本日取り上げたいテーマは、医学書『胸水無双』です。下田真史著、2025年に金芳社から出版されています。この本は、その名の通り胸水について専門的に、そして深く掘り下げて書かれたマニアックな一冊ですが、読んでみて参考になる情報が満載でした。
最近、胸水が貯留した患者さんの診断がうまく行かなかった症例を経験し、この本を読んだところ、実践に役立つ知識が多く記されていることを認識しました。
本書では、冒頭に胸水の分析の話が書いてあります。つまり、胸水診断において最も重要な点として、まず胸水を採取し、その成分を分析することが強調されています。胸水が「何者」であるかを特定しなければ、適切な治療方針は定まりません。したがって、胸水を調べて診断を確定させることが、治療への第一歩であり、最も肝心な部分であるいうところから本書は始まっています。
しかし、在宅医療、特に往診、訪問診療や訪問看護の現場では、病院とは異なる特有の課題が存在します。
一つ目は、胸水がそもそも存在するのか、そして存在するとしてどの程度の量なのかを見極めることです。胸水の存在が既に分かっている場合もありますが、初めて胸水が貯留してきたような場合、その存在を知り、その量を正確に評価することは、在宅の環境では病院の外来や入院の環境ほど容易ではありません。
二つ目は、本書で詳述されている胸水の穿刺・検査を在宅で行うべきか否かという判断です。在宅で胸水を採取し検査に出すという行為は、病院で行う場合とは異なり、大きな決断を伴います。
今回は、この在宅医療における2つの大きな課題について、『胸水無双』から得られる参考になるポイントをお話ししたいと思います。