今週は、1993年、TBS系列のテレビドラマ『徹底的に愛は…』の主題歌「今を抱きしめて」のカバー曲をお送りいたします。「今を抱きしめて」は、X-japanのリーダー、YOSHIKIが作曲、ドラマの主演、仙道敦子と吉田栄作によるデュオ「NOA」によるデュエット曲です。過ぎ去った過去の恋と、想い人に会いたい気持ちを描く恋の歌ですが、中国語カバー曲は、全く違う感じの歌となっています。

この歌の標準中国語カバー曲は、香港の人気男性歌手と俳優・郭富城（アーロン・クオック）が1995年に発表した「我的開始在這裡（ここが僕のスタートライン）」です。

このカバー曲が発表される前の年、1994年、アーロン・クオックは各ミュージックアワードでなかなか良い成績をとれず、失敗が重なりました。このことを受けて、アーロン・クオックは、新しい一年には必ず成功すると決意し、1995年の1月に台湾でこの歌の同名アルバムをリリースしました。

アルバムのタイトルソングである「ここが僕のスタートライン」は、嬉しいときも悲しいときも、いつもそばで支えてくれているファンに贈る感謝の歌です。ファンの皆のおかげで、自分に自信を持つことができました。これまでいろんな経験を共にしてきたファンには、ただただ「愛しているよ」と伝えたい、ということです。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

今週は、「姐姐（姉さん）」というニックネームで親しまれている、台湾最大の方言、台湾語の女性歌手、謝金燕（Jeannie Hsieh／ジニー・シエ）による「永遠愛你（ラブユー・フォエバー）」をお送りいたします。ジニー・シエが自ら作詞した歌です。

愛する人と引き離されたけれど、2人の距離が遠いほど、その人への思いが強くなる。新たな恋なんてしたくない。ただ愛する人がそばに戻って来てほしいという気持ちを描いています。

この歌の原曲は、日本の歌手と女優の今井美樹の1999年の歌「Sleep my dear」です。同年の日本テレビ系のテレビドラマ『蘇える金狼』の主題歌で、とても美しく、優しいララバイです。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

今日お送りするカバー曲の原曲は、すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれません。日本の歌手と女優の中島美嘉のヒットソングで、雪が降る季節に大切な人を思う気持ちを描くラブソング「雪の華」です。台湾では標高の高い山以外ではめったに雪が降らないにも関わらず、この歌は、台湾でもとても人気が高いです。

「雪の華」の標準中国語カバー曲は、シンガポール出身の女性歌手、蔡淳佳（ジョイ・チュア）による「對不起，我愛你」です。對不起は「ごめん」という意味です。我愛你は「愛している」という意味です。

原曲に比べて、このカバー曲には雪の要素がなくなりました。大切な人を思う気持ちを描くところは変わりませんが、その人はそばにいません。いまは2人の思い出を振り返りながら、また再会する日を待つということです。「ごめん、愛している」というタイトルのように、少々切ない歌です。

（編集：曽輿婷/王淑卿）

今週は、台湾のスイート教主、シンディー・ワンの歌声をお楽しみいただきましょう。シンディー・ワンの2005年のアルバム『Honey』に収録されている歌「飛吧」をお送りいたします。

「飛吧」は、「飛んで」という意味です。この歌は、早く一人前の大人になることを願う子供が独り立ちできるようになるまでのことを、おとぎ話のような口調で描いています。

親元を離れた子供は、よく糸の切れた凧に譬えられています。凧は空の広さを知らないけれど、自分の能力を証明したいがために意地になって、立ち止まることなく、ひたすらに空へと飛んでいきました。母親はそんな子供に向けて、「暗闇が怖い時は、星々があなたを家まで連れて帰るだろう。涙を流した時は、お母さんが家であなたの帰りを待っている。だから、思う存分飛んでいって」と、優しくその背中を押しました。シンディー・ワンによる「飛んで」は、心が疲れた時にとてもおすすめする一曲です。

この歌の原曲は、沖縄の女性歌手、古謝美佐子の歌「童神」です。2001年、NHKのテレビドラマ『ちゅらさん』の挿入歌として使われたことで知られ、2019年の日本の映画『洗骨』のテーマソングでもあります。生まれたての我が子に祝福を送り、寝つかせる子守唄です。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

今週お送りする歌は、カバー曲というより、原曲の中国語版、といったほうが正しいでしょう。日本での人気はもちろん、海外では、J-POP好きならば、知らないはずがないと言える名曲、一青窈の「ハナミズキ」です。2001年、アメリカ同時多発テロ事件が発生した後、ニューヨークにいた友人からのメールをきっかけに、一青窈がおよそ一週間で作詞した曲で、大切な人の幸せを願い、平和を祈願する歌です。

そんな「ハナミズキ」は、2015年、一青窈自身による標準中国語のセルフカバーが発表されました。曲名は、ハナミズキの中国語名「四照花」です。一青窈の二枚目のカバーアルバム『ヒトトウタ』のボーナストラックとして収録されています。

