台湾では短い冬があっという間に過ぎ、4月に入りました。これからの本格的な夏に向け徐々に暑くなっている今日この頃です。とはいっても北部・台北市をはじめとした各地域では先月後半からすでに日中30度以上まで上昇した日も。北海道出身の私は台湾に何年住んでも、冬の短さと夏の暑さにはどうしても慣れないです。日本も同様これからの時期、体調管理にはくれぐれもお気を付け下さいね。
暑いと欠かせない事の一つに水分補給が挙げられます。私も暑くなると、台湾に多くあるドリンクスタンドへ自分好みの飲み物を求めに行きます。
台湾に来られたことのある方は台湾のドリンクスタンドのその豊富さに驚かれたかもしれません。昨年末時点で台湾全土におよそ1万6千店舗があることが財政部の統計により判明しています。その内訳として南部・高雄市に最も多くあり、台湾全土の2割近くを占める約3000店舗あります。これは、台湾にあるドリンクスタンドの5軒に1軒は高雄市にあるということです。店舗数は次に、同じく南部の台南市が約2600店舗で続きます。注目すべき点に、一人当たりの平均消費額をみてみると、台南に住む人は昨年一人当たり4,199台湾元(約2万円)分を飲み、高雄を少し上回り、全国一位を飾ったということ。また、人口1万人当たりの店舗数が最も多いのも台南市です。
ちなみに台北市は店舗数でいうと約1000店舗と一位の高雄市と比べ3分の1しかないものの、面積が小さく人口密度が高いため1平方キロメートルあたり平均12軒の飲料店があり、これは全国で最も高い数字です。また、台北市はドリンクスタンドが少ない一方で、カフェや喫茶店、バーの数が全国一です。
では台南と高雄といった南部にドリンクスタンドが多い理由は何かあるのでしょうか?財政部の分析によりますと、南部は気候が一年中暖かく、北部と比べ冬の寒さが厳しくないため、飲み物の売り上げが一年中好調であること、そして北部や中部に比べて店舗の家賃が安いこともあって、台湾の中でドリンクスタンド産業をリードする地域となっているんだそうです。
さらに驚くことに、今でも1ヶ月で平均40店舗が全土で新たにオープンしておりドリンクスタンドの発展は止まることを知りません。全体の売上高はコロナ禍後を経た昨年、568億台湾元(約2580億円)に上りました。
確かに街中を歩いていたら道路の両脇に様々なブランドのドリンクスタンドが並んでおり、それぞれの特色を打ち出したメニューや看板が見られます。その一店舗一店舗で、お客さんが注文している姿をよく目にします。
現在でも成長を続けている背景に、SNS上で広告を打ち出すお店が増えた他、新型コロナウイルス流行によりデリバリープラットフォームに加盟するお店も増加したことが挙げられます。コロナ流行最中の2020年4月と、流行が落ち着きを見せ、日常生活が通常に戻りつつあった2023年5月を比べると、加盟しているお店の割合は2割増加の6割近くにも上り、今や台湾にある半分以上のお店のドリンクが自宅や会社などから一歩も出ずに飲めるようになっています。
飲食業全体で見てみると、2023年には1日につき平均で82万件以上のフードデリバリーでの注文があり、飲食業全体の総売り上げ額のうち、1割近くがデリバリーサービスによる額を占めたほど。2023年は利用者の半分以上が週に少なくとも一回は注文していたというデータもあります。
台湾の調査会社、資策(しさく)会産業情報研究所(MIC) の統計によりますと、昨年は台湾の7割以上の人がデリバリーサービスを利用したことがあり、特にフードパンダやウーバーイーツの利用者が全体の半分近くを占めたということです。
ただ最近では配送料が上昇し、利用を中止または中断したユーザーの7割近くがこのことを原因に挙げています。
今や配達員を仕事として生計を立てる人もいます。暑くても時には大雨の中でも私達に商品を届けてくださる彼らの働きに感謝感謝です。
実は毎年4月30日は「国際タピオカミルクティーの日」なんですよ!この起源は台湾ではなくアメリカなのはちょっと意外です。あるアメリカのドリンクスタンドブランドがブランド創立日である4月30日を「タピオカミルクティーの日」と定め、この日が台湾にも広まり定着したのです。
ではタピオカミルクティー自体はどこで発明されたのか?これは予想通り台湾です。ただ最初に発明した人の説に関しては、なんとある2人の台湾人が「自分が先に発明した」と同時に主張し、最終的に裁判にまで発展。
1人は1986年にタピオカミルクティーを提供する喫茶店「翰林茶館(HANLIN TEA ROOM)」を台南市で創業し、今では台湾全土だけでなくアメリカにも店舗を広げた人物、凃宗和(ト シュウワ)氏。もう1人は1983年に中部・台中市で創業をスタートさせ、今では日本や香港に進出した喫茶店チェーン「春水堂(チュンスイタン)」の創業者、劉漢介(リュウ カンカイ)氏。この2人が偶然にも同時期にタピオカミルクティーを発売したのです。
2009年に始まり10年に渡り行われた裁判の最終的な判決内容は、「タピオカミルクティーは新しいタイプの飲み物であり、誰でも作り出す事ができるため、特許製品とは言えない。したがって、誰が発案者であるかを特定する必要はない」とされました。ゆえにどちらが先かというのは決定されなかった訳です。
ちなみに翰林茶館のタピオカミルクティーは蔡英文・前総統の任期中、2回連続で海外からの来賓をもてなす宴会の指定タピオカミルクティーに選ばれた事があり、一方で「春水堂」も2022年に欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会の議員らが台湾を訪問した際、蔡・前総統が提供した飲み物として知られています。「春水堂」はこれまで、「タピオカショコララテ」「タピオカマンゴージャスミンミルクティー」「タピオカバナナミルクティー」などの一度は試してみたい変わり種を売り出したことも。
先ほど、昨年末時点で台湾全土におよそ1万6千店舗ものドリンクスタンドがあると言いましたが、どのブランドも競争に打ち勝つため他にはない唯一無二のドリンク販売に力を入れています。
今や世界中で愛されている台湾のドリンク文化、日本にも台湾発祥のお店がいくつか進出しています。これからの暑い時期、台湾ならではの味、機会があれば試してみてはいかがでしょうか!