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チェコスロヴァキア民主化運動の象徴的存在で、劇作家から後に大統領となったヴァーツラフ・ハヴェルの言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
ハヴェルは、共産党政権下で作品の上演を禁じられ、人権や自由を求める活動によって投獄されました。
そして釈放後の1985年から86年、まだ民主化が実現する前、もちろん自分が大統領になることなど分からない時代に、「希望」についてこう語っています。
曰く、
「希望とは、何かが成功する可能性があるから取り組むことではなく、それが善いことだから取り組むことのできる力なのです。
希望は、楽観主義と同じものではありません。
何かがうまくいくという確信ではなく、それがどのような結果になろうとも、そこには意味があるという確信なのです。」
私は、この言葉を、希望の再定義なのではないかと思いました。
希望とは、うまくいくという見通しではなく、結果がどうであれ、そこに意味があると信じて動ける力なのだ、と。
ここから私は思いました。
1、希望は結果ではなく意味にある
2、意味が人を動かす
3、大義が希望の波紋を拡げる
1、希望は結果ではなく意味にある
ビジネスでは、もちろん結果が求められますが、特にイノベーションプロジェクトにおいては、結果が果たして思い通りになるのか、そうはならないのか、わからない状態で始めることになることが多いと思います。
では何をよすがに進み始めることができるのか?
ハヴェルは、その答えを教えてくれているような気がしました。
ハヴェルは、民主化が実現することや、後に自分が大統領になることが分かっていたから行動していたわけではありません。
投獄まで経験し、それでもなお、結果がどうなるかではなく、自分がやっていることには「意味がある」ということを希望として進んでいくことができたのかもしれない、そんなふうに思いました。
つまり、希望は「きっとうまくいく」という将来の結果の中にあるのではなく、「これはやる意味がある」という今にある。
そんなふうに、ハヴェルは希望そのものを捉え直したのではないかと思います。
経営学者ピーター・ドラッカーは、
「企業の目的について、唯一の有効な定義がある。それは、顧客を創造することである。」
と述べています。
企業は利益そのものだけを目的にするのではなく、顧客や社会に価値を生み出すことで存在する。
もちろん、事業を継続するためには利益が必要です。が、その前に、
「自分たちは、誰に、どんな価値を生み出したいのか」
という意味が大切ということかと思います。
イノベーションプロジェクトにおいても、将来いくら儲かるということはもちろん議論しますが、それはいくら議論しても今の誰にもわからない。
だからこそ、まず、自分たちが実現したい価値が今あるのかどうか?顧客を創造できるのか?から始める。
そこに、イノベーションを始める意味があり、希望が生まれるのではないかと思いました。
2、意味が人を動かす
そして、何よりも、その「自分たちは、誰に、どんな価値を生み出したいのか」というプロジェクト推進の意味は、その意味に共感してくれる人を動かすことができると思います。
ハヴェルは、民主化が実現するかどうか分からない時代から、自分がやっていることには、意味があると信じることで行動し続けた。
その姿を見て、その意味に共感する人たちが集まり、やがて希望が生まれ、大きな動きになっていった。
イノベーションプロジェクトでも同じなのかもしれないなと思いました。
「このプロジェクトは何のために存在するのか」
「自分たちは社会にどんな価値を生み出したいのか」
自分自身が、その意味を信じて行動する。
その行動を見て、誰かの心が動く。
そして、その人も行動を始めることで、その意味が、人から人へ伝わっていき、希望として輝き出すのだと思います。
3、大義が希望の波紋を拡げる
私は、ハヴェルのいう「意味」を、私が考えているイノベーターリップルモデルの「大義」と重ねて考えました。
自分がやろうとしてることは、自分だけではなく、社会にとってどんな意味があるのか。
その大義に、心動いた自分自身をぶち込んで、まず行動してみる
そして行動することでよりパッションが加速する。
そのパッションに誰かが共感し、仲間になり、その仲間がまた行動する。
一人から始まった大義と希望の小さな波紋が、次の波紋を生み、やがて大きな動きにつながっていく。
もちろん、ビジネスでは結果が必要ですが、将来の結果はどんなに考えてもわからないので、それを考えていたら動けなくなることがある。
だからこそ、その挑戦を最初に動かすものの、根っこにあるものが「意味」であり、私はそれを「大義」と呼びたいと思います。
結果が見えなくても、意味があれば大義が生まれ、希望につながる
そして、その希望の波紋が、イノベーションをより大きな動きへ変えていく
そんなことを、ハヴェルの言葉から思わせていただきました。
希望は、将来の結果や楽観主義ではなく、今ここに、意味があると実感していること
それが挑戦の原動力になる
一言で言えば
希望は意味にあるノベーション
そんな話をしています。
参考
ヴァーツラフ・ハヴェル『Disturbing the Peace』181–182頁
ピーター・F・ドラッカー『マネジメント』
ヴァーツラフ・ハヴェル・センター
経済学者アルバート・O・ハーシュマンさんの言葉と事例に、めちゃめちゃ心を動かされました。
ハーシュマンさんが取り上げた代表例の一つが、東パキスタン、現在のバングラデシュにあったカルナフリ紙パルプ工場です。
周辺に豊富にある竹を原料にする計画でしたが、その竹の供給が危機に陥るという想定外が起きました。
そこで人々は、各地から竹を集める新しい供給網をつくり、より早く成長する竹を研究し、さらに竹以外の原料まで探しました。
曰く、
「創造性は、いつも私たち自身を驚かせる。」
「私たちは、自分たちの創造性をあらかじめ当てにすることはできない。実際にそれが現れるまでは、それを信じることもできない。」
ここから私は思いました。
1、創造性は新規だけではない
2、創造性が想定外を乗り越える
3、修羅場が創造性を育む
1、創造性は新規だけではない
創造性というと、進化論でいう「変異」のように、新しいものを生み出すための力、企業でいえばイノベーションに必要な能力だと思われがちです。
でも、実はそれだけではないということに、改めて気づかせていただきました。
とても大きな役割として思ったのは、突然襲いくる危機を乗り越える力になりうるということです。
天変地異や、技術革新、別業界からの横展開、さらには破壊的ベンチャー企業の登場など、未曾有の企業の危機というのは、突然訪れることがあります。
それらは、決して想定している範囲内から来るだけではなく、まったくの想定外から来るケースがあって、それが最も恐ろしい脅威になるのかもしれないなと思います。