歌詞は基本的に原曲と同じです。原曲で最も知られている歌詞「君と好きな人が百年続きますように」も、ちゃんと中国語で「願你和心上人百年好合」と翻訳されています。中国語の勉強になれる歌ではないかと思います。

ちなみに、「ハナミズキ」は日本語版も中国語版も台湾でかなり人気がありますが、この2つのバージョンを区別するため、日本語版の曲名は、ハナミズキの漢字そのまま中国語にして、「花水木」と呼ばれています。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

1月に入ってから、台湾各地では冷え込みが強まりました。こんな寒い日には、物悲しい歌をお聞きいただきましょう。

今週は、日本の歌手、中西保志のヒットソング「最後の雨」の中国語カバー曲、「太接近夜（夜に近すぎる）」をお送りいたします。

「太接近夜（夜に近すぎる）」は、香港の男性歌手、蘇永康（ウィリアム・ソー）による歌で、ウィリアム・ソーの1995年のアルバム『男人不該讓女人流淚』に収録されています。

原曲の最後の雨は、愛する女と別れる男の心境の描写がとても印象的な一曲ですね。中華圏でもかなり人気があります。ウィリアム・ソーによるカバー曲「夜に近すぎる」は、歌詞は書き直されましたが、原曲と同じように失恋した悲しみと寂しさを描いています。しかし、原曲ほど反響を呼ぶことができなかったのは、非常に残念なことです。

今週お送りするのは、1998年、台湾の男性四人グループ「四大天王（中国語／フォー・ベスト・ボーン）」が発表した歌「神奇魔力」です。

「四大天王」はとても仰々しいグループ名ですが、これは、グループメンバーが香港の四天王と呼ばれる、張学友（ジャッキー・チュン）、劉徳華（アンディ・ラウ）、郭富城（アーロン・クオック）、黎明（レオン・ライ）のモノマネが上手な人たちの集まりであることから、このように名付けられたのです。このグループはすでに解散しましたが、メンバーのうち最も知られているのは、「アジアのダンスキング」と呼ばれていた男性歌手、羅志祥（ショウ・ルオ）でしょう。

今日お送りする歌「神奇魔力」を直訳しますと、「不思議なマジックパワー」という意味です。好きな人からの愛さえあれば、体中には不思議な力が湧いてきます。たとえ目の前にどんな困難が立ちはだかっていようと怖くないということを描いています。この歌のミュージックビデオで、「フォー・ベスト・ボーン」の四人は、ヒーローのように、マント姿にロングソードを持ち、森の中を駆け巡ります。とてもおもしろいですよ。

この歌の原曲は、日本のミュージシャン、布袋寅泰による「CIRCUS」です。日本でかなり人気のあるかっこいい歌ですね。今日は、原曲とは異なるかっこよさのあるカバー曲、「不思議なマジックパワー」をお聞きいただきましょう。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

今日ご紹介するカバー曲の原曲は言わずもがな、先程のイントロで、すでに多くの方はご存知かと思います。日本の国民的アイドルグループ「SMAP」の名曲「世界に一つだけの花」です。

「世界に一つだけの花」は、「SMAP」による標準中国語バージョンもありますが、今日お送りするのは、マレーシア出身、台湾でデビューした男性歌手、張棟樑（Nicholas Teo／ニコラス・テオ）が2003年に発表したカバー曲「only one」です。原曲の一番最後にある歌詞が曲名です。

原曲の歌詞では、人間は一人一人がそれぞれの個性を持っているから、自分自身の個性を愛してあげようと呼びかけています。ニコラス・テオによるカバー曲は、歌詞が改めて創作されましたので、人の個性には一切触れていません。代わりに、失恋で希望を失いそうな人々を励ます歌となりました。

恋は、終わったら終わったって、もうあれこれ考えるのをやめましょう。心にある希望の炎を灯し、あなたはオンリーワンであると信じようと歌っています。

（編集：曽輿婷／王淑卿）

あともう少しでクリスマスですから、今週は、1999年12月25日に発売された、日本のユニット「The Little Monsters Family（ザ・リトル・モンスターズファミリー）」の歌「星がきれい」の標準中国語カバー曲をお送りいたします。

「The Little Monsters Family（ザ・リトル・モンスターズファミリー）」は、実は1999年に、日本のフォークデュオ「ゆず」とそのプロデューサー、寺岡呼人で結成されたスペシャルユニットです。このユニットがリリースした歌は、2021年時点では「星がきれい」しかありませんので、「星がきれい」は、ゆずの隠れ名曲、とも呼ばれています。

知る人ぞ知るゆずの隠れ名曲「星がきれい」は、2006年、シンガポール出身の女性歌手、蔡淳佳（ジョイ・チュア）によってカバーされました。曲名は「星星眼睛」です。「星々の目」という意味です。夜空の星々は、まるで想い人の目のようだ。たとえその人と離れ離れになったとしても、星空を見れば、勇気が湧いてくる。いつかはまたその人に会えると信じている、という事を描いている歌です。