生物時計に関わる分子の核内局在に関する論文を紹介しました
Xiao et al., 2021, Clock proteins regulate spatiotemporal organization of clock genes to control circadian rhythms. PNAS: 今回紹介した論文。
Bhat et at., 2021, Nat. Rev. Mol. Cell Biol.: Phase separationによるnuclear compartmentalisationに関する総説
Buchwalter et al., 2019, Nat. Rev. Genet.: Nuclear peripheryに関する総説
Chromosome territories
Rabl orientation: 1885 年にCarl Rablが著書 “Über Zelltheilung” (直訳: 細胞分裂について) において初めて報告した染色体の核内配向性で、全ての染色体のセントロメア領域が核膜近傍の一箇所で束ねられる一方で、テロメア領域が対極に位置する。Rabl orientation の歴史的な背景はScherthan, 2001, Nat. Rev. Mol. Cell Biol.の総説論文が詳しい。
Drosophila の染色体の配向性: 多種多様な真核生物のゲノム構造を調べた論文 Hoencamp et al. (2021) を見ると、どうやら Drosophila の染色体は核内で chromosome territory ではなく Rabl orientation をとるようだ。
HP1 droplet
Double actogram
Menet et al., 2010, Genes Dev.: DrosophilaのPER, CLKの量とinteraction, DNAとの結合を見た論文で、エビがGFPの安定性の話をしたときと最後にDNAがどうやって移動しているのかの話題のときにイシが言及していたもの。
Zeitgeber (同調因子)
entrainment: 日本語では「同調」というらしい。生物時計の位相が環境サイクルに合わせることをいう。
PERのdegradation: PERがTIMにくっつかれていないときはPERによるCLKの抑制が強いがPERがDBTにリン酸化されてdegradeする、ということらしい(Price et al. (1998), Kloss et al. (2001)).
“セミコロンがややこしい”: FlyBase nomenclature guidlinesに則っているだけのらしい(Allele symbols of genes on nonhomologous chromosomes are separated by semicolons and spaces (e.g., bw1; es; ey1).)
特定の微小管上に微小管結合タンパク質の condensate が形成される論文: Sandro et al. (2023). 同じ号に、異なる生物種で同様の現象を報告した論文が 2報掲載された。
時間生物学と相分離生物学は同音異義語が複数あって大変 (“ピリオド”がper遺伝子、PERタンパク、周期を指し、“フェーズ”がcircadian rhythmの位相とLLPSの相を意味するので)(イシ)
Zeit というドイツ語はネットフリックスのドラマ「ダーク」で覚えました (エビ)
収録日: 2023.07.15
編集: イシ