《もっともっと生活の細菌的な活動から脱したい。そこから想像力エンジンをつくりなおしたい》と望んだグーラン。その姿勢には、どこか『場と共創』（清水博編著／NTT出版）で問われている「近代文明の諸矛盾を乗り越えて、新しい文明を創造する」という課題とリンクしたところも感じます。今回はそんなルロワ＝グーランのメタプログラムをめぐる一夜を。

【千夜千冊】381夜『身ぶりと言葉』

線形（リニア）から非線形（ノンリニア）へ。当夜は九州大学の助手時代に清水博に出逢い、「述語的統一による科学」を模索する蔵本由紀が拓いた"編集的科学"の可能性の様相を追っかけます。

【千夜千冊】1225夜『非線形科学』

今回は「乾坤一擲の文化的表現力」の創発をめぐる一冊を。松岡さんが《芸術的創発には「洞窟」のような溶闇的フォーマットが必要だろうこと、シャーマニズムもアニミズムもフェティシズム（物神信仰）も旧石器時代からのものであること、それゆえ編集の芽生えは先史時代から始まっていたという確信の根拠にもなっている》先達３人の著作の１つを案内します。

【千夜千冊】1769夜『洞窟のなかの心』

今日にいう「クラシック音楽」が、そのほぼすべてを養成した18世紀末～19世紀フランスのブルジョワたち。今回は、彼らに喝采と悲鳴をもって迎えられたフランツ・リストの「世界音楽制作人生」を編読します。

【千夜千冊】1794夜『フランツ・リストは なぜ女たちを失神させたのか』

【当夜のオツ千】【オツ千vol.19】クラシックをつくってつないだ男

コミュニケーションの隙間から、神がまろびでた⁉《この説は、人類学と進化生物学のロビン・ダンバーが提案した。人類と神との戯れは、体毛を失った人類の毛づくろいのようなものだというのだ。毛づくろいしているうちに、いろんな神さまを造形してしまったわけである》。脳を肥大させたホモ・ハビリス、「農業以前」の祭祀空間、プロト言語を発していたかもしれないネアンデルタール人、一日５回の礼拝を行うムスリム、変異によって言語障害を起こすFOXP2・・。よほどの研究力がないと危なっかしいゆえ、あまり扱ってこなかったという脳科学から神や宗教の出現を解こうとした一冊を取り上げた一夜。

【千夜千冊】1786夜『神は、脳が作った』

【当夜のオツ千】神様問題アブダクション

レヴィ＝ストロースが大成した構造主義や、生の哲学、現象学、記号論、精神分析といった現代につながる思想が躍如していった19世紀半ばから20世紀にかけてを生き、東洋にヨーロッパ哲学のすぐれた論理や概念をとりこみ、「無」の哲学を構想した西田幾多郎。当夜はそんな西田という人物、西田という哲学を案内します。

【千夜千冊】1086夜『西田幾多郎哲学論集』

《無を考えてもいいのだ》。シュプレマティズムのマレーヴィチ『無対象の世界』にもリンクする当夜は、久松真一が見出した《東の撥無》、松岡さんが《禅の精神の大半を語りえた》と評価する「無相の自己（formless self）」をキーワードに、久松を概観します。

【千夜千冊】1041夜『東洋的無』久松真一

78歳を迎えて初めての千夜は、編集工学をその構想者が語りなおすという「編集ファン」垂涎の一夜に。世界はずっと編集＝リメイクされつづけてきた、多様なヴァージョンを創発させてきたことを、グッドマンの著作を通じてめぐります。

【千夜千冊】1793夜『世界制作の方法』

【当夜のオツ千】世界は一つじゃないんじゃい

芭蕉の一語千転、千顛結語の推敲編集の妙を、彼の生きた時代とともに取り上げた一夜。京都、貞門の北村季吟に学んだ芭蕉は、如何にして芭蕉たりえていったのか。そして、その推敲の腕を如何に発揮していったのか。その秘密を探ります。

【千夜千冊】991夜『おくのほそ道』

「地上で唯一、死者にも投票権がある都市」（イェフダ・アミハイ）。アモス・エロンの秀逸なエッセイに重ねて《エルサレムを安易に動かそうとすることが危険》だと喝破する松岡さんが、徹底的にエルサレムの来し方を案内した一夜。

【千夜千冊】1630夜『エルサレム』