
Sign up to save your podcasts
Or


元MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんの言葉に、痺れました。
曰く、
「計画を立てるのに必要な ― コストは どんどん上がっているのに 計画自体は それほど 正確でも有益でもありません」
「しかし強力なコンパスを持つことで 目指すべき方向がわかりました これはアジャイル開発に よく似ています コンパスという 考え方は重要です」
「すべてを計画し すべてを揃え 完璧に準備を整えなければ ― などと考えるのは そろそろやめにして つながることに力を注ぎ 常に学び続け アンテナを高くして 「今」に集中すべきです」
「だから私は「フューチャリスト」という 言葉は嫌いです」
「私達は「ナウ-イスト」に なるべきなんです 今の私達がそうであるように」
ここから私は思いました。
1、地図よりコンパス
2、準備よりつながりと学び
3、今に全集中
1、地図よりコンパス
新規ビジネスの立ち上げを行う際に、計画書を作って、社内の承認をもらって、投資してもらって、進めていく
これは、今でも多くの企業の普通の進め方かと思いますが、伊藤さんの話は、計画ってそもそも意味がないのでは?という強烈なアンチテーゼになっているなあと思いました
言われてみると、私も大手企業の中で、会議のために計画書を一生懸命作っていましたが、実際、会議を通すために、会議の評価基準をクリアするために、作っていたと言っても過言ではないと思います
そして、恐ろしいことに、会議を承認する側も、そこにある数値を本気では見ていない、なぜなら、あたるも八卦なことがわかっているから、、、
これになんの意味があるのか、というのは、私もずっと思っていましたが、会社のルールなので仕方がないと割り切っていました
そろそろ新規プロジェクトに関しては、最初から精緻な長期計画を求めるのではなく、大義と仮説検証の結果に基づいて、段階的に投資を判断するルールがあってもいいのかもしれないなあと思いました。
でも、完全にやりたいことをやりたい放題ということではなく、伊藤さんが言われているように、計画という地図はなくても、どんな世界を目指すのか、というコンパスは必要ということにも、とても感銘を受けました。
それは、イノベータリップルモデルでいえば、大義に相当するものだと思いました。どんな世界を目指して、誰のペインを解消することを目指すのか、そしてなぜ私がやるのかというパッション、そこにより重点が置かれるようになるのではないかと思いました
2、準備よりつながりと学び
伊藤さんは、東日本大震災をきっかけに生まれた、市民による放射線測定プロジェクト「Safecast」は、測定器がなければ自分たちでつくり、協力者が足りなければ仲間を集め、資金が足りなければクラウドファンディングを活用する。
というやり方で、驚くべき広がりを見せているとお話しいただいています。
ある意味、インターネット、クラウド、スマホなど、存在しない時代では、考えられないほどのテクノロジーが個人の手元に来ているという、大きな変化があるのだと思います
さらに、今では、AIの登場により、プログラミング言語がわからなくとも、すぐにプロトタイプを誰でも作れる時代に突入しています。
この伊藤さんのお話は、2014年の話ですが、今では、さらにさらに、個人の手元で、恐るべきコンピューティングパワーを活用できるようになっていますので
あとは、ノウハウのある人たちと繋がって、そしてすぐにプロトタイプを作って、そして検証から学んで、どんどんファストフェイルしながら、コンパスの目指す方向へ進むことができる
その方が、計画や市場調査だけに時間をかけるよりも、早く学びながら、目指すゴールへ近づける可能性が高まるので
それを個人だけではなく、組織的にもそのアクティビティをいかに取り入れていくルールにしていくかということが、競争優位の源泉になっていくということなのかもしれないなあと思いました
3、今に全集中
以前、1940回にポールサフォーさんの言葉から「強い意見を弱く持つノベーション」というタイトルで、未来予測はするんだけれども、その予測が外れるケースを徹底的に分析して、適宜到達する未来を変えていく、という話をしました
そういう意味では、私は、未来を見据えるフューチャーリストの存在自体は必要であると思いますが、極めて流動的に変わっていくということなのかもしれないと思います
そして、伊藤さんが言われる、ナウイストは、イノベータリップルモデルでいえば、自らのパッションに基づいて、コンパスとしての大義を持ち、仲間と共に、今に全集中続ける、というこれからのイノベータの姿なのかもしれないと思いました
AIソロプレナーという、1人でAIエージェント社員とともに、これまでの企業という組織体と同じような、さらには超効率化された企業体として、イノベーションを起こし続けていく人たちは
一人でもこれだけのスピードで挑戦できる時代に、大企業が従来どおり計画と承認に時間をかけていたら、果たして競争していけるのでしょうか。
まさに、計画や準備ということは、ほとんど組織体の中にある必要性すらなく、ひたすら全集中して、仮説検証を回しまくる、そんな現実がすでに現れていると思います
既存の企業体や組織体が、それにどのように向き合った、社内の仕組みづくりをしていくのか、ということに対する、ヒントがここにあるのかもしれないなあと思いました
特に、新規ビジネス、やイノベーション部隊においては、地図よりコンパス、準備より繋がりと学び、そして今に全集中できる、そんな社内のルールや、仕組みづくり、がより求められてくる可能性があるなあと思いました。
ということで、一言で言えば、伊藤さんのお言葉を借りて
ナウイスト・ノベーション
そんなことを思いました。
参考
伊藤穰一、TED講演『革新的なことをしたいなら「ナウイスト」になろう』(2014年3月)
https://www.ted.com/talks/joi_ito_want_to_innovate_become_a_now_ist
日本語対訳
https://digitalcast.jp/v/20354/
アメリカでヨシダソースを大成功させた起業家、ヨシダグループ創業者の吉田潤喜さんの言葉に、人生における人との出逢いと、ビジネスの本質について、深く考えさせられました。
曰く、
「これは自慢じゃないですよ。やっぱりね、人生、金儲けやない、人儲けや。人儲けって、人をうまく使って儲けるとか、お金を騙し取ることとは違う。人生は人との出逢い、心から応援してくれる人をどれだけつくれるか。それこそが人間の勲章やと思います。」
「借金して商売していたから、ソースを買ってほしいという気持ちは強かったですよ。でもその前に、この吉田潤喜を見て愛してほしい、その一心でした。商品を売るんじゃない、自分を売ったんです。」
「まあ、僕も死に物狂いで約束を守ったことが大きいと思う。1回店に入れてもらった商品は、たとえ損してでも、売り切るまで実演販売を続けました。約束は絶対に反故にしなかったですね。」
「知名度がない僕らが勝つには、実演販売しかない。1本でも多く売ろうという姿勢をバイヤーたちも応援してくれて、いまのような人気商品になったんです。」
