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囲碁きっず - reborn -における、多彩な持ち時間システムの導入についてご紹介します。
昨年の夏、私はスマートフォン用の対局時計アプリ「刻(きざみ)」を開発しました。その際に実装した持ち時間制度の仕組みを、AIを活用して囲碁きっず - reborn -のソースコードへ移植し、多様なルールで対局を楽しめるようにしました。
「囲碁きっず - reborn -」では、現在以下の4つの方式を選択できます。
標準方式
設定された持ち時間を使い切ると、一定の秒読み(30秒など)に入る、最も一般的な方式です。
NHK杯方式
最初から最後まで秒読みで進行しますが、途中で1分単位の「考慮時間」が10回分など用意されている方式です。テレビの対局番組でおなじみのルールです。
カナダ方式
日本ではあまり馴染みがありませんが、「10分間で25手を打つ」というように、規定の手数を時間内に打ち進める方式です。序盤・中盤・終盤と、均等に時間配分で打てる、非常にユニークな方式です。
フィッシャー方式
プロの棋戦(新竜星戦やYouTube配信)でも普及し始めている方式です。最初に短い持ち時間(1分〜10分程度)があり、1手打つごとに数秒(10秒など)が加算されます。スピーディーかつスリリングな展開が特徴です。
これらのシステムを導入した意図は、決してシビアな勝負だけを求めているわけではありません。どちらかといえば「お遊び」として、プロが打っているようなスリリングな形式を、アマチュアや入門者の方々にも気軽に楽しんでほしいという思いがあります。
特にフィッシャー方式やNHK杯方式は、メディアで目にすることは多くても、実際に自分で体験できる場所は限られています。「囲碁きっず - reborn -」であれば、AIボットを相手にいつでもこれらの方式を試すことが可能です。
先日ご紹介したAIボットとの対局でも、これらの持ち時間設定を自由に使用できます。「持ち時間1分、1手10秒加算のフィッシャー方式でAIに挑戦する」といった遊び方も、一つの大きな魅力になるはずです。
囲碁を覚えたばかりの方から上級者まで、ぜひ自分に合ったスタイルや、憧れのプロと同じルールで対局を楽しんでみてください。
囲碁きっず - reborn -には、現在4体のAIボットが常駐しています。それぞれのキャラクターと棋力の目安は以下の通りです。
コウボット(20級前後):男の子のキャラクター。
あたりボット(15級前後):女の子のキャラクター。
ペンまるボット(10級前後):ペンギンのキャラクター。
つよつよボット(プロ級):ロボットのような外見の最強キャラ。
これらのボットは、日本棋院のアプリ『囲碁であそぼ!』の「修行」モードと比較して、コウボットがレベル2、あたりボットがレベル3、ペンまるボットがレベル4と、それぞれ同等の実力になるよう調整されています。
また、最強の「つよつよボット」は、かつてプロ級の強さと評された市販ソフト『天頂の囲碁7』の九段設定に勝利するほどの実力を備えています。
これらのAIはすべて、世界最強クラスの囲碁AI「KataGo(カタゴ)」をベースに構築されています。AIの強さは、主に「ネットワークファイル(学習データ)」の種類と、1手に対してどれだけ深く考えるかという「探索数」によって決まります。
現在、囲碁きっずリボーンではサーバーコストと動作速度のバランスを考慮し、GPUを使わずCPUのみのサーバーで運用しています。そのため、軽量ながら効率的に動作する設定を採用しています。
初級・中級ボット(コウ・あたり・ペンまる): 非常に軽量な「6ブロック」のネットワークファイルを使用しています。学習段階の異なるファイルを使い分けることで、20級から10級までの細かな棋力差を再現しました。
つよつよボット: やや深層な「10ブロック」のファイルを採用しています。
特筆すべきは、プロ級の強さを誇る「つよつよボット」の探索数です。通常、プロ級のAIは1手に数万回から数百万回の探索を行いますが、つよつよボットはわずか「200回」しか探索していません。
それでもプロ級の強さを維持できているのは、AIの「第一感(ネットワークの直感)」が極めて鋭いためです。アマチュアが対局する分には十分な強さを発揮しますが、探索数が少ないため、プロや高段者が深く読みを入れた鋭い手を打つと、思わぬ脆さを見せることもあります。これはサーバーコストを考えた上で実用的な思考時間と強さを両立させるたバランス設定です。