ハーシュマンが取り上げたカルナフリ紙パルプ工場も、思ってもいない事態が突然襲ってきた、ということかと思います。
そんなときに必要となるのは、実は、きっちりかっちりやり切る能力よりも、いかに危機を乗り越えるかというパッションと創意工夫、つまり創造性なのではないかと思いました。
2、創造性が想定外を乗り越える
カルナフリ紙パルプ工場で、周辺に豊富にある竹の供給が危機に陥るという想定外が起きたときに、発揮された能力がまさに創造性だと思います。
各地から竹を集める新しい供給網をつくり、より早く成長する竹を研究し、さらに竹以外の原料まで探したといいます。
ある意味、使える手段を総動員して、とにかくこの想定外を乗り越えようとする。
その力は、
ハーシュマンさんが言われている、
「創造性は、いつも私たち自身を驚かせる。」
という言葉の通り、自分たちでさえも、そんなことができるとは誰も思っていなかったことを成し遂げることがある、というエビデンスの一つになると思います。
だからといって、
「私たちは、自分たちの創造性をあらかじめ当てにすることはできない。実際にそれが現れるまでは、それを信じることもできない。」
と言われているように、そのときが来ないと、創造性で乗り切ることができるのかどうかも分からない。
これは、まさにイノベーションプロジェクトと同じだと思います。
真っ暗な闇の中を、一筋の光があると信じて進む。
ある意味、それがイノベーションだと思います。
これは、想定外を乗り切ることと、ほとんど同じことなのかもしれないと思いました。
つまり、創造性を育む取り組みは、新規ビジネス部隊だけでなく、通常業務をやっている人たちにも、培っておく必要があることなのだなあと、改めて思いました。
3、修羅場が創造性を育む
新規ビジネスを立ち上げる中で、創造性を育むことができるし、スキルやマインドセットを磨くこともできると思います。
そういう意味では、イノベーションプロジェクトに携わることで、既存の業務の想定外にも対応できる創造性を培うことはできると思います。
もう一つあると思うのは、修羅場を経験することも、そうなのかもしれないと思いました。
ハーバード・ビジネス・スクールのテレサ・アマビールさんらの研究では、創造性が必要な仕事に取り組む人たちの9,000件以上の日誌を分析しました。
その結果、強い時間的プレッシャーは通常は創造性を下げるのですが、例外として、
「なぜ今これを解決しなければならないのか」が明確で、意味のある緊急性に集中できているときには、強いプレッシャーの中でも創造性が発揮されることがある。
彼女たちは、この状態を「on a mission=使命の中にいる」と表現しています。
象徴的なのが、Apollo 13です。
宇宙船で重大なトラブルが起きたとき、NASAのチームは、限られた時間と限られた材料だけで、空気濾過システムの応急策を生み出しました。
まさに、生死がかかったピンチの中で、創造性が生存のための力になった事例だと思います。
つまり、想定外が起きまくっているときに、どれだけ創造性を発揮して、その難局をクリアしていくことができるか。
それは、創造性を育む上では、イノベーションプロジェクトを推進していくのと同様の効果があるのかもしれないなあと思いました。
まとめると、
ハーバード大学の広中先生が、創造性は誰もが持っている、と言われていましたが、
それを鍛えていく、育んでいく活動というのは、
イノベーションや新規ビジネスをする人たちだけがやればいいということではなく、
既存の柱ビジネスをやっている人たちにも、想定外の事態を乗り越えるためには、培っておかなければならないことである。
そして、それを培うためには、イノベーションスキル・マインドセットを学ぶということも必要であり、
意味のある緊急性と集中がある修羅場では、創造性が引き出される。そんな体験をさせる。
そんなふうに思いました。
ということで一言で言えば、
創造性が危機を乗り越えるノベーション
そんな話をしています。
参考
アルバート・O・ハーシュマン
『開発プロジェクトの観察』
ブルッキングス研究所出版、1967年
テレサ・M・アマビール/コンスタンス・N・ハドリー/スティーブン・J・クレイマー
「プレッシャー下の創造性」
『ハーバード・ビジネス・レビュー』、2002年
M・J・キング
「アポロ13号の創造性――制約の中から生まれるイノベーション」
『創造的行動ジャーナル』、1997年
任天堂の元社長、岩田聡さんの社員とのコミュニケーション方法に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「やっぱりみんな納得して働きたいんですよね。ただ、会社がいろんなことを決めたときに、ふつうの社員の人たちはほとんどのケースで、なぜそう決まったのかがわからないんです。単純に、情報がないですから。」
「それで、自分はどうしてこういうことを言ったのかとか、なにがあってこういうことを決めたのかということを、もちろんなにもかもしゃべれるとは限りませんが、その背景をできるだけ説明していくんです。」
「それは、けっきょくは『こういう材料がそろっていたら、君ならどう考える?』ということを訊いているのと同じことなんです。それで、相手が『ぼくでもそうしますね』ということになったら、安心じゃないですか。同じ価値観が共有できていることがわかると、お互いすごくしあわせになるんですよ。」
「わたしが面談でどのくらい時間をかけているかというのは、つまり『相手がすっきりしたらやめている』ということなんです。その意味では、『できるまでやる』。それも決めたんです。」
ここから私は思いました。
1、背景を伝える
2、判断を委ねる
3、時間ではなくスッキリを終了条件にする
1、背景を伝える
社内コミュニケーションには、1on1ミーティングの必要性や、傾聴がとにかく大切というお話を聞きます。
もちろん、とても大切だと思いますが、その中で、自らの意図と背景を伝えるという話は、めちゃくちゃ刺さりました。
特に、上司と部下のような、明らかに力関係が違う場合、とにかく何でもいいから聞くから、と言われてもねぇという気持ちは痛いほどわかります。
その時に、まずは上司から、オープンマインドで、自分が言ってる背景や意図を、忌憚なく伝えることから始めるのは、めちゃくちゃいいなあと思いました。
大体、言葉尻だけが一人歩きすることはよくあることなので、それを1on1で伝えることこそ、大切な意義になると思います。
2、判断を委ねる
その上で、自分ならどう判断する?ということを聞くという、ある意味、自分としての判断をきちんと聞くということが、さらに大切な気がしました。
いかに背景や意図を聞いても、なのでよろしく、と言われてしまったら、結局、言われた通りになるしかないのね?という気持ちになってしまうよなあと思います。
情報格差がない中で、初めて対等にコミュニケーションができる状態になってから、傾聴を始めるということなのかなと思いました。
これは、「手続き的公正(Procedural Justice)」という研究にも通じるところがあるように思います。
