LeoN Radio Sunrise レオンラジオ日の出

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By 楠元純一郎&レオーEducationLanguage Learning
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LeoN Radio Sunrise レオンラジオ日の出 episodes

  • 73 魯迅 故郷 17(第85-89段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学73 魯迅「故郷」17(第85〜89段落)> ラジオ収録20210713
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 劉凱戈
    母亲和宏儿都睡着了。
    母と宏儿は二人とも寝入った。
    我躺着,听船底潺潺的水声,知道我在走我的路。我想:我竟与闰土隔绝到这地步了,但我们的后辈还是一气,宏儿不是正在想念水生么。我希望他们不再像我,又大家隔膜起来……然而我又不愿意他们因为要一气,都如我的辛苦辗转而生活,也不愿意他们都如闰土的辛苦麻木而生活,也不愿意都如别人的辛苦恣睢而生活。他们应该有新的生活,为我们所未经生活过的。
    私は横になって、船底の水のぶつかる音を聴きながら、私は今自分の道を歩んでいるとわかった。思えば、私は闰土と隔絶してここまで歩んできてしまったが、我々の後輩たちは今でも気が合っており、宏儿は水生を慕っているではないか。彼らは私のようにではなく、みなが隔絶することなく・・・しかし、私はまた、彼らが気が合うように、二人とも私のような苦しい点々流転の生活を送ることを望まない。また、二人とも闰土のように苦しく心が麻痺するような生活を送ってほしくはない。また、別の人のように、苦しさのあまり勝手気ままな生活を送ることを望まない。彼ら二人は新しい生活をもたなければならない。我々が経験しなかったような生活を。
    我想到希望,忽然害怕起来了。闰土要香炉和烛台的时候,我还暗地里笑他,以为他总是崇拜偶像,什么时候都不忘却。现在我所谓希望,不也是我自己手制的偶像么?只是他的愿望切近,我的愿望茫远罢了。
    私は希望という言葉が思い浮かんだので、ふと、怖い気がしてきた。闰土が香炉と燭台を欲しがった時、私は暗に彼を笑った。彼はいつも偶像崇拝で、いつもそれを忘れることができないと。今私のいう希望も、自分の手製の偶像ではないか。ただ彼の望むものはすぐ手に入り、私の望むものは手に入りにくいだけである。
    我在朦胧中,眼前展开一片海边碧绿的沙地来,上面深蓝的天空中挂着一轮金黄的圆月。我想:希望是本无所谓有,无所谓无的。这正如地上的路;其实地上本没有路,走的人多了,也便成了路。
    私は朦朧としていたとき、目の前に海辺の青緑の砂地が展開してきた。その上の紺碧の空には、金色の丸い月がかかっている。私は思うに、希望とはもともと有るものではなく、無いわけでもない。これはまさに地上の道のようなものである。実際、地上にはもともと道はない。歩く人が多ければ、それは道になるのである。
    (一九二一年一月)
    1 hr 2 min
  • 72 魯迅 故郷 16(第78-84段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学72 魯迅「故郷」16(第78〜84段落)> ラジオ収録20210706
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    我们的船向前走,两岸的青山在黄昏中,都装成了深黛颜色,连着退向船后梢去。
    我々の船は前に進んでいった。両岸の青い山々はたそがれの中で、濃い墨色になり、つぎつぎと船尾に消え去って行った。
    宏儿和我靠着船窗,同看外面模糊的风景,他忽然问道:
    宏儿と私は船窓にもたれて、外のぼんやりとした風景を眺めていたとき、彼はふと問いかけた。
    “大伯!我们什么时候回来?”
