「【中国少子化の深層】「結婚しない」のではなく「結婚できない」若者たち──構造的困窮の実像」 「中国で急速に進行する少子化は、価値観の変化や個人の選択といった表層的要因に還元できるものではない。現代中国の若者が直面しているのは、「結婚したくない」からではなく、「結婚したくても結婚できない」という深刻な構造的経済不全と社会制度の歪みである。本稿では、人口増大期から現在に至る人口動態の変遷と若者の実態を専門的知見から検証する。大飢饉後のベビーブームと現代社会を圧迫する超高齢化 中国の人口構造を理解する上で、1960年代初頭の人口動態は極めて重要だ。1958年から3年間続いた大飢饉により人口は急減し、その反動として1962〜63年にかけて国家主導の出産奨励策のもと大規模なベビーブームが到来した。1963年の新出生児数は約2,920万人に達し、近年の大学・大学院卒業生数(約1,270万人)と比較してもその規模は突出している。この巨大な世代は現在60代半ばに差し掛かり、男性60歳・女性55歳の定年年齢に到達している。」