自由度の高い対局設定と新しい遊び方
囲碁きっず - reborn - のボット対局には、他のアプリにはない大きな特徴があります。
多彩な路盤に対応: 6路、7路、9路、11路、13路、15路、19路と、あらゆるサイズの路盤で対局が可能です。
自由な対局条件: 手番(黒・白)の選択はもちろん、置石の数、コミや逆コミの設定も自由自在に変更できます。
チーム戦への参加: AIをチームの一員として迎え、連碁やペア囲碁を楽しむといった特殊な遊び方も可能です。
初心者の方の練習相手から、上級者の挑戦相手まで、ぜひ囲碁きっず - reborn - のボットたちと対局してみてください。
AIの強さを決める「ネットワークファイル」と「探索数」「つよつよボット」の意外な弱点と強さの秘密
囲碁きっず -reborn-では、従来の囲碁サイトにはなかった新しい試みを次々と取り入れています。その中でも特に便利な機能の一つが、「音声チャット機能」です。
これは対局室にいるユーザー同士が、文字入力ではなく「声」で直接会話ができる仕組みです。
これまでのオンライン囲碁イベントでは、対局サイトとは別にZoomやDiscordなどを立ち上げて音声を繋ぐのが一般的でした。しかし、これにはいくつかのハードルがあります。
参加者の負担: 主催者はもちろん、参加するユーザーも別途アプリをインストールし、設定を行う手間がかかります。
操作の難易度: 全てのユーザーがこうした外部ツールに慣れているわけではなく、参加方法の説明だけで多くの時間を割いてしまうケースも少なくありません。
「囲碁きっず -reborn-」なら、対局場に入りさえすれば、そのまま会話がスタートできます。PC、スマホ、タブレットを問わず、ブラウザひとつで完結するため、特別な準備は一切必要ありません。
現在、この機能はベータテスト中であり、日々多くのユーザーに利用していただいています。
様々なデバイスやブラウザ、モバイル回線の種類(キャリア)があるため、環境によっては「音声ルームにうまく入れない」という声をいただくこともあります。こうした報告を受けるたびに原因を特定し、より安定した接続環境を提供できるよう、日々アップデートと改善を積み重ねています。
音声チャットがスムーズに使えるようになれば、オンライン対局の楽しみ方はさらに広がります。
検討の効率化: 対局が終わった後の検討を、声を使ってスピーディーかつ詳細に行えます。
プロ棋士・講師との交流: 有名なインストラクターやプロ棋士を招いたイベントでも、よりライブ感のある、楽しい体験が可能になります。
「囲碁きっず -reborn-」は、音声チャットを通じて、より熱量のある囲碁コミュニティの場を提供できるよう、これからも開発を続けていきます。
囲碁きっず - reborn - では、他の対局場にはないユニークなアイデアを次々と形にしています。その一つが、独自の「ローカル段級システム」です。
一般的なオンライン囲碁対局場には、勝敗に応じて段級が自動的に上下する「レーティングシステム」が備わっています。しかし、囲碁きっず - reborn - では、あえてこの自動システムを採用していません。
その代わりに導入しているのが、「教室サークル」という小さなコミュニティ内での運用です。コミュニティの主催者(マスターや親方)が、所属メンバーに対して「うちのコミュニティではあなたは3級ですよ」「今回は2段にしましょう」といった形で、独自に段級を認定する仕組みです。
このローカル段級の運用ルールは、各コミュニティが自由に決めることができます。 例えば、「マスターに対して○子のハンディで勝ったら昇段」としても良いですし、コミュニティ内でのリーグ戦の結果をもとに昇降級を決めても構いません。
もともと囲碁きっず - reborn - には「どこそこの碁会所で何段」といった自由記述の棋力がありますが、それとは別に、所属するコミュニティごとの段級を設定・表示できるようになっています。
もちろん、全世界共通の客観的なレーティングで自分の立ち位置を確認するのも、囲碁の楽しみ方の一つでしょう。しかし、それだけが正解ではないと考えています。