    「おじさん、僕たちはいつ帰ってくるの?」
    “回来?你怎么还没有走就想回来了。”
    「帰ってくるだって?どうしてまた行きもしないうちから帰ってくることを考えているんだい?」
    “可是,水生约我到他家玩去咧……”他睁着大的黑眼睛,痴痴的想。
    「でも、水生がね、僕に家に遊びにおいでって言うから。」彼は黒い目を大きく見張って、静かに考え込んでいた。
    我和母亲也都有些惘然,于是又提起闰土来。母亲说,那豆腐西施的杨二嫂,自从我家收拾行李以来,本是每日必到的,前天伊在灰堆里,掏出十多个碗碟来,议论之后,便定说是闰土埋着的,他可以在运灰的时候,一齐搬回家里去;杨二嫂发见了这件事,自己很以为功,便拿了那狗气杀(这是我们这里养鸡的器具,木盘上面有着栅栏,内盛食料,鸡可以伸进颈子去啄,狗却不能,只能看着气死),飞也似的跑了,亏伊装着这么高底的小脚,竟跑得这样快。
    私も母も呆然とした。そしてまた闰土の話になった。母はこう言った。あの豆腐屋西施の楊おばさんは、我が家の荷造りを始めて以来、毎日必ずやって来ていて、一昨日は、灰の山から、お椀やお皿を10数個掘り出し、あれこれ議論の末、それは闰土が埋めておいたに違いなく、彼は灰を運ぶとき一緒に持ち帰ろうとしていたと言い張った。楊おばさんはこの発見を自分の手柄にして、犬焦らし(これは我々のところで鶏を飼う器具であり、木の板に柵を取り付けたもので、中に食べ物を入れておくと、鶏は首を伸ばしてそれを啄むことができるが、犬にはそれができず、ただ見て焦れるだけである)を持って飛ぶように走り去った。彼女の履いている底の高い小さな靴でよくあれだけ速く走れたもんだ。
    老屋离我愈远了;故乡的山水也都渐渐远离了我,但我却并不感到怎样的留恋。我只觉得我四面有看不见的高墙,将我隔成孤身,使我非常气闷;那西瓜地上的银项圈的小英雄的影像,我本来十分清楚,现在却忽地模糊了,又使我非常的悲哀。
    古い家は我々からますます遠くなり、故郷の山水も我々からますます遠くなる。でも名残惜しい気はしない。ただ、私の周りに見えない高い壁があるように感じられ、その中に自分だけ取り残されたように非常に気が滅入るだけである。あの西瓜畑の銀の首輪をした小英雄の面影は、以前はとても鮮明であったが、今では急にぼんやりとしたものとなり、それがまた私をとても悲しい気持ちにさせた。
    24 min
  • 71 魯迅 故郷 15(第73-77段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学71 魯迅「故郷」15(第73〜77段落)> ラジオ収録20210629
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 劉凱戈
    母亲问他,知道他的家里事务忙,明天便得回去;又没有吃过午饭,便叫他自己到厨下炒饭吃去。
    母が彼に尋ねると、彼は家の仕事が忙しいから明日帰らねばならないということが分かった。また、昼ご飯もまだ食べていないというので、自分で台所へ行ってチャーハンを作って食べていくよう言った。
    他出去了;母亲和我都叹息(tan4 xi1)他的景况:多子,饥荒,苛税,兵,匪,官,绅,都苦得他像一个木偶人了。母亲对我说,凡是不必搬走的东西,尽可以送他,可以听他自己去拣择。
    彼が出て行った後、母と私は彼の境遇を思ってため息をついた。子供が多く、凶作で、税金が高く、兵隊、匪賊、役人、地主らがみんなでよってたかって彼を苛めて、デクノボウみたいにしたのである。母は私に、持っていく必要のない物は全部彼にくれてやり、自由に自分で選んでもらってもいい、と言った。
    下午,他拣好了几件东西:两条长桌,四个椅子,一副香炉和烛台,一杆抬秤。他又要所有的草灰(我们这里煮饭是烧稻草的,那灰,可以做沙地的肥料),待我们启程的时候,他用船来载去。
