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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、日々私たちが触れているニュースメディアの信頼度について、ある調査結果をきっかけに考えてみたいと思います。テレビ、新聞、雑誌、そしてSNS。どの媒体の情報が最も信頼できるのでしょうか。ある調査では、テレビ、雑誌、新聞の順で信頼度が高いという結果が出ていました。しかし、私は「テレビは信用できない」「SNSのほうが信頼できる」といった、メディアの種類で信頼性を一括りにする議論自体に、あまり意味はないと考えています。
今回は、この業界に20年近く身を置く私が、どのように情報を処理し、向き合っているのかについて、少しお話しできればと思います。
まず、私が普段どのような媒体から情報を得ているかというと、基本的には文字媒体が中心です。ニュースサイトや、中小企業の経営者向けの日経雑誌などを読んでいます。雑誌を読む目的は、自身の情報収集というより、お客様が今何に興味を持っているのか、雑誌社がリサーチした結果を効率的に把握するため、という側面が強いです。
その他には、一部のポッドキャストを聴いたり、SNSを眺めたりもします。特定のコミュニティに所属したり、有料の塾に入ったり、師匠と呼ぶような人がいるわけでもありません。ですから、私が得ている情報は、皆さんが普段アクセスできる情報と、実はそれほど変わらないはずです。もちろん、専門的なツールを使えば、一般には手に入らないデータを得ることはありますが、世の中の出来事やそれに対する論評といった情報に関しては、特別な情報源を持っているわけではないのです。
私がメディアの種類で信頼性を判断することに意味がないと考える理由は、情報の扱い方にあります。
私の場合、情報に触れたとき、それがPR(Public Relations:企業や団体がメディアや一般大衆と良好な関係を築くための活動)案件なのか、特定の立場からの意見(ポジショントーク)なのか、あるいは単なる憶測で書かれた「こたつ記事」なのかを、ある程度その場でフィルタリングします。悪意を感じる情報も同様です。しかし、そうでない情報については、一旦すべて「なるほど、そういうこともあるかもしれない」という保留ボックスに入れるようにしています。
その中には、後で参照したい情報と、忘れてもよい情報があります。覚えておきたいものはメモに残しますが、それ以外は頭の片隅に置いておく程度で、その場で深くは気にしません。
なぜ、このような情報の扱い方をするのか。それは、日常生活や仕事において、その瞬間に得た情報が、直後の意思決定に影響を及ぼすケースは、実はそれほど多くないからです。もちろん、特定の事業を始めるために集中的に情報収集する、といった段階では話は別です。しかし、普段インプットする情報のほとんどは、今すぐ必要というわけではないでしょう。
何かを判断し、決めなければならない状況に直面したとき、初めて過去に集めた様々な情報を頭の中から引っ張り出してきます。「そういえば、あんな話もあったな」「こういう動きもあるな」と、それらを組み合わせ、その時点で最適な判断を下す。情報とは、そのように使うものではないでしょうか。
情報に触れたその時点では「少し怪しいな」と感じたものでも、後になって時代の流れを考えると「意外と的を射ていた」「今こそ考えるべきテーマだった」と価値が変わることがあります。もちろん、その逆も然りです。
ですから、一つひとつのニュースに対して、その場で「これは信頼できる」「これはできない」と細かく判断し、意見を発信し続ける必要はない、というのが私の考えです。SNSの普及により、誰もが情報に対してすぐに自分の意見を表明したくなる時代ですが、少し距離を置いてみることが大切だと感じています。
では、どうすれば情報の渦に飲まれず、自分なりに判断していく力を養えるのでしょうか。そのトレーニングという観点から、メディアとの付き合い方について考えてみます。
もし、情報を批判的・検証的に読み解く訓練を始めたいのであれば、動画よりも文章、つまり文字情報を中心に据えることをお勧めします。雑誌、ウェブ記事、新聞、書籍など、媒体は何でも構いません。
なぜなら、映像や音声は、私たちの無意識や潜在的な部分に強く働きかけるからです。作り手の意図によって、印象が大きく左右され、フラットな視点で考えるのが最も難しいメディアと言えます。
特に動画は、人を動かすことに非常に長けたメディアです。テレビはもちろん、YouTubeはさらに注意が必要だと感じています。YouTubeは、ユーザーの興味に合わせてパーソナライズされるため、特定のテーマに興味を持つと、あっという間に関連動画で埋め尽くされます。これにより、思考が偏り、いわゆる「タコツボ化」しやすい、非常に怖い媒体でもあるのです。
音声メディアであるポッドキャストやラジオは、映像がない分、影響は少し弱まります。しかし、声のトーンや心地よい話し方といった要素が、内容そのものの印象にも影響を与えるため、文字情報に比べれば、やはり注意が必要でしょう。