「考えてみたらそれまで、僕は自分で失敗する道を選んでいました。調子に乗るって、見栄を張るということだよ。商売でも人間関係でも、最大の敵は見栄だと思う。そのことを、周りの人が気づかせてくれて、助けてくれました。」
「あの人がやるなら手伝いたい、この人が言うなら信用できる。そう思われることが人間の最高の勲章。そう改めて思ったね。」
ここから私は思いました。
1、自分自身を売る
2 自分自身への信用を裏切らない
3、本当のことを言ってくれる仲間
1、自分自身を売る
「人生、人儲け」とは、一儲けと、人儲けを掛け合わせていて、とても洒落てて、キャッチーな良い言葉だと思いました。
人儲けと、言われる言葉の一つの大きな鍵として、「自分を売ってきた」ということに、とても共感させていただきました。
私が大手企業の広報部にいたときに、NDAなどが厳しいお客様が多かった中で、なかなか世の中にソリューションをアピールできなかった時に考えたのが、まさに「人を出していこう」という施策を打ったことを思い出しました
アップルが、スティーブ・ジョブスの言われる「Think Different」に、私も含めて、世の中の熱狂的なアップルユーザを増大させたように
製品やソリューションを売ることも大事ですが、誰がなぜそれをやっているのか、ということがとても、人の心を動かすということを、その時思いました。
イノベータリップルモデルでいえば、それがまさに大義の部分になるのですが、誰がどんな世界を実現しようとしているのか、それが、伝わることが、ビジネスを立ち上げる上で、いかに大切か、ということかと思います。
様々なVCの方から聞く言葉として「人に投資する」「彼ならどんな状況でもなんとかしようとする」そんな人に投資したくなる、そんな言葉も思い出しました。
2、自分自身への信用を裏切らない
吉田さんは、店に置いてもらった商品を売り切るまで、実演販売を続けたと言います。私は、ここに信用とビジネスの本質があるように思いました。
私が独立してから、常に心がけていることは、私に仕事をしてくれた方の、期待をいかに超えるか。なんとしても、期待を超える結果をお見せする。そこに全精力をかけようと思っています。
これは、お金の大きさでは、決してなくて、なぜなら、お金の大きさは、出す人の懐具合によって、いくらでも変わってしまうし、少ない中から頑張って出してくれた人のお金は何よりも大きいと思います
一円でもいただいた仕事としては、どれだけ自分の稼働がかかったとしても、なんとしても、その人の期待を超える結果を出す、ということこそ、私を信用してくれた人への恩返しだと思います
それが残念ながらうまくいかないこともたくさんありますし、むしろその方が多いのかもしれないけれども、それでも期待を超えるものをだし続けたいという利他パッションのようなものがある気がします
このYouTubeにしても、時には視聴者0件の時もありますが、それでも、毎回、少なくとも自分自身が感動した話をすることは、聞いてくれてる人の期待をなんとか超えるお話を届けるためには、絶対に外さない、という思いでやっています
ある意味、それは、相手との信用を作るためということもありますが、自分自身への納得感、自分自身の誇りのため、自分に嘘をつかないという、自分自身への信用から始まるのかもしれないと思いました。
3、本当のことを言ってくれる仲間
うまくいってきたり、少し成功をし始めると、調子に乗ってくるということが、本当に怖いなと思います
つまり、何か自分がやってきたことこそが、全て人類の成功の道のりなのだというような、勘違いをしてしまって、ついつい見栄を張ってしまっている、という経験は誰にもあるのかもしれないなと思いました。
吉田さんの場合は、お母様がその目を覚ましてくれたという逸話が、とても響きました。
そんな時に必要となるのは、イノベータリップルモデルにおける、仲間がいること、それがとても重要になるということかもしれないと思いました
ついつい自分が見栄を張ってしまっている、調子に乗ってしまっている、そんな時に、仲間が、それを厳しく指摘してくれる、そんな仲間がいるかいないかで、間違った方向に突き進まなくて済む、そんなセーフティネットになるのではないかと思いました
これは自分自身だけで、超えることはもしかしたら難しいのかもしれないと思いました
もちろん、起業家の方は、自信を持って、自分が作る未来が必ずくる。と言わなければならないので、多少のバイアスはかかっていていいと思うのですが
その中で、自分は等身大でいられているのか、見栄を張っているようなことはないのか、素直に他の人の話を聞けているのか、というような自問が大切になると思いました
そのバロメーターは、イエスマンではない、真の仲間を持てているか、ということになるのかもしれないなあと思いました。
その仲間の声を聞けているからこそ、また応援してくれる人たちが出てくる。ひいては応援してもらえる人になれる。そんなことなのではないかと思いました。
人生、人儲けとは、応援してもらえる人をどれだけ持てるかということ。
そのためには、自分自身を売ること。そして、自分自身への信用を裏切らないこと。さらに、そんな自分に本当のことを言ってくれる仲間を持つこと。
人に応援される人になるためには、まず自分が自分を応援できる人間であること。
そして、そんな自分を、ときには厳しく正してくれる仲間がいること。
その積み重ねこそが、人生における「人儲け」なのかもしれないと思いました。
ということで、一言で言えば、
応援される人になるノベーション。
そんな話をしています。
参考
月刊『致知』2025年10月号、特集「出逢いが運命を変える」
吉田潤喜さんインタビュー『人生は金儲けでなく人儲け』
https://www.chichi.co.jp/info/chichi/pickup_article/2025/202510_yoshida/
吉田潤喜著『人生、金儲けやない、人儲けや!』(2021年、ヨシダフーズインターナショナルジャパン)
経済ジャーナリストで作家のティム・ハーフォードさんの言葉に、イノベーションを生み出すための、大切な考え方を教えられました。
曰く
"一流の科学者は取り組むテーマを変え続けていたのです"
"そういう高い創造力を保ち続ける科学者は平均すると最初の研究論文100編で 43回もトピックを変えていました"
"創造力の秘訣はマルチタスクをスローモーションですることのようです"
"そうした人たちは大概 複数のプロジェクトを同時進行させており普通の人より趣味にも真剣に取り組むことが多いとしています。スローモーション・マルチタスクは創造的な人たちの間では普通のことなのです"
そして、アメリカの偉大な振付家トワイラ・サープさん曰く
"プロジェクトごとに 大きな段ボール箱を用意し箱の側面にプロジェクト名を書きます。そして箱の中に DVDや本雑誌の切り抜き劇のプログラムや物など創造的なインスピレーションを与えるものなら何でも入れていきます。”
ここから私は思いました。
1、寄り道が創造性を生む
2、行き詰まりを可能性に変える
3、箱を行き来する
1、寄り道が創造性を生む