    午後、彼は品物をいくつか選び出した。二つの長テーブル、四脚の椅子、一組の香炉と燭台、一本の秤(はかり)。その他、藁灰(わらばい)(私たちのところでは炊事の時に藁を燃やす。その灰は砂地の肥料になる)。我々が旅立つ時を待って、彼は船で来て運ぶ。
    夜间,我们又谈些闲天,都是无关紧要的话;第二天早晨,他就领了水生回去了。
    夜は我々はまた世間話をしたが、取り留めのない話ばかりであった。次の日の朝、彼は水生を連れて帰って行った。
    又过了九日,是我们启程(qi3 cheng2)的日期。闰土早晨便到了,水生没有同来,却只带着一个五岁的女儿管船只。我们终日很忙碌,再没有谈天的工夫。来客也不少,有送行的,有拿东西的,有送行兼拿东西的。待到傍晚我们上船(chuan2)的时候,这老屋里的所有破旧大小粗细东西,已经一扫而空了。
    それからまた九日が経ち、我々の旅立ちの日が来た。闰土は朝早くに到着した。水生は一緒には来ず、代わりに5歳の女の子を連れて来て、船の番をさせていた。我々は一日中忙しく、もう再び話をする暇もなかった。来客も少なくなかった。見送りに来る者もいれば、品物を取りに来る者、見送りがてら品物を取りに来る者もいた。夕方になって我々が船に乗り込む頃には、この古い家にあった大小さまざまのガラクタ類はすでにすっかり片付いていた。
    32 min
  • 70 魯迅 故郷 14(第59-72段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学70 魯迅「故郷」14(第59〜72段落) ラジオ収録20210622>
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 劉凱戈
    他站住了,脸上现出欢喜和凄凉的神情;动着嘴唇,却没有作声。他的态度终于恭敬起来了,分明的叫道:
    彼は立ったまま、顔には喜びと寂しさが現われ、唇は動いているが声にはならない。最後には彼の態度はうやうやしくなり、はっきとこう言った。
    “老爷!……”
    「旦那様!」
    我似乎打了一个寒噤;我就知道,我们之间已经隔了一层可悲的厚障壁了。我也说不出话。
    似乎 si4 hu1
    私は身震いをしたようであった。私にはすぐにわかった、我々の間はすでに悲しいほどまでに分厚い障壁で隔てられてしまっていることを。私はもう話もできない。
    他回过头去说,“水生,给老爷磕头。”便拖出躲在背后的孩子来,这正是一个廿年前的闰土,只是黄瘦些,颈子上没有银圈罢了。“这是第五个孩子,没有见过世面,躲躲闪闪……”
    彼は後ろを振り向いて、「水生(shui sheng)、旦那様にお辞儀をしなさい」と言い、そして彼の背後にいた子供を前に来させた。それはまさに20年前の闰土のようであったが、ただ痩せ黄ばんでいて、頸の周りには銀の輪がない。「これは5番目の子ですが、世間に出たことがなく、おどおどしていて。」
    母亲和宏儿下楼来了,他们大约也听到了声音。
    母と宏儿(hong er)は二階から降りてきた。彼らも声がするのを聞きつけたのであろう。
    “老太太。信是早收到了。我实在喜欢的不得了,知道老爷回来……”闰土说。
    「大奥様、お手紙は早々に届きました。私は嬉しくてたまりませんでした。旦那様が帰ってこられたと伺いまして・・・。」と闰土が言った。
    “阿,你怎的这样客气起来。你们先前不是哥弟称呼么?还是照旧:迅哥儿。”母亲高兴的说。
    「まあ、なんだってそんな他人行儀にするんだい。あなたたちは以前は兄弟のような仲だったんじゃないの?昔のように、迅(xun)ちゃんでいいんだよ。」と母はうれしそうに言った。
