今回は、山崎がゴールデンウィークに訪れた阿蘇の旅をきっかけに、自然、文化、地域コミュニティ、そして宿泊インフラについて考えます。
前半のテーマは、阿蘇の草原をEバイクで走るガイドツアー。阿蘇では毎年春先に「野焼き」が行われ、それによって美しい草原景観が維持されています。一見すると「自然を焼く」行為にも見える野焼きですが、実際には草原を藪や森林に戻さず、牛や馬の放牧、牧草、茅葺き屋根に使われる茅の生産などを支える、長い時間をかけて築かれてきた地域の営みでもあります。ガイドさんとの会話を通じて、自然をそのまま残すことだけが自然保護なのか、人間が生態系の一部として関わり続けることもまた持続可能性なのではないか、という問いが浮かび上がります。
特に印象的だったのは、野焼きに対して外国人旅行者、とりわけ環境意識の高いヨーロッパの人たちが戸惑いを示すことがあるという話。自然を管理するという発想と、自然と共生しながら文化を続けていくという発想の違いから、観光ガイドが何をどう伝えるべきかを考えさせられます。目の前に広がる美しい草原は、単なる「自然」ではなく、人間の営みと地域の共同管理によって守られてきた風景なのかもしれません。
後半では、阿蘇駅前のフェアフィールド・バイ・マリオットでの滞在体験から、道の駅隣接型ホテルの可能性について話します。食事をホテル内で完結させず、地元の店や道の駅、惣菜屋さんを自然に使う設計は、旅の自由度を大きく広げてくれます。夜ご飯の予約に縛られないことで、ドライブ中に気になった渓谷で釣りをしたり、予定を変えてゆっくり過ごしたり、その土地での偶然を楽しむ余白が生まれる。宿泊施設が「すべてを提供する」のではなく、地域に開かれた拠点になることで、旅のあり方そのものが変わっていく可能性を感じます。
阿蘇の野焼きが守る草原、ローカルガイドが投げかける問い、そしてフェアフィールドがつくる新しい滞在のかたち。今回は、阿蘇での体験を通じて、地方観光における「自然との関わり方」と「泊まることの意味」を考える回です。
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