ロバート・マッカウンは、手続き的公正に関する長年の研究について、
「人は、結果が不利な場合でさえ、その結果に至るプロセスを非常に重視する」
という趣旨を述べています。さらに、その中でも特に重要なのが、Voice、つまり自分の考えを伝える機会があることだとされています。(Annual Reviews)
つまり、結論だけではなく、どう決めたのかというプロセスと、自分自身がそこに意見を言えることが大切だということなのかなと思いました。
その上で、もし、自分と同じ判断をするのか?それとも、全く違う判断をするのか、違う判断をするのなら、それがなぜなのか?ということが、本音で話し合えるということなのかなあと思います。
情報格差を極力少なくした上で、対等にコミュニケーションをすることができるか、それがある意味、権力を持っている方の、とても大切なコミュニケーションのやり方かもしれない、と思いました。
3、時間ではなくスッキリを終了条件にする
岩田さんの凄さは、1on1を、時間では終わらせずに、お互いがスッキリしたかどうかを、終了条件にするということです。
会社のマネジメントの中でも、もっとも重要な時間という資源を、その人のためにどれだけ割けるのか?ということは、相手にも、上司が本気で自分に向き合ってくれてるというメッセージになると思います。
そして本当に徹底的にお互いの理解を深めることができる。
これは、今でいう、タイパ、コスパとは、全くの発想だなあと思います。
ゴールは何なのか?ということで考えると、1on1を毎月やってます、がゴールではなく、一人一人に行動変容が起きたかどうか、をみるべきということかと思いました。
イノベーションでも、コンサルティングでも、ゴールは、行動変容を起こすことができるか、ということだとすれば、社内のコミュニケーションにおいても、ゴールはそこにあるということかと思いました。
身内や社員にはついつい、わかってくれてると思いがちな、コミュニケーションかもしれないなと。
近いからこそ、仲間だからこそ、時間ではなく、スッキリにこだわる、それが大切なのかもしれないなあと思いました。
ということで、一言で言えば
相手がスッキリするまでやるノベーション
そんな話をしています。
参考
『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』
2019年8月7日 電子版発行 version 1.0.0
ほぼ日刊イトイ新聞・編
監修 糸井重里
Robert J. MacCoun
“Voice, Control, and Belonging: The Double-Edged Sword of Procedural Fairness”
Annual Review of Law and Social Science, 2005
LEGOを世界的な存在へと成長させ、「LEGO System in Play」の基礎をつくった二代目オーナー、ゴッドフレッド・カーク・クリスチャンセンさんの言葉に、改めてLEGOの凄さを思い知らされた気がしました。
1955年、クリスチャンセンさんはLEGOについて、こう語っています。
曰く、
「私たちが目指したのは、生涯にわたって価値を持つ玩具をつくることでした。
子どもの想像力に訴えかけ、すべての人間を動かす力である『創造したいという衝動』と『創る喜び』を育む玩具です。」
そして、LEGOのシステムについて、
「シンプルで丈夫でありながら、無限の多様性を生み出せること。」
という考え方を掲げました。
ここから、私は思いました。
1、創造したい衝動
2、シンプルで無限のルール
3、生涯使えるデザイン言語
1、創造したい衝動
実は、私はLEGOで育ったわけではないので、なぜ数ある組み立て玩具の中で、LEGOがこれほどまでに創造性と結びつけて語られるのか、あまりよく分かりませんでした。
でも、クリスチャンセンさんの言葉を知って、これほどまでに愛されている理由が分かった気がしました。
「創造したいという衝動」と「創る喜び」が、すべての人間を動かす力である。
これは、ハーバード大学の広中先生の「誰もが創造者である」という言葉を思い出します。
進化研究には「ニッチ構築」という考え方があります。
生物は環境に適応するだけではなく、自ら環境をつくり変え、その環境がまた自分たちに影響を与えていくという考え方です。
人間も、道具をつくり、家をつくり、都市をつくり、制度をつくり、自分たちが生きる環境そのものを変え続けてきました。
そう考えると、人間は与えられた世界に適応するだけではなく、世界に働きかけ、つくり変えていく存在なのかもしれません。
LEGOは、そんな原始的ともいえる人間の「創造したい」という欲求を、最もプリミティブに発揮できる道具の一つなのではないかと思いました。
2、シンプルで無限のルール
イノベーションには、制限があった方が面白いイノベーションが生まれるとよく言われます。
LEGOは、基本的な2×4ブロックをたった6個使うだけでも、組み合わせは9億通り以上になるといいます。
極めてシンプルなのに、無限に広がるルールをつくった。
これが秀逸だと思います。
これは簡単そうに見えて、非常に難しいことだと思います。
シンプルだからこそ、小さな子どもでも容易に使うことができる。
そして、無限の可能性があるからこそ、大人になっても使いたくなる。
何をつくるかを決めすぎないからこそ、使う人が創造性を発揮できる圧倒的な余白がある。
まるでコード進行だけが決まっているジャズのように、その上でどんな即興が生まれるのかを楽しみにしている。
思わず創造性を発揮したくなってしまう。
そんな設計と仕組みづくりが優れているなあと、つくづく思いました。
3、生涯使えるデザイン言語
そして、「生涯にわたって価値を持つ玩具をつくる」という宣言通りの展開をしているところも、本当にすごいと思います。
幼児向けのLEGO DUPLOから始まり、成長すればLEGO CityやLEGO Creator、さらに複雑な機構を創るLEGO Technic、そして大人向けのLEGOへと、創造の世界を広げていくことができます。
しかも、LEGO Systemは基本的な接続の互換性を長く大切にしてきました。
新しいブロックが加われば、昔のブロックまで新しい使い方ができる。
成長するほど、創れる世界が広がっていく。
私は、LEGOは一種の「デザインの言語」なのではないかと思いました。
言語には文字があり、文法があります。
文字や文法そのものは限られています。
しかし、それを組み合わせれば、無限の文章や物語をつくることができる。
LEGOも同じです。
ブロックが単語。
接続のルールが文法。
組み合わせが文章。
そして、完成した作品が物語。
だからLEGOは、完成した世界を子どもに与えるのではなく、自分の世界を創り、表現するための「言語」を渡していると言っていいのではないかと思いました。
人間の中にある「創りたい」という衝動を信じる。