    “阿呀,老太太真是……这成什么规矩。那时是孩子,不懂事……”闰土说着,又叫水生上来打拱,那孩子却害羞,紧紧的只贴在他背后。
    「いやあ、大奥様、めっそうもないことでございます。そのときはまだ子供でして、なにもわからず。」と闰土が言いながら、また水生を前に出してお辞儀をさせようとしたが、その子供は恥ずかしがって、緊張してただ父親の背中にしがみついたままであった。
    “他就是水生?第五个?都是生人,怕生也难怪的;还是宏儿和他去走走。”母亲说。
    「彼が水生か?5番目の子の?みんな初めての人だから、恥ずかしがるのも無理もない。宏儿は彼と一緒にあちらに行って遊んであげなさい。」と母は言った。
    宏儿听得这话,便来招水生,水生却松松爽爽同他一路出去了。母亲叫闰土坐,他迟疑了一回,终于就了坐,将长烟管靠在桌旁,递过纸包来,说:
    宏儿はこの話を聞くと、すぐに水生を誘った。水生は彼とほっとして一緒に出て行った。母は闰土に座るよう言った。彼は一度は躊躇(ちゅうちょ)したが、やっと腰を下ろした。長い煙管(キセル)を食卓に立てかけ、紙包を差し出した。
    “冬天没有什么东西了。这一点干青豆倒是自家晒在那里的,请老爷……”
    「冬場は何もございませんが、この乾燥青豆は自家製ですから、どうぞ旦那様に。」
    我问问他的景况。他只是摇头。
    私は彼に暮らし向きについて尋ねると、彼はただ首を横にふるだけであった。
    “非常难。第六个孩子也会帮忙了,却总是吃不够……又不太平……什么地方都要钱,没有规定……收成又坏。种出东西来,挑去卖,总要捐几回钱,折(she2)了本(ben3);不去卖,又只能烂掉……”
    「とてもたいへんです。6番目の子供も手伝ってくれますが、それでもいつも追っつかないです。世の中は物騒だし、どこでもお金がかかることばかりで、決まりごともなく、実りもよくなく、作った物を売りに出せば何度も税金を取られ、値切られるし(元がとれないし)、売りに行かねば腐れるばかりで・・・。」
    他只是摇头;脸上虽然刻着许多皱纹,却全然不动,仿佛石像一般。他大约只是觉得苦,却又形容不出,沉默了片时,便拿起烟管来默默的吸烟了。
    彼はただ首を振るばかりである。顔には多くの皺が刻まれているが、まるで石像のように皺は少しも動かなかった。彼は苦しみを感じてはいても、それを形容することができず、しばらく黙っていたが、それから煙管を取り上げて、黙々と刻み煙草を吹かした。
    1 hr 3 min
  • 69 魯迅 故郷 13(第52-58段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学69 魯迅「故郷」13(第52〜58段落) ラジオ収録20210615>
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 夏玮怡
    “阿呀阿呀,真是愈有钱,便愈是一毫不肯放松,愈是一毫不肯放松,便愈有钱……”圆规一面愤愤的回转身,一面絮絮的说,慢慢向外走,顺便将我母亲的一副手套塞在裤腰里,出去了。
    「ああ、ああ。銭がたまれば、財布のひもをしめる。ひもを閉めるとまた銭がたまる・・・。」コンパスはふくれっつらで背を向けると、ぶつぶつ言いながらゆっくり外へ出て行った。ついでに母の手袋をズボンの腰にねじ込んで。
    此后又有近处的本家和亲戚来访问我。我一面应酬,偷空便收拾些行李,这样的过了三四天。
    その後、近所の本家と親戚がまた私のところにやって来た。私はそれに対応しながら、ひまをみては荷造りをした。そんなこんなで3、4日が経った。
    一日是天气很冷的午后,我吃过午饭,坐着喝茶,觉得外面有人进来了,便回头去看。我看时,不由的非常出惊,慌忙站起身,迎着走去。
