索対策の関連ガイド
引用元の観測結果と、指名検索や問い合わせなどの事業成果を併せて見る際は、AI検索対策の効果測定をご覧ください。
投稿 第592回:Google AI ModeとChatGPT Searchの引用元の変動はどれくらい? は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、AIエージェント時代に向けて、Webサイトをどう整えておくべきかという話です。
最近は、情報探索や情報収集をAIに任せる場面が増えています。さらに踏み込んで使っている方であれば、意思決定のための材料集めをAIがかなり担うようになってきたことを、すでに体感しているのではないでしょうか。
そうなると、Webサイトは「人が直接見に来る場所」だけではなくなります。AIが情報を取りに来る。AIがブラウザを操作する。その前提で、自社のWebサイトをどう整えるかを考える必要が出てきます。
まず、これはAI検索で引用されやすくする話でも、AI OverviewやAImodeで露出を増やす話でもないです。
今回扱うのは、エージェントが情報を取りに来たとき、迷わず、正確に、負荷少なく扱えるWebサイトにしておくにはどうするか、という観点です。露出が上がるという文脈ではないのでご注意ください。
AIエージェントという言葉から、ブラウザを勝手に操作してくれるもの、放っておいても作業を進めてくれるものなど、いろいろなイメージを持つと思います。ここでは厳密な定義には踏み込みません。
外から見た姿として考えると、これまでは人間がWebサイトを見て、情報を集め、資料を作り、意思決定をしていました。その情報収集の大きな部分を、自分ではない何か、つまりAIに任せる時代が来ている。まずはそのくらいに捉えておけば十分です。
もしまだ体験したことがなければ、セキュリティ面には注意しつつ、CodexのComputer Use、あるいは以前からある自動化 Playwrightのような、プログラムがブラウザを操作する仕組みを一度見てみるとよいと思います。
画面上でポインターが動き、処理が進んでいく様子を見ると、人間ではないものがブラウザを操作する時代が、かなり近いところまで来ていることが分かります。
もちろん、今はまだ遅い部分もあります。自分でやった方が早いと思う場面もあります。それでも、一度体感しておく価値はあります。AIがテキストで回答するだけでなく、画面を見て、判断し、操作していく世界を前提にすると、Webサイトに求められるものの見え方が変わるからです。
最初に見るべきなのは、HTMLのセマンティック性、つまり意味付けです。
たとえば、クリックして何かアクションを起こす要素を作る場合、HTMLではbuttonタグを使うケースもあれば、aタグを使うケースもあります。一方で、意味を持たないdivタグなどにCSSやJavaScriptで見た目や挙動を寄せて、ボタンのように見せることもできます。
人間は見た目から「これはボタンだろう」と判断できます。しかしAIは、まずHTMLを読んで、そこから「これはアクションを起こすためのボタンだろう」と判断します。視覚を使わずにWebサイトを理解する場面では、Webの基本に沿った意味付けが重要になります。
これまでSEOの世界では、HTMLの構造はそこまで重視されてこなかった面があります。H1くらいしか関係ない、HTML Lintで100点を取っても検索順位が上がるわけではない、といった感覚もありました。
経済的インセンティブが薄かったため、構造化データのようにGoogleが目に見えるメリットを出すもの以外は、どうしても後回しにされがちでした。極端な場合、全部をdivで組んでしまうような実装もあります。ブラウザのデフォルト挙動を避けたい、ゼロベースで見た目を作りたいという気持ちは分かります。
ただ、AIエージェントにとっては判断しづらくなります。button、a、input、form、labelといった要素を適切に使う。フォームではプレースホルダーだけに頼らず、きちんとラベルを付ける。HTMLとアクセシビリティの基本を整える。こうしたことが、改めて重要になってきます。
もう1つの大きなポイントは、視覚的な使いやすさです。
AIは今や、スクリーンショットを撮りながら画面を理解することもできます。Computer Useのような仕組みも、スクリーンショットを見ながら、どこを操作すべきかを判断しています。デバッグでも、色や余白、仕様通りかどうかを視覚的に確認できるようになっています。
ただし、視覚情報は重いです。HTMLはテキストなので軽いですが、スクリーンショットはすぐに1MB、2MBになります。それを動きながら取り続けるわけですから、AIにとっても負荷が大きい。だからこそ、なるべく視覚的な負荷を減らすことが重要です。
