今回は5/19に開催した「AI-Native Leaders」のセッションをお届けします。
ソフトウェアを「売る」時代から、AIが業務そのものを担い、成果を届ける時代へ。
その最前線では、いま何が起きているのか。そして同じAIエージェントでも、日本と米国では戦い方がどう違うのか。
米国でCX領域のAIエージェント構築プラットフォームを展開するSierraは、ローンチからわずか2年でARRが急拡大し、規模が大きくなるほど成長率がむしろ加速するという、SaaS時代には考えられなかった業績推移を見せています。
その背景にあるのが、エンタープライズのAI予算が一気に集まっているという構造変化、そして成果が出た分だけ課金するアウトカムベースの価値設計です。
ただし、成果に課金できるのは、AIが業務を本当に「やりきる」からこそ。
導入して終わりではなく、顧客のシステムに食い込み、成果まで運びきる——その実行を担うのが、いま注目を集めるFDE(Forward Deployed Engineer)です。
このFDEをめぐって、セッションでは具体的な論点が次々と立ち上がりました。
「APIが無いから繋げない」という通説を覆し、レガシーなSoRにAPIを自ら作りに行くSierraの実装思想。
FDEは内製で抱えるべきか、それともコンサルとパートナーシップを組むべきかという分かれ道。
個別対応を「受託」で終わらせず、再利用できるプロダクトへと昇華させる組織設計。
そして、対人能力とAI実装力を兼ね備えたFDE人材を、日本でどうスケールさせていくのか。
LayerXの中村さんが投げかけた「組織AI」という問いも、この実行力と地続きです。
個人にAIツールを配るだけでは、コスト・セキュリティ・データのいずれもガバナンスが効かず、組織の記憶も育たない。
共通のナレッジレイヤーを持ち、コンテキストが常に最新に保たれる管理されたAIネイティブな業務システムこそが、企業に本当に効く——その実装のリアルを語っていただきました。
さらに話題は、AIネイティブな事業のつくり方そのものへ。
セルフサーブ型(モデル中心)とドメイン特化型とで異なる成長カーブとチャーンの構造、SI・コンサル産業に起きつつある変化、そして開発計画表ではなく「検証計画」へと変わりつつあるロードマップの捉え方まで踏み込みました。
日米それぞれでAIエージェントの最前線を走る当事者だからこそ語れる、エンタープライズ攻略の勘所と、AI時代のプロダクト戦略の射程を伺いました。
スピーカー
・LayerX 執行役員 AI Workforce事業 CEO 中村 龍矢さん
・Sierra Technologies Co-Head of Agent Development 森川 馨太さん
・Zen & Company 代表取締役 宮田 善孝さん
モデレーター
・DeltaXファンド 代表パートナー 山崎 良平さん
日米の最前線が交わるからこそ見えてくる、AI時代の事業づくりの解像度。是非ご視聴ください!
【投影資料】
https://docs.google.com/presentation/d/1UhP-wkDrqT9FsFhB6s1VxH7WlAwy6qsF/edit?usp=sharing&ouid=110910169695572709636&rtpof=true&sd=true
【アジェンダ】
- (1:32) スピーカー紹介とセッションの全体像
- (3:05) Sierraの急成長の背景―アウトカムベース課金という設計思想
- (9:42) エンタープライズのAI受容性は変わったか―「遅い日本」の通説を問い直す
- (11:56) LayerXが掲げる「組織AI」―「個人AI」の壁をどう超えるか
- (17:48) コンテキストの実装課題―Sierra流、既存SoRへの食い込み方
- (20:28) アウトカムベース課金の本質と限界
- (24:24) 高い成長率を実現するために狙うべき予算とは
- (26:42) FDEの2つの役割と「直販でないと難しい」理由
- (32:19) FDEを「受託」にしない組織設計―LayerXとSierraの相違点
- (35:22) セルフサーブ型 vs ドメイン特化型―成長カーブとチャーンの違い
- (37:57) LayerXはFDEモデルのスケーラビリティをどう実現するか
- (39:47) AI時代にロードマップは存在しない?―「開発計画」から「検証計画」へ
【ゲストプロフィール】中村 龍矢 / 株式会社LayerX 執行役員 Ai Workforce事業 CEO
Gunosyにて機械学習・データ分析に従事した後、LayerXに創業より参画。R&D部門の立ち上げ、ブロックチェーン事業、プライバシーテック事業の責任者を経て、現在はAi Workforce事業CEOを務める。2020年度IPA未踏スーパークリエータ認定。2020年 電子情報通信学会 IA研究賞 最優秀賞 (共著)。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」受賞。プライバシーテック協会理事。
森川 馨太 / Sierra Technologies Co-Head of Agent Development | 開発共同責任者(日本統括)
トロント大学 経済・統計学部 卒業 ・マッキンゼー東京オフィスに新卒入社。入社から3年でマネジャーに就任(世代最速)。在籍中に金融業界におけるコールセンター改革案件も経験。担当業界は主に金融。ロンドンオフィス移籍後、シニアマネジャー就任。 ・24年にOPERAを國井と共同創業、代表取締役社長に就任。大企業向けAIコンタクトセンターソリューションを開発・提供、金融・通信・インフラ系業界で強固な顧客基盤を構築。 ・26年に米サンフランシスコ拠点のSierraにOPERAを売却。買収に伴い、OPERA全メンバーと共にSierraに参画。OperaがSierra Technologies Japanとなり、Sierra 開発共同責任者(日本統括)に就任。