誰でも理解できるシンプルなルールをつくる。
そして、そのルールを使って、一人ひとりが自分の世界を一生涯創り続けられるようにする。
究極のイノベーションとは、まるで言語のように、一度身につければ、一生涯にわたって使い続けることができ、そこから無限に新しいものを生み出していけるものなのかもしれないと思いました。
人が生涯にわたって創り続けられる「言語」をつくる。
そして、その言語を手にした人たちが、つくった側さえ想像していなかったものを創り始める。
一言で言えば、
生涯のプラットフォームノベーション。
そんな話をしています。
参考
ゴッドフレッド・カーク・クリスチャンセン
LEGO Group「LEGO System in Play」
LEGO Group「The Stud and Tube Principle」
ケビン・レイランドほか
『Niche Construction: The Neglected Process in Evolution』
Princeton University Press、2003年
ミュージカル『民王』を観て、めちゃめちゃ笑って、そして素晴らしい音楽に感動し、最後には涙していました。さらにプログラムに掲載されていた別所哲也さんの言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「魅力が満載の作品ですが、『民が王だ』という強いメッセージがあることも大きいと思います。
樟太郎君と僕が演じる翔を通じて、特に若いお客さんに、自分が総理大臣になったつもりでこの国や社会を見ていこうという気持ちになってもらえたら。
思いっきり笑ったあとに、そんな気持ちになったり、『♪民よみな王となれ』というテーマ曲を口ずさんでもらえたりしたら嬉しいですね。」
ここから私は思いました。
1、圧倒的当事者意識
2、責任の分散
3、王として動ける仕組みをつくる
1、圧倒的当事者意識
この言葉を聞いて、私はリクルートで有名な「圧倒的な当事者意識」という言葉を思い出しました。
リクルートでは、長く大切にしてきた価値観の一つとして、「自分はどう考え、何をすべきだと思っているのか」を常に問う姿勢を「圧倒的な当事者意識」と表現しています。
これ、まさに別所さんの言葉と同じだと思いました。
国でも、会社でも、部活でも、サークルでも、バイトでも、その時「自分ならどうするか」。これを、まるで責任者のように自分に問えるかどうかが、自分のためにも、組織のためにも、本当に必要なことだと思います。
組織行動論のモリソンさんとフェルプスさんは、「自ら変化を起こす行動」という考え方を、
「組織にとって有益な変化を起こそうとする、役割を超えた自発的な行動」
として研究されています。
その後の研究では、こうした行動が、組織のイノベーションや業績、変化への適応と関係することも示されています。
つまり、「圧倒的当事者意識」とは、ただ「これは自分の問題だ」と思うことではなく、自分が変える側に立ち、本当に何かを変えにいくこと。
そこまでいって初めて、組織に新しい動きが生まれるのだと思いました。
2、責任の分散
心理学には「責任の分散」という考え方があります。
心理学者のダーリーさんとラタネさんは、
「他の傍観者がいることで、個人が感じる責任感は低下した」
と報告されています。
さらに、人は、
「誰かほかの人が、何かしているはずだ」
と考えることで、自分が動かないことを合理化してしまうことがある、とも言われています。
これはなかなか切実な心理学的課題だなあと思いました。
ではどうすれば、その壁を越えることができるのか?
その仕掛けづくりも重要かもしれないとも思いました。
3、王として動ける仕組みをつくる
そこで、Adobeの「Kickbox」というイノベーション制度を思い出しました。
これは、社員に「アイデアを出してください」で終わらずに、社員に、アイデアを考え、顧客に試し、検証していくための、初期の実験に使える予算まで渡す、というやり方をされているそうです。
Kickboxを考案したマーク・ランドールさんは、その設計思想について、
「まず、人を信頼することから始めます。」
と語っています。
そしてさらに、
「彼らは、自分のアイデアのCEOなのです。」
と語っています。
つまり、ある意味、小さなアイデアの王となる権限を与えているということになるなあと思いました。
「当事者意識を持とう」では終わらずに、
「先に、当事者として動ける立場と予算を渡してしまう。」
これによって、アイデアを出した者は、実際に自分でやらなければいけなくなってしまう。
つまり、当事者にならないと、これはできない仕組みを作っているということかと思います。
王として、経営者として、意識を保つべし、と言う前に、王として、経営者として、小さく動ける領域と権限を渡してしまう。
素晴らしい仕掛けだなあと改めて思いました。
そんな仕掛けをセットにして作って提供、実装することによって、
一介の社員や民が、王としての当事者意識を持つことができるようになる。
一言で言えば、
民が王ノベーション
そんな話をしています。
参考
ミュージカル『民王』公演プログラム 別所哲也さんコメント
株式会社リクルートホールディングス「圧倒的な当事者意識」に関する人材マネジメントの考え方
エリザベス・W・モリソン、コーリー・C・フェルプス
「職場で自ら変化を起こす――組織変革を始めるための役割を超えた行動」
『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル』1999年
ジョン・M・ダーリー、ビブ・ラタネ
「緊急時における傍観者の介入――責任の分散」
『パーソナリティと社会心理学ジャーナル』1968年
Adobe コーポレート・コミュニケーションズ
「箱の中で考える――マーク・ランドール氏へのインタビュー」2014年
スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんの著書『禅とジブリ』の中の、玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)さんの言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「仏教は物事が起こるメカニズムを『因果』と『縁起』で考えます。
『因果』とは『原因』と『結果』という関係で見る考え方。しかしそれは筋道を付けて納得しているだけで、なぜ起こったのかの説明にはならないのではないか、という見方もあるんですよ。
一方『縁起』は、あらゆる物事の網目のような関係性の中で、思いもよらないことが生起すると考える。この世の複雑さを説明するのに、縁起以上の考え方はないと思うんです。
ジブリ作品はその考えをものすごく取り込んでいるな、と。『何が起こるかわからない。それでも行く』。ああ人生そのものだな、と思いますね。」
ここから私は思いました。
1、因果を求めすぎない
2、縁起を信じて飛び込む
3、何が起きても行く
1、因果を求めすぎない
