Webコンサルタント中山陽平の「中小企業を強くするWebマーケティングラジオ」

第513回:その常識もう通用しない?AIによるマーケティングファネルの変化


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内容について

多くの企業が前提とする「ファネル」。しかし、今の顧客はもっと複雑で、直線的には動きません。今回の配信では、この伝統的モデルからの脱却を提案。現場のデータや顧客インタビューから見えてきた、現代のリアルな購買プロセスを解説します。さらに、今後の主流となりうるAI検索(AI Overview)そしてその先のAI ModeとよばれるものやAIエージェント主導の世界にどう備えるべきでしょうか。

また、GoogleのAI検索の台頭も重要な動向。従来の検索結果表示とは異なり、AIが直接回答を提示するようになることで、ユーザーの検索行動が大きく変化する可能性があります。従来の画一的なモデルに頼るのではなく、ユーザーの実際の行動を把握し、それに合わせた施策を立てることが重要。バイアスをかけずに、ユーザーの生の行動を観察し、それに合わせた施策を立てなければなりません。

TOPICS
  1. セールスファネルモデルの限界

  2. ユーザーの実際の購買行動とファネルのギャップ

  3. ユーザーの意思決定における偶然と推奨の役割

  4. 自社のセールス/マーケティングファネルを忘れろ

  5. ユーザーの生の行動を把握する重要性

  6. GoogleのAI検索の台頭とその影響

  7. AI検索とユーザーの検索行動の変化

  8. ユーザー理解の深め方と効果的なマーケティングへの応用

    このPodcastが解決できるFAQ
    Q1: 昔から言われているセールスファネルは、もう通用しないのでしょうか?
    A1: AIDMAのような、直線的なセールスファネルは、現代の複雑な顧客行動と合わないケースが増えています。顧客は一直線に検討を進めるのではなく、様々な情報源から影響を受け、一足飛びに意思決定することもあります。そのため、画一的なモデルに固執せず、自社の顧客の実際の行動を観察することが重要です。
    Q2: 顧客の購買行動は、具体的にどのように変わったのですか?
    A2: 複数の選択肢を網羅的に比較検討する顧客は減少傾向にあります。多くのサイトで情報が画一化した結果、探す手間に対するリターンが少ないと感じるためです。偶然の出会いや人からの勧め、その場のタイミングなど、より偶発的で直感的な要因で購買が決まることが増えています。
    Q3: これからのWebマーケティングでは、何に注力すれば良いですか?
    A3: フレームワークに頼るのではなく、自社の顧客が「どのような経緯で意思決定しているか」を深く理解することに注力すべきです。顧客データやインタビューを通じてリアルな行動パターンを把握し、それに合わせた情報提供やコミュニケーションを設計することが、成果に繋がります。
    Q4: GoogleのAI検索(AI Overview)は、本当に普及するのでしょうか?
    A4: 普及する可能性は高いと考えられます。ほぼ確定でしょう。ユーザーが自ら情報を探して比較検討する手間を省きたいというニーズは強く、サイト内でのチャットボット利用が増えていることからもその傾向がうかがえます。AIが要約した答えを提示する形式は、このニーズに応えるため、多くのユーザーに受け入れられると予測されます。
    Q5: AI検索の時代に備えて、今から何をすれば良いですか?
    A5: まずはGoogleのラボ機能などでAI検索を実際に体験し、どのような情報がどのように表示されるかを確認することをお勧めします。その上で、自社の主要なサービスや商品に関連するクエリで検索し、どのようなサイトが引用されているかを分析することが第一歩です。自社のコンテンツがAIにとって引用しやすく、信頼性の高い情報源となるような改善が求められます。現状では「簡潔なQ&A形式」「独自のデータ/一次情報」「構造化データの実装」「著者情報や企業情報の明記によるE-E-A-Tの担保」などが重要かという印象です。

    アップデート内容(2025年7月8日)

    この配信をした2024年4月13日時点では、まだまだAI ModeやAIエージェントなどは形が見えていませんでした。しかしそれが見えてきています。追加で以下の点について留意する必要がありそうです。

    1. 生成AI・エージェントAIの観点でのアップデート
    2. 「AI検索に引用される」という視点に加え、「AIエージェントの選択肢に入る」という視点も必要ですね。AI検索は実質Googleでしょうが、AIエージェントというと、ChatGPTであったり、claudeであったり、他の企業が出しているものも考慮する必要があります。
      例えば、Webサイトが人間だけでなく、AIエージェントにとっても理解・処理しやすい構造(APIの提供、構造化データの拡充、明確なサービス内容の提示など)を持つことも重要でしょう。

    3. 顧客行動モデルのアップデート
    4. 「ファネルの終焉」については、やはりバタフライサーキットとパルス消費(元々の英語のGoogle提唱では”Messy Middle(メッシー・ミドル)”の考え方がベースとして重要ですね。

    5. 価値観の多様性に関するアップデート
    6. これを配信した時点では、そこまで幅広く一気に多様性が広がるという想定はしていませんでしたが、想像以上に、思想や考え方によるエコーチェンバーや分断が広がっている用に思います。同様に、意思決定においても自分自身というより、どの考え方に”所属する”のか、と言う点は、良くも悪くも重みが増していくでしょう。
      配信内容の詳細
      はじめに:現場のリアルな情報からWeb戦略を考える

