南アフリカ共和国、初の黒人大統領になったレジェンドがいます。
ネルソン・マンデラ。
マンデラは、2013年に95歳でこの世を去っていますが、今年は、彼が大統領になってから、30年。
人種差別に正面から挑んだ闘士の功績と魂は、今も国内はもちろん世界中に影響を与え続けています。
彼の人生は、まさしく闘いの歴史。
アパルトヘイトという厳しく理不尽な人種差別政策と闘った代償は大きく、彼は国家反逆罪で、ロベン島の監獄に収監。
27年もの間、過酷な刑務所で過ごしたのです。
狭い独房と、激烈な労働。
塀の中でも肌の色に対する差別がまかりとおっていました。
白人の囚人と、食事や服が違う、本は読めない、規律自体に大きな差があったのです。
ここでも、マンデラは闘います。
ただ、そのときにとった彼の態度は、攻撃的とは真逆。
白人の刑務官たちに、ひたすら丁寧に冷静に訴え続けたのです。
若い時期は、暴力には暴力、という考えで、むしろ過激な行動もいとわなかったマンデラ。
でも、そこに解決の糸口は見つからない、むしろ、怨みは怨み、憎しみは憎しみを呼び、負の連鎖が止まらないことを知りました。
1990年、72歳のときに釈放された彼は、圧倒的な支持を得て、4年後に大統領に選ばれます。
クリント・イーストウッドが監督した実話をもとにした映画『インビクタス/負けざる者たち』では、そんな大統領就任後 間もないマンデラの姿が描かれています。
マンデラを演じるのは、名優モーガン・フリーマン。
1995年に南アフリカで開催されたラグビーワールドカップ。
当時の南アフリカにおけるラグビーは、白人のスポーツ。
アパルトヘイトの代名詞でした。
それまでの金色と緑色のジャージや、愛称「スプリングボクス」を変更すべきという黒人たちの意見に、マンデラは反対します。
「それでは、白人の怨みを買ってしまう。
まわりを変えたいときは、まず自分が変わることだ。
怒りや憎しみを消して、許す。
そうすれば、南アフリカがひとつになる!」
全世界に差別撤廃を訴えた英雄、ネルソン・マンデラが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?