私は小さい時から、落ち着きがない、と通知表に書かれていたように、一つのことに集中して取り組むことがとても苦手でした。
小学生の頃は、興味が、あっちこっちに飛んでしまって、教室の椅子にじっと座っていることができなかったので、先生の真横に、みんなの方を向いて、授業を受けさせられていました。
それでも、先生は、怒るでもなく、こうちゃんは、そういう子だから、こうやって授業受けようねえ、くらいな感じで、接してくれていたので、それが悪いことだとは全く思わずに成長できたのは、本当に先生に感謝だなあと思います。
今回のハーフォードさんのお話は、そんな私にとても勇気をいただける話にもなった気がします。
今の私も大企業のイノベーション支援をやったり、起業家の支援をしたり、講演をやったり、さらには、アカペラを歌ったり、曲を作ったり、YouTubeをやったり、本を書いたり、やりたいことがありすぎて、一見しっちゃかめっちゃかかもしれないなあと思いますが
でも実は、自分の中では、全てがいろんなところで繋がっていて、それぞれが、良い影響を与え合っている気がするので、とても腑に落ちたが気がしました
何か一つのことを、まずはきっちりやって、ノウハウをつけてから、T字型人間、またはπ型人間になるのが、なんとなく、王道な考え方として言われている気がします
だからこそ、大谷選手の二刀流が話題になったりもするのかなあとも思いますが、逆にいろんなことをやっているかこその良さがたくさんある、特に、創造性という意味では、むしろ大事なこと、というのは、嬉しくなります
シュンペータさんの新結合や、チェスブロウさんのオープンイノベーションも、これは一つの中の話ではないですが、既存のアイディアが掛け合わさるとき、違うソリューションが掛け合わせる時に、新しいイノベーションが起きるという意味では
1人新結合、1人オープンイノベーションとしての、寄り道をするようなあり方はとても創造性を生むことにつながる
寄り道をしないで、帰りなさい。と小さい頃はよく言われましたが、寄り道をしながら帰る子が、実は創造性を育んでいるのかもしれない、そんなふうにも思いました
2、行き詰まりを可能性に変える
いくつかの寄り道をしているメリットとして、もう一つ良いことは、一つの道が閉ざされた時にも、他の道に容易に進めるというリスクヘッジが効くということもあると思います
私が独立できたのは、独立する数年前から、副業としてスポットコンサルをやりながら、自分の市場価値がどれくらいあるのか、どれくらい自分という人間に仕事がくるのか、というのを仮説検証していたことは、とても大きかったと思います
一つの道しかなければ、その道が今ひとつ自分の思い通りの内容にならなくなった時に、甘んじて受け入れなければならないということが、起きる可能性があると思います
私が、全世界一世帯あたり一法人化、を会社のミッションに据えている理由は、一人一人が、選択権を持てる人生になってほしいという意味合いも含めています
必ずしも、副業で法人化すべきということでも、誰もが起業しよう、という話ではなく、自分で価値を創って、誰かが喜んでくれるという状態を、仕事でも、趣味でも、創っておくことが、自分としての選択肢を増やすことになり
ある意味自分ポートフォリオを組んで、リスクヘッジしていける、精神的にもとても余裕を持てる話につながること、とも思いました。
3、箱を行き来する
いろんなことを並行してやることのデメリットは、いろんなことをやりすぎて、しっちゃかめっちゃか、全てが中途半端になる、というリスクもあることかと思います。
そこにいみじくも、振付師トワイラ・サープさんの「箱」の話が、とても大事だなあと思いました。
これは、リアルでもバーチャルでもいいのですが、プロジェクトごとに大きな箱を用意し、その中に本や資料、写真、創作のヒントになるものを、とにかく入れちゃう。
私の場合は、メモ帳に、タグをつけて、はっつけています。必要な時には、そのタグで引っ張り出せば、現在の状況が、思い出せる形にしています。
レドナルド・ダ・ビンチさんが、メモ魔だったということは有名な話ですが、実は、そういう効果もあったのではないかと思っています。
めちゃくちゃ単純な話ですが、なんだかんだ、これがマルチタスクをうまくやるための、とても大きなコツなのではないかと思います
そして重要なのは、その箱があることによって、その箱を見える化することができるので、箱と箱との行き来をすることになるということかと思います。
バラバラな情報は、人間の頭では、なかなか整理できないので、自分の興味を箱化しておくことが、その箱を意識できるし、さらに箱と箱を掛け合わせることも、行き来することもやりやすくなって
1人新結合や、1人オープンイノベーションも、さらに加速化することができるのではないか、そんなふうにも思いました
ということで、
マルチタスクというと、忙しすぎて、回らないからというネガティブなイメージもありますが
あえて、積極的に、しかも、それぞれを急がない、スローモーションな、マルチタスクは、実は、創造性を生むための、良きソリューションの一つかもしれない、そんなふうに思いました
一言で言えば
スローモーション・マルチタスクノベーション
そんな話をしています
参考
ティム・ハーフォード、TED講演『自らの創造性を最大限に生かす素晴らしい方法』(2018年11月)
https://www.ted.com/talks/tim_harford_a_powerful_way_to_unleash_your_natural_creativity
日本語対訳
https://digitalcast.jp/v/27492/
デヴィッド・バーンさんが率いたトーキング・ヘッズのライブ映画『Stop Making Sense』からのメッセージに、AI時代における創造性の本質を考えさせられました。
バーンさんは、この映画について、こんな話をしています。
曰く、
「人づきあいがあまり得意ではなく、とても不安で緊張している男がいます。しかし、音楽とダンスを通じて、少しずつ仲間を見つけ、自分を解放する方法を見つけていくのです。そして、だんだん自然体でいられるようになり、喜びを見つけるのです。」
「これは自分自身へのアドバイスです」
「私は物事をきちんと整理して、論理的に筋が通るようにしようとする傾向があります。でも、実際には、それは私の創作のやり方ではありません。これまで自分がつくってきたものの多くは、理屈が通るからではなく、直感や感情から生まれてきたものなのです」
「文字どおりの意味では筋が通らなくても、感情としては意味が通るのです」
ここから私は思いました。
1、感情が論理(AI)を超える
2、感情がパッションと創造性の源
3、感情を育てることがますます重要に
1、感情が論理(AI)を超える
昨日のセンスノベーションの話をした後に、大好きなデビット・バーンさんのこの映画のことを思い出していました
昨日のセンスノベーションでは、「間」に代表されるような人と人の関係性については、AIのスキルという武器は、人には敵わない、だからこそ、三現主義で磨いていくべきという話をしました
今日は、もう一つ、AIでは完璧には難しいことととして、人の感情という面があると思いました。
