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こんにちは、ラウンドナップ・ウェブコンサルティングの中山です。このポッドキャストでは、会社と経営者を強くするための実践的なウェブ活用法をビジネス目線でお伝えしています。
今回は、これからの時代にウェブ、デジタル、ITといった分野で価値を提供していくために、まず最初に意識してほしいことについてお話しします。それは、特定の職種、例えば「デザイナー」や「コンサルタント」といった肩書きで自分を規定し、その枠の中で学ぼうとすることをやめる、ということです。
「自分はコンサルタントになるんだ」「マーケターになるんだ」と、特定の職種を目指すことからキャリアをスタートさせる方は多いでしょう。私自身、2001年頃からこの業界にいますが、かつてはそれが当たり前でした。
特に中堅以上の企業では、戦略を立てる人、全体をまとめるディレクター、デザインを担当するデザイナー、実装を行うコーダーといった形でチームを組む分業制が一般的でした。自分の専門領域を深く追求していれば、それで十分に価値を提供できた時代だったのです。
しかし、自分の領域だけを伸ばしていれば何とかなる、という時代はもう終わりを告げました。
ウェブ業界の黎明期は、ウェブサイトを「作れる」こと自体に大きな価値がありました。しかし、今では同じような仕事をする人はたくさんいますし、成果を出すための「定石」も確立されつつあります。
このような状況で他社と差別化し、クライアントにとって本当に価値のあるものを提供するためには、自分の専門領域だけでは不十分です。例えばデザイナーであれば、前段階のプランニングや顧客心理を理解しているか、クライアントとのファシリテーションがうまいか、といった周辺領域のスキルが求められます。実装担当者の視点に立てなければ、コストを増大させ、プロジェクト全体の利益率を下げてしまうかもしれません。
理想を言えば、ビジネスの川上から川下まで、つまりクライアントが普段どのように営業し、どのように意思決定をしているのか、そして納品したものがどのように使われているのかまで、すべてを把握している必要があります。現場の感覚として、そこまで理解していなければ、もはやクライアントから選ばれるのは難しいというのが正直なところです。
ここ数年で、AI(人工知能)が急速に普及しました。AIによって知的労働が代替されやすいという話は、皆さんも耳にしたことがあるでしょう。
実際に、これまで学習コストが高く、専門家でなければ手を出せなかった領域に、多くの人がAIの助けを借りて進出しています。私自身も、以前は専門ではありませんでしたが、AIを活用することで業務を効率化するスクリプトを作成したり、データ整理や調査を自分で行えるようになりました。誰かに専門的なことを聞く機会は、本当に大きく減りました。
ワイヤーフレームの作成やデザイン案の生成など、これまで専門職の仕事とされてきた作業も、AIが次々とこなせるようになっています。例えば、クラウド型のウェブサイト制作ツールであるWixでは、口頭で指示するだけでホームページを作成するような機能も登場しています。このような世界で、私たちはどう価値を提供していけばよいのでしょうか。
これからの時代は、「自分はデザイナーです」と名乗ることに固執するのではなく、「クライアントや会社に対して、ウェブやデジタルを使ってどのような価値を提供したいか」という目的から考えることが重要です。
特定の職種に自分を縛ってしまうと、その領域以外の情報に対する優先順位が下がりがちです。しかし、自分の専門性を高める上で、周辺領域の知識が役立つことは非常に多くあります。
私がこれまで見てきた第一線で活躍するスペシャリストたちは、例外なく専門外のことも普通にこなせる人ばかりでした。彼らは「主戦場はここだ」と対外的に説明する必要があるからこそ肩書きを名乗っていますが、実際にはクライアントに価値を提供するために必要な知識やスキルを、分野にこだわらず貪欲に取り入れています。その結果として、プログラミングもできれば、マーケティングも理解している、という状態になっているのです。
AIを使えば、戦略レポートやデザイン案といった「それっぽいもの」は誰でも作れるようになります。しかし、それだけでは専門家の仕事はなくなりません。むしろ、その役割はより重要になります。
AIが生成したものをクライアントに提案する際、「なぜそうなったのか」を説明し、相手を納得させ、現場を動かすというフェーズが必ず発生します。AIに「こういう質問があったんだけど、どう思う?」と聞くことはできますが、AIが返す「最適な答え」が、プロジェクト全体を円滑に進める「最善の答え」とは限りません。
ビジネスの現場では、「あえて一旦引き、別の部分で成果を出してから本丸に進める」といった戦略的な段取りが求められることがあります。このような効率性だけでは測れない判断は、まだ人間にしかできません。そして、その判断の根拠となるのが、知識や情報ではなく、一重に「経験」なのです。