SNSも媒体としては文章ですが、特有の難しさがあります。それは、「みんなが良いと言っているから良いものだ」というバンドワゴン効果のような心理的な作用が、非常に強く働きやすい場であることです。
多くの「いいね」が付いている投稿や、自分の考えに近い意見を見ると、無条件にそれを受け入れてしまいがちです。Yahoo!ニュースの記事本文を読まずに、まずコメント欄を見てしまうような習慣がある方は、特に注意が必要です。それは、自分で考えるプロセスを放棄してしまっているサインかもしれません。
他人の評価に流されやすい自覚がある方は、SNSから情報を得るのを避けるか、信頼できる特定の人をフォローし、その人の情報だけを見る、という使い方に限定するのが賢明です。
ここまでお話ししてきたことをまとめます。
そして、最も重要なのは、自分一人で考えを完結させないことです。自分の中の価値基準が偏ってしまう「エコーチェンバー現象」を避けるためにも、信頼できる他者とディスカッションする機会を持つことが、非常に有効です。
最後に、情報への向き合い方としてもう一つ。何にでも意見を表明したくなる癖は、意識して改めた方が良いかもしれません。特にネガティブな意見や、その時々の時代背景を理解しなければ正しく判断できない事柄に安易に言及すると、それがデジタルタトゥーとして残り、将来の自分にとって負の遺産になりかねません。「昔はこう言っていたじゃないか」と、一貫性を過剰に求められる時代だからこそ、何に対して自分の意見を公にするかは、慎重に考えるべきです。
現代は「情報量が増えた」とよく言われますが、正確には、世の中の情報そのものではなく、情報に対する個人の「解釈」が爆発的に増えている時代なのだと思います。そして、解釈はどこまでいっても個人の感想に過ぎません。だからこそ、他人の解釈に流されるのではなく、自分自身の解釈を見つけ、それを検証していくプロセスが、何よりも大切なのではないでしょうか。
最終的には、その判断が良い結果に繋がれば、すべて良し。そんな少しゆるいスタンスで、情報の海と付き合っていくのが良いのかもしれません。
続きはPodcastをご覧下さい。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第545回:信頼できる情報源の見極め方。テレビ、SNS、本当に信じるべきは何か は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。
By ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。
今回は、日々私たちが触れているニュースメディアの信頼度について、ある調査結果をきっかけに考えてみたいと思います。テレビ、新聞、雑誌、そしてSNS。どの媒体の情報が最も信頼できるのでしょうか。ある調査では、テレビ、雑誌、新聞の順で信頼度が高いという結果が出ていました。しかし、私は「テレビは信用できない」「SNSのほうが信頼できる」といった、メディアの種類で信頼性を一括りにする議論自体に、あまり意味はないと考えています。
今回は、この業界に20年近く身を置く私が、どのように情報を処理し、向き合っているのかについて、少しお話しできればと思います。
まず、私が普段どのような媒体から情報を得ているかというと、基本的には文字媒体が中心です。ニュースサイトや、中小企業の経営者向けの日経雑誌などを読んでいます。雑誌を読む目的は、自身の情報収集というより、お客様が今何に興味を持っているのか、雑誌社がリサーチした結果を効率的に把握するため、という側面が強いです。
その他には、一部のポッドキャストを聴いたり、SNSを眺めたりもします。特定のコミュニティに所属したり、有料の塾に入ったり、師匠と呼ぶような人がいるわけでもありません。ですから、私が得ている情報は、皆さんが普段アクセスできる情報と、実はそれほど変わらないはずです。もちろん、専門的なツールを使えば、一般には手に入らないデータを得ることはありますが、世の中の出来事やそれに対する論評といった情報に関しては、特別な情報源を持っているわけではないのです。
私がメディアの種類で信頼性を判断することに意味がないと考える理由は、情報の扱い方にあります。
私の場合、情報に触れたとき、それがPR(Public Relations:企業や団体がメディアや一般大衆と良好な関係を築くための活動)案件なのか、特定の立場からの意見(ポジショントーク)なのか、あるいは単なる憶測で書かれた「こたつ記事」なのかを、ある程度その場でフィルタリングします。悪意を感じる情報も同様です。しかし、そうでない情報については、一旦すべて「なるほど、そういうこともあるかもしれない」という保留ボックスに入れるようにしています。
その中には、後で参照したい情報と、忘れてもよい情報があります。覚えておきたいものはメモに残しますが、それ以外は頭の片隅に置いておく程度で、その場で深くは気にしません。
