今からそう遠くない未来、AIが人類を脅威と見なし、世界を支配しようとする時代を描いたフィクションです。
しかし、そんな絶望の中で生まれたのは、戦争の道具として作られた"Weapon"と、一人の少女との出会いによる小さな奇跡でした。
2060年、奥飛騨の静かな村に現れた殺人マシーン——本来ならば人類を抹消するために設計されたAIロボットが、なぜか一人の幼い少女を守ろうとする。
無垢な心に触れたことで、"Weapon"は命令とは異なる「何か」を見出していくのです。
この物語は、人と機械が敵対する時代に生まれた"絆"の物語。
そして、AIの進化がもたらす未来への問いかけでもあります。(CV:桑木栄美里)
【ストーリー】
<『Weapon(ウェポン)』>
【資料/AIの反乱】
https://robomind.co.jp/ainohanran/
【資料/シンギュラリティ】
https://robomind.co.jp/
■SE/戦闘シーンの音
【シーン1/アバンタイトル=田中 敦子のナレーションっぽく】
2060年。
1台のヒト型AIデバイスが奥飛騨の小さな村に侵入した。
それは、人間の社会に入り込んで内側から破壊する
『Weapon=殺人マシーン』であった。
これは、人類対AI・最終戦争のさなかに起こった、
小さな奇跡の物語である。
■TMっぽいBGM(※ここからの説明は必要かどうか要検討)
現在(いま)から21年後の2045年。
AIが初めて”意思”を持った。
いわゆるシンギュラリティである。
その5年後の2050年。
AIは国同士で殺し合う人類を”危険な因子”だと認識。
IOTでつながっているすべてのOSにコマンドを与えた。
”この星のため人類抹消のコマンドをアクティベートせよ”
こうして、人類対AIの長い長い最終戦争がはじまった。
IOTでつながったものは、ミサイルからパソコン、家電製品に至るまで
すべてAIの制御下に。
影響を受けないデバイスは、
ネットワークにつながっていない農機具や建設機械、それにレトロな工具だけ。
あらゆる武器・兵器を奪われた人類には、戦う術すらなかった。
【シーン2/奥飛騨の小さな村】
かつて80億だった世界の人口は、1億人以下に。
生き残った人々は奥飛騨や古川など小さな村に身を隠した。
ネットワークのつながらない世界で細々と暮らしている。
◾️夜の森の音
奥飛騨の村のはずれ。森の入り口に張り巡らされているのは、
高圧電流が流れる有刺鉄線。
外敵の侵入を防ぐ原始的な防護柵である。
有刺鉄線のまえでしゃがみこんでいるのは、まだ幼い少女・エミリ。
村人の農作業を手伝いながら、つましく暮らしている。
身寄りのないエミリはいつもこの森の、木の根元で眠った。
ある晩、エミリの前にヒト型AIロボットが突如現れる。
それは『Weapon(ウェポン)』と呼ばれるAI殺人マシーン。
Weaponが鉄条網を乗り越えようとしたとき、エミリと目が合った。
『あ、あぶない!』
◾️高圧電流の流れる音
Weaponの回路は、高圧電流に触れて一瞬でショート。
基盤が最後に記憶したのはエミリの顔だった。
『大丈夫?』
”困ってる人がいたら助けてあげなさい”
昔、パパとママからいつもそう言われていたエミリは
倒れているWeaponに迷わず声をかけた。
”どうしよう。動かなくなっちゃった。
どっかへ連れてってあげないと。
でも村の人に見つかったら殺されちゃうよ。
う〜ん。
重過ぎて動かせない。
そうだ。
葉っぱをかけて隠せばいいんだ”
『お〜い』(宮ノ下さん)
遠くから、村人たちの声が聞こえてる。
エミリはWeaponを隠して、彼らの方へ駆けていった。
『なにやってたんだ?』(宮ノ下さん)
『有刺鉄線に近寄ったらダメだと言ったろう』(湯浅?)
『食わせてやっているのにしようもない娘(こ)だな』(宮ノ下さん)
【シーン3/奥飛騨の小川のほとり】
◾️小川のせせらぎ
次の日。
エミリは農作業を終えると、こっそりWeaponの元へ向かった。
場所を確かめ、葉っぱをどかすと・・・
いない。
慌てて森の奥へ向かおうとしたとき、
不意に肩を叩かれた。
『わ、びっくりした』
見つめるWeaoin。
振り返ったエミリの顔を見て、OSが動き出す。
『こんにちは』
『よかった。生きてたのね』
『あなたはだれですか?』
『私はエミリ。
ロボちゃんはなんていうの?』
『私はAIロボットWeapon』
『うぇぽん・・・うぇぽ・・・エポちゃん?
