ベートーヴェンをめざし21年の歳月を費やして完成させた交響曲第1番は、
その内容の立派さや格調の高さからベートーヴェンの第10番と呼ばれました。
もちろん、交響曲の歴史に名を刻む大傑作ではあるものの、
“ブラームスらしさ”という点では少し物足らないと言えるかもしれません。
音楽の外形には後期ロマン派のブラームスの香りが漂っていますが、
強靭な精神性の中身は、まさしくベートーヴェンそのものだったからです。
その点、最後の交響曲第4番は、ブラームスがありのままの自身を描き出した作品で、
無理や気負いがなく、作風もブラームスらしさにあふれています。
ブラームスファンには第1番より第4番を選ぶ人が多いのもわかる気がします。
この曲の作曲中、ブラームスの隣の家が火事になり、彼は消火のバケツリレーに参加しました。
その間、ブラームスの家にも火が燃え移りましたが、彼は構わず隣家の消火を続けました。
書きたての第4番の楽譜は間一髪、燃えそうなところに駆けつけた知人に救出されました。
もしそれがなければ、私たちはこの名作を聴くこともなかったかもしれません。
*演奏と音響を刷新した新録音です。全体に抑揚をつけるよう心がけました。木管と金管は少し引っ込めました。第1楽章ではトランペットの「パッパ」と2回入るフレーズがずっと気になっていましたが、今回は思い切ってほとんど消しました。
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ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第1楽章 [2019][AR]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
1. Allegro non troppo [13:36]
Brahms-Symphony-No4-1st-2019-AR2.mp3
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