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ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回のテーマは、コンサルティングのゴールについて。皆さんがコンサルタントを雇う際に、どこを目指すべきか、という点について私の考えをお伝えします。これは、20年近い経験から導き出した一つの答えであり、皆さんのパートナー選びの一助となれば幸いです。
まず、著名なマーケターであるセス・ゴーディン氏のブログ記事を一つ紹介します。彼をご存知ない方も、「パーミッション・マーケティング」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。これは、企業が一方的に情報を送りつけるのではなく、顧客から「許可(パーミッション)」を得てから情報を届けるという考え方で、当時のインタラプト(割り込み)型の広告が主流だった時代に大きな影響を与えました。
マーケティングという言葉が「企業に都合よくコントロールされる手法」といったネガティブなイメージを持たれがちなのは、こうした業界の歴史的背景も一因だと私は考えています。
さて、そのゴーディン氏のブログのタイトルは「Don’t steal the revelation」というものです。revelationを直訳すると「啓示」となりますが、彼の意図を汲むと「自らの力で得る『気づき』や『ひらめき』」といったニュアンスでしょう。つまり、「クライアントから『気づき』を得る機会を奪ってはいけない」という、コンサルタント側へのメッセージです。
記事の中で、彼は「学習とは、自分の知らないことの中を歩いていく旅だ」と述べています。 私たちはまず「知らないことがある」と気づき、それを知ればもっとうまくやれるはずだと考えます。しかし、すぐにうまくいくわけではありません。試行錯誤を繰り返す中で、どうすればうまくいくのかを理解し、最終的に成功に至るのです。
ゴーディン氏は、このトライアンドエラーのプロセスこそが「旅」であり、本当の学習だと説きます。 対して、コンサルタントが事前に処理した情報や手順書をそのまま実行するのは、学習ではなく、単に「テストされているだけ」だと指摘しています。
知識やスキルは、自分自身で実践することによってのみ形成されます。誰かに教わるよりも、自ら問題を解決した方が、はるかに高い効果と記憶の定着が期待できるのです。 だからこそ、教える側の仕事は、相手が探求できる環境を作り、道から大きく外れそうな時にだけ軌道修正をしてあげることなのだ、と彼は締めくくっています。
この考え方は、コンサルティングの本質を捉えています。外部の力を借りる目的は、「自分たちが何かをできるようになるため」であるべきです。主体はあくまで自分たち自身であり、答えを誰かに持ってきてもらうことではありません。
ここで、コンサルティングの目的を二つに分けて考えてみましょう。
一つは、自社でその機能を持つつもりがない業務を、外部の専門家として継続的に任せるケースです。これは、採用が困難であったり、自社の事業とのシナジーが薄いといった場合に有効な選択肢です。この場合のゴールは、コンサルティングの終了ではなく、「良い外部パートナーを見つけること」になります。
もう一つは、自分たちの組織をより強くするために、伴走支援してくれる人を探すケースです。この場合のゴールは明確です。「自分たちができるようになりたいと思っていたことができるようになった時」が、コンサルティングのゴールです。
つまり、後者の目的でコンサルタントを雇うのであれば、必ずどこかで「卒業」の瞬間が訪れなければなりません。そして、コンサルタント側の使命は、その卒業をできるだけ早く実現させることです。
コンサルタントが提供する価値は、その場での成果はもちろんですが、それ以上に「クライアントが自走できる組織文化やスキルセットを育むこと」にあります。例えば、3年間のプロジェクトが2年で終わったとしたら、売上は3分の2になりますが、クライアントが予測の1.5倍の速度で成長した証であり、コンサルタントとしてはこれ以上ない喜びです。
ですから、皆さんには「卒業」をポジティブな目標として捉え、その卒業を共に喜んでくれるようなパートナーを選んでいただきたいと思います。
同じ業界の人間として言いますが、一つの課題が解決に近づくと、次から次へと新たな課題を持ち出して契約の継続を図ろうとするコンサルタントも残念ながら存在します。それは本当に企業の成長に繋がる提案なのか、見極める必要があります。