バーンさんのインタビューで、改めてこの映画は、論理やスキルを超えたところ、つまり、直感や感情から、創造性が発露されていることをメッセージとしているというお話しされているのを確認して
私の心を揺さぶったのはその部分なのだろうなあと思いました。
私自身も、小さい頃はとても人見知りで、自分から「仲間に入れて」ということができなかったことをよく覚えています
それが、音楽をやることで、バンドの仲間ができて、みんなで一緒に苦労してコンテストに出したりして、曲を作ったり録音したりライブしたりすることが、自分自身の心の成長に、本当に役に立ったし、孤独な魂を癒してくれたと感じています
タイパ・コスパは、AIにお任せする時代が来るとしても、自分自身の感情をいかに育てていくのかは、AIに任せて済むものではなく、人が担う重要な要素にますますなるのではないかと思いました
2、感情がパッションと創造性の源
情熱のポートフォリオを考えてみると、縦軸にポジティブ・ネガティブ、そして、横軸に、オープン・クローズという軸をとっていることからも分かるように
極めて感情面と密接に繋がっているなあと、改めて思いました。
そこからでてくる四象限は、大好きなこと、利他したいこと、個性を出したいこと、成長・脱出したいこと、という、人の感情が大きく関わってくる内容だとわかります
一昨日は、大好きなことは、絶対にAIに渡してはいけない、という話をしましたが、それは、自分の感情までも、感じられなくなるから、とも言えるかもしれません
創造性の源である、パッションが感情と大きく結びついているのだとすると、創造性を人がキープするためにも、感情という資産を大切にして
ストップ・メイキング・センス(つまり何でも論理的に筋を通そうとすることをやめろ)ということに、つながるなあと思いました。
3、感情を育てることがますます重要に
だとすると、AI時代には、感情を育てるということが、人にとっては、改めてとても重要なことになるという時代になるということかもしれないなあと思いました
いわゆる、情操教育としての、音楽を奏でることや、ダンスを踊ることや、アート作品を造ることや
さらには、部活動のように、1人だけはなく、仲間と共に、一つの目標へ向かって、一緒に励み、喜び、時には泣きあう、そんなことが
AIを使いこなすことも必要でありますが、より重要な人としての高めるべき要素になるのではないかと思いました
もちろん、論理的な思考も鍛える必要がありますが、あまりにもスキル寄りになることは、逆にAIに代替されることでもあるので
人としてより大切にすべきことを意識していくことがとても重要と思いました
ストップ・メイキング・センスがパッション、引いては、創造性、そしてイノベーションを高めていくことになる
AIがますます賢くなる時代だからこそ、私たちは、もっと感じ、もっと感動し、もっと仲間と喜びを分かち合うことが必要なのではないでしょうか。
その経験からパッションが生まれ、創造性が育ち、イノベーションにつながっていく。
そして、それこそがAI時代に人間が大切にすべきコアコンピタンスなのだと思いました。
そんなことを思いました
ということで一言でいえば
ストップ・メイキング・センスノベーション
そんな話をしています
参考
映画『ストップ・メイキング・センス』(1984年、監督:ジョナサン・デミ、出演:デヴィッド・バーン/トーキング・ヘッズ)
米国紙『ロサンゼルス・タイムズ』、2023年9月20日掲載、トーキング・ヘッズへのインタビュー記事
https://www.latimes.com/entertainment-arts/music/story/2023-09-20/talking-heads-stop-making-sense-rerelease
リサ・ロビンソンによるデヴィッド・バーンへのインタビュー(1984年、映画タイトルの意味について)
https://hibarr.beehiiv.com/p/david-byrne-84
米国公共ラジオNPR『フレッシュ・エア』、2023年11月1日、デヴィッド・バーンへのインタビュー
https://www.wbur.org/npr/1209679558/david-byrne-talking-heads-stop-making-sense
AIを使うか使わないかの基準について、楠木建さんから、目から鱗が落ちるお話を頂きました
曰く
"人間と知的奴隷としてのAIの役割分担をどう考えるか。僕の基準はいたってシンプルです。「自分が嫌でやりたくないと思うことはAIにやらせる。自分が好きで自然とやりたいと思うことはAIに任せない」
組織でまとまって動くときは別にして、個人の知的生産であれば、これがいちばんアウトプットの質を上げるというのが僕の今のところの結論です。
ポイントは、何が嫌で何が好きかは極めて主観的なものだということです。
「こういう仕事はAIに、こういう仕事は人間に」と客観的に一般化できるものではない。あくまで「つまらないからやりたくない」「面白いからやりたい」というその人の自然な感情が基準であるべきだと考えています。”
ここから私は思いました
1、タイパ、コスパ以外の選定
2、好きを知る必要がある
3、意味を考える意義
1、タイパ、コスパ以外の選定
このお話は、楠木建さんの講演などでも、何度か聞いたことがあったのですが、私にとっては一番インパクトのあるお話だと思います
基本的には、AIは、タイパ・コスパに代表される、効率的にできるところは、すべてAIに任せることによって
人間は、もっと、付加価値の高いことをやっていけるようになろう、というのが、一般的な風潮かと思います
そこに、ある意味、本当にそれでいいのか?という、本質的な論点を投げかけているお話だなあと思いました
私で考えてみると、例えば、このyoutubeで自分で話すのが、とても楽しいのに、残間AIでもういいじゃん
または、アカペラの録音で、本人よりよっぽどハモるんだから、残間AIに歌わせちゃえばいいじゃん、的なことがまずは該当する気がします
いや確かに、そこはAIから比べると不完全だけれども、それ取られちゃったら、生きがいなくなりかねないよ
ということは、世の中にめちゃくちゃある気がします
それは、失われる可能性のある職種とかいう以前に、人間の根源的な、生きがいを取られちゃいかんだろうということに、めちゃくちゃ腑に落ちる話だと思いました
2、好きを知る必要がある
そこで、より大切になってくるのは、自分の何をとられちゃったら、自分は腑抜けになるのか、ということを、わかっているか、ということだと思います
これは、私がいつもお話ししている、自分のパッションの源を、定期的に棚卸して、今現在の自分自身のパッションを理解しておくことが、とても重要ということかと思います
それをやっておかないと、知らず知らずのうちに、AIで便利じゃんこれ、とかいうことから、どんどん侵食されていき、
自分自身の人生さえも、仕事のようにやらなきゃいけないジョブをこなすだけの、自分自身が好きなことがなんだっけ?ということになりかねないような、そんな恐ろしさを感じました
皆さんは、これだけは、AIがどんなに便利になったとしても、絶対に面倒くさくても、やりたいこと、ってすぐに言えますかね?
