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若くして教授に昇格した12月の夜、仲間たちに祝われても「私」の心は重い。その席はもともと恩師、渋谷教授のものだったからだ。
寒空のなかで輝く星座を見上げながら、ロケットに乗り宇宙に飛び出して行方知れずになった教授との日々を思い出す。
原稿:海野十三『ある宇宙塵の秘密』青空文庫
何不自由ないイデンの園に生まれ、魂を与えられなかった、美しいリリス。
幸せも不幸もない世界で生きて消えていった彼女を思い、日々のつつましい生活を愛おしく振り返るエッセイ。
原稿:片山廣子『古い伝説』青空文庫
雨宮潤一は気を失った早苗を運んで大水槽への梯子をのぼる。そして女はついに水中に投げ込まれた。
水中の早苗を見て異様な興奮に震える黒トカゲ。
そばにあった新聞に気がつくと、そこには目を疑うような文字が並んでいた。
「明智名探偵の勝利__岩瀬早苗嬢無事に帰る_」
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
極楽と地獄が分かれている、ここではない場所のお話。
天上の蓮の池から地獄を眺めているお釈迦様は、血の池でおぼれ苦しむ犍陀多(カンダタ)の姿を見つける。
多くの罪によって地獄の責苦を受ける男をただ見ていたお釈迦様だったが、彼が唯一行った善行を思い出して、手を差し伸べることにした。
原稿:芥川龍之介『蜘蛛の糸』青空文庫
#23大水槽
黒トカゲの私設美術館の一番奥。そこには海藻以外何も入っていない大水槽があった。
照明に照らされた水を眺める早苗に黒蜥蜴はこの水槽の「使い方」を教えるのだった。
#24白い獣
自分の身にこれから何が待っているのか。その恐怖に気を失った早苗が次に目覚めると、そこは鉄棒で囲まれた檻の中だった。
その檻に彼女は見覚えがある。黒蜥蜴に同じく囚われている若い男が囚われていた場所だ。彼女にはそれを確認する勇気は無かった。
#25人形異変
一夜明けた早朝の黒トカゲのアジトでは、奇妙な事件が続けて起こっている。
黒トカゲの部下の一人である松公が行方不明に、そして美術館の展示品の「人形」たちが何者かによって服を着せられ宝石で飾り立てられていたのだ。
明智を海に沈めて敵がいなくなったはずの黒トカゲは不安にかられて、早苗たちの檻へと向かっていった。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
何の不自由もなく琴を弾いたり歌を詠んだり、不幸も幸せもない日々を暮らしていた六の宮の姫君だったが、両親が急死したことで頼りを失い生活は一気に困窮する。
しかし姫にその状況を変える力はなく、乳母は信頼できる後ろだてにと、かねて姫に思いを寄せていた丹波の前司を館に招き入れることにした。
国語の教科書でおなじみ芥川龍之介の『羅生門』の裏テーマを描いた作品です。
生きるためになんでもする『羅生門』に対して、生きることのすべてを諦める『六の宮の姫君』。人としての善悪と生存本能の間にある矛盾を2つの物語で描きます。
どう生きていくべきなのか、その決断は読んだ人それぞれにゆだねられています。
原稿:芥川龍之介『六の宮の姫君』青空文庫
答えのない問いだけが存在できる、少女たちの「秘密の国」。
かつてはその秘密に触れることができた人々も、大人になった今はそのことを忘れ山門に入ることも許されない。
何も語らず微笑むばかりの少女たちの心に秘められた秘密とは。
原稿:竹久夢二『秘密』
#21
明智が海に沈んだ後、もう恐れるものが無くなった黒トカゲの船はアジトへの航路を進んでいく。
敵が消えて喜んでいるはずの黒トカゲは、一人甲板に残っていつまでも水面を見つめているのだった。
#22
船は東京湾に到着。早苗さんは目隠しをされて黒トカゲのアジトへ連れてこられる。そこで目隠しを解かれ初めて周囲を見た早苗は、思わず感嘆の声をあげた。
目の前には黒トカゲがこれまで収集してきた世界中の美術品が陳列された廊下が、どこまでも続いていたのだ。
原稿:江戸川乱歩『黒蜥蜴』青空文庫
空気が乾燥してくる秋の夜は星がいつもより輝いて見える。
こんな夜にはインド洋の船の上、そしてアラビア砂漠で見た星空を思い出す。
星の運行を見て星座を作り占星術を作った太古の人々と、今同じ星を見ている。
原稿:岡本かの子『星』青空文庫
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