「自分たちで試行錯誤するより、答えをすぐにもらった方が早いし楽だ」という意見もあるでしょう。もちろん、掛け算の九九を原理から学ぶ必要がないように、定石や基本的なスキルを最初にインプットすることは有効です。しかし、それが全てになってはいけません。
昨今、「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉に代表されるように、結果を得るまでの時間的コストに厳しい目が向けられています。しかし、ビジネスにおいて結果だけに注目していると、組織は内実を失い、誰かに結果を持ってきてもらわなければ動けない状態に陥ってしまいます。
その結果に至るまでのプロセスにどれだけ価値を認められるかで、組織の成長速度は大きく変わります。最終的に失敗したとしても、「このプロセスには価値があった」と言える会社は強いです。
もちろん、これは「結果が悪くてもプロセスが良ければいい」ということではありません。結果を出すことは大前提です。その上で、たとえ結果が出なかったとしても、そのプロセスから得られた学びや経験をきちんと評価する。この両輪の考え方が重要です。
プロセスを軽視し、外部から与えられた答えを実行するだけでは、ゴーディン氏の言うように「コンサルタントが皆さんを使って実験をしているだけ」の状況になりかねません。
このテーマについて、試しにAIに「この考え方への反論と疑問」を挙げさせてみました。興味深いことに、AIの回答の多くは「緊急性」や「効率」を理由に挙げていました。
今回の話をまとめると、もし皆さんが自社の成長のためにコンサルタントの活用を考えるのであれば、そのゴールは「コンサルタントからの卒業」であると意識することが重要です。そして、その卒業を心から応援してくれるパートナーを見つけることが、成功への鍵となります。
セス・ゴーディン氏の書籍、特に『パーミッション・マーケティング』は、すぐに役立つノウハウ本ではありませんが、マーケティングに携わる方だけでなく、外部パートナーとの付き合い方を考える上でも、多くの示唆を与えてくれます。私自身、この本やエドガー・シャイン氏の『プロセス・コンサルテーション』には非常に感銘を受け、独立を志すきっかけともなりました。ご興味があれば、ぜひ手に取ってみてください。
自社の「卒業」を目標に設定し、そのプロセスを支援してくれるWebコンサルタントを選ぶことが重要です。単に答えや施策を提供するだけでなく、企業が自ら学び、試行錯誤できる環境作りを手伝ってくれるかを見極めましょう。自社の成長を共に喜んでくれるパートナーが理想的です。
ゴールは2種類あります。1つは、特定の業務を任せる「外部パートナー」として継続的に協力してもらうこと。もう1つは、自社がノウハウを習得し「自走できるようになること」です。後者の場合、Webコンサルタントからの「卒業」が最終的なゴールとなります。自社の目的を明確にしてから依頼することが大切です。
自社の成長支援を目的とする場合、依頼した課題について「自分たちで考え、実行できるようになった」時が契約終了の一つの目安です。Webコンサルタント側が健全な形で「卒業」を促してくれるかどうかも、信頼性を判断するポイントになります。契約はプロジェクト単位で区切るのが健全な形と言えます。
答えだけを与えられると、企業は自ら考えるプロセスを経験できません。それはセス・ゴーディン氏の言う「気づきを盗まれる」状態です。その結果、いつまでもWebコンサルタントに依存してしまい、組織としての成長が止まってしまうリスクがあります。プロセスこそが企業の貴重な資産となります。
まず、自社がWebコンサルティングに何を求めるのか(外部機能か、成長支援か)を明確にすることが重要です。特に成長支援を求める場合は、結果だけでなく、試行錯誤のプロセスを評価する文化を社内に持つことが大切です。結果至上主義に陥らず、長期的な視点でパートナーを選びましょう。
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・Webコンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第549回:Webコンサルタントのゴールは「卒業」自走できる組織になるためのパートナー選び は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。
By ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平ラウンドナップWebコンサルティングの中山陽平です。今回のテーマは、コンサルティングのゴールについて。皆さんがコンサルタントを雇う際に、どこを目指すべきか、という点について私の考えをお伝えします。これは、20年近い経験から導き出した一つの答えであり、皆さんのパートナー選びの一助となれば幸いです。
まず、著名なマーケターであるセス・ゴーディン氏のブログ記事を一つ紹介します。彼をご存知ない方も、「パーミッション・マーケティング」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。これは、企業が一方的に情報を送りつけるのではなく、顧客から「許可(パーミッション)」を得てから情報を届けるという考え方で、当時のインタラプト(割り込み)型の広告が主流だった時代に大きな影響を与えました。
マーケティングという言葉が「企業に都合よくコントロールされる手法」といったネガティブなイメージを持たれがちなのは、こうした業界の歴史的背景も一因だと私は考えています。
さて、そのゴーディン氏のブログのタイトルは「Don’t steal the revelation」というものです。revelationを直訳すると「啓示」となりますが、彼の意図を汲むと「自らの力で得る『気づき』や『ひらめき』」といったニュアンスでしょう。つまり、「クライアントから『気づき』を得る機会を奪ってはいけない」という、コンサルタント側へのメッセージです。
記事の中で、彼は「学習とは、自分の知らないことの中を歩いていく旅だ」と述べています。 私たちはまず「知らないことがある」と気づき、それを知ればもっとうまくやれるはずだと考えます。しかし、すぐにうまくいくわけではありません。試行錯誤を繰り返す中で、どうすればうまくいくのかを理解し、最終的に成功に至るのです。
ゴーディン氏は、このトライアンドエラーのプロセスこそが「旅」であり、本当の学習だと説きます。 対して、コンサルタントが事前に処理した情報や手順書をそのまま実行するのは、学習ではなく、単に「テストされているだけ」だと指摘しています。
知識やスキルは、自分自身で実践することによってのみ形成されます。誰かに教わるよりも、自ら問題を解決した方が、はるかに高い効果と記憶の定着が期待できるのです。 だからこそ、教える側の仕事は、相手が探求できる環境を作り、道から大きく外れそうな時にだけ軌道修正をしてあげることなのだ、と彼は締めくくっています。
この考え方は、コンサルティングの本質を捉えています。外部の力を借りる目的は、「自分たちが何かをできるようになるため」であるべきです。主体はあくまで自分たち自身であり、答えを誰かに持ってきてもらうことではありません。
ここで、コンサルティングの目的を二つに分けて考えてみましょう。
一つは、自社でその機能を持つつもりがない業務を、外部の専門家として継続的に任せるケースです。これは、採用が困難であったり、自社の事業とのシナジーが薄いといった場合に有効な選択肢です。この場合のゴールは、コンサルティングの終了ではなく、「良い外部パートナーを見つけること」になります。
もう一つは、自分たちの組織をより強くするために、伴走支援してくれる人を探すケースです。この場合のゴールは明確です。「自分たちができるようになりたいと思っていたことができるようになった時」が、コンサルティングのゴールです。
つまり、後者の目的でコンサルタントを雇うのであれば、必ずどこかで「卒業」の瞬間が訪れなければなりません。そして、コンサルタント側の使命は、その卒業をできるだけ早く実現させることです。
コンサルタントが提供する価値は、その場での成果はもちろんですが、それ以上に「クライアントが自走できる組織文化やスキルセットを育むこと」にあります。例えば、3年間のプロジェクトが2年で終わったとしたら、売上は3分の2になりますが、クライアントが予測の1.5倍の速度で成長した証であり、コンサルタントとしてはこれ以上ない喜びです。
ですから、皆さんには「卒業」をポジティブな目標として捉え、その卒業を共に喜んでくれるようなパートナーを選んでいただきたいと思います。
同じ業界の人間として言いますが、一つの課題が解決に近づくと、次から次へと新たな課題を持ち出して契約の継続を図ろうとするコンサルタントも残念ながら存在します。それは本当に企業の成長に繋がる提案なのか、見極める必要があります。
「自分たちで試行錯誤するより、答えをすぐにもらった方が早いし楽だ」という意見もあるでしょう。もちろん、掛け算の九九を原理から学ぶ必要がないように、定石や基本的なスキルを最初にインプットすることは有効です。しかし、それが全てになってはいけません。
昨今、「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉に代表されるように、結果を得るまでの時間的コストに厳しい目が向けられています。しかし、ビジネスにおいて結果だけに注目していると、組織は内実を失い、誰かに結果を持ってきてもらわなければ動けない状態に陥ってしまいます。
その結果に至るまでのプロセスにどれだけ価値を認められるかで、組織の成長速度は大きく変わります。最終的に失敗したとしても、「このプロセスには価値があった」と言える会社は強いです。
もちろん、これは「結果が悪くてもプロセスが良ければいい」ということではありません。結果を出すことは大前提です。その上で、たとえ結果が出なかったとしても、そのプロセスから得られた学びや経験をきちんと評価する。この両輪の考え方が重要です。
プロセスを軽視し、外部から与えられた答えを実行するだけでは、ゴーディン氏の言うように「コンサルタントが皆さんを使って実験をしているだけ」の状況になりかねません。
このテーマについて、試しにAIに「この考え方への反論と疑問」を挙げさせてみました。興味深いことに、AIの回答の多くは「緊急性」や「効率」を理由に挙げていました。
今回の話をまとめると、もし皆さんが自社の成長のためにコンサルタントの活用を考えるのであれば、そのゴールは「コンサルタントからの卒業」であると意識することが重要です。そして、その卒業を心から応援してくれるパートナーを見つけることが、成功への鍵となります。
セス・ゴーディン氏の書籍、特に『パーミッション・マーケティング』は、すぐに役立つノウハウ本ではありませんが、マーケティングに携わる方だけでなく、外部パートナーとの付き合い方を考える上でも、多くの示唆を与えてくれます。私自身、この本やエドガー・シャイン氏の『プロセス・コンサルテーション』には非常に感銘を受け、独立を志すきっかけともなりました。ご興味があれば、ぜひ手に取ってみてください。
自社の「卒業」を目標に設定し、そのプロセスを支援してくれるWebコンサルタントを選ぶことが重要です。単に答えや施策を提供するだけでなく、企業が自ら学び、試行錯誤できる環境作りを手伝ってくれるかを見極めましょう。自社の成長を共に喜んでくれるパートナーが理想的です。
ゴールは2種類あります。1つは、特定の業務を任せる「外部パートナー」として継続的に協力してもらうこと。もう1つは、自社がノウハウを習得し「自走できるようになること」です。後者の場合、Webコンサルタントからの「卒業」が最終的なゴールとなります。自社の目的を明確にしてから依頼することが大切です。
自社の成長支援を目的とする場合、依頼した課題について「自分たちで考え、実行できるようになった」時が契約終了の一つの目安です。Webコンサルタント側が健全な形で「卒業」を促してくれるかどうかも、信頼性を判断するポイントになります。契約はプロジェクト単位で区切るのが健全な形と言えます。
答えだけを与えられると、企業は自ら考えるプロセスを経験できません。それはセス・ゴーディン氏の言う「気づきを盗まれる」状態です。その結果、いつまでもWebコンサルタントに依存してしまい、組織としての成長が止まってしまうリスクがあります。プロセスこそが企業の貴重な資産となります。
まず、自社がWebコンサルティングに何を求めるのか(外部機能か、成長支援か)を明確にすることが重要です。特に成長支援を求める場合は、結果だけでなく、試行錯誤のプロセスを評価する文化を社内に持つことが大切です。結果至上主義に陥らず、長期的な視点でパートナーを選びましょう。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・Webコンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第549回:Webコンサルタントのゴールは「卒業」自走できる組織になるためのパートナー選び は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。

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