言えない場合は、情熱のポートフォリオを今一度紐解いて、大好きなこと、利他したいこと、個性出したいこと、成長・脱出したいこと、などを整理してみてもいいかもしれないなあと思いました
3、意味を考える意義
ここまでの話はあくまでも個人の知的生産に関するお話となるかと思うのですが、この話は、実はもっと組織的な話にも展開するのではないかとも思いました
つまり、この組織において、AIに任せてしまうことを決める際に、本当にタイパ・コスパで見てしまっていいのか?という問いが湧いてきました
つまり、個人では、好きを捨てない、ということがとても大切だということですが、組織においては、ある意味、その能力をAIで外部化することが本当にいいことなのか?という議論が必要な気がしてきました
企業の中で、効率化を考えるあまり、ノウハウの外出しをしすぎてしまって、ドーナツ化現象というのが、一時期、よく言われていたことを思い出しました
AIネイティブで全てを自動化してしまうということは、もうその部分のノウハウを持つ必要がなくなることにつながりかねないリスクもあると思いました
当初は、AIがなかった時代の人たちによって、その検証ができますが、時代が進むと、誰も、自動化の結果を評価できる人がいなくなってしまうということも、ありうるのではないかと思いました
例えば、ノルウェーでは、2026年6月に、小学校1年生から7年生までは、原則として生成AIを使わせないという政府方針が発表されました。
その理由の一つは、AIを使うことで、子どもたちが自分で読み、書き、考えるという、学習に必要な過程を飛ばしてしまう危険性があるからだそうです。
AIを使えるようになることも大切ですが、AIに任せる前に、自分自身が身につけておかなければならない能力もあるということなのだと思います。
教育という面でも、もちろん、AIを使いこなせるようになる必要はあると思いますが、自らがその検証をできるようなノウハウまで、身につけることができなくなるリスクもあるのかもしれないなあと思いました
そういう意味で、今回の、好きを捨ててはいけない、というお話は、個人のお話から
組織においては、組織の好きという意味での、組織におけるそのノウハウの意味合いを、外部化していいのかどうかという判断が、とても重要と思いました
ということで、一言で言えば
好きを捨てないノベーション
そんな話をしています
参考:本:知的生産のセンス 2026年8月25日 1版著者 楠木建、山口周 株式会社日経BP 日本経済新聞出版
楠木建さんが紹介してくれた、ビートたけしさんの言葉に、センスとスキルの違いについて、とても考えさせられました
曰く
"「バカ」と「間抜け」は似て非なるものだというのがビートたけしさんの論点です。
「バカ」にはつける薬がない。どんな状況であろうとバカはバカ。ところが「間抜け」は違う。一定の認知能力はあるかもしれないが、「間」が悪い。間を外してしまうのが間抜け。
つまり、バカは状況や文脈から独立した「オールウェイズ・バカ」であるのに対し、間抜けは文脈依存的であるというのが彼の主張です。
この二つの区別がなぜ重要かというと、「バカ」とはスキルの欠如、「間抜け」とはセンスの欠如だと理解できるからです。"
"どうすれば間を外さずに済むのか、ビートたけしさんは「客の前に出ていかないヤツは絶対にダメだ」と言います。いくら一人で練習していてもダメ。あらゆる芸事は人前でやらなければ身につかない。たった三人でもいい。客の前に出て芸をやることが大切だというのです。"
ここから私は思いました
1、センスは人間らしさ
2、センスは磨ける
3、センスのイノベーション
1、センスは人間らしさ
私は、自己紹介の時に、先祖代々の言い方として、「残酷の残に、間抜けの間の残間です」とよくいうのですが、「バカ」と「間抜け」にこんな違いがあるのかということが、まずは目から鱗がおちる思いでした
なんとなく、バカは直接的で、間抜けの方が少し可愛げがあるかな、くらいしか思っていなかったのですが、スキルとセンスの違いと言われると、とても腹落ちする気がしました
そう考えると、センスというのは、人間らしさ、とも言えるのかもしれないと思いました
例えば、これからAIで漫才をやらせる時代が来たとしても、お互いの呼吸や、会場のお客様のあたたまり具合を見ながら、ツッコミのタイミングを変えたりというのは、学習しきれないのではないかと
過去のギャグやツッコミの種類というスキルは、人間以上に発達させていくことができても、その場にいるお客様に、合わせて大爆笑をとれるのは、人間しかいないのかもしれない
間というのは、人間というように、人と人の間にあるものなので、アドラーが人の悩みは人間関係に帰結すると言われているように、例えば漫才のようにこの関係性をその場で構築していくことは、AIが進化しても、人間が磨く価値になるのかもしれないと思いました
2、センスは磨ける
今回のお話からの、もう一つの学びは、センスは磨くことができるというお話で、とても勇気をいただくことができました
そしてそれは、畑村洋太郎さんの言われている、三現主義のように、現場、現人、現物に触れる等いうことなのだなあと思いました
AIは、今の所、体がないので、現場、現人、現物触れることができないということを考えると、これも極めて、人間がAIにはできないこととして、意識して育てていかなければならないことかもしれないと思いました
イノベーションの世界でも、それらしいアイデイアや、提案資料は、AIから容易に出してくることができるようになっていますが
せいぜい、最初の叩き台としてはあるかもしれませんが、お客様との関係性の中で、本当に行動変容を起こせるものというところには、辿り着けないのも、センスと三現主義が必要だから、というように改めて思いました
3、センスのイノベーション
そう考えると、これからは、より、人と人の間にある、間を、いかにうまく構築していくか、または、間抜けに陥らないように、間をいかにブラッシュアップしていけるかということが、人にとっての大きなイノベーションの種になるのでは、と思いました
スキル面では、AIが圧倒的なスピードで、しかもあらゆる種類のスキルを凌駕していく中で、人がそれを使いこなしながら、新しい価値を、人と人の間に作っていくかは、このセンスにかかっている
そんなセンスを高めるための、または適切に発動させるための、イノベーションが人に求められていくのではないかと思います
それはもしかしたら、人と人の間だけに限らず、組織と組織、国と国、さらには、人と自然というような間の関係性を、どう間抜けにしないかという、センスまで問われる気がします
スキルはAIに任せて、人間は、あらゆるセンスを徹底的に磨いていく
一言で言うと
センスノベーション
がとても大切になっていくのではないかと
感じさせていただきました
そんな話をしています
参考:本:知的生産のセンス 2026年8月25日 1版著者 楠木建、山口周 株式会社日経BP 日本経済新聞出版
