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CROSSROADS #95
「福祉職だから我慢すべきなのか――訪問支援とカスハラを考える」
利用者の自宅を一人で訪問することも多い、障害福祉の支援者。
暴言や威圧的な言動、過度な要求などがあっても、「福祉職だから受け止めるべき」と我慢を求められていないでしょうか。
東京都は、カスタマーハラスメントへの対応として複数名で訪問する際の経費や、防犯ブザー、通報端末、ボイスレコーダーなどの導入を支援する事業を始めました。
一方、利用者や家族からの正当な苦情まで「カスハラ」として扱ってはいけません。障害特性や意思疎通の難しさへの配慮も必要です。
支援者の安全を守りながら、利用者に必要なサービスを途切れさせないためには何が必要なのか。
相談、記録、複数名での訪問、第三者による介入、支援継続の仕組みから、利用者と支援者、双方の尊厳を守る福祉のあり方を考えます。
ひとり親家庭を支える制度は、児童扶養手当や医療費助成だけではありません。
家事・育児を助けるホームヘルプ、資格取得中の生活費を支える給付金、就業相談、養育費の確保、子どもの学習支援など、さまざまな制度があります。
しかし、総務省の調査では、ひとり親家庭など2,341人の半数以上が国の支援事業を「知らない」と回答。そのうち3~4割は「知っていれば利用していた」と答えました。
制度があっても、必要な人に届かなければ支援にはなりません。今回は、ひとり親家庭が利用できる主な制度を紹介しながら、申請の負担、窓口の分かりにくさ、自治体による違いなどを整理します。
「待つ支援」から「届ける支援」へ。必要な人を制度につなぐために、東京都や区市町村に何が求められるのかを考えます。
CROSSROADS #93
高齢期の住まいというと、「自宅で暮らすか」「介護施設へ入るか」という二択で考えがちです。
しかし、その間には、「まだ介護は必要ないけれど、一人暮らしには少し不安がある」という長い時間があります。
東京都は、元気で自立した高齢者を主な対象に、見守り、防犯、暮らしやすい設備、入居者同士や地域との交流に配慮した賃貸住宅を認定する「高齢者いきいき住宅認定制度」を開始しました。
目指すのは、「転びにくい住宅」だけでなく、「孤立しにくい住宅」です。
一方で、家賃やサービス料はいくらになるのか。年金収入で暮らす高齢者も選べるのか。交流が負担にならないか。介護が必要になった後も住み続けられるのか。そして、認定後の質をどのように確認するのか。
今回は、新しい住宅制度の内容や先導事例を紹介しながら、制度の可能性と課題を考えます。
「介護が必要になってから」ではなく、元気なうちから、自分らしい高齢期の暮らしを選べる東京へ。
住まいを通じた“予防的な福祉”について、皆さんと一緒に考えます。
CROSSROADS #92
東京都は、思春期・若年期の人が身体や心、性に関する悩みを相談できる「ユースクリニック」を、都内20か所の医療機関で開始します。
原則25歳未満を対象に、専門職による無料相談を実施。必要に応じて、そのまま医師の診療につなぐほか、一定の条件を満たせば、初回の妊娠判定や緊急避妊にかかる費用も支援されます。
一方で、20か所で都内全域をカバーできるのか。放課後や休日にも利用できるのか。男性や性的マイノリティーも相談しやすいのか。プライバシーは守られるのか。これから検証すべき課題もあります。
制度は、存在するだけでは支援になりません。
若者が制度を知り、安心して相談し、必要な医療や支援につながれることが重要です。
今回は、若者がひとりで悩みを抱え込まない東京を、ユースクリニックの可能性と課題から考えます。
CROSSROADS #91
「乳児院は、いま何を求められているのか ― 増える一時保護と“夜間のケア”から考える」
東京都内の乳児院が2024年度に受け入れた一時保護は398件。10年前のおよそ3倍に増えています。
現在の乳児院には、子どもを長期間養育する役割に加え、突然保護が必要になった乳幼児を受け止め、状態を把握し、次の支援へつなぐ「緊急セーフティネット」としての役割が強く求められています。
一方、施設や子どもの年齢によって違いはあるものの、夜間は子ども10人前後を職員1人で担当している施設も少なくありません。
授乳、おむつ交換、呼吸や顔色の確認、体調不良への対応。さらに、十分な情報がないまま0歳児を緊急に受け入れることもあります。
東京都は2026年度、乳児院6施設を対象に、夜間を常時複数人配置にするための支援を始めました。
これは重要な一歩です。しかし、人件費を補助するだけで必要な人材を確保できるのか。一時保護の増加に伴う記録や関係機関との調整を誰が担うのか。そして、6施設で始めた取り組みを、今後どのように検証し、広げていくのか。
今回のCROSSROADSでは、乳児院を取り巻く変化を数字と現場からひもときながら、夜間体制の強化、人材の確保・定着、事務負担の軽減、里親支援や家庭復帰後の支援まで、東京都に必要な取り組みを考えます。
何人配置したかではなく、そのことで子どもの安心がどう変わったのか。
声を上げることのできない子どもの命と安心を、社会全体でどう守るのか。皆さんと一緒に考えます。
災害が起きても、病気や障害が一時停止するわけではありません。
病院や薬局が被災し、物流が止まる。手元の薬は残りわずか。でも、薬の名前が分からず、主治医とも連絡が取れない。
今回は、こうした身近なケースから、災害時に「いつもの医療」をどうつなぐのかを考えます。
DMATやJMAT、DHEAT、災害薬事コーディネーター、薬剤師は、どのような役割を担うのか。東京都の医薬品供給体制や、処方箋がない場合の対応についても分かりやすく解説します。
