#263 『咲ける場所に置いてくれ』に学ぶ、枠を飛び出して人の可能性を開く力
まるで一本の感動的な映画を観終えたかのような熱量とドラマに満ちた、最高の一冊をご紹介します。
今回取り上げるのは、山下完和さんの著書、
『咲ける場所に置いてくれ 福祉の素人集団が無限の可能性を引き出した! やまなみ工房のアート』(ライフサイエンス出版)です。
■ 本書との出会い
作家・ひすいこたろうさんの名言セラピーや、ペイントアーティスト・SHOGENさんのSNSでのご紹介をきっかけに手に取りました。
ページをめくった瞬間からその圧倒的な熱量とストーリーに惹き込まれ、ハラハラドキドキしながら、まさに固唾を呑んで一気に読み進めました。
■ 「やまなみ工房」が起こした奇跡
滋賀県甲賀市にある「やまなみ工房」は、今や世界中から熱狂的な注目を集めるアート作品を生み出し続けている障害者福祉施設です。
施設長の山下完和さんは、もともと福祉業界とは縁のない「元バンドマン」。
福祉の専門教育を受けていなかった“素人”だからこそ、業界の固定観念や「こうあるべき」という枠組みに囚われませんでした。
「目の前の利用者さんの幸せと可能性を、どうすれば最大限に引き出せるのか」
その純粋な一点に向き合い続けた山下さんですが、決して最初から順風満帆だったわけではありません。空回りし、激しい挫折や葛藤を味わいながらも、泥臭く一人ひとりと丁寧に向き合い続ける日々。その中で訪れる「人との出会いの奇跡」によって、利用者さんの秘められた才能と可能性が信じられないスピードで開花していきます。
大注目を浴びる現在のやまなみ工房に至るまでの、筆舌に尽くしがたい苦労と挑戦の過程に、胸を激しく揺さぶられます。
■ 自身の原体験:理想と現実の板挟みの中で
本書を読みながら、僕自身の過去の原体験が強くフラッシュバックしました。
ロックンロールに代表される「夢」や「自由」には誰もが憧れますが、日々の生活や現場の現実に直面したとき、それを貫き通せる人は決して多くありません。
実は僕自身も、かつて作業所で仕事をしていた経験があります。
「目の前の利用者さんの可能性をもっと引き出したい」という純粋な想いがある一方で、日々の決められた作業を指導・管理しなければならない現場のルール。その板挟みの中で、理想と現実の乖離に深く悩み、葛藤した時期がありました。
だからこそ、山下施設長が一人ひとりと丁寧に向き合い、常識の枠を壊して想定を超えた可能性を開いていった姿は、当時の僕のように「理想と現実の間で葛藤する人」にとって、暗闇を照らす大きな突破口のヒントになると確信しています。
■ 本書が教えてくれる大切な視点
・「業界の外部」と繋がることの重要性
やまなみ工房の大きな転換点は、利用者さんの作品が「福祉の枠を超えて、外部の人」に認められたことから始まりました。外の世界に評価されたことで、利用者さん自身が変わり、スタッフが変わり、施設全体が大きく進化していったのです。
・「人との出会い」が可能性をひらく
困難な局面には、必ずキーマンとなる人との出会いがあり、山下施設長を助け、成長を後押ししていきました。
日々の仕事や人間関係、子育ての中で「枠の中に閉じ込められて息苦しい」「理想と現実のギャップで悩んでいる」と感じている方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
少し厚みのある本ですが、それを遥かに超えて新しい世界を体感できる素晴らしい読書体験が待っています。
【ご紹介した書籍】
『咲ける場所に置いてくれ 福祉の素人集団が無限の可能性を引き出した! やまなみ工房のアート』
著:山下 完和
出版:ライフサイエンス出版
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