    あるとても寒い日の午後、私は昼食をとり、お茶を飲みながら座っていた。表に人が来たように感じたので、ふり向いてみた。思わず驚いて慌てて身体を起こし、迎えに出た。
    这来的便是闰土。虽然我一见便知道是闰土,但又不是我这记忆上的闰土了。他身材增加了一倍;先前的紫色的圆脸,已经变作灰黄,而且加上了很深的皱纹;眼睛也像他父亲一样,周围都肿得通红,这我知道,在海边种地的人,终日吹着海风,大抵是这样的。他头上是一顶破毡帽,身上只一件极薄的棉衣,浑身瑟索着;手里提着一个纸包和一支长烟管,那手也不是我所记得的红活圆实的手,却又粗又笨而且开裂,像是松树皮了。
    ここに来たのは闰土だった。私はパッと見て闰土だとわかったが、記憶の中の闰土ではなかった。彼は背丈が倍になっていた。昔の色つやのいい丸顔は、もう黄ばんでいて、とても深いしわが刻まれていた。目も彼の父親と同じで、周りが全部赤く腫れていた。私はこれを知っている、海辺で耕作をする人は一日中潮風に吹かれているので、たいていこのようになることを。彼の頭の上には破れた毛糸の帽子、身には薄手の綿の衣服が一枚だけ、全身がぶるぶる震えている。紙包と長いキセルを手に提げている。その手も、私の記憶にある血色のいい、ふっくらとした手ではなく、むしろざらざらして荒れていて、しかもひび割れていて松の木の皮のようであった。
    我这时很兴奋,但不知道怎么说才好,只是说:
    私はこのときとても興奮したが、なんといっていいかわからず、ただ一言。
    “阿!闰土哥,——你来了?……”
    「おお!闰土ちゃん、来たのかい?」
    我接着便有许多话,想要连珠一般涌出:角鸡,跳鱼儿,贝壳,猹,……但又总觉得被什么挡着似的,单在脑里面回旋,吐不出口外去。
    私は続けて言いたいことが後から後から数珠つなぎに湧き出て来たのだった。チャオジー、跳ね魚、貝殻、土竜・・・。でも、何かで堰き止められたようで、ただ頭の中を駆け巡るだけで、口からは出なかった。
    55 min
  • 68 魯迅 故郷 12(第45-51段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学68 魯迅「故郷」12(第46〜51段落) ラジオ収録20210610>
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 夏玮怡
    哦,我记得了。我孩子时候,在斜对门的豆腐店里确乎终日坐着一个杨二嫂,人都叫伊“豆腐西施”。但是擦着白粉,颧骨没有这么高,嘴唇也没有这么薄,而且终日坐着,我也从没有见过这圆规式的姿势。那时人说:因为伊,这豆腐店的买卖非常好。但这大约因为年龄的关系,我却并未蒙着一毫感化,所以竟完全忘却了。然而圆规很不平,显出鄙夷的神色,仿佛嗤笑法国人不知道拿破仑,美国人不知道华盛顿似的,冷笑说:
    あー、思い出した。私が子供の頃、筋向いの豆腐屋に一日中座り込んでいた楊おばさん。「豆腐屋西施(美人)」と呼ばれていた。でもその人なら白い粉を塗っていたし、頬骨もこんなに高くはなかったし、唇もこんなに薄くなかったし。そして、一日中座っていたから、私はこのようなコンパスのような姿勢は見たこともなかった。その頃噂では、彼女のおかげでこの豆腐屋の商売が繁盛しているとのことだった。でも、多分年齢のせいだろうか、私はそういうことに少しも関心がなかったので、完全に忘れてしまったのである。でも、コンパスの方ではそれがかなり不満らしく、侮蔑の表情を見せた。まるでフランス人のくせにナポレオンを知らず、アメリカ人のくせにワシントンを知らないのを嘲るように、冷笑をうかべながら、次のように述べた。
    “忘了?这真是贵人眼高……”
    「忘れたの?こんな偉そうな人は上から目線というからね。」
    “那有这事……我……”我惶恐着,站起来说。