なぜ、このような情報の扱い方をするのか。それは、日常生活や仕事において、その瞬間に得た情報が、直後の意思決定に影響を及ぼすケースは、実はそれほど多くないからです。もちろん、特定の事業を始めるために集中的に情報収集する、といった段階では話は別です。しかし、普段インプットする情報のほとんどは、今すぐ必要というわけではないでしょう。
何かを判断し、決めなければならない状況に直面したとき、初めて過去に集めた様々な情報を頭の中から引っ張り出してきます。「そういえば、あんな話もあったな」「こういう動きもあるな」と、それらを組み合わせ、その時点で最適な判断を下す。情報とは、そのように使うものではないでしょうか。
情報に触れたその時点では「少し怪しいな」と感じたものでも、後になって時代の流れを考えると「意外と的を射ていた」「今こそ考えるべきテーマだった」と価値が変わることがあります。もちろん、その逆も然りです。
ですから、一つひとつのニュースに対して、その場で「これは信頼できる」「これはできない」と細かく判断し、意見を発信し続ける必要はない、というのが私の考えです。SNSの普及により、誰もが情報に対してすぐに自分の意見を表明したくなる時代ですが、少し距離を置いてみることが大切だと感じています。
では、どうすれば情報の渦に飲まれず、自分なりに判断していく力を養えるのでしょうか。そのトレーニングという観点から、メディアとの付き合い方について考えてみます。
もし、情報を批判的・検証的に読み解く訓練を始めたいのであれば、動画よりも文章、つまり文字情報を中心に据えることをお勧めします。雑誌、ウェブ記事、新聞、書籍など、媒体は何でも構いません。
なぜなら、映像や音声は、私たちの無意識や潜在的な部分に強く働きかけるからです。作り手の意図によって、印象が大きく左右され、フラットな視点で考えるのが最も難しいメディアと言えます。
特に動画は、人を動かすことに非常に長けたメディアです。テレビはもちろん、YouTubeはさらに注意が必要だと感じています。YouTubeは、ユーザーの興味に合わせてパーソナライズされるため、特定のテーマに興味を持つと、あっという間に関連動画で埋め尽くされます。これにより、思考が偏り、いわゆる「タコツボ化」しやすい、非常に怖い媒体でもあるのです。
音声メディアであるポッドキャストやラジオは、映像がない分、影響は少し弱まります。しかし、声のトーンや心地よい話し方といった要素が、内容そのものの印象にも影響を与えるため、文字情報に比べれば、やはり注意が必要でしょう。
SNSも媒体としては文章ですが、特有の難しさがあります。それは、「みんなが良いと言っているから良いものだ」というバンドワゴン効果のような心理的な作用が、非常に強く働きやすい場であることです。
多くの「いいね」が付いている投稿や、自分の考えに近い意見を見ると、無条件にそれを受け入れてしまいがちです。Yahoo!ニュースの記事本文を読まずに、まずコメント欄を見てしまうような習慣がある方は、特に注意が必要です。それは、自分で考えるプロセスを放棄してしまっているサインかもしれません。
他人の評価に流されやすい自覚がある方は、SNSから情報を得るのを避けるか、信頼できる特定の人をフォローし、その人の情報だけを見る、という使い方に限定するのが賢明です。
ここまでお話ししてきたことをまとめます。
そして、最も重要なのは、自分一人で考えを完結させないことです。自分の中の価値基準が偏ってしまう「エコーチェンバー現象」を避けるためにも、信頼できる他者とディスカッションする機会を持つことが、非常に有効です。
最後に、情報への向き合い方としてもう一つ。何にでも意見を表明したくなる癖は、意識して改めた方が良いかもしれません。特にネガティブな意見や、その時々の時代背景を理解しなければ正しく判断できない事柄に安易に言及すると、それがデジタルタトゥーとして残り、将来の自分にとって負の遺産になりかねません。「昔はこう言っていたじゃないか」と、一貫性を過剰に求められる時代だからこそ、何に対して自分の意見を公にするかは、慎重に考えるべきです。
現代は「情報量が増えた」とよく言われますが、正確には、世の中の情報そのものではなく、情報に対する個人の「解釈」が爆発的に増えている時代なのだと思います。そして、解釈はどこまでいっても個人の感想に過ぎません。だからこそ、他人の解釈に流されるのではなく、自分自身の解釈を見つけ、それを検証していくプロセスが、何よりも大切なのではないでしょうか。
最終的には、その判断が良い結果に繋がれば、すべて良し。そんな少しゆるいスタンスで、情報の海と付き合っていくのが良いのかもしれません。
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代表取締役・コンサルタント 中山陽平
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投稿 第545回:信頼できる情報源の見極め方。テレビ、SNS、本当に信じるべきは何か は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。

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