クライアントを納得させ、現場を動かす提案ができるかどうかは、その人がどれだけリアルな「体験」を積み重ねてきたかにかかっています。例えば、営業の経験がない人が、営業担当者の心に響く提案をすることは非常に困難です。言葉の重みが全く違ってきます。
様々な経験を通じて引き出しを増やし、物事を多角的に捉え、瞬時に関連付けて判断する能力こそが、これからの人間に求められる主要な役割になるでしょう。
この「体験」の重要性は、Googleの検索品質評価ガイドラインにも表れています。Googleは「E-E-A-T」(Experience: 経験, Expertise: 専門性, Authoritativeness: 権威性, Trustworthiness: 信頼性)という概念を掲げ、その中でも特に「Experience(経験)」、つまり実体験や独自体験を重視しています。
なぜなら、実際に体験した人が作り出すコンテンツは、そうでない人のものとは明らかに品質、特に解像度が違うからです。
では、どうすればその重要な「体験」を積むことができるのでしょうか。
現場を知ることで、逆に動きにくくなる側面もあるかもしれません。しかし、それは相手の気持ちが分かるようになった証拠であり、良いことです。その葛藤を乗り越えることで、より実効性の高い提案ができるようになります。
AIという強力なパートナーを使いこなすことは、もはや必須のスキルです。それを前提とした上で、これからのキャリアを考えるならば、以下の点を意識してみてください。
どうすればいいか、その方法はAIが教えてくれます。しかし、その根幹となる体験は、あなた自身でしか積み重ねることができません。この考え方が、これからの時代を生き抜くための一助となれば幸いです。
#Webマーケティング #デジタル人材 #中小企業
こちらのフォームへどうぞ。
株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第559回: AI時代のWeb担当者へ、「職種で自分を縛る」ことをやめることがスタートです は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。
By ラウンドナップ・Webコンサルティング 代表 中山陽平こんにちは、ラウンドナップ・ウェブコンサルティングの中山です。このポッドキャストでは、会社と経営者を強くするための実践的なウェブ活用法をビジネス目線でお伝えしています。
今回は、これからの時代にウェブ、デジタル、ITといった分野で価値を提供していくために、まず最初に意識してほしいことについてお話しします。それは、特定の職種、例えば「デザイナー」や「コンサルタント」といった肩書きで自分を規定し、その枠の中で学ぼうとすることをやめる、ということです。
「自分はコンサルタントになるんだ」「マーケターになるんだ」と、特定の職種を目指すことからキャリアをスタートさせる方は多いでしょう。私自身、2001年頃からこの業界にいますが、かつてはそれが当たり前でした。
特に中堅以上の企業では、戦略を立てる人、全体をまとめるディレクター、デザインを担当するデザイナー、実装を行うコーダーといった形でチームを組む分業制が一般的でした。自分の専門領域を深く追求していれば、それで十分に価値を提供できた時代だったのです。
しかし、自分の領域だけを伸ばしていれば何とかなる、という時代はもう終わりを告げました。
ウェブ業界の黎明期は、ウェブサイトを「作れる」こと自体に大きな価値がありました。しかし、今では同じような仕事をする人はたくさんいますし、成果を出すための「定石」も確立されつつあります。
このような状況で他社と差別化し、クライアントにとって本当に価値のあるものを提供するためには、自分の専門領域だけでは不十分です。例えばデザイナーであれば、前段階のプランニングや顧客心理を理解しているか、クライアントとのファシリテーションがうまいか、といった周辺領域のスキルが求められます。実装担当者の視点に立てなければ、コストを増大させ、プロジェクト全体の利益率を下げてしまうかもしれません。
理想を言えば、ビジネスの川上から川下まで、つまりクライアントが普段どのように営業し、どのように意思決定をしているのか、そして納品したものがどのように使われているのかまで、すべてを把握している必要があります。現場の感覚として、そこまで理解していなければ、もはやクライアントから選ばれるのは難しいというのが正直なところです。
ここ数年で、AI(人工知能)が急速に普及しました。AIによって知的労働が代替されやすいという話は、皆さんも耳にしたことがあるでしょう。