現在、世界中の囲碁ファンと腕試しができるプラットフォームは、野狐(のぎつね)、OGS、幽玄の間、東洋囲碁、PlayGoなど、数多く存在します。世界を相手に戦いたい時は、そうした既存のサービスを利用すれば良いのです。
囲碁きっず - reborn - が目指すのは、それらとはまた別の場所です。大きな世界での競争ではなく、身近で小さなコミュニティの中にある「オリジナルな段級」を通じて、囲碁の新しい楽しみ方を提案していきたいと考えています。
自動レーティングは採用していません自由で柔軟な昇段・昇級ルール「小さな世界」だからこそ楽しめる囲碁の形
囲碁きっず - reborn - が追求する「究極の検討機能」
「囲碁きっず - reborn -」が誕生した大きなきっかけは、かつての人気サイト「囲碁きっず」が持っていた「圧倒的な検討のしやすさ」を現代に復活させてほしいという要望でした。
私たちは、単に昔を再現するだけでなく、他では真似できない「マニアックで変態的」とも言えるほどこだわった検討機能を実装しています。今回はその具体的な魅力についてご紹介します。
自由自在な共同検討とSGFファイルの活用
対局が終わった後、「あそこでこう打てばよかった」と振り返るのは囲碁の醍醐味です。
当サイトの検討ルームでは、その場にいる全員が自由に盤上に石を置き、手を進めたり戻したりしながら変化図を作ることができます。
また、SGFファイル(囲碁の棋譜データ)の読み込みにも完全対応しています。外部の棋譜を持ち込んで変化図を研究したり、講師が受講生に向けて「この場面ではこう打つ」といった講義形式で活用したりすることも可能です。
検討の続きをそのまま対局できる「変態的」な連動性
ここからが「囲碁きっず - reborn -」ならではのユニークな機能です。
検討場面からの対局スタート
検討中に「この変化なら白が良さそうだ」「いや、黒でも戦える」と意見が分かれたとき、その局面からすぐに2人で対局を始めることができます。
歴史的な名局や特殊な布石の再現
プロの歴史的名勝負を途中まで並べ、「ここから自分たちならどう打つか」を試すことができます。また、『ヒカルの碁』に登場するような「初手5の五」や「2手目天元」といった珍しい布石をあらかじめセットしておき、そこから大会をスタートさせる、といった遊び方も可能です。
検討内容をまるごと保存・共有
盤上でああでもないこうでもないと並べた複雑な変化図は、そのままSGFファイルとしてダウンロードしたり、テキストとしてコピーしたりできます。先生の講義内容をそっくりそのまま保存して、後から自分一人で復習するといった使い方も非常にスムーズです。
音声チャットによる「次世代の検討環境」
さらに、最新のアップデートでは「音声チャット機能」も搭載しました。
かつてのオンライン囲碁では、石を動かしながら必死にキーボードでチャットを打つ必要がありましたが、今は違います。仲間とおしゃべりしながら、リアルタイムに盤上の石を動かして検討を楽しむ。これこそが、私たちが目指したオンラインにおける「最強の囲碁環境」です。
マニアックなこだわりが詰まった「囲碁きっず - reborn -」の検討機能を、ぜひ一度体験してみてください。
囲碁を始めたばかりの人からよく聞かれる悩みに、「いつゲームが終わるのかわからない」というものがあります。オセロであれば、打つ場所がなくなれば終わりということが誰の目にも明らかですが、囲碁の場合は盤面にまだ空いている場所があるのに「はい、これで終わりです」と告げられることがあり、初心者にとっては釈然としない「モヤモヤ」が残りがちです。
実は、囲碁の終わりを理解するためには、単にルールを知っているだけでは不十分です。ルールを理解した上で、「石の生き死に」という概念がわかり、さらに数手先に何が起きるかという「読み」ができて初めて、納得して終局(ゲーム終了)を迎えられます。
一般的な入門書や教室では、この部分を「境界線が決まったから終わりです」と簡略化して教えていることが多いのが実情です。しかし、身近に指導者がいない独学者の場合、この「終わり方のモヤモヤ」が原因で先に進めず、挫折してしまうケースも少なくありません。
この問題を解決するために、王銘琬(おう めいえん)九段が提唱しているのが「純碁(じゅんご)」です。純碁のルールは非常にシンプルで、終局のルールがオセロと同じくらい明確です。
終わらせ方: 二人が続けてパスをしたら終了。
勝敗の決め方: その時点で盤上にある「自分の石の数」を数え、多いほうが勝ち。