参考:本:ビートたけし『間抜けの構造』新潮新書、2012年
楠木建さんと山口周さんの対談で、AIとどう付き合うべきかについて、とても考えさせられました
山口周さん曰く
"だから、これからは「顧客に直接向き合って責任を引き受けること」、端的に言えば「自分の屋号を持つ」ことが大事だと思います。
なぜなら「仕事をしている人」は、作業をAIに任せることでより優位なポジションに移行できるのに対して、「作業をしている人」は、作業をAIに奪われることで劣位なポジションに移行してしまうからです。"
ここから私は思いました
1、価値を決めるのはお客様
2、自分自身の納得感とパッション
3、お客様と対峙する立場になる
1、価値を決めるのはお客様
最近、いろんなプレゼン資料が、なんだかおんなじように見えるなあ、と思い始めています。
自分もAIに頼んでプレゼン資料を作ってもらったのと、驚くほどにテイストのプレゼン資料があって、おそらく、AIに頼んで作っているのだろうなあと思ったりして。
プレゼンの見てくれの話だけではなく、なんとなくそれらしい感じではあるのですが、いっていることが、今一つ、凡庸な話だったりもしている気がします
これは、山口さんが言われているところの、いわゆる作業内容を、そのままお客様に出しちゃっているような気がします
効率的に資料を作るのはいいのですが、それが最終的にお客様に刺さるかどうかを、お客様の顔を想像して、喜んでもらえるのかどうか、そこに真摯に真剣に向き合った時に、出てくるアウトプットは自ずと変わってくると思います
2、自分自身の納得感とパッション
そこには、まず、自分自身の中での納得感があるような気がします。
それは、かけた時間ではなく、お客様からお話の内容はもちろんのこと、受けた印象や感覚、本当の痛みのありかなど
自分自身が、それを突き止めた、と言う納得感がないままでは、いくら綺麗に整理された資料でも、全く刺さらないと言うことになると思います
もっと有り体にいってしまえば、自分として、めちゃくちゃ面白い提案になっていると、思っているかどうか、そこにかかっているような気がします
それはある意味、自らのパッションの源のどこかの琴線に触れている内容になっている、と言うことかと思います
それまでは、AIがどんなに素敵なストーリーと資料を作ってきたからといっても、絶対に諦めずに、うんうん唸り続ける
そのパッションが、お客様の心を動かすことにもつながるような気がしました
3、お客様と対峙する立場になる
”「顧客に直接向き合って責任を引き受けること」、端的に言えば「自分の屋号を持つ」ことが大事だ”のフレーズには痺れました
会社員の時は、自分が経営者になった気持ちで、提案をしなきゃだめだ、とよく先輩によく言われましたが、そんな気持ちにはなかなかなれねえなあと思っていました
なったつもりと、なる、と言うことでは、やはり大きな違いがある気がします。
つまり、誰もが、お客様に直接向き合って責任を引き受ける、と言う経験をしない限り、結局は「仕事」人ではなく、「作業」人になってしまう、危険性もあるのではないかと思います
そう言う意味では、誰もが、直接お客様と対峙して、自分が提供する価値を提供し、その責任と対峙する立場になることをやることがとても大事だと思いました
大企業では、それはどうしても難しいので、副業でも、起業でも、もしかしたら趣味でもいいと思います。
自分自身が創り出したなんらかの価値を、お客様に直接、責任を持って対峙する、そういうことを、人生の中では実施することが大事な気がしました
それがひいては、全世界一世帯あたり一法人化と言う、私の目指す世界観にも繋がっていくことにもなるなあと思います
誰もが直接お客様と対峙して、責任とプレッシャーの中で、作業ではなく、仕事をすることこそ、私は、人生の生き甲斐にもつながるのではないかとも思いました
ということで、人生で一度は経験したことがいいこととして
自分の屋号を持つノベーション
そんな話をしています
参考:本:知的生産のセンス 2026年8月25日 1版著者 楠木建、山口周 株式会社日経BP 日本経済新聞出版
宇宙探査機「はやぶさ2」を支える特殊なねじを製造した町工場、キットセイコーの社長 田邉弘栄(こうえい)さんの言葉に、現場の重要性と人を育てることの本質について、深く考えさせられました。
曰く、
「職人として一人前になるには、会社で多くの経験を積んでもらう必要があり、普通は10年、20年と掛かります。そこで、できる限り無駄なく、ベテランの技量を若手に承継するために考え出したのが、「マイスター制度」でした。
定年を迎えた職人が退職すれば、その人の数十年分の蓄積が失われます。また、嘱託に待遇を落とせば本人のやる気はもちろん、教わる若手に尊敬の念が生まれません。
それがどうしても嫌だった私は、主に当社で定年した職人を、すべて本人の希望通りの時間で働く〝マイスター〟(名人)として迎えたのです。定年後も安心して働ける会社にし、現役の職人に長くいてもらう目的もありました。」
「あえてマイスターが出社しない日を設け、若手の自立を促した結果、活発に教えを請い、また教えてあげるという長期的な承継の形ができました」
「これを踏まえ、当社は他社のような機械化はあえてせず、工程の約3分の2を職人の手が通るようにしています。このため微妙な加工が要る、他社の嫌がる仕事を受注でき、職人技、人が活きてくるのです。」
ここから私は思いました。
1.現場の人の価値
2.失われゆく価値の高騰
3.あえて教えない
1.現場の人の価値
宇宙探査機「はやぶさ2」というと、最先端の科学技術の結晶というイメージがありますが、その宇宙探査機を支えているものの一つが、町工場の職人たちの技術だということに、私は改めて感動しました。
それを育ててきたのが、工程の3分の2をあえて職人の手が通るようにしているという選択をしてきた結果なのかということにも、衝撃を受けました。
AIの出現により、事務処理のホワイトカラーはどんどん代替されていく代わりに、より現場の人でしかできないことが重要になってくると言われています
キットセイコーのような、あえて現場の人がいるからこそ、出せる付加価値というのは、より希少性を持って迎えられる時代が来たのかもしれないと思いました。
畑村洋太郎さんが言われた、現地、現人、現物の三現主義は、より重要性を持ち、そこに価値を見出して他にはない新しい価値を創出できる企業が競争優位性を持っていける時代に突入しているような気がしました。
2.失われゆく価値の高騰
だとすると、職人の技能継承問題は、もしかすると、古くて新しい課題として、さらに光を当てられる分野なのかもしれないとも思いました
そもそも人生100年時代で、年齢で処遇を変えていくのは、いかにも年功序列型の名残のような気がしていますが
より現場での唯一無二の価値を創れるような人材こそ、長く生き生きと働いてもらえる環境づくりはますます重要になってくると思います。
