元の論文:Strategies to Prevent Healthcare-Associated Infections: A Narrative Overview
Citation:Risk Manag Healthc Policy. 2020;13:1765–1780
論文の要約
この総説は、医療関連感染(HCAI)を防ぐための戦略を歴史的背景から現代まで幅広く整理したものです。
◯ 医療関連感染の現状
入院患者の7〜10%がHCAIを経験し、世界的に死亡や医療費増大の主要な原因になっています。多剤耐性菌の拡大で状況はさらに深刻化しています。
◯ 手指衛生
もっとも基本かつ効果的な対策。医療従事者の手を介した伝播が中心であり、アルコール手指消毒薬やWHOの「5つの瞬間」戦略が推奨されています。ただし遵守率は依然低く、教育や監視が必要です。
◯ 環境衛生
病室のベッド柵やドアノブなど高頻度接触面は主要な感染源です。消毒剤や適切な清掃手順を徹底することが重要です。C. difficileやノロウイルスなどは強力な消毒剤やUV-C照射など補助的手段が必要です。
◯ サーベイランスとスクリーニング
リスクの高い患者の積極的サーベイランスや接触隔離は、耐性菌の拡大を抑える一方で、コストや倫理的課題もあります。
◯ 抗菌薬適正使用(Antibiotic Stewardship)
抗菌薬の乱用を抑え、適切な薬剤・用量・期間を徹底するプログラムは、耐性菌の拡大を防ぐうえで不可欠です。
◯ 患者安全ガイドラインの遵守
チェックリストや標準化されたガイドラインを活用することが推奨されますが、現場では遵守率が低下しやすく、継続的な教育・監視が重要です。
◯ COVID-19の経験
パンデミックで手洗いや環境衛生の重要性が改めて強調され、迅速なサーベイランスやスタッフ保護の必要性が明らかになりました。
医療関連感染, 手指衛生, 環境衛生, サーベイランス, 抗菌薬適正使用,