「反物質を利用した“究極の”推進システム その現在地と今後の展望」 異なる惑星系あるいは銀河の間を短時間で航行可能にすることは、推進システムの究極の目的と言えるかもしれません。この目標を達成する可能性を秘めた推進システムが、第2次世界大戦後まもなく考案されました。それが、反物質と物質が対消滅する際に放出されるぼう大なエネルギーを利用する反物質推進システムです。今回、アラブ首長国連邦にあるユナイテッド・アラブ・エミレーツ大学の研究者らが、これまで提案されてきた反物質推進システムの評価内容をInternational Journal of Thermofluids誌に発表しました。わたしたちが「物質」と呼ぶ対象は、電子、陽子、中性子から構成される「原子」が多数集まって成り立っています。これに対して反物質は、電子、陽子、中性子といった粒子(亜原子粒子)とは電荷や磁気モーメントの正負が異なる「陽電子」、「反陽子」、「反中性子」から構成されています。