「iPS細胞で再生医療…迎えた新たな段階」　患者自身の細胞から作製したｉＰＳ細胞（人工多能性幹細胞）を再生医療に用いる。その実用化に向けた取り組みを京都大学ｉＰＳ細胞研究財団（ｉＰＳ財団、京都市左京区、山中伸弥理事長∥京大教授）が進めている。「ｍｙ　ｉＰＳプロジェクト」と呼ばれる事業で、４月、大阪市北区に同プロジェクトの臨床用ｉＰＳ細胞製造施設を開設した。取り組みは新たな段階を迎えている。（大阪・村田光矢）

「有事にコロナワクチン受託生産…JCRファーマが初公開、原薬工場の全容」　ＪＣＲファーマは２０２２年に稼働した神戸サイエンスパークセンター（神戸市西区）の原薬工場（写真）をこのほど報道陣に初めて公開した。厚生労働省の「ワクチン生産体制等緊急整備事業」の公募要件を満たすために建設した拠点で、希少疾病向け治療薬の研究開発に取り組みつつ、有事には新型コロナウイルスワクチンを受託生産する。

「太陽光パネル大量廃棄に備える…リサイクル費用負担を義務化、製造事業者に要求」　政府は太陽光パネルを製造する事業者に、再資源化にかかる費用負担を求める。２０３０年代後半から廃棄量が増加することを踏まえ、製造量などに関連する情報の定期的な報告や保存も義務付ける方針だ。現行法では使用済み太陽光パネルのリサイクルは義務付けられていない。使われている素材などの回収を促進し、再資源化事業の活性化につなげる。

「豊田合成がCN達成急ぐ…再生エネ3割転換、工場に太陽光発電所」　豊田合成は１０日、米国の生産子会社であるＴＧミズーリ（ミズーリ州）の工場敷地内に太陽光発電所を新設すると発表した。２０２７年４月に運転を開始する予定。工場全体の年間使用電力の３割を再生可能エネルギーに切り替える。二酸化炭素（ＣＯ２）削減効果は年間約１万４０００トンを見込む。豊田合成グループとして米州地域での再生エネ利用は４割超となる。

「直近20年で下から3番目…24年度中古車販売、2年連続増も伸び鈍化の要因」　日本自動車販売協会連合会（自販連）と全国軽自動車協会連合会（全軽自協）が１０日発表した２０２４年度の中古車登録・届け出台数は、前年度比０・３％増の６４６万７８８４台となり２年連続で前年実績を上回った。ただ、認証不正問題の影響で新車台数が伸びず中古車も鈍化したほか、一部は輸出に流れたことなどから全体として低水準にとどまった。

「"顔パス”で新幹線乗車…JR東日本が実証、「ウォークスルー改札」の仕組み」　ＪＲ東日本は切符の投入やＩＣカードをタッチする必要がない「ウォークスルー改札」を実現するため、顔認証技術を用いた実証実験に今秋にも着手する。上越新幹線の新潟駅と長岡駅に顔認証に対応した改札を設置。２０２６年春まで実施し、その後は技術検証の結果を踏まえ、さらにエリアや対象を広げ、顔認証以外の方式の検討も進める。１０年以内のウォークスルー改札の実現を目指す。

「100％サステナブル燃料使用…スズキが耐久レースにサステナ製品で挑む狙い」　スズキは２輪車の耐久レースの厳しい条件下で、環境負荷低減と走行性能向上の両立に向けた技術開発を加速する。同社は「スズキＣＮチャレンジ」と称し、サステナブル（持続可能）製品を使用して２０２４年からレースに参戦している。２５年は１００％サステナブル燃料をはじめ、従来より再生資源比率を高めた部品などを使用予定。環境・走行性能ともに高レベルを実現し、２４年の総合成績超えを目指す。（間瀬はるか）

「ペロブスカイト・シリコン太陽電池タンデム型で800Ｗ超、中国大手が実用サイズで世界初」　中国太陽発電システム大手のトリナ・ソーラーは、ペロブスカイト太陽電池と既存のシリコン系太陽電池を接合した「タンデム型」で出力８０８ワットを達成した。面積３・１平方メートルの実用サイズにおいて８００ワット超えは世界初という。

「多様性尊重の時代に合う『自由論』、NEDO副理事長が学んだこと」　経済産業省で管理職になった頃から古典は原書を読むよう努めている。繰り返し読むのが功利主義創始者のＪ・Ｓ・ミルだ。功利主義という字面だけを捉え、狭い意味での効用だけ追求する冷徹な人と見るのは一面的だろう。ミルは個人の幸福追求をいかに社会全体の善につなげるかに情熱を注ぎ、行動に移した人だった。

「文理対立で分裂の懸念、学術会議「法人化」で揺れる」　日本学術会議が分裂するのではないかと懸念されている。学術会議法人化法案の国会審議が始まる直前の１４日から学術会議の総会が予定されている。ここで法案への姿勢を表明するか文系と理系で割れているためだ。学術会議の法学委員会は法案が受け入れられる余地はないと表明した。これを無視して多数決で押し通せば、学術会議で専門家の声が封じられるという自己矛盾が生じる。存在意義さえ揺らぎかねない状況にある。（小寺貴之）