オミクロン株を含めた新型コロナウイルスの感染者数の増加で、海外からの入国に非常に厳しい規制が掛かっていることは、ご存じの通りです。それはこれ以上の蔓延防止に向けて、もちろん必要な措置だと思います。今日はその影響を受ける中でも、日本国内で学ぶ外国人留学生について、お話しをしたいと思います。
留学生の受け入れと送り出しは双方向であり、日本から海外に留学することも、海外から日本に留学してくることもできない状況です。実際に九州大学ビジネススクールでも、昨年4月に入学した外国人学生が、1年近く経って未だに来日できていません。幸か不幸か現時点で授業のほとんどは、オンラインで行われているので、国内のいる学生とも同じような環境にあるとも言えますが、同級生とも全く接点を持てていないということになります。
QBSでは現時点で、中国、香港、韓国、モンゴルなどから11名の国際学生が在籍していますので、全体の約12パーセントになります。年によって2割近くを国際学生が占める年や、若干少ない年もあります。九州大学全体で見れば、昨年5月の時点で、91カ国と地域から2,270人になりますので、九州大学で学ぶ学生全体の8人に1人が留学生ということになります。
これが日本全国の海外からの留学生となると、一昨年の2020年5月1日現在で、外国人留学生数は279,597人でした。これは大学や短大等の正規課程で学ぶ人だけではなく、入学の準備教育課程として、あるいは日本語教育といった専門学校で勉強する人たち全てを含んでいます。そのように考えると国内で学ぶ留学生は、相当な数ということになります。
これは日本政府が2008年に、「留学生30万人計画」という方針を固めて推進してきた結果です。その主な取り組みとしては、海外に向けての留学の働きかけ、入試や在留資格など入国などの環境の整備、大学自体のグローバル化や卒業後の就職支援を含めた受け入れ環境を整えてきたということになります。
大学の取り組みだけを見ても、英語の授業や英語のみで学位が取れるようなプログラムを作ったり、国費留学生の優先的な受け入れをしたり、海外の大学との間の協定の促進や外国人教員の受け入れから、学生寮の整備や留学生のサポート体制を作るなどに注力してきたと言えます。
日本に留学生を30万人迎え入れるとは、壮大な計画だったのではないでしょうか。2008年にこの計画が作成された時には、留学生は12万人程度であり、それを2020年の30万人達成を目標として設定していました。それが予定より一年早く、2019年には留学生数が312,214人に達しました。計画がとても順調に進んできたことになります。
そもそもなぜこのような計画が作られたのかと考えると、文部科学省としては、その意義として、多くのことが期待されていたことがわかります。
まず、1番目に高度人材の受け入れで、科学技術、産業等の国際競争力向上に資すること
2番目に、経済活動の担い手として労働市場に人材を確保すること
3番目には、発展途上国出身の学生の受入れと高等教育による人材育成を通じた国際貢献
その他、留学生の出身国や地域との間で、人的ネットワークの形成による相互理解と友好関係を深めたり、日本の理解者や支援者の育成することなどです。
つまり、
=日本の競争力向上に寄与してくれること
=少子高齢化の中での人材を確保すること
=国際貢献や日本のシンパを作るということにあったと言えます。
留学生本人だけではなく、日本にとっても多くのメリットが期待されていたということです。確かに日本の少子化の中で、ますます減少する日本人の学生に加えて、30万人規模の留学生が、海外から来て、大学、短大、専門学校、日本語学校で学ぶとなれば、これは大きなインパクトがあると思います。
それが突然今回の新型コロナウイルスで、来日ができなくなったということになります。留学生数は2019年に予定より一年早く30万人を超えて312,214人になったものの、2020年には3万3千人が減少して279,597人と30万人を割り込んでしまいました。この数字は、2020年5月時点ですので、入国規制の今ならさらに大きく落ち込んでいるかと思います。今まで順調に増加してきた留学生数が、ここで突然止まってしまうどころか、これから減少していく可能性があるということです。
今日のまとめです。日本政府が2008年に策定した「留学生30万人計画」に基づいて、2019年には海外からの留学生が30万人を超えました。この計画には日本の国際化や国際貢献を含めて、多くの効果が期待されていましたが、新型コロナの影響で、留学生が来日できない状況にあることをお話ししました。この影響については、明日お話しをしたいと思います。