研究コンサルティングのベンチャー、アルス・アカデミカ代表の阿部幸大さんより、研究・論文へ向かう心構えについて、大切な考え方を教えて頂きました。
曰く
"似たり寄ったりのアカデミック・スキルの指南書のなかで「問い」という問題にフォーカスした最良の一冊は、トマス・マレイニー+クリストファー・レイ『研究の出発点』である。"
"同書の核にあるのは、“self-centered”な問いを見つけよというアドバイスだ。「自己中心的」という意味だが、もちろんそれは自分勝手で傲慢であれという意味ではなく、興味を惹かれるトピックがあるとして、なぜ自分はそのトピックに惹かれるのかを自問せよという趣旨である。"
"千葉雅也は『勉強の哲学』において、「欲望年表」なる自分史の作成を薦めている。"
"つまりこの作業の主眼は、過去をふりかえることで人生とリンクしたテーマを見つけ、それをそのまま研究対象とすること――ではなくて、年表をネタにして現在の研究内容と自分の人生とのリンクを人工的につくることにある。"
"なぜこれが準備として重要なのか。それは、とにもかくにも、だれに要求されたわけでもないのに好きだったり重要だったりするものは間違いなく自分の人生とつながったなにかであるという手応えが得られるからだ。"
ここから私は思いました
1、内発的動機理論
2、自分軸と他人軸のベン図
3、人生の新たなストーリテリングの創発
私もいくつか論文を書く機会がありまして、ご指導いただきながら何とか何本が、出させていただきましたので、この本で言っているお話は、物凄く勉強になりました
さらに驚いたのは、研究をされている方への、自分の人生に乗っかってるのか?というテーゼがあることに感動しました
1、内発的動機理論
私が大学で研究をしていたのはイカとヒトデだったのですが、それはまずは研究室の先生が居られて、そこの研究に促する内容のものを相談して決めるというようなやり方でした。
それは会社生活においても同じで、とりあえず面白そうということで、会社に入って、その中で先輩やお客様の話からやることを決められていたので、パッションに沿ってとか言われても、という感じでした
なので最初からやりたいことがある人とかは本当にすごいなあと思うのですが、それでもやっているうちに、少しずつ面白くなってきて、やりたいことが出てくるという、ある意味、フローへ向かう挑戦と技術を与えられて成長していく、みたいなルートでした
ただそうなってくると、仕事での欲も出てきて、ある意味自分としては追求したいみたいなことができてきたわけですが、そうなってくると、少しずつ人生とのシナジーに近づいてきたがします。
この辺りの仕事への欲が、デシ&ライアンが言われるところの内発的動機というものかなあと、自分の場合は思います。
「真に持続的で創造的な関与は、人が自分自身の価値観や興味と合致した目標に向かって行動しているときに最も高まる。」
もちろん、給与とか昇進とかもありましたが、仕事の中身として、面白いと思う時は、特に成果もスキルも伸びていた気がします
2、自分軸と他人軸のベン図
私のワークショップでも、実は自分の内発的動機、これをパッションの源と呼びながら、それが何なのかを尽きとめてみよう、そして、それと今ミッションとしてもらってる、お客様の課題や会社のミッションなどの、交わりを見てみることで、人生に乗っかったプロジェクトにすることができる
みたいなことをお話ししているのですが、ワークライフバランスなので、仕事と人生を混ぜるところがありません、みたいなことも言われたりします。
ましてや、大学生の研究テーマみたいな話だと、先ほどの私のように、とりあえず単位もらって音楽やりたい、みたいな私だったので、今回のお話は、研究開発分野でも、自分軸と他人軸のベン図は必要とされるとのことに、驚きを得ました。
確かに、短期出来な成果、つまり卒論出して卒業みな話だと、ワークライフバランスでいいかと思いますが、それを自身の研究テーマにしていくかもしれないみたいな気持ちがある場合は、このベン図を一度やっておく意義はあるかもなあと思いました
3、人生の新たなストーリテリングの創発
今回のお話もそうなのですが、自分軸と仕事軸の交わりを探そうという場合に、交わってません、で終わっちゃうケースがあるのですが、そこをあえてストーリー化していこう、ということだということが、とても素晴らしいと思いました
つまり、最初からパッションが仕事や研究に炸裂してる人は別なのですが、通常は意識してないし、突然言われても、ということなので
今は交わって見えてないけど、交わるとしたら、どう交わるのか?何が交わるのか?交わらせるためにはどんなストーリーがあるのか?ということを創発することが
実はイノベーションや研究、さらには仕事みたいな取り組みには、一回でいいので考えてみることが、その後の人生の中長期的展開には、とても役に立つ
と思いました
研究と人生だって、イノベーション、仕事などなど、混ぜ合わせることができる、いやむしろ、積極的に混ぜ合わせることで、自分の人生の彩りがとても出てくるし、そしてその時間を貴重な人生の時間に取り戻すことができる
一言で言えば
研究に人生を取り戻すノベーション
そんなことを思いました^^
参考:本: まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 著者 阿部幸大 発行日 2024年7月24日 発 行 株式会社 光文社