この話は、めちゃめちゃイノベーションの話に通じるなあと思いました。
ロジカルシンキングで、なぜその現象が起こっているのか、因果関係を徹底的に洗い出す。
そしてクリティカルシンキングで、本当にその判断は正しいのか、その因果関係そのものは正しいのか、前提から疑っていく。
さらに、それだけでは説明できないことが必ず出てくるので、ラテラルシンキングを使って、今までとは違う視点から論点を探っていく。
私たちは、そんなことをやっているのかもしれないと思いました。
そしてもう一つ、人間は物語化することによって、複雑な出来事を理解しやすいストーリーにしていきます。
それは、複雑な問題を理解して次の手を打つための、とても優れたやり方だと思います。
でも一方で、人間にわかりやすい形にすることで、本当の本質的な課題が埋もれてしまうこともあり得る。
因果や物語化は、とても重要なやり方ではあるけれど、それに全てを委ねてはいけない。
そんなことを教えていただいた気がしました。
2、縁起を信じて飛び込む
全ての事柄は網の目のように何らかの関係性を持っていて、その関係性の中から、思いもよらない結果が生まれる。
この「縁起」の考え方は、一方で、イノベーションにおけるセレンディピティにも通じる話なのかもしれないなあと思いました。
全ての出来事が、「AだからB」という単純な一対一の因果関係だけでできているのではない。
無数の人や出来事、環境やタイミング、そして偶然の出会いが重なり合って、思いもよらない何かが生まれる。
だからこそ、発明では全く想定していなかった結果から大発見が生まれたり、偶然の出会いから新しいイノベーションが生まれたりするのだと思います。
そういう意味では、イノベーションプロジェクトにおいて、「絶対失敗する」という因果関係からの議論があったとしても、
起業家が自らのパッションで、それでもやってみる。
そこに、とてつもない意味があるのだろうなあと思いました。
縁起を信じるとは、何かが起きるのをただ待つことではない。
何が起こるかわからない関係性の中へ、自分から飛び込んでいく。
そこから、想像もしなかった未来が生まれるのかもしれません。
3、何が起きても行く
しかし、縁起の世界では、良いことが起きる可能性もあれば、悪いことが起きる可能性もある。
その時に、どんな行動が取れるかが、最後は試されるのかもしれないと思いました。
『千と千尋の神隠し』では、千尋は、自分がこれからどうなるのか全くわからないまま、異世界に放り込まれます。
両親は豚になり、自分自身も消えそうになり、何をすれば元の世界に戻れるのかもわからない。
そんな中で、ハク、釜爺、リン、カオナシと出会う。
その一つひとつの出会いによって、思いもよらなかった次の道が開かれていく。
まさに、ジブリは縁起の世界なのかもしれないと思いました。
考えてみれば、ジブリの主人公たちは、『風の谷のナウシカ』も、『もののけ姫』も、『天空の城ラピュタ』も、未来がわかったから前へ進むわけではないなあと思います。
何が起きるかわかってから行くのではない。
何が起きるかわからなくても行く。
そして、何が起きても、また前へ行く。
その決断と勇気が、因果だけでは説明できない縁起の世界を味方につけて、前へ進ませてくれるのかもしれないなあと思いました。
何が起こるかわからない。
それでも行く。
その一歩から、次の縁が生まれるのだと思いました。
ということで、一言で言えば、
それでも行くノベーション
そんな話をしています。
参考
鈴木敏夫『禅とジブリ』株式会社淡交社、2018年
電子書籍制作:大日本印刷株式会社、2018年7月30日
Googleから生まれた「ムーンショット・ファクトリー」Xを率いてきたアストロ・テラーさんのTED「失敗を喜ぶことの意外な効果」の言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「私たちは何かを壊したり、自分が間違っていることを証明しようとして多くの時間を使っています。それが秘訣です。問題の一番難しい部分にまずぶつかり、元気良く鼓舞するんです。『さあ、今日はどうやってプロジェクトを潰そうか?』」
「ここに絶妙なバランスがあります。野放しの楽観をビジョンの推進力としつつ、熱意ある懐疑によって、ビジョンに命と現実性を吹き込んでいます。」
「みんなが壮大でリスクの高いこと、野心的なアイデアに取り組み、問題の一番難しい部分に最初に飛び込むようにさせる唯一の方法は、その道を一番選びやすくすることです。」
「チームは駄目な証拠が見つかり次第、すぐアイデアを捨てますが、それはそのことによって評価されるからです。同僚から喝采されます。上司からハグやハイタッチを受けます。(中略)それによって昇進します。プロジェクトを終わりにしたチームの1人1人がボーナスを受け取ります。」
「ムーンショット・ファクトリーでは、みんな夢を信じています。でも熱意ある懐疑は、限りない楽観の敵ではありません。むしろ最高の相棒なんです。アイデアの中の可能性の鍵を開くのです。私たちは夢見る未来を作り出すことができます。」
私は思いました。
1、夢を信じるからこそ疑う
2、一番難しい問題から潰す
3、懐疑を評価する仕組みをつくる
1、夢を信じるからこそ疑う
普通、夢を信じることと、疑うことは、反対のことのように思います。
でもテラーさんは、「熱意ある懐疑は、限りない楽観の敵ではない。むしろ最高の相棒だ」と言います。
本当に夢を実現したいからこそ、「自分たちは間違っていないか?」「このアイデアが成立しないとしたら、どこなのか?」と徹底的に疑う。
夢を疑っているのではありません。夢を実現するために、自分たちの方法を疑っているのです。
心理学者のダニエル・カーネマンらが研究してきた「確証バイアス」では、人は自分の信念を支持する情報を重視し、反証する情報を軽視しやすいことが知られています。
だからこそ、自分のアイデアが正しい証拠を探すだけではなく、あえて間違っている証拠を探しにいく。
強い楽観と、強い懐疑を同時に持つ。
本当のパッションは、盲信することではない。徹底的に現実解を導くために、批判しまくる。クリティカルシンキングを繰り返す。
そこに、夢を現実へ変える力が生まれるということを改めて教えて頂きました。
2、一番難しい問題から潰す
私はここにファストフェイルの真髄を見た気がしました。
早く失敗することによって、軌道修正を即座にすることができ、そしてゴールにもっとも早く到達できる
そんな意味と捉えていましたが、めちゃくちゃ甘かったと思い知らされました
軌道修正をするのではなく、まずは、ぶっ潰すことを最初にやるのであるということかと思います
このプロジェクトが、ぶっ潰れるとしたら、何が最も大きな問題となるのか、そこから手をつけるという発想は、恐ろしいほど、勇気がいることだと思います
でも。それがファストフェイルの真髄で、どうせ今ぶっつぶれるなら、今が1番という考え方
それこそが、全てにおいて良いことである、論理的にはそうですが、果たしてそれを本当にできるか?