    「そんなわけではないですよ・・・。私は・・・。」私はオドオドして、立ち上がって言った。
    “那么,我对你说。迅哥儿,你阔了,搬动又笨重,你还要什么这些破烂木器,让我拿去罢。我们小户人家,用得着。”
    「それならね、私はあなたに言うよ。迅(シュン)ちゃん、あなたはお金持ちになったんだから、引っ越しだって重くて不便だよ。こんなガラクタの木器なんてまだどうして必要なのかい?私に頂戴よ。私たち貧乏人には使い道があるからね。
    “我并没有阔哩。我须卖了这些,再去……”
    「私は金持ちではないですよ。これらを売って行かないと、…」
    “阿呀呀,你放了道台了,还说不阔?你现在有三房姨太太;出门便是八抬的大轿,还说不阔?吓,什么都瞒不过我。”
    「おやおや、あなたは地方の長官にまでなったらしいわね。それでもまだお金持ちでないと言うの?あなたは今、三人のお妾さんがいて、外に出るときは8人担ぎの籠で。それでもまだお金持ちじゃないと言うの?ふん、私を騙そうたってそうはいきませんよ。」
    我知道无话可说了,便闭了口,默默的站着。
    私は返事のしようがないので、口を閉じたまま黙って立っていた。
    41 min
  • 67 魯迅 故郷 11(第31-44段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学67 魯迅「故郷」11(第31~44段落) ラジオ収録20210601>
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 何激(東洋大学大学院博士後期課程1年)
    刘凯戈(東洋大学大学院法学部5年)
    现在我的母亲提起了他,我这儿时的记忆,忽而全都闪电似的苏生过来,似乎看到了我的美丽的故乡了。我应声说:
    今、私の母から彼について話があり、私はこの子どもの頃の記憶が突然、電光の閃きのごとく蘇り、私の美しい故郷をやっと見た思いがした。私はすぐにこう答えた。
    “这好极!他,——怎样?……”
    「それはいいな。彼は今どうしている?・・・」
    “他?……他景况也很不如意……”母亲说着,便向房外看,“这些人又来了。说是买木器,顺手也就随便拿走的,我得去看看。”
    「彼?・・・彼は景気が今もあまりよくないみたい・・・。」母はそのように言いながら、戸外に目を向けた。「この人たち、また来ている。木器を買うと言いながら、その辺にある物を勝手に持っていくんだよ。ちょっと見に行かなきゃ。」
    得 dei3 =must
    母亲站起身,出去了。门外有几个女人的声音。我便招宏儿走近面前,和他闲话:问他可会写字,可愿意出门。
    母は立ち上がって出て行った。門の外では数人の女性の声がしていた。私は宏儿をこちらに呼んで、彼と話をした。そして、彼に字が書けるかどうか、他所へ出ていくつもりなのか尋ねた。
    “我们坐火车去么?”
    「我々は汽車に乗って行くの?」
    “我们坐火车去。”
    「そうだよ。」
    “船呢?”
    「船は?」
    “先坐船,……”
    「はじめに船に乗って。」
    “哈!这模样了!胡子这么长了!”一种尖利的怪声突然大叫起来。
    「はあ、こんなになって!こんなに髭を長くして!」突然、甲高い叫び声がしてきた。
    我吃了一吓,赶忙抬起头,却见一个凸颧骨,薄嘴唇,五十岁上下的女人站在我面前,两手搭在髀间,没有系裙,张着两脚,正像一个画图仪器里细脚伶仃的圆规。
    私は驚いてとっさに頭を上げてみると、頬骨の出た唇の薄い50歳ぐらいの女性が私の前に立っていて、両手を腰にあてがい、スカートではなくズボンを穿き、まるで、製図用の足の細いコンパスみたいだった。
    我愕然了。
    私はぎょっとした。
    “不认识了么?我还抱过你咧!”
