『鵜呑み』
著 勅使瓦 樹々(テシガワラ ジュジュ)
ざわ。
寒さに耐えて、校庭・あるいは体育館で、子供たちを整列させることは、わたしの仕事の一つだ。
確かに、子供は好きだった。
「〜ちゃんって、人に教えるの上手だね」と、言われた言葉も鵜呑みにしてきた。
ざわ。
何かを見抜く能力があるわけでもない人の言葉を、財宝のように体の中に、しまい込む。進路を考えるとき、海賊のようにその財宝を探し出し、きっとこれが答えだと言い聞かせた。
ざわ。
大人になって初めて見た、"鵜"という鳥が魚を丸ごと呑み込む様は、「それ以外の食べ方を知らないんだ」という哀れみが強く、鳥を見つけた珍しさを凌駕した。
ざわ。
あー、寒い。
整列している子供たちはもっと寒いだろう。なんて、心配はとっくに枯れて、いまは自分のことしか考えられなくなってしまっている。なんで、この人達はわからないんだろう。あー、なんで。
頭の中の言葉を飲み込んで、今日も言う。
『大きくー、まえにー、ならえ!』
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命名:ジャガの穴