例えば昨日これが最高にいいプロジェクトだと思いますと言って、今日には、辞めることになりましたと言えるか
それをやっているということに衝撃を頂きました
3、最高のファストフェイルを賞賛する
それを実現する唯一の方法は、そうなった人を評価できるか、そこにかかっていると思います
そして、Xは、これをやっているということにまたさらに、衝撃を頂きました
つまり、
仲間が喝采する。
上司がハグやハイタッチをする。
昇進につながる。
そして、ボーナスまで出す。
極端なことを言えば、昨日生まれたプロジェクトを、今日潰した人たちを、大絶賛する
そんなことが、現実に行われていることに驚嘆しました
これは「失敗にご褒美をあげる」という話ではないと思います。
最高のアイディアに、最高のパッションを持って取り組んだチームの、最高のファストフェイルを実現したことを賞賛する、ということかと思います
言葉ではいくらでも言えることですが、プロジェクトを立ち上げるというとは、ヒトモノカネを投入しているということなので
それを覆すということは、精神的ダメージも含めて普通であればさまざまな軋轢が生じるということになると思います
それをひっくるめて、みんなで大称賛し、そして評価までつけてしまう
なんとイノベーティブな仕掛け作りなのだと思おました
イノベーションを実現するためにはイノベーティブな仕掛け作りが必要
それをまざまざと見せつけてくれた気がしました
ということで、一言で言えば
熱意ある懐疑ノベーション
そんな話をしています
参考
アストロ・テラー「失敗を喜ぶことの意外な効果」TED、2016年 https://www.ted.com/talks/astro_teller_the_unexpected_benefit_of_celebrating_failure
IDEO創業者で、スタンフォード大学d.schoolの創設者でもあるデイビッド・ケリーさんのTED「創造する自信をどう育てるか」に、心を動かされました。
曰く、
「世界を『クリエイティブな人』と『そうでない人』に分けないでください。」
「人々に一連の小さな成功を経験してもらうのです。」
「いくつかの小さな成功を経験すると、自分のことを再び創造的な人間だと思い始めるのです。」
「d.schoolでは創造性を教えていると思われていますが、実際はまったく違います。」
「私たちはただ、人々が創造的になることを妨げている障害を取り除いているだけなのです。」
私は思いました。
1、創造性が封じ込められる
2、小さな成功体験
3、創造性を邪魔しているものを取り除く
1、創造性が封じ込められる
小さい頃は、おそらく誰もがいろんなことに興味を持って、周りから見ると訳がわからないような創造物を、いろいろ作っていた気がします。
私の場合は、たくさんの磁石をいろんなものから取り外して、それを組み合わせて、飛行機とか車とか、自分にしかわからないものを作っては壊したりしていました。
私の場合は、好きにさせてくれていましたが、もしそれを取り上げられていたら、もしかするとトラウマになっていたかもしれません。
会社や組織で活動する中でも、同じようなことが起きているのかもしれないと思います。
きっちり、かっちり、正しくできるようになる教育を受け続ける。
自由な発想で発言するよりも、現実的で、間違いのない発言を求められる。
そうしているうちに、
「そんなことを言ってはいけない。」
「こんなアイデアでは駄目だ。」
と、自分自身でブレーキをかけるようになってしまう。
創造性そのものを失ったのではなく、
創造性を自分で封じ込めるようになってしまう。
そんなことが起きているのかもしれないなあと思いました。
2、小さな成功体験
自分が歌を大好きになったきっかけは、小学生の時です。
音楽の時間に先生から、
「こうちゃん、この歌歌ってみて。」
と言われて、みんなの前で歌いました。
すると、めちゃくちゃ拍手をもらえたことがあって、その感覚が今でも自分の中に染み付いています。
あの小さな成功体験が、
「歌っていいんだ。」
「自分は歌えるんだ。」
という自信につながっていったのだと思います。
だとすると、会社や組織の中で、たとえ型にはめられるような教育を受けてきたとしても、新たに創造的な活動を始める時には、
とても小さな成功体験をつくってあげること
が大切なのかもしれません。
例えば、アイデア出しのブレインストーミングでは、
「否定をせず、どんどんアイデアを重ねていきましょう。」
とよく言われます。
そこにさらに、
「積極的に褒め合いましょう。」
を加えてもいいのかもしれないと思いました。
「それ、面白いですね。」
「その発想、いいですね。」
「それ、やってみたいです。」
そんな言葉を意図的に交わす。
自分のアイデアを「いいね」と言ってもらえる経験を、ある意味、意図的につくっていく。
それによって、
「自分にもアイデアが出せる。」
「自分も創造的な活動に参加していい。」
という小さな成功体験を生み出せるのではないかと思いました。
大きな自信があるから挑戦できるのではなく、
小さく挑戦し、小さく成功するから、自信が生まれてくる。
そんな順番なのかもしれません。
3、創造性を邪魔しているものを取り除く
あのd.schoolの真髄がここにあるのかということに、まず衝撃を受けました。
以前、ハーバード大学の広中先生の「誰もが創造性を持っている」というお話を紹介しました。
今回のケリーさんの話は、そこからさらに一歩進んで、
創造性はある。
でも、それを邪魔しているものもある。
だから大切なのは、創造性を新しく教えることではなく、
邪魔しているものを取り除いてあげること。
なのだという話に聞こえました。
実は、誰もがもともと創造する力を持っている。
ただ、さまざまな経験の中で、その力にブレーキをかけるようになってしまうことがある。
「失敗したら恥ずかしい。」
「馬鹿だと思われたくない。」
「否定されたくない。」
