「火星での「サバイバル」は可能? 仏研究グループが「宇宙農業」の可能性を探る火星ローバーを提案」 2016年に日本で上映された映画「オデッセイ(原題:The Martian)」では、マット・デイモン演じる宇宙飛行士マーク・ワトニーが火星に一人取り残され、じゃがいもを栽培しながらサバイバルを続けるシーンが登場します。アメリカ航空宇宙局(NASA)が火星への最初の有人飛行を2040年までに実現すると公言するなか、火星で生活するために克服すべき課題のひとつは「食糧をどう確保するのか?」という問題です。火星での生活に必要な物資のすべてを地球から運搬することは現実的ではないため、資源の一部は火星で賄う必要があります。フランス高等科学技術学院のSamuel Duarte Dos Santos氏が率いる研究グループは、火星で農業を実現できるかどうかを検証するために土壌や大気を調査する探査ローバー(探査車)「AgroMars」を提案しました。火星での農業を実現するために障害となっているのは、地球の約1000分の6しかない気圧の低さや、摂氏マイナス153度からプラス20度の範囲内という極端な温度(差)、地球の約700倍もある高い放射線量といった過酷な環境条件です。こうした困難に対処するため、土壌を必要としない「ハイドロポニックス(水耕栽培)」や「エアロポニックス(空中栽培)」の研究が進められています。また、人工照明を備え、温度・湿度を調整できる特殊な「グリーンハウス」の実現や、過酷な環境でも農作物を生育できるようにする遺伝子工学の進展も、火星での農業を実現するための重要なカギになるといいます。