「空き地(陣地)を数えるのが囲碁ではないのか?」と思うかもしれませんが、実は純碁と従来の囲碁は、終わるタイミングと数え方が異なるだけで、ゲームの本質的な内容や勝敗の結果はほとんど変わりません。初心者から中級者のレベルであれば、その差を気にする必要がないほどです。
なぜ囲碁の終わり方はわかりにくいのか終局が明確な「純碁」のルール
一般的なオンライン対局サイトでは、19路盤、13路盤、9路盤の3種類が主流です。しかし、新しく開発している「囲碁きっず -reborn-」では、これらに加えて6路、7路、11路、15路という幅広いラインナップを用意しています。なぜこれほど多くの路数を採用したのか、その背景にある意図を紐解いていきます。
「囲碁きっず -reborn-」の開発をスタートしたのは2025年11月18日のことでした。ちょうどその直前、日本棋院からソーシャルゲーム要素を取り入れたアプリ『囲碁シル』がリリースされ、大きな話題となっていました。
『囲碁シル』の対局サイズは7路、9路、11路が中心です(19路はカードバトル形式)。そこで、「『囲碁シル』でAIと対戦して慣れた人が、今度は対人対局を試したくなるのではないか」と考え、スムーズに移行できるよう7路と11路を加えることにしました。
また、入門者向けに人気のアプリ『囲碁であそぼ!』は6路と9路を採用しています。こちらで囲碁を始めた方々にも親しみやすい環境を提供するため、6路もラインナップに加えています。
そして15路盤。10年ぐらい前に囲碁サロン渋谷で何局か対局したことがあります。
13路盤まで小さくなると、19路盤とは全く別のゲーム(に近い感覚になります。しかし、15路盤であれば、布石から中盤、ヨセにいたるまでの流れが、19路盤に近い感覚で楽しめるのです。
19路盤の本格的なゲーム性を保ちつつ、短時間で決着がつく。そのバランスの良さを思い出し、「囲碁きっず -reborn-」でも15路盤を採用することに決めました。
現代のオンライン囲碁対局場の多くは、いわゆる「グローバル志向」です。世界中の何千、何万というユーザーと対局でき、客観的なデータに基づいた「世界統一レーティング」によって、自分の棋力が厳密に格付けされる。それは一つの理想形であり、素晴らしい仕組みです。
しかし、囲碁の楽しみ方はそれだけではないはずです。
かつて江戸時代から昭和にかけて、囲碁はごく小さなコミュニティの中で楽しまれてきました。近所の人、家族、職場の同僚、あるいは碁会所や大学の囲碁部といった、顔の見える範囲での交流です。
そこでの棋力(手合割)は、非常にローカルな関係性で決まっていました。「昨日3連勝したから、明日からは二子で打とう」といった、身内同士の絶妙なバランス。サザエさんの波平さんと伊佐坂先生のような、閉じているけれど温かい、二人の関係性そのものが囲碁の場になっていたのです。
オンライン囲碁がここまでグローバル志向になった背景には、普及の初期段階において欧米のスタイルが強く影響したことが挙げられます。
欧米には、日本のような「ご近所の囲碁コミュニティ」が少なかったため、世界中から対戦相手を探す必要がありました。その結果、どこでも通用する客観的な棋力指標が不可欠となり、数値化された強さが重視されるようになったのです。
しかし、オフラインのリアルな世界では小さなコミュニティでわちゃわちゃと楽しんでいるのに、オンラインになった途端に「顔の見えない相手」や「客観的な指標」という一元的な価値観に縛られてしまうのは、どこか寂しい気がします。
「囲碁きっず -reborn-」は、あえてこのグローバル志向とは異なる「反グローバリズム」の方向性を打ち出しています。
2001年10月、ヒカルの碁のアニメ放映開始に間に合わせて立ち上げたサイトが囲碁きっずでした。その対局場は最盛期には同時接続500人近くになるほど盛り上がりました。
しかしその後、インターネットのセキュリティの関係で使用していた Java Applet という仕組みが使えなくなって消えていきました。
2025年11月、Xの上での「当時の囲碁きっずは最強でした」「今ならAIの力を借りて、スマホやタブレットでも動く形で再現できるかも」というやりとりからスタートしたのが囲碁きっず - reborn - のプロジェクトだったのです。
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