その中での、「マイスター制度」などは非常に良い事例なのではないかと思いました。
最近では、アメリカで「ブルーカラービリオネア」という言葉まで登場しているそうです。
2026年9月には、坂口孝則さんが『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』という本を出版されています。
AIの進展によって、データセンターの建設や設備の維持に必要な熟練技能者の需要が高まり、現場の人材が高い報酬を得るようになっているというのです。
もしかすると、これまでは定年されていたような人たちが、市場価値がとても上がり、むしろ取り合いになるような、そんな時代が来ているような気がしました。
3.あえて教えない
そして、そんな職人を大切にして企業だからこそ、その職人の技能継承の方法についても、一日の長としてのノウハウがあるのかもしれないと思いました。
マイスターに来てもらったとしても、ずっと教え続けていると、実は現場の人は育たないということに、目から鱗がおちる思いでした
来て教えてくれる人、来ないで自分でやらなければならない日を強制的に仕組みとして入れるということは、自律性を高めるという意味では、本当に効果があるのだなあと気づかせていただきました
私も企業向けの研修をやらせていただくことがあるのですが、満足度調査というのがあって、それに高い点数を取ろうとすると、手取り足取り教えることがベストになりがちと思うのですが
本当に自分のものにしてもらうためには、あえて、何にも教えてくれないじゃん、というところから始めて、自分で悩んで悩んで答えを出した時に、初めて自分のモノになるということを思います
その時の満足度調査は、実は低くなって、次の依頼が来なくなったりするのですが、本当に必要なのは、手取り足取りではなく、あえて教えないところから、ギリギリで手を差し伸べる
そこに技能継承においても、何かを教えるについても、秘伝のタレがあるのではないか、と思わせていただきました
今回のお話は、日本における熟練技能者の存在が、きっとこれからの日本を救う存在になるのではないか、という気づきと
その技術を伝承するのは、自律性を重んじた教え過ぎないというやり方が必要となるということ学ばせていただきました
と言うことで
一言で言うと
あえて教えないノベーション
そんな話をしています
参考
致知出版社 WEB chichi「この『宇宙ねじ』に支えられ、はやぶさ2は今日も進む」2021年4月12日公開 https://www.chichi.co.jp/web/20210412_kitseiko_tanabe_kouei/
坂口孝則『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』幻冬舎、2026年9月28日発売 https://www.gentosha.jp/article/29725/
東北大学教授で宗教学者の谷山洋三さんが、死を前にして語られた言葉に、魂が震えました。
曰く、
「一人ひとりの命というものはその人自身が責任を持つべきで、つらいことも楽しいことも悲しいことも、ちゃんと本人が味わった上で、どう行動するのかというのは決めてほしい
もちろん全部ひとりで生きるという意味ではなくて、サポートが必要であればちゃんと他の人にサポートを求めることも含めて、本人が決めること
それが単純にその人自身が何らかの学びを得ること、だけどもその学びが同時に周りの人に波及すること、そうなれば一番いいなと
本当に自分がどうなっていくのか、その辺も含めて、楽しみですね
冷静なままでもいいし、泣き叫んでもいいし、どちらでもいい
やってみなきゃ分からないんでね
こればっかりは」
ここから私は思いました。
1.自分の命を引き受ける
2.周りの人の学びとなる
3.自分にとって未知のことへ挑戦する
1.自分の命を引き受ける
谷山さんは、終末期医療や災害の現場などで、人々の心に寄り添う臨床宗教師を育ててこられた方です。
そして、ご自身が重い病気と向き合う中で、学生たちに「私を研究対象にしませんか」と呼びかけ、自分自身の死生観や心のありようについて、対話を重ねてこられたそうです。
そんな谷山さんが、一人ひとりの命は、その人自身が責任を持つべきだとおっしゃっていることに、私は深く考えさせられました。
どんな命でありたいのか。最後の最後まで、自分自身に問い続け、そして自分らしい選択をしていこうとすること。
人にお話をするのと、自分自身がその身になることでは、私は違いがあるのではないかとも思います。
私なら、冷静にそんなことを考えられるだろうか。長年終末期医療に携わられてきた谷山さんだからこそ、できることなのかもしれないとも思いました。
でも、谷山さんは、だからこそ1人でそれをやらなくてもいいんだとも言ってくれています。それこそが、以前もお話しした、弱い責任、頼ることこそが、自分の命の責任を果たすということにも、つながるのかもしれないと思いました。
2.周りの人の学びとなる
まさに、臨床宗教師を育ててこられた方ならではのお言葉だなあと思います。最後の最後まで、自分を一つの事例としてまで、後進を育てようとされているのかと思いました
そしてもしかするとそれは、内村鑑三さんが「後世への最大遺物」で言われていたように、生き様を遺すということなのかもしれないとも思いました
イノベーターリップルモデルが、自らのパッションから始まって、仲間と共に、誰かのためになる大義を実現していく、この構造と同じように
谷山さんのパッションは、仲間に引き継がれ、さらに、最後の最後までも、誰かのためになろうとする大義に溢れているからこそ
きっとこのイノベーティブな思いや活動は、永遠に引き継がれていくのかもしれないと思いました。
そしてそれが、谷山さんの生きがいにもつながるのではないかとも思いました
3.自分にとって未知のことへ挑戦する
自分がこれからどうなっていくのかを、楽しみだといわれていることに、とても感動しました。
それは、さらなる挑戦をされているからなのかもしれないと思いました。
そしてそれを、「やってみなきゃわからない、こればっかりは」と何か、新しい趣味にでも挑戦するくらいな軽快さでいってのけているところが、何か私の心まで軽くしていただけたような気がしました
そう考えると、自分にとっても、何かに挑戦することは、基本的にワクワクすることなので、そういう発想の転換をされていることに、とても勇気をいただいた気がします
自分もそんなふうに、軽やかに、でも、自分に正直に、あるがままに、いられたらいいなあと思わせていただきました。
でもそれは、自分自身の命に対して、徹底的に向き合って、辛いことも、悲しいことも、楽しいことにも、自分で味わって、向き合ったからこそ、ある姿なのかもしれないと思いました。
ということで一言で言えば
命の責任ノベーション
そんな話をしています
参考
NHK Eテレ『こころの時代〜宗教・人生〜』
