本日のプレイリスト:https://spoti.fi/3cthVeJ
そんな「出題者」のことをイントロクイズの観点から考えてみました。
前半戦・きっかけの話として、各々が出題時に心がけていることからスタート。
キョンは「いかに参加者に正解を出してもらえるか」ということを第一に挙げます。
そのためには参加者一人一人の好きな音楽にいかに入り込むかが大事。
もしも事前情報が無くてそれが難しい場合でも、まずは多くの方に正解を出してもらえるようにセッティングする。
なので個人の取り組みとしては、(特に「フリーバッティング」と呼ばれる自由出題の形式では、)参加者の方の「反応をうかがう」ことで柔軟に組み替える。
その場で組み換えることが困難な企画性のある出題リストの場合は、J-POP/アニメソング/その他(この区分の仕方については「オールジャンル」とジャンル限定の回(#6,#9,#10)などを参照)のバランス、発売年代のバランス、歌手の男女比のバランスの点で偏りが出ないように事前に設定する、とキョン。
平均的と思われる参加者の音楽の聴き方の傾向と外部からでも算出することが容易い明快な指標。
ここで示したバランスの取り方は、このような点が根底にあるのではないかということが対話から少し見えてきます。
やすおは「出題する楽曲の年代を出来る限り均等にすること」を第一に挙げます。
(先ほど挙がったような)反応をうかがうことが自身では難しいと自己評価しているため、まずは均等な年代配分をすることでそれを補おうという考え。
この考えは、新世代向けである「おんたま」の場においても特に変わりはないという点では、キョンと多少スタンスが異なる形に。
そこには、反応をうかがうというよりかは「自身が語る言葉を持っている」ことをより重視するやすおのスタンスが浮かび上がります。
ここで、小泉(2007)で設定される「コモン・ミュージック(同世代が共通に好む音楽)」「スタンダード・ミュージック(流行を超えて聞き継がれている音楽)」「パーソナル・ミュージック(個人的に好きな音楽)」という三層の概念を紹介。
この対話で扱いたい、イントロクイズの出題時に考えていることを説明する一つの補助線として、これらの概念が応用できるのではないかというのがソキウスの考え。
それを前提にソキウスは、「おんたま」だと「コモン・ミュージックをどう入れ込むか」ということを第一に挙げます。
コモンなものを決めた上で、スタンダードなものとパーソナルなものをどう織り込むか。
出題の形式が違ってもその点は同じように考えると語ります。
ここで話は、先ほどの概念を使ってキョンとやすおが考えていたことを再度整理する流れに。
「おんたま」が中心に掲げていることを踏まえると、「おんたま」においては特にコモンの視点を忘れないことは大事だろうとキョン。
さらに言うとキョンは、コモン・ミュージックが「おんたま」以外でも自身の出題の軸になっていると振り返ります。
ここで、我々と違う世代のコモン・ミュージックをどう扱うかという観点が示されます。この点は今後の回でも重要になってきますが、今回はそこまで深くは立ち入りません。
そしてやすおは三層の概念にあたるものを満遍なく出題したいというのがあくまでも理想。
語る言葉を持つものが満遍なく三層にわたるようにしていきたいという点で一貫しています。
前半戦の最後は、イントロクイズにおけるパーソナル・ミュージックの「布教」について。
#2でも挙がったように、音楽に出会う場としてイントロクイズを捉えるならば、(正解を出してもらえる確率は低いと想定されるが、)自身の好きな楽曲を布教(出題)することは、細心の注意を払うことを条件に積極的に出題した方がいいという点で概ねメンバー共通の意見に。
また、布教という点から考えると、コモン・ミュージックの布教ということも可能性として挙げられますが、この点は次回に持ち越します。
果たして、次回で今回広げた風呂敷を畳むことが出来たのか?
毎回最後に1分以内で今紹介したい1曲を持ち回りで語ってもらう「本日の一曲」。
今回はやすおが、その歌手の人となりを知った上で改めて聞いてほしい楽曲を紹介。
いかに正解を出してもらえるか/反応をうかがう/バランスの取り方の違い/それについて語る言葉があるか/コモン・ミュージック/スタンダード・ミュージック/パーソナル・ミュージック/我々と違う世代のコモン・ミュージック/パーソナル・ミュージックの「布教」/夏川椎菜
小泉恭子, 2007, 『音楽をまとう若者』, 勁草書房