      企業のWeb活用を支援するコンサルティングの現場では、日々多くのデータや顧客の声に触れます。今回はその中から、特に中小企業の経営者やWeb担当者の皆様に共有したい2つの重要なテーマについてお話しします。それは「セールスファネルという考え方の見直し」と「AI検索の未来」です。

      テーマ1:その常識、もう古い?セールスファネルからの脱却
      現代の顧客行動と古典的モデルのズレ

      Webマーケティングの世界では、長らく「マーケティングファネル」「セールスファネル」という考え方が用いられてきました。これは、顧客が認知から興味、検討、購入へと直線的に進むことを前提としたモデルです。

      • トップ・オブ・ファネル:幅広い層への認知・情報提供
      • ミドル・オブ・ファネル:見込み客への関与・育成
      • ボトム・オブ・ファネル:購入直前の顧客へのアプローチ
      • しかし、近年の顧客データを分析したり、実際に顧客へインタビューしたりすると、このような綺麗な一直線の行動をとる人はほとんどいない、という現実が見えてきます。このズレは、BtoC、BtoBを問わず観測される傾向です。

        顧客は「きっちり比較検討」しなくなっている

        売り手側は、顧客がExcelで比較表を作るかのように、合理的に情報を吟味してくれると考えがちです。しかし、実際の購買決定は、もっと偶発的な要因に左右されることが少なくありません。

        • その場のタイミングや偶然の出会い
        • 信頼する人からの勧め
        • 相談してみたら、スムーズに話が進んだ
        • このような非直線的なプロセスが主流になりつつある今、画一的なセールスファネルを前提としたマーケティング戦略は、現実との乖離が大きくなる一方です。特定のセグメント、例えばZ世代などでは、SNS上のインフルエンサーやクローズドなコミュニティ内での評価が購買を決定づけるケースも増えています。

          今、本当にやるべきこと:顧客のリアルな姿を見つめる

          重要なのは、既成のフレームワークを一旦忘れ、自社の顧客がどのようなプロセスで意思決定しているのかを、先入観なく見つめ直すことです。「こうあってほしい」という願望を排し、客観的なデータに基づいて顧客の行動地図を描き直すことが求められます。

          このアプローチにより、顧客に対する解像度が深まり、より的確な施策を打てるようになります。結果として顧客との信頼関係が深まり、新規獲得だけでなく、既存顧客との良好な関係を基盤とした事業成長にも繋がります。

          テーマ2:AI検索はWebの未来をどう変えるか
          AI検索はなぜ「使われる」と予測できるのか

          Googleが導入を進めるAI検索(AI Overview)や、各社のAIエージェントが今後どれだけ使われるかは、多くのWeb関係者が注目するテーマです。結論から言えば、この機能は多くのユーザーに使われるようになると考えられます。その理由は、現代のユーザー行動と密接に関連しています。

          1. 比較検討のインセンティブ低下:多くのWebサイトが類似コンテンツを掲載するようになった結果、ユーザーは「時間をかけて探しても、大差ない」と感じるようになりました。探す努力に見合うリターンが得られにくくなっているのです。
          2. 「探す」から「聞く」への行動シフト:サイト内回遊率の低下と、チャットボットの普及は象徴的です。ユーザーは自ら情報を探すのではなく「手軽に聞いて答えを得たい」と考える傾向が強まっています。
          3. AI検索は、まさにこの「聞いて答えを得る」というニーズに応えるものです。複数のサイトを巡る手間なく、要約された回答を得られる利便性は、多くのユーザーにとって魅力的でしょう。

            AI検索時代に備えるための第一歩

            AI検索への最適化は、まだ確立された手法はありません。しかし、今から準備を始めることは可能です。

            • AI検索を体験する:まずはGoogleのラボ機能などを通じて、AI検索がどのようなものか、自ら体験することが重要です。
            • 引用元を分析する:自社の事業に関連するキーワードで検索し、どのようなサイトがAIの回答に引用されているか、その傾向を分析します。
            • 信頼される情報源を目指す:上位表示サイトが必ずしも引用されるわけではない、という調査結果もあります。AIに「信頼できる情報源」として認識されるような、専門性・権威性の高いコンテンツ作りが鍵となります。
            • AI検索の動向を注視し、その前提でWeb戦略を準備していくことが、これからの時代を乗り切るために不可欠です。

              まとめ

              今回は、時代遅れになりつつある「セールスファネル」という考え方と、未来のスタンダードになりうる「AI検索」について解説しました。どちらのテーマにも共通するのは、顧客のリアルな行動やニーズを深く理解することの重要性です。フレームワークや過去の常識にとらわれず、常に顧客と向き合い、変化に対応していく姿勢が求められています。

              また、Googleの提唱するバタフライサーキットやパルス消費、 「Messy Middle(メッシー・ミドル)」も重要です。これは、顧客が「探索(Exploration)」と「評価(Evaluation)」のループを無数に行き来するというモデルで、こちらも要チェックですね。

              続きはPodcastでお聞き下さい。 #顧客理解 #AI検索 #Webマーケティング戦略

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                株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)

                代表取締役・コンサルタント 中山陽平

                Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/

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