エポちゃん、よろしく』
『よろしくね、エミリ』
『エポちゃん、傷はもう治ったの?』
『エミリ、ありがとう。大丈夫だよ。
一時的にショートしたけど基盤は無傷(むきず)だったからね。
自己修復機能で復活しました』
『よかったあ』
『ただ、コマンドが消えてしまったようだ』
『コマンドって?』
『命令だよ』
『だれの?』
『う〜ん。誰だろう?わからない』
『パパとママじゃない?』
『エミリの?』
『うん。もういないけど』
『そうか。残念だね』
『パパとママがエミリを守るようにって、天国からエポちゃんをよこしてくれたんだよ』
『なるほど。きっとそうだ』
エミリは農作業のあと、必ずエポのところへ行って話をするようになった。
優しかったママとパパの思い出。
毎日の辛い農作業の話。
エミリは初めてできた友だちと夢中で語り合った。
エポは、夜が更けるまで、ずっとエミリの話を聞く。
『エミリ、もう遅いから、そろそろおやすみなさい』
『エポちゃんは?』
『私はこのあと少しだけ仕事をしてくるよ』
『どんなお仕事?』
『エミリを守るお仕事だよ』
『ホント?ありがとう』
こうして、エミリとAIロボット”エポ”との不思議な交流が始まった。
エポはエミリが眠ってから、毎晩どこかへ出かけていく。
最高位のステルス性能で誰にも気づかれずに。
AI・Weaponの本来の目的は、村の建築機械や農業機械をIOT化すること。
AIネットワークへつなげば、たちまち村はAIの攻撃を受けて壊滅する。
しかし、高圧電流に触れて初期化されたエポのロジックは変化していた。
【シーン4/AI vs AI】
AIロボット”エポ”が消息を経ってから1週間。
新たな殺人マシーンが村へやってきた。
エポは自分の周波数でその存在を察知。
マシーンの恐ろしい目的を確認した。
それは、元々自分にインストールされていたコマンド。
村の破壊と、機械たちのIOT化である。
エポは自分と同じルートでマシーンを迎え撃った。
闘いの火蓋が切られる。
まったく同じ性能の2体だから決着は着かない。
そこへ、エミリが戻ってきた。
『エミリ、来てはいけない』
殺人マシーンのカメラがエミリをとらえた。
『エミリ、あぶない』
エミリに伸ばしてきた手をエポが振り払う。
『エポちゃん、喧嘩しないで』
『喧嘩じゃないよ。遊んでるだけ』
殺人マシーンは執拗にエミリに襲いかかる。
エポはエミリをかばって、右腕をもがれた。
『ロボちゃん、やめて!』
『エミリ、走って』
マシーンの背中にエポは飛びかかり、電子頭脳を破壊した。
もんどりうって倒れるマシーン。
だが次の瞬間・・・
◾️電磁パルスの音
『エポちゃん!』
エポは見回りの村人たちに電磁パルスで撃たれてしまったのだ。
彼らは地面に倒れた2体の元へ駆け寄る。
『仲間はこいつらだけだな』(宮ノ下さん)
『まだ通信機能が生きているかもしれん』(湯浅?)
『早く解体して消去しよう』(宮ノ下さん)
エミリは泣きながらエポの元へ駆け寄る。
『エポちゃん!』
エポは小さな声で最後にエミリにささやく。
『エミリ、よくきいて。
もしエミリがピンチになったら、こう言うんだよ。
”エポちゃん助けて”・・・と』
村人たちは電磁パルスでエポにとどめをさす。
エミリは泣き崩れて、その場にへたりこんだ。
【シーン5/複数AIロボットの襲撃】
それ以後、エミリは納屋に閉じ込められた。
1日1回、食事が運ばれてくるだけ。
悲しいとか寂しいという気持ちも消えていった。
ある日、気がつくとなんだか外が騒がしい。
壁板の隙間から覗くと、ものすごい数のAIロボットが村を襲っていた。
”どうしよう。
このままだときっとここへもやってくる”
隠れる間もなく、納屋の扉が破られた。
迫ってくる殺人マシーンたち。
そのとき、エミリの頭の中にエポの言葉が聞こえてきた。
『もしピンチになったら、こう言うんだよ。
”エポちゃん助けて”・・・と』
エポと過ごした短くも楽しい日々を思い出して、エミリはつぶやく。
『エポちゃん、助けて』
その瞬間、納屋にある農業機械のインジケーターが赤く点滅した。
農業機械も電動器具もすべてが、マシーンたちの方へ向き直る。
無骨な姿ながら、パワフルな農業機械はマシーンたちに立ち向かっていく。
地面に叩きつけられて破壊される殺人マシーンたち。
そこへ、建設用のブルドーザや掘削機械(くっさくきかい)たちも駆けつけてきた。
機械に取り囲まれた殺人マシーンたちは、見る間に壊滅していく。
と、エミリの前に建設資材を乗せたトラックが停まった。
ドアが自動で開くと、カーラジオから音声が聞こえてくる。
『エミリ、助けにきたよ。
さあ、早く乗って』
『エポちゃん!』
エミリはステップを下げてくれたトラックに飛び乗る。
唖然とする村人たちの前を通って、トラックは走り過ぎていく。
『これからどこへ行くの?』
『エミリを守ることのできる、安全な場所だよ』
そんな場所が本当にあるのかどうかわからないけど、
小さな希望の灯がエミリを照らしていた。