さらに、吸引カテーテル、経管栄養、ストーマ用品、酸素、人工呼吸器の回路、非常用電源など、医療的ケアや障害福祉に欠かせない備えにも目を向けます。
災害備蓄は、水と食料だけでは足りません。
必要なのは、薬を備えること、服薬情報を残すこと、物流と電源を確保すること、そして支援につながる仕組みをつくることです。
災害時にも、医療・介護・福祉を止めない東京へ。一人ひとりの命と暮らしを守るために、平時の今からできる備えを考えます。
参考資料の資料
東京都は、薬事情報、薬剤師班、医薬品の確保・供給などを調整する「東京都災害薬事コーディネーター」を設置しています。東京都保健医療局
災害への備えというと、水や食料、毛布が注目されます。しかし、発災直後から誰もが必要とし、避難生活の健康と尊厳を左右するのが「トイレ」です。
断水や下水道の損傷によって水洗トイレが使えなくなり、仮設トイレには長い列ができる。さらに、入口の段差や個室の狭さによって、車いす利用者や排せつ介助が必要な人が利用できないこともあります。
「トイレに行きたくないから、水を飲まない」
その我慢は、脱水や体調悪化、エコノミークラス症候群などを招き、災害関連死につながる可能性もあります。
東京都の想定では、都心南部直下地震が発生した場合、区部で不足するトイレは、発災後1週間以降に最大約13万8,000基に上ります。しかし、問われるのは数だけではありません。車いすから移乗できるか、介助者も一緒に入れるか、大人のおむつ交換やストーマ装具の交換ができるか。トイレが「ある」ことと、誰もが「使える」ことは違います。
今回は、能登半島地震で明らかになった課題や、東京都の「東京トイレ防災マスタープラン」をひもときながら、災害時の排せつを命と福祉の視点から考えます。
避難所のトイレを、「何基整備したか」から「誰が実際に使えるか」へ。当事者参加型の避難所訓練や、備蓄と運用を一体で考える仕組みについてお話しします。
地震や津波から逃れ、避難所にたどり着いても、その後の避難生活によって命を落としてしまう人がいます。
持病の悪化、薬や介護の中断、脱水、感染症、車中泊による血栓症、寒さや暑さ、度重なる避難、そして孤立――。こうした負担が重なって起きる「災害関連死」は、避難後の暮らしをどう支えるかという、医療・福祉・防災にまたがる問題です。
今回は、災害関連死の定義や実態をひもときながら、避難所に欠かせない「TKB=トイレ・キッチン・ベッド」、在宅避難者や車中泊避難者への支援、ホテルや旅館への二次避難、DWAT・DHEATの役割、災害ケースマネジメントの必要性について考えます。
首都直下地震が想定される東京で、避難できた命を、その後も守り続けるために何が必要なのか。
「助かった」で終わらせない防災のあり方を考える回です。
【DHEATの役割】 大規模災害では、DMAT、DWAT、保健師、薬剤師、リハビリ職など、多くの支援チームが被災地に入ります。
しかし、支援者が集まるだけでは、必要な支援が必要な場所へ届くとは限りません。
どの避難所で何が起きているのか。 医療や福祉の支援をどこへ配置するのか。 感染症の兆候をどう把握し、地域全体の対応につなげるのか。
こうした情報収集と分析、全体調整を担う被災自治体の機能を支えるのが、DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)です。
【能登半島地震での活動】 2024年の能登半島地震では、東京都から5班・計25人が派遣され、石川県庁の保健医療調整機能を支援しました。
今回は、DHEATとDMAT・DWATとの違い、能登で行われた具体的な活動、2026年から本格的に活用されるD24Hや先遣隊の仕組みを解説します。
【東京が抱える課題】 そして、首都直下地震によって東京自身が「支援を受ける側」になったとき、司令塔は本当に機能するのか。
最初の48時間に動ける人員、全国から来る支援チームの受入体制、区市町村や保健所との連携、停電や通信障害への備えなど、巨大都市・東京が抱える課題を考えます。
災害現場では、人を治療する人、生活を支える人、心を支える人だけでなく、その人たちを必要な場所へつなぐ人も必要です。
支援を支えるDHEATの役割から、東京の命と健康を守る備えをひもときます。
災害時、避難所へたどり着けたとしても、それだけで命を守れたとは限りません。
食事や排せつの介助、服薬管理、認知症や障害特性への配慮、医療機器を動かすための電源――。高齢者や障害のある人、医療的ケアを必要とする人にとって、避難生活を支える「福祉」は、命に直結する支援です。
今回取り上げるのは、災害派遣福祉チーム「DWAT」。
東京DWATは600人を超える登録体制へと拡大し、能登半島地震では輪島市の避難所へ、八丈島では在宅の被災者を訪ねるアウトリーチ支援へ派遣されました。
一方で、登録者数が増えることと、災害発生時に実際に動けることは同じではありません。
支援する福祉職自身も被災する首都直下地震に備え、
・発災後、何時間以内に何人が動けるのか ・在宅避難者を誰が見つけるのか ・医療、保健、行政、地域福祉とどう連携するのか ・医療的ケアや障害特性に対応できる体制はあるのか
東京DWATの活動実績と課題を数字でひもときながら、「登録する仕組み」から「確実に動ける仕組み」へ進化させるために必要な備えを考えます。
災害時の福祉は、命を救った後の付加的な支援ではありません。 福祉そのものが、命を守る活動です。
ぜひ、お聴きください。
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