残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"

全ての価値はカオス・ノベーション(1481回)


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蜷川幸雄さんが立ち上げられた、彩の国シェイクスピア・シリーズの、後継をされている吉田鋼太郎さん芸術監督のマクベスに、衝撃を受けたと同時に、沢山のことを考えさせられました


翻訳を務められた小田島雄志さん曰く

"人間が生きていく中で、何か大きな障害やショックを受けるとどうなるか。まず価値観が崩壊します。


例えば人殺しは良くないに決まっているけれど、戦争では人を殺すと勲章がもらえる。人を殺すのは良

のか、わからなくなる。 


本来、自分の中に持っているはずの善悪の価値基準が、わからなくなるわけです。それは「価値の混沌=カオス化」であり、僕は「内的カオス」と呼んでいます。


同時に、自分で自分というものがわからなくなってくる。このように何らかのショックを受けて、何がなんだかわからなくなった人間がどう行動するのかを、シェイクスピアは様々に書き分けました。"


ここから私は思いました

1、真実のカオス

2、価値のカオス

3、自分のカオス


鬼気迫るという言う方が相応しいと思わせて頂いた藤原竜也さんのマクベスは、狂気と迫力と、まさにパッションが弾ける、素晴らしい演技でした。また、それに呼応するように土屋太鳳さんのマクベス夫人は、勝るとも劣らない激情と愛情のパッションが炸裂する、2人で凄まじいドラマを観させて頂き、感動と共に大満足でした


シェークスピアのマクベスという、世界的に王道な演劇を、吉田鋼太郎さん率いるスペシャルな俳優、そして演出、脚本、さらに東儀秀樹さんの音楽で観れたことは、おそらく一生忘れられないほどに、本当に幸せででした


翻訳をされた小田島雄志さんの言葉に、マクベスの物語の本質としての、「内的カオス」という、まさに人間の本質が抉り取られてることに、深く考えさせられました


1、真実のカオス

今も様々な地域で紛争が行われていて、そして様々な書籍やメディアを見るにつれ、本当の真実はどこにあるのか?と、全くわからなくなります


ニーチェの解釈論における、真実はない、あるのは解釈だ、ということは理解してるのですが、しかしながら、やってることをやっていない、やっていないことをやっている、ということが捻じ曲げられる世界には、やはりカオスとしか言いようのない憤りを感じます


このマクベスが書かれた時代からそんなことはあたりまえのようにあり、またSNSが発展してリアルに映像が現場から流せるようになったとて、それは全く変わらないということに、人間は変われないのか、という思いと、カオスでどう生きるのかを、考えさせられました


2、価値のカオス

勧善懲悪な物語は、最後は悪が必ず破れてスッキリするので、そんな映画も大好きなのですが、現実の世界では、完全な悪と思っている方にも、実はそこにいる人たちは自分たちの正義のために真摯に生きている


進撃の巨人にしても、レミゼラブルにしても、そこで生きる人たちの苦悩が、とても共感できて、そしてどうしようもなさや、切なさに涙してしまいます


でもその違和感に気づくことが、実はイノベーションの種の大きな一つかもしれないと思います。そんな世界の違和感を、仕方がないよね、ではなく、それって何でずっとそうなの?という、Why not yetをいえるかどうか、それが大事だと思います


それを言えた人から、実は、価値は、世の中に固定されているものではなく、カオスになっているので、いくらでもひっくり返ることもあるし、ひっくり返すこともできる、そこに実は希望があるのかもしれないなあと、思いました


3、自分のカオス

自分自身が信じていたことが、ある日突然、ひっくり返る、そういうことが、まさにマクベスの時代には、よく起こっていたのかもしれないと思います


しかし、ほんの少し前の現代の日本においても、それは起こっていた訳で、それを知らない世代には、計り知れないショックがあったのだろうなあと、思います


自分自身がそんなことに遭遇した際には、どう行動するのかは全く想像もつきません。


ヴィクトールフランクの「夜と霧」のように、置かれた状況には必ず意味がある意味があると思いながら、自らのパッションの源を見つめ続けて、そしてそれに固執せずに問い続けて、自分の解釈を最後の1%でも入れていけるか


さらには、「弱い責任感」のもとに、信頼のおける仲間をあらかじめ持てるようにしながら、積極的に頼りながらも、同じようにカオスを感じながら、問い続けていく、みたいなことを、考えてました


全てはカオスだからこそ、そこに光はある、そんなことを考えさせて頂きました


一言で言うと

全ての価値はカオス・ノベーション


そんなことを思いました^^


参考: 彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2

マクベス  主催:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団 作 W.シェイクスピア 翻訳 小田島雄志 演出・上演台本 吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)音楽 東儀秀樹 出演 藤原竜也土屋太鳳 他 https://new-horipro-stage-jp.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/2025/02/macbeth2025_flyer_0214.pdf



動画で見たい方はこちら

https://youtu.be/f-YHwVdNdgQ


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残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか"By kotaro zamma


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