    「忘れたの?私はあなたをよく抱っこしてあげたのよ。」
    我愈加愕然了。幸而我的母亲也就进来,从旁说:
    私はますますぎょっとした。幸いにも、母もちょうどやってきて、そばから次のように言った。
    “他多年出门,统忘却了。你该记得罢,”便向着我说,“这是斜对门的杨二嫂,……开豆腐店的。”
    「彼は長い間、家を出ていたから、みんな忘れちゃったわね。あなたは、覚えているはずよ。」と私に向かって言った。「こちらは筋向かいの楊おばさんよ。・・・お豆腐屋の。」
    47 min
  • 66 魯迅 故郷 10(第24 25 26 27 28 29 30段落)@ LeoN Radio 我らの文学
    オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」
    エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」
    作詞作曲 楠元純一郎
    編曲 山之内馨
    <我らの文学66 魯迅「故郷」10(第24、25、26、27、28、29、30段落) ラジオ収録20210529>
    翻訳 レオー(中国語講師・美術家)
    翻訳 楠元純一郎(法学者)
    監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
    参加者 何激(東洋大学大学院博士後期課程1年)
    刘耀鸿(東洋大学大学院博士前期課程1年)
    张晓良(東洋大学大学院博士前期課程1年)
    刘凯戈(東洋大学大学院法学部5年)
    我那时并不知道这所谓猹的是怎么一件东西——便是现在也没有知道——只是无端的觉得状如小狗而很凶猛。
    私はそのとき、そのいわゆる土竜(もぐら)がどういうものか知らなかった。ー今でもわからないー。ただ、なんとなく、子犬のような、そしてとても獰猛なもののように感じた。
    “他不咬人么?”
    「それは人に噛みつかないの?」
    “有胡叉呢。走到了,看见猹了,你便刺。这畜生很伶俐,倒向你奔来,反从胯下窜了。他的皮毛是油一般的滑……”
    「刺股があるからね。忍び寄って、土竜を見つけたら、突けばいいよ。この畜生はとても狡賢いから、あなたのところに向かってきて、股の下から逃げていくよ。それの毛皮は油で滑りやすくて。」
    我素不知道天下有这许多新鲜事:海边有如许五色的贝壳;西瓜有这样危险的经历,我先前单知道他在水果店里出卖罢了。
    私は世の中にこのような多くの珍しいことがあるとは知りもしなかった。海辺にはそのような五色の貝殻があったり、西瓜にはこのような危険があったり。私は西瓜は果物屋に売っているものとばかり思っていた。
    “我们沙地里,潮汛要来的时候,就有许多跳鱼儿只是跳,都有青蛙似的两个脚……”
    我々の砂地のところでは、もうすぐ大潮になると、多くの「跳魚」が跳ねるよ。みんな蛙のような両足があって。」
    阿!闰土的心里有无穷无尽的希奇的事,都是我往常的朋友所不知道的。他们不知道一些事,闰土在海边时,他们都和我一样只看见院子里高墙上的四角的天空。
    ああ、闰土の心は不思議なことだらけであった。私のいつもの友達がみな知らないことで、彼らはいっさい何も知らなかった。闰土は海辺にいるとき、彼らはみな私と同じように、高い塀に囲まれた屋敷の四角い空ばかりを眺めているだけであった。
    可惜正月过去了,闰土须回家里去,我急得大哭,他也躲到厨房里,哭着不肯出门,但终于被他父亲带走了。他后来还托他的父亲带给我一包贝壳和几支很好看的鸟毛,我也曾送他一两次东西,但从此没有再见面。
    惜しくも正月が過ぎ、闰土は家に帰らねばならなかった。私は急に大声で泣きだした。彼も台所に隠れて出て行きたくないと泣いたが、遂には彼の父親に連れて行かれた。その後、彼は父親に託してひと包の貝殻ととても好きな鳥の羽を私に届けてくれた。私も彼に一度か二度、贈り物をしたが、それ以来、再び彼に会うことはなかった。
    44 min

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