「自分には無理だ。」
そういうものが、創造性の上に積み重なっていく。
だとすれば、
イノベーション人材を育てるとは、新しい能力を付け加えることだけではない。
むしろ、
その人がもともと持っている創造性を邪魔しているものを、取り除いていくこと。
なのかもしれません。
そして、そのためには、
何らかの小さな成功体験を、意図的につくり出してあげること。
「自分にもできた。」
「自分のアイデアも、いいと言ってもらえた。」
そんな経験を積み重ねることで、創造する自信をもう一度取り戻していく。
それこそが、イノベーションあふれる人や組織をつくる、大切な要素なのではないかと思いました。
イノベータになるとは、新しい創造性を手に入れることではなく、自分の中にあった創造性を取り戻すことなのかもしれない。
一言で言えば、
創造性を取り戻すノベーション
そんな話をしています。
参考:
・デイビッド・ケリー「創造する自信をどう育てるか」TED2012
・TED Blog「デイビッド・ケリーが語る創造する自信」
・TED Ideas「なぜ私たちには創造する自信が必要なのか」
・トム・ケリー、デイビッド・ケリー『クリエイティブ・マインドセット』
競泳選手、池江璃花子さんの『情熱大陸』での言葉に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「一番の根本はやっぱ水が好きだから。なんか簡単なんですよ。水泳好きとか嫌いとかっていうの。
でもやっぱりどんだけやっぱもう無理だわ、水泳って思っても、なんか水に入った瞬間に、なんか嫌いって思えなくて。
どうしてもこう泳いでる感覚とかがなんだろう。言葉では言い表せないんですけど。なんか最高とか気持ちいいとかじゃなくて。
なんかこれが自分の居場所というか、なんか水の中にいるからこそ、自分じゃないですけど。」
「やっぱりどうしても好きだけど、苦しいとか。実は逃げたいとか絶対そう思ってる自分がいて。
でもなんでやってるかって、自分が決めたから。逃げられないし逃げたくないし」
ここから、私は思いました。
1、本当の好きは、苦しくても消えない
2、自分で決める
3、決めた自分は裏切らない
1、本当の好きは、苦しくても消えない
好きなことを仕事にすると、好きなことが嫌いになっちゃうから、仕事にしないほうがいい、という話を聞くことがあります
自分も、音楽をやっていっている中で、プロになったら好きな音楽だけやれるわけじゃないから、というお話も聞いたことがありました
池江さんの言葉は、本当の好きって何なのか?ということを改めて教えていただいた気がしました
きっと「好き」という言語では、表現しきれない気持ちなんだろうなあということが、このお話を聞いていると、ひしひしと伝わってきます
私は、これが、パッションの源に触れている状態なんだろうなあと思います。
大好きパッションていうのは、好きという言葉では到底表し得ないほどに、そのことにのめり込まざるを得ない、理屈抜きでやらざるを得ないもののことなんだと改めて思いました
だからこそ、そんな思いは、何があろうと、どんなに苦しいことだろうと、やらなくなるはずがない、それが本当の大好きパッションなのだと思いました
2、自分で決める
会社員時代は、自分で決めれることが、今よりも圧倒的に少なかった気がします
もちろん、自分で決めてやればいいじゃん、誰も強制している人なんていないと、ということはもちろんその通りなんですが
組織でやっていると、ここで自分が辞めてしまったら、仲間のみんなが絶対困ることになっちゃうとか、これまでお世話になった人を裏切ることになっちゃうとかいう気持ちが、どんどか湧いてきて
なかなか自分の気持ちに正直に物事を決めることができない環境なのかなと思います
だから、独立してからは、仕事を受けるも受けないも、いつ仕事をするかも、遊ぶのかも、全て自分で決定できるということが、一番のメリットなのかもしれないなあと思います
もちろん、それと引き換えに、仕事が来なくなったら、誰も助けてくれないし、ジリ貧になったら眠れない夜を過ごすということを覚悟しなければならないのですが
それでも、自分で決めれることが、今の自分の幸せには、とっても合っている気がします
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論」では、人が自ら選択しているという「自律性」が、人間の内発的な動機づけを支える重要な要素だと考えられています。
自分で決められるからこそ、パッションの源が震えてくる、自分で決めたから、どんなに苦しくても、パッションの源を燃やし続けることができる
やらされごとだけでは、パッションは燃え続けにくい。会社から『やれ』と言われるだけの仕事からは、イノベーションが生まれにくい構造になる
これが、組織からイノベータを生む仕掛け作りにとても重要だし、イノベータが茨の道を進むための、とても大切な要素なのかもしれないと思いました
3、決めた自分は裏切らない
ミハイチクセントミハイさんの言われるところの、フロー状態へ到達するためには、高い挑戦と、それに見合うスキルのバランスが取れている必要があるし
昨日の自分を超えるためには、昨日できなかったことを今日やらなければならない
いかに自分のコンフォートゾーンを抜け出すかというギリギリの選択を毎日続けているということだと思います
それは、当然、苦しいことだし、逃げたくなることの、まるで修行のような、終わりのない旅なんだろうなあと想像します
その時に、きっと大切になるのは、どんなに苦しい、逃げたくなることをやっている自分でも、それに応えてくれる自分がいるということを、信じられているから、なのではないかと思いました
最後は、何とか踏ん張って、もしかしたらいい結果は出ないかもしれないけど、自分がやれることは全てやり尽くしたという、自分は必ずいてくれる、と信じられているから、やれるのではないかと思います
