困ったら髪型はボブ一択、と言い張る女友達がいます。
彼女が通っていた大学の学内に、開校当初から営業している古びた理容室があります。学割のある良心価格で、流行にこだわらずにとにかく安く髪を切りたい学生たちが通いつめていました。俄然興味を持った彼女は、試しに足を運んでみることにしたそうです。
入店して理容椅子に座る彼女。隣の椅子には先約の男子大学生。バリカンの音が響いたかと思うと、理容師が彼の髪の毛を刈り始めました。彼女は目を疑います。なんということでしょう、彼が渡哲也ばりの角刈りにされていくではありませんか。施術後、不服そうな顔で会計を済ます角刈り大学生の様子を横目に、もし変に小洒落た髪型を注文したら自分も角刈り女になるんじゃないかと彼女は不安です。
「すみません、ボブでお願いします。」
彼女は恐る恐る、そう理容師にオーダーしました。
髪を切られている最中は気が気でなかったものの、いざ終わってみると鏡には何の変哲もないボブ姿になった彼女が写っていました。
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