The role of bacterial metabolism in antimicrobial resistance
Citation
Nature Reviews Microbiology (2025)
論文の要約
本レビュー論文は、細菌の代謝活動が抗菌薬耐性の獲得と維持にどのように関与しているかを多角的に論じている。
まず、細菌はエネルギー代謝や栄養環境に応じて薬剤感受性が変化しうることが知られており、代謝抑制状態にある細胞(いわゆるペルシスター細胞)が抗菌薬に対して一過性に耐性を示す現象が解説されている。また、代謝の不均一性が集団内での耐性表現型の多様性を生み出す要因となっていることも指摘されている。
さらに、抗菌薬が誘導する酸化ストレスと細菌代謝との相互作用を通じて、DNA損傷や突然変異が生じ、これが薬剤耐性の固定化につながるメカニズムが整理されている。プラスミドなどのモバイル遺伝因子の維持や伝播にも代謝コストの観点からの影響があるとされ、耐性遺伝子の進化的動態との関連も取り上げられている。
最後に、細菌の代謝経路を標的とした新規の抗菌戦略が提案されており、既存薬の感受性を高める補助的治療(metabolic potentiation)や、特定の代謝ストレスを誘導することで耐性菌の排除を促進する方法が紹介されている。
本レビューは、抗菌薬耐性の理解を生理学的・進化学的な観点から深化させ、今後の創薬や感染制御戦略に新たな視点を提供するものである。