なぜ信じられるかというと、それは、やはり、自分が決めた、という一点に集約する気がします
卓越した人たちの研究で知られるアンダース・エリクソンも、『PEAK』の中で、厳しい練習を続けるためには、「自分は上達できる」と信じることが重要な動機になると述べています。
どんなにコンソートゾーンを抜けるための茨の道を行っても、自分が決めた自分なら、絶対に乗り越えてくれる、その信念が最後の支えてなってくれるのかもしれないなあと思いました
ということで、一言で言えば
自分が決めたからノベーション
そんなことを感動ともに思わせていただきました
【参考】
・MBS『情熱大陸』池江璃花子 競泳選手 Vol.1419「『毎日、命 削ってる』奇跡の物語の先にある、孤独にもがく日々の記録」2026年9月13日放送
霊長類学者のジェーン・グドールさんのお話に、感動しました。
曰く、
「1991年、私は若者の行動力を育み、希望に変えるプログラム、『ルーツ&シューツ(根っこと新芽)』を立ち上げました。参加者はグループに分かれて、『人間を助ける』『動物を助ける』『自然環境を助ける』というプロジェクトのなかから一つを選びます。そして、腕をまくって行動を起こすのです。現在、70か国で幼稚園児から大学生までの数千グループが活動しており、大人の参加もますます増えています。」
「ルーツ&シューツがすべての人に伝えたい最も重要なメッセージは、私たち一人ひとりがかけがえのない存在であり、果たすべき役割を持ち、日々地球に影響を与えている、ということです。」
「子どものころにルーツ&シューツに参加して動物と環境、未来への考え方が変わった、という人もいれば、小学校でルーツ&シューツに取り組み、環境や動物に配慮するようになった、という中国の人もいます。どこへ行っても、よりよい世界をつくるためにこんなことをしてきたと、目を輝かせながら話してくれる若者たちがいます。」
ここから、私は思いました。
1、大義に自分をぶち込む
2、大義を行動するとパッションが生まれる
3、仲間と大義を目指すことが希望を生む
1、大義に自分をぶち込む
自分には何にパッションが湧くのかわからない、夢を持たなきゃダメだみたいなことを言われてもなあ、という気持ち、めちゃくちゃわかります
小さい頃から夢を追いかけたから、今の私はここにいます、という方などがメディアに取り上げられて、すげえなあと感心しきりしてしまうこともよくあります
でも必ずしも誰もがそんなわけがない中で、どうやって生きがいを得ていくのかについて、ジェーンさんの「ルーツ&シューツ」プロジェクトは、めちゃくちゃヒントをくれたと思いました
とにかく、「人間を助ける」「動物を助ける」「自然環境を助ける」のどれからのプロジェクトにぶち込まれて、ある意味強制的にあ行動を起こす活動をするように仕向けていくということなのかと思いました
それは、ある意味、社会課題解決という大いなる大義のプロジェクトに、まずはぶち込まれて、そこでもがいてくるという、きっと大変な経験をされるのかもしれないけれども、そこから、ものすごく大切なものを受け取るということなんだろうなあと思いました
2、大義を行動するとパッションが生まれる
私はそこで受け取るものは何かを考えた時に、きっと自らの心が燃えるもの、すなわち自らのパッションに出会うのではないかと思いました
なぜなら、誰かのために何かをすることは、誰かのために何らかの価値を提供することになるので、それこそが、イノベータリップルモデルの最終段階の、大義を実現している実感を得られることになり、その大義が自らのパッションに火をつけているのではないかと思いました
イノベータリップルモデルは、通常は、自らのパッションから始まり、仲間と共に、誰かが喜んでくれる大義を実現するのですが
実はその大義に到達した時に、さらにパッションが燃え盛るということがよくあると思います
「ルーツ&シューツ」は、その最後の、大義に触れる活動をすることで、これまでなかったはずの、パッションが生まれてくるという、これまでフィードバックループだったものが、最初の火をつけることにもつながるという発見なのかもしれないと思いました
3、仲間と大義を目指すことが希望を生む
自分自身には、何をしたら良いのかの、パッションもないし、大それた夢もないし、なんかそれでもいいのに、色々言われるよなあと思っている人もたくさんいると思います
それはそれで、全然いいと思います。各々のしあわせの形は全然違うのに、何か成功者の法則を押し付けるようなことも、どうなんだろうとも思います
でも、もし、何かに燃えたいんだけど、何をしたらわからないとか、本当は何らかの価値を提供できるような人になりたいとか、もっと違う生きがいがないのかなあみたいに、今の自分を少し変えていきたいと思う方には
まずは、行動をするところから、パッションが生まれることがあるということ、がとても大切なキーワードになるような気がしました
その行動は、大義に結びつくようなことで、誰かが助かるようなことや、喜んでくれるようなことを、気が進まないんだけど、やってみる、ということから、始めてみるという手もあるのかもなあと思いました
それが、もしかしたら、自分の心の中に何らかの火を灯して、そして仲間と共に、さらなる大義を目指すことにつながれば
ジェーンさんが言われるように、行動力を育み、希望に変えてくれる、そこにそんな秘密が隠されているのかもしれない
そんなことを思いました
ということで一言で言えば
行動が希望を生むノベーション
そんな話をしています
参考:本: 人生の意味 —世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え 2026年8月18日 プリント版第1刷発行 2026年8月18日 著者 ジェームズ・ベイリー 訳者 櫻井祐子 発行所 ダイヤモンド社
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