「生死(しょうじ)あるがまま 宗教学者・谷山洋三」2026年10月12日放送https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-X83KJR6973/ep/TFJJYP9GD9
歌手・俳優の松たか子さんの言葉に、人と一緒に何かを創り出すことの本質について、深く考えさせられました。
曰く、
「お芝居もその作品で出会ってバイバイ出会ってバイバイ、のなんか繰り返しですけど、
やっぱりなれ合いではなくこう、あ、わかるとか、思える相手というのは必ずいて
やっぱり組むと、相手の人がかっこよくいてほしいというのは常に思うし
なんかそしたら、自分も良くあれてるはずだっていうのは、どんな方とご一緒しても、まず思うことだなと」
私は思いました。
1、相手をカッコ良くする
2、自分もカッコ良くなる
3、互いをカッコよくする関係から、イノベーションが生まれる
1.相手をカッコ良くする
松たかこさんの演技は、テレビや映画、舞台でも観させて頂き、ときには大笑いをさせて頂き、ときにはめちゃくちゃ感動をさせていただいたり、本当に素晴らしい俳優さんだなあと思っていましたが、こんな素敵な考え方をされているんだということに、さらに感動させて頂きました
自分が表に出て、何かを表現しなければならないとしたときに、まず自分であれば、どうすれば自分自身の力を精一杯発揮できるか、ということにしか、頭がいかないなと思います。
松さんが最初に考えているのは、相手がカッコよくいられることを思う、というのは、とても謙虚な松さんらしいと思うと共に、そこに松さんの参加されるプロジェクト全体の表現の素晴らしさにつながる秘訣があるのかもしれないとも思いました
1999年、心理学者のドリゴタスさん、ラスバルトさんらが発表した「ミケランジェロ現象」という研究があって、次のように報告されています。
「パートナーから肯定的に受け止められているという認識と、理想の自己に近づくこととの間に、強い関連が認められました」
これは、4つの研究から明らかになったことだそうです。
つまり、人が自分のなりたい姿に近づいていくことには、本人の努力だけでなく、パートナーがその人をどう捉え、どう接するかが関係しているということです。
まるで彫刻家ミケランジェロが石の中から人物を彫り出すように、相手が本来なりたい姿を、その人との関係の中から引き出していくという考え方です。
私は、この研究の面白いところは、相手がカッコよくなることに、自分自身が実際に貢献できる可能性がある、ということだと思いました。
もちろん、この研究は主に親密なパートナー関係を対象にしたものですが、俳優同士の共演でも、相手の力を引き出すような働きかけによって、その人がさらに素晴らしい演技を発揮できるということが、もしかしたら起きているのではないかと思いました。
相手の得意なことを見つけ、その力が最も発揮されるように、自分が何をできるかを考えることは、実は相手の可能性を、引き出すことに大きく貢献できる
これは作品を作る上ではとても大切な考え方だし、俳優の仕事に限らず、誰かと一緒に何かをやるときに、自分がその気持ちで接することによって、相手がさらなる能力を発揮できるということは、全体として、とても良い効果を生み出す考え方だなあと思いました
2.自分もカッコ良くなる
2008年、組織心理学者のアダム・グラントさんは、仕事の意義と成果についての論文で、次のように報告しています。
「仕事の意義を実感する働きかけを受けた寄付募集の電話担当者は、他の条件の担当者や、働きかけを受ける前の自分自身と比べて、仕事の成果を高めました」
さらに、救助員を対象とした実験についても、
「仕事の意義を実感することで、仕事への献身や他者を助ける行動が増加しました」
と報告しています。
つまり、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感することが、自分自身の力を引き出すことにもつながるということです。
これは松さんが、共演者をカッコよくすることが、ひいては、自分も良くあれてるはず、と言われている言葉にとても通じる話だなあと思いました
共演者が一番輝く働きかけをすることによって、作品全体も輝くことになり、それはひいては観てくれる人たちにとっても、喜んでもらえることになり、そしてそのこと自体が、自分自身の意義と成果にもつながっていく
ということを感じられているのではないかなあと思いました。
これは、イノベーターリップルモデルにおける、3つの鍵である、パッション、仲間、大義の中の、特に大義として、誰かが喜んでくれることをやることが、自分自身のパッションにも火をつけるし、さらなる価値を生み出すことができる、ということとも、とても符合しているような気がしました
3.互いをカッコ良くする関係から、イノベーションが生まれる
今回の話を聞いて、自分がカッコよくなる、ためには、まず、相手をカッコよくする、ことから始めるということが、とても素敵なやり方だなあと思いました。
一方では、厳しい世界の中で戦っていくためには、まずは、自己主張が大切ということもあるかと思います
そういうやり方もありますが、その自己主張の矛先を、相手がカッコよくなる方向へ向けていくということで、全体として、みんなが、みんなをカッコよくする方向に回り始めるという、イノベーションが巻き起こるのではないか、そんなことを思いました
イノベータリップルモデルは、最終的には、誰かに、なんらかの価値を提供するという大義が大事になります。
そのリップル(波紋)を拡大していくためには、まずは、仲間がカッコよくなってもらう、そんな関係性を目指して動いていくことが、自分のパッションにさらなる火をつけて、素敵な大義という価値を生んでいく構造が作りやすいのではないか
そんなふうに思いました。
誰かを何かをやるときには、まずは、その誰かにカッコよくなってもらう
そこから始めることが、全体を良くして、ひいては自分自身も輝ける。そんな秘訣を教えていただいた気がしました
ということで、一言で言えば
相手がカッコよくいて欲しいノベーション
そんなことを話しています
参考
https://www.web.nhk/tv/pl/series-tep-Y3RNJ33LW6
https://doi.org/10.1037/0022-3514.77.2.293
https://doi.org/10.1037/0021-9010.93.1.108
引用についての確認事項: 学術論文の引用は、原論文の要旨に記載された文章を日本語に訳したものです。ドリゴタスらの論文は4つの研究で、パートナーの肯定的な働きかけと理想の自己への接近の関連を示しています。 グラントの論文は3つのフィールド実験に基づいています。
From the publisher's feed

43 Listeners

62 Listeners

0 Listeners

0 Listeners