重要なボタンは、重要だと分かるようにする。位置、色、サイズ、近さを分かりやすくする。ボタンを押した直後にレイアウトがずれて、押そうとした場所が変わるような状態を避ける。
Core Web Vitalsでもレイアウトシフトは好ましくない要素ですが、AIエージェントにとっても大きな妨げになります。ここだと思って押したら位置が変わってしまう。すると、エージェントはもう一度状況を判断し直さなければなりません。
今は、エージェントによるWebサイト活用がそこまで一般化していないため、どれくらい行動制限につながるかは見えにくいかもしれません。しかし、ブラウザ操作が当たり前になった未来では、操作しづらいWebページは致命的になる可能性があります。
Webサイトのリニューアルは、毎年行うものではありません。3年に一度くらいのことも多いはずです。3年後には、エージェントを前提にした世界になっていてもおかしくありません。次にリニューアルする時は、セマンティック性のあるHTML、認知負荷の低い設計、レイアウトシフトの少ない画面、視覚的に使いやすいシンプルなサイトを、大きな指針にするべきだと考えています。
私はもともと、AI時代のWebサイトはデータベースに近いものになっていくと思っていました。サイトの中身をAIが読み取り、それをもとに情報をまとめる。意思決定や操作は人間がするのだろう、と考えていました。
しかし、ブラウザを自動操作する技術の正確性や速度が、思った以上に上がっています。今は「AIが勝手に操作するのは怖い」「セキュリティ的にどうなのか」という感覚も強いですし、実際に危ない部分もあります。それでも一定のラインを超えると、当たり前のように使われるようになるでしょう。
そうなると、Webサイトを情報の出所であるDBとして分かりやすくしておくこと、網羅性のある情報を配置しておくことに加えて、エージェントに対するユーザビリティも考える必要があります。
AIにとって一番分かりやすいのは、よくあるレイアウト、よくあるやり方です。奇抜なUIではなく、「普通はこの辺にこれがあるよね」という標準的な構造を守る。そして、情報やサービスの中身の質で勝っていく。そういう形にしていかなければなりません。
逆に、テクニックや見た目の違い、小手先の心理的な誘導で差を感じさせていたところは、今後ジリ貧になっていくと思います。人間の認知的な部分に強く依存して売っている意識があるなら、そのバフが効かなくなる前提で見直した方がよいでしょう。
たとえば「値下げしました」と見せても、実は毎月値下げしていることはAIに調べさせればすぐ分かります。アップセルをどこで出すか、この段階で何を見せるか、といった人間向けの見せ方も、AIが情報収集を始めると必要なければ見ません。
買う側にとっては、超有能なスタッフが代わりに買いに行ってくれるようなものなので便利です。しかし売る側としては、今までそうした見せ方で乗せてきた部分がある会社ほど、脱却しないと急に売れなくなることも十分考えられます。
今回お伝えしたかったのは、AIエージェント時代のWebサイト対応は、単なるAI検索の露出対策ではないということです。エージェントが情報を取りに来る、場合によってはブラウザを操作する。そのときに、正しく理解され、迷わず扱われるWebサイトにしておく必要があります。
まずHTMLの構造、セマンティック性、意味付けをきちんと整えること。次に、AIが操作しやすいように、分かりやすく、ずれにくく、人間にも使いやすいアクセシビリティの観点で構成すること。そして、見た目で奇をてらうのではなく、AIが分かりやすい標準的な構造をベースに、中身で勝負する時代に備えることです。
私たちとしても、Computer Useを使って実際に操作させること、HTMLをきっちり整えることなど、かなり気を使って作るようにしています。まだAIエージェントによる申し込みなどは少なく、実証実験としては難しい面もありますが、間違いなくそちらに流れていくと見ています。
どうしたらよいか、今の自社サイトにどんな問題があるのかで悩んでいる方は、診断だけでもよいのでご相談ください。次のリニューアルでは、人間に見せるためのWebサイトだけでなく、AIに伝わり、AIが扱いやすいWebサイトという視点を、ぜひ入れていただければと思います。
この記事はPodcast書き起こしを元に再構成したもので、本文作成時に外部文献を直接引用していません。内容の背景を確認したい方向けに、関連する公式情報を以下に挙げます。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第591回:AIに伝わるWebサイトへ 中小企業が次のリニューアルで持つべき視点 は 中小企業専門WEBコンサルティング会社・ラウンドナップWebコンサルティング(株式会社ラウンドナップ) に最初に表示されました。
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