実際に、これまで学習コストが高く、専門家でなければ手を出せなかった領域に、多くの人がAIの助けを借りて進出しています。私自身も、以前は専門ではありませんでしたが、AIを活用することで業務を効率化するスクリプトを作成したり、データ整理や調査を自分で行えるようになりました。誰かに専門的なことを聞く機会は、本当に大きく減りました。
ワイヤーフレームの作成やデザイン案の生成など、これまで専門職の仕事とされてきた作業も、AIが次々とこなせるようになっています。例えば、クラウド型のウェブサイト制作ツールであるWixでは、口頭で指示するだけでホームページを作成するような機能も登場しています。このような世界で、私たちはどう価値を提供していけばよいのでしょうか。
これからの時代は、「自分はデザイナーです」と名乗ることに固執するのではなく、「クライアントや会社に対して、ウェブやデジタルを使ってどのような価値を提供したいか」という目的から考えることが重要です。
特定の職種に自分を縛ってしまうと、その領域以外の情報に対する優先順位が下がりがちです。しかし、自分の専門性を高める上で、周辺領域の知識が役立つことは非常に多くあります。
私がこれまで見てきた第一線で活躍するスペシャリストたちは、例外なく専門外のことも普通にこなせる人ばかりでした。彼らは「主戦場はここだ」と対外的に説明する必要があるからこそ肩書きを名乗っていますが、実際にはクライアントに価値を提供するために必要な知識やスキルを、分野にこだわらず貪欲に取り入れています。その結果として、プログラミングもできれば、マーケティングも理解している、という状態になっているのです。
AIを使えば、戦略レポートやデザイン案といった「それっぽいもの」は誰でも作れるようになります。しかし、それだけでは専門家の仕事はなくなりません。むしろ、その役割はより重要になります。
AIが生成したものをクライアントに提案する際、「なぜそうなったのか」を説明し、相手を納得させ、現場を動かすというフェーズが必ず発生します。AIに「こういう質問があったんだけど、どう思う?」と聞くことはできますが、AIが返す「最適な答え」が、プロジェクト全体を円滑に進める「最善の答え」とは限りません。
ビジネスの現場では、「あえて一旦引き、別の部分で成果を出してから本丸に進める」といった戦略的な段取りが求められることがあります。このような効率性だけでは測れない判断は、まだ人間にしかできません。そして、その判断の根拠となるのが、知識や情報ではなく、一重に「経験」なのです。
クライアントを納得させ、現場を動かす提案ができるかどうかは、その人がどれだけリアルな「体験」を積み重ねてきたかにかかっています。例えば、営業の経験がない人が、営業担当者の心に響く提案をすることは非常に困難です。言葉の重みが全く違ってきます。
様々な経験を通じて引き出しを増やし、物事を多角的に捉え、瞬時に関連付けて判断する能力こそが、これからの人間に求められる主要な役割になるでしょう。
この「体験」の重要性は、Googleの検索品質評価ガイドラインにも表れています。Googleは「E-E-A-T」(Experience: 経験, Expertise: 専門性, Authoritativeness: 権威性, Trustworthiness: 信頼性)という概念を掲げ、その中でも特に「Experience(経験)」、つまり実体験や独自体験を重視しています。
なぜなら、実際に体験した人が作り出すコンテンツは、そうでない人のものとは明らかに品質、特に解像度が違うからです。
では、どうすればその重要な「体験」を積むことができるのでしょうか。
現場を知ることで、逆に動きにくくなる側面もあるかもしれません。しかし、それは相手の気持ちが分かるようになった証拠であり、良いことです。その葛藤を乗り越えることで、より実効性の高い提案ができるようになります。
AIという強力なパートナーを使いこなすことは、もはや必須のスキルです。それを前提とした上で、これからのキャリアを考えるならば、以下の点を意識してみてください。
どうすればいいか、その方法はAIが教えてくれます。しかし、その根幹となる体験は、あなた自身でしか積み重ねることができません。この考え方が、これからの時代を生き抜くための一助となれば幸いです。
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株式会社ラウンドナップ(ラウンドナップWebコンサルティング)
代表取締役・コンサルタント 中山陽平
Webサイト:https://roundup-inc.co.jp/
投稿 第559回: AI時代のWeb担当者へ、「職種で自分を縛る」ことをやめることがスタートです は 中小企業専門WEBマーケティング支援会社・ラウンドナップWebコンサルティング